皆々様こんにちは。
『機動戦士ガンダム水星の魔女(以下『水星の魔女』)担当のgatoです。
前回はエアリアルがガンダムであると疑われたため、様々な思惑が蠢きました。
中でも開発者であるシン・セー開発公社のプロスペラはスレッタの母であるエルノラとの共通点が多いうえに、なにやら企んでいるようでしたね。
さて、今回はミオリネの結婚とスレッタの退学を賭けた決闘が再び行われます。
どうやら辛酸を舐めたグエルにスポットライトが当たるようですが…。
早速振り返ってみましょう。
目次
来たかった場所
まずは今回のスレッタの動向を振り返ってみましょう。
わたしのやりたいこと
ミオリネがデリングへの反抗心でまた決闘をやらされることになったスレッタですが、冒頭ではそれを嫌がり、自身のやりたいことリストを明かしていました。
「友達をつくる」・「あだなで呼ぶ」・「屋上でご飯」・「図書館で勉強」・「連絡先の交換」など、どれも実にありふれた、素朴な願望でしたね。
彼女が学園まで来る経緯が語られている『ゆりがこの星』では、スレッタが、エアリアルが用意した地球圏が舞台のアニメ・映画・小説・コミックを見ていたことが明かされています。
彼女のコテコテの願望はどれも過去に触れたフィクションが元になっていることが窺えますね。
前回拘留されたスレッタが涙をこぼしていたのは、やりたいことリストを作ってまで楽しみにしていた学園生活が何もかもおじゃんになることが心底辛かったからでしょうね。
まだ描写こそされていないですが、同世代が全くいないと思しき水星から、憧れの外に出てきた立場としては…いきなり決闘に巻き込まれて退学っていうのは、さすがに堪えるだろうなぁ…。
ところで、余談ですけどスレッタで不用意に相手を煽る発言が多いですよね(笑)
悪気はないんでしょうけど、グエルをメチャクチャいじっているようにしか見えない(笑)
ただ、一度衝突したグエルに母親とのことを話すなど、根は素直なお人好しであることが窺えます。
母と娘
前回の登場でいろいろ物議を醸したプロスペラですが、冒頭で普通にスレッタと通信している場面が見られました。
ヘッドギアを外したその顔は…
前回の記事でも言ったように、やっぱりスレッタことエリクトの母であるエルノラでしたね。
髪を染めているなど少し印象が変わっていましたが、『PROLOGUE』での面影はありました(気持ち肌の色が薄くなった?)。
顔に傷一つついていないところを見ると、やはり右腕や顔「水星で磁場で持っていかれた」というのは嘘のようですね。
おまけにヴィムがデリングの命を狙ったことを把握しているなど、ベネリットグループの内部事情すら捉えられる情報網を持っていることを窺わせています(あるいは内通者がいる?)
一方で、スレッタと会話しているときのプロスペラはかつてのエルノラを彷彿とさせる優しい表情を見せていました。
スレッタの前では変わらずエルノラとして振舞っているようですね。
ただ、プロスペラとの会話で「ガンダムって何?」と問いかけているところを見ると、スレッタはエアリアルの正体を知らないようです。
どうやらエアリアルの正体や自身の目的について、プロスペラは何も教えていないようですね。
まぁ、とりあえずここまでの描写を見る限りスレッタがプロスペラの復讐に加担している線は薄そうです。
だけど、同時にプロスペラは何も知らないスレッタを巻き込んでいる可能性が高くなるわけですが…。
ところで、最近知ったのですが、『水星の魔女』はシェイクスピアの『テンペスト』をベースにしているらしいですね。
プロスペラは『テンペスト』に登場する復讐を目論む主人公プロスペローの女性名、エアリアルは彼に魔法の力を与えた妖精エアリエル、スレッタはプロスペローの娘であるミランダが元ネタというところでしょうか。
読んだことがないのであらすじしか知らないですが、復讐をベースにした話の筋立てもかなり似通っています。
うーん、だったらラストはプロスペローのようにプロスペラが復讐を諦め、エアリアルを解放するということになりますが…。
なぜだろう、今のところそんな予感があまりない(笑)
とりあえず久しぶりにシェイクスピア読むかな…(笑)
たくさんかなうといいね
スレッタに魔女疑惑が、エアリアルにガンダム疑惑が出てから、スレッタに急接近しているエランですが、今回もそれとなくアプローチしていましたね。
連絡先を交換したり、スレッタのやりたいことリストの達成を応援したりと、ちょっとずつ距離を縮めている気がしますが…。
ずっと無感情だから心情が全然わからん!(笑)
魔女とガンダムに興味を持っていることはわかりますが…。
彼のバックにいるペイル社から何か指示を受けている描写がないうえに、エアリアル・水星・シン・セー開発公社・プロスペラなどについて聞き出そうとしている様子もない。
うーん、描写が少ないので何とも言えないですが、彼個人の興味で動いている印象はありますね。
ところで、どうでもいいですけど立会人をやっているときのエランって行儀よくチョコンと座るんですね。
ちょっとかわいかった(笑)
ちなみに、決闘の段取りを決める段階でエランが締めで言った「アーレア・ヤクタ・エスト(Alea jacta est.)」は、古代ローマの偉人であるカエサルの名言である「賽は投げられた」のラテン語読みだそうです。
子どものプライド
さて、今回の主役といっても過言ではないグエルを掘り下げましょう。
父と息子
第1話からかませ犬として登場したグエルですが、今回のエピソードで印象が変わった方も多いのではないでしょうか。
まず前回でもそれとなく示唆されていたように、グエルは父親であるヴィムと必ずしも良好な関係ではなさそうです。
決してグエルから反抗することはないですが、確実に勝利するためにグエルの気持ちや実力をおざなりにするヴィムの振る舞いに、少なからずグエルは不満や悔しさを抱いているようですね。
また、個人的に印象的だったのはダリルバルデのテストを終えた後のグエルとメカニックのやり取りです。
確実な勝利のために意志拡張AIが使われていることを知ったグエルはメカニックに掴みかかりますが、メカニックは胸倉を掴まれながらも普通にAIの説明をしており、表情もほとんど変化がありません。
普通CEOの御曹司を怒らさせたとなれば、それなりに動揺しそうですが、あのメカニックは全くそれがなかったですね。
個人的にあのメカニックは第1話でも触れたミオリネのSPを連想しました。
ミオリネは周囲に頼れる人がいない環境でしたが、グエルは周りが誰も自分を見てくれない環境といったところでしょうか。
グエルもまた、ミオリネのように地位と血筋だけでしか評価されていないパーツのような扱いをされているのでしょうね。
グエルはミオリネと違って反抗的ではないですが、スレッタの母親の話に心が動いているところを見ると、彼なりに寂しく思っているのでしょう。
そう捉えると、第1話でのグエルが尊大な振る舞いをする理由もそれとなくわかります。
彼にとって、自分の力で決闘に勝利し、獲得したホルダーという地位は非常に重要な意味を持っていたのでしょう。
そして自分を見てくれない、評価してくれない父親に対する反動があったからこそ、彼はあれだけ尊大になったのではないでしょうか。
いつか父親に自分の力を認められたいと願っていたがゆえに。
…まぁ、トロフィー片手に親に自慢する子どもみたいなものでしょうね(笑)
安直ですけど、まぁ年相応じゃないでしょうか(笑)
その背にいる仲間達
父親から殴られるだけに限らず、セセリアに嘲笑われるなど、学園内でも評価が下がったグエルですが、ミオリネと違って彼は孤独ではありませんでした。
ヴィムが仕組んだ不正に加担してまで手を貸したフェルシーやペトラ、そして性格は正反対ながらも兄の勝利を信じたラウダと、取り巻きの面々はなんやかんやでグエルを信頼し、慕っていることがわかります。
この点は、ミオリネよりマシなところかもしれませんね。
ただ、グエルからしたらラウダは「父さん側」らしく、ちょっと火種が見え隠れしています。
己の力
決闘の終盤、ヴィムの不正を知ったグエルは明確に父親に反抗し、単身でスレッタに挑みました。
AIが見抜けなかった囮を見抜き、内心見くびっていたスレッタに「強い」と言わしめた雄姿は、彼がこだわりぬいた「自分の力」を解放した姿といってもいいでしょう。
清々しく敗北したものの、互いの実力を認め合えたグエルはスレッタの手を握り…
「結婚してくれ」
ってお前がプロポーズするんかーい!!
どんだけ婚約者増やす気なんだよ…つーかエランも含めるならえげつない四角関係が誕生するんだが…スレッタ…ガンダム史上一番モテてるんじゃないか…?!
さて、冗談はこれくらいにして(笑)、安直な行動とはいえある意味グエルらしくて、個人的には嫌いじゃないです(笑)
それに、グエルの今後を考えると、この行動には大きな変化があると思います。
これまで何度か触れたように、アスティカシア高等専門学園やベネリットグループは極端な実力主義・結果主義です。
決闘の前口上で触れられているように、何よりも優先されるのは結果…引いては勝利であるという考えが支配的になっています。
ただ、グエルがスレッタに惚れ…もとい、彼女を認め、彼女から認められたのは、「敗北」がきっかけでした。
つまり、彼は学園やグループからしたら過ちである敗北から、その場でプロポーズしたくてしょうがないライバル(変な表現笑)と、そのライバルからの評価を得られたわけです(まさに「進めば2つ手に入る」!)。
重要なのは勝ち負けではなく、「進む」か「逃げるか」。
勝利と敗北でしか評価されない世界において、グエルは初めてその二項対立の外に脱し、新たな価値体系に触れられたのです。
この結末は、ある意味作中の世界への最大のアンチテーゼと言えるのではないでしょうか。
ところで、個人的にグエルの今後においてラウダ・フェルシー・ペトラとの関係も結構重要な気がしました。
グエルの本意ではないとはいえ、今回はヴィム達が総出で不正をしかけていましたが、エランの口ぶりだと決闘のルールにおいてこれは問題がないようです。
「手を貸すバックも含めて自分の力」とのことですが、グエルの場合はラウダ達が該当するでしょう。
つまり、あの決闘は個人の力量だけでなく、当事者のサポートを担うバックボーンを含めた、組織力…あえて言うなら「企業力」が試される場としても捉えられます。
だとしたら、ジェターク社の御曹司であるグエルにとって、終盤で見せつけた「自分の力」だけでなく、ラウダ達取り巻きとの「連携力」もまた重要な要素となる可能性が高いです。
油断するとあっという間に傲慢な天狗になるグエルにとって、真に大切なのは窮地に立つと拒絶してしまうラウダとの関係だったりするんじゃないかな…と思ったりします。
この辺りが今後どう掘り下げられるか、個人的には注目したいです。
もちろん、スレッタとの色恋も(笑)
親子とは
さて、アニメは往々にして3話までが今後の評価を占う分岐点になりがちなので、その例に倣って一度『水星の魔女』を統括してみましょう。
個人的に、『水星の魔女』は「親子」が一つの主軸として扱われていると感じました。
プロスペラとスレッタ・デリングとミオリネ・ヴィムとグエルが好例ですね。
さて、このラインナップでわかるように、作中の世界において、まともそうな親は今のところ登場していません(笑)
よき母親のように振舞っていますが謀略や復讐の気配が付きまとうプロスペラ、強権的で極端な実力主義者であるうえに子どもを子どもとして扱わないデリング、野心家で確実な結果を優先するあまり息子を雑に扱うヴィム…。
いずれも本当にクセが強い(笑)
まぁ彼らには彼らなりのポリシーがあり、まだ語られていない過去があるので、毒親とするのは時期尚早ですが…。
ただミオリネとグエルのように、彼らの影響は子ども達に息苦しい生活を強いることになります(恐らく、将来的にはスレッタも)。
また、親達は世界の中枢に関わっているために、両親の振る舞いのツケや反動がその身に降りかかるリスクを常に背負っているわけです。
そんな世界において、スレッタ達子どもの自由は存在しないといっても過言ではありません。
親の影響が強過ぎるために、日々の生活も自分の将来も、何かしらのルールや規定、そして誰かの意向に従わされている。
もちろん、子ども達の自由を奪う行為には親としての愛情が背後にある可能性はあります。
しかし、そこに例え愛情があったとしても、時にそれは子ども達にとっての呪いとして作用するものです。
こう捉えると、個人的に『ガンダムUC』に登場するロニ・ガーベイのセリフを思い出しますね。
「子供が親の願いに飲まれるのは世の定めなんだよ」
「託された事を為す、それが親に血肉を与えられた子の---血の役目なんだよ」
だけど、親の願いも愛情も、行き過ぎると呪いとなってその子を苦しめたり、過ちを犯す原因となる。
だからこそ、子ども達はそこに愛情があることを知りつつも、それが呪いとならぬように、その愛情から脱していく必要があります。
つまり、『水星の魔女』は子ども達の巣立ちを描く物語になるのではないでしょうか。
『水星の魔女』第3話感想
色々ツッコまれそうな第3話でしたが、個人的にはわりと嫌いじゃない(笑)
というか、グエルの株が上がりましたね~。
あのプロポーズは完全に予想外だったので、本当にびっくり(笑)
記事書いている間に意味なく3回見ちゃった(笑)
何はともあれ、『水星の魔女』の方向性がちょっと見えてきたエピソードでした。
この先これがどうごちゃごちゃになっていくかを楽しみにしていきましょう(笑)
▼水星の魔女の全記事はこちらにまとめてあります!
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コメント
母親、プロローグの時と髪の毛の色が違うと思うんですが
コメントありがとうございます!
記事でも髪の色は触れていますが、今のところは単純に染めたと思っています。
ただ、今作は宇宙に出たときに人間の身体に起こる障害についても触れているので、実はそれが絡んでいたりする可能性もあるかもしれませんね。
あと、第4話の記事でプロスペラが本当にエルノラなのかについても触れているので、そちらもぜひご覧ください!