皆々様こんにちは。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女(以下『水星の魔女』)』担当のgatoです。
前回は久しぶりにグエルが登場しただけでなく、地球の過酷な状況が描かれました。
命を落としたシーシアをきっかけに立ち直る道を選んだグエルですが、状況は悪化するばかりで…。
今回は激化するスペーシアンとアーシアンの対立に振り回されるスレッタ達が描かれそうです。
今回もどんな急展開があったのか、じっくり振り返りましょう。
目次
分断
13・14話での騒動の影響もあって、今回はスペーシアンとアーシアンの対立が激化している様が描かれました。
フォルドの夜明けの行動やヴィム・デリング・サリウスの現状が報じられた一方、ベネリットグループが企業行政法による治安維持を強硬的に実施したことで地球では反スペーシアンの抗議活動が暴動にまで発展し、破壊行為が多発しました。
ただ、この対立は単純にスペーシアンとアーシアンが衝突するだけでなく、同時にベネリットグループへの非難の激化にもつながっているようです。
まぁ、実際ベネリットグループの内紛が今回の事態を引き起こしているわけですから、あながち間違ってはいないわけですが。
そんな中、ベネリットグループは事態を収束させるために総裁選を実施…これにより、様々な派閥が動き出します。
総裁選による各キャラクターの動きは後述するとして…。
いやぁ、今回のエピソードを見ていると、前回の記事でも触れたようにデリングの存在がストッパーになっていたことを感じさせますね。
もちろん戦争シェアリングなどを通じたデリングのやり方は、地球を荒廃させ、アーシアンの反スペーシアン感情を悪化させるなど新たな火種をばら撒く一面もありましたが…。
そんな状況下だからこそ、デリングはかつて弾圧したGUND技術を取り入れてまでクワイエット・ゼロを実行しようとしていたのでしょう。
ただし、この状況を見ているとやはりデリングのやり方は有効ではなかったように感じました。
経済行為と戦争を連結させてコントロールする戦争シェアリングも、戦争のない世界に書き換えるというクワイエット・ゼロも、戦争の根本には触れていません。
いずれのやり方でも戦争の原因そのものの改善は難しく、代わりに強大な力、あるいは特殊な力で結果を捻じ曲げているようなものです。
ここに、デリングのやり方の限界を感じますね。
そして、ただ力を振るうだけでは戦争を止められない現実を目の当たりにした子ども達がどう動くかが…今作のエンディングを左右する重要な要素になるのでしょう。
総裁選の只中で
総裁選が始まる中、いよいよ地球寮と御三家の間で大きな動きが起こりました。
一体どうなったのか、それぞれ掘り下げてみましょう。
ニカ・ナナウラを欠いたとしても
ソフィやノレアの襲撃により、アスティカシア高等学園内でもアーシアンやガンダムへの非難は激化していました。
地球寮もその煽りを受け、落書きされるなど、すっかりヘイトの対象になっていましたね。
フォルドの夜明けが首謀者だったことが露呈し(多分シャディクのせい)、アーシアンが憎しみの矛先になっている以上、仕方ない事態ですが…。
ただし、ミオリネが帰ってきた際はいつも通り受け入れるなど、地球寮の面々がスペーシアンへの憎しみを強く抱えている様子はないですね(ミオリネの変化も大木でしょうけど)。
一方のニカは、サビーナに勧誘されるというまさかの展開を迎えていました。
うーん、正直今のニカならこの勧誘受けそうなんだよな…。
ノレアにリンチされた際に現実を思い知っていますし、少なくともサビーナもまた「地球と宇宙の架け橋」になろうとしていると知った以上、それがどんなものか見極めるために同行くらいはしそうなんですよね。
まぁ闇落ちすることはないでしょうけど、ニカがすぐに地球寮に帰る可能性は低そうな印象です。
ただ、地球寮の面々はニカの行方を追っていますし、グエルみたいにひょっこり帰ってくる可能性も否定はできませんが(笑)
シャディク・ゼネリは表舞台へ
総裁選の開始に伴い、諸々の黒幕であるシャディクはついに総裁となるべく動き出します。
ただし、ここまで計画通りに物事を進められているシャディクですが、ところどころ内面が出ている部分もありますね。
とりわけ印象的だったのは前半でミオリネが総裁になる可能性について語る場面。
そこでシャディクは「御三家のいずれかが後ろ盾になれば」と、ミオリネが総裁になる可能性に触れています。
サビーナに止められてはいましたが、やっぱりシャディクはミオリネへのこだわりをまだ残しているようですね。
また、シャディクの腹心であるサビーナはニカを勧誘する際、「地球と宇宙の架け橋になる」という夢を叶えると口にしていました。
そもそも、シャディクは前回のサリウスとの会話でアーシアンのハーフという出生が明かされ、地球贔屓を垣間見せる一面もありました。
となると、シャディクやサビーナ達の目的は既存の社会構造の転倒というよりも、地球と宇宙の関係改善に重きを置いているものと捉えるべきでしょう。
ところで、ふと思ったのですが、もしシャディクがミオリネと協力できた場合、どんな計画を実行したのでしょうね。
細かいことを差し引くなら、もしかしたらミオリネもシャディクの気持ちを汲み、地球と宇宙の関係改善に力を貸したかもしれません。
実際、ミオリネは色々あったものの、地球寮の面々とはうまくやれていますし、地球やアーシアンの現状を受け止められる度量も持っています。
だからこそ、シャディクとミオリネが手を取り合う未来も不可能ではないと思うんですよね…。
しかし、第9話の記事でも触れたように、シャディクは想っているからこそミオリネと距離を取っていた一面がありました。
加えて、誰よりもシビアな現実を知っているがゆえに、シャディク達はガンダムを兵器として使い、同胞であるフォルドの夜明けを利用するなど、犠牲を厭わない冷酷なやり方を選んでいます。
その時点で…もうシャディクとミオリネが手を取り合える可能性は限りなく低いでしょう。
もしかしたらシャディクはそのことを察しているからこそ、もう交われないミオリネへの未練を口にしたのかもしれません。
この致命的なすれ違いが悲しい結末を招かなければいいのですが…。
グエル・ジェタークは進み出す
前回のエピソードではほとんど主人公のように描かれたグエルですが、なんとしれっと帰還してきました(笑)
もうちょっと間があるかと思ったら…思ったよりしれっと帰ってきたな(笑)
そんなグエルですが、過労で卒倒したラウダや疲弊したペトラの様を見て「後は俺が引き継ぐ」と宣言するなど、頼もしい一面を見せました。
シーシアやオルコットとの絡みがよい影響を与えたようです。
この流れだとグエルはジェターク社を立て直すために総裁選に出る流れになりそうですね。
それにスレッタ達株式会社ガンダムが窮地に立っているのを見て手を差し伸べることもあるのかな…。
ただ、今のグエルは家族にまつわることにけじめをつけようとしている感じなので、スレッタとの絡みはしばらくなさそうな予感がします。
他方で、個人的にジェターク寮の様子もちょっと不穏な気配がするんだよな…。
最たるものはフェルシーでしょうね。
14話でラウダが重症を負った際、必死に守っていた姿が印象的でしたが、今回は大破したディランザを前に何かを想っているような姿を見せていました。
うーん、これは彼女が前線に出て戦うフラグなのだろうか…。
後、ヴィムが命を落とした経緯をラウダ達は知っていたんでしたっけ?
相変わらずラウダはスレッタ憎しでしたし、描写を見落としていなければ、まだ共有されていない気がする…。
もし誤認だったら指摘してください(笑)
エラン・ケレスは綱渡り
エラン・ケレスこと5号ですが、今回のエピソードでは徐々に馬脚を現してきた感じがしますね。
ランブルリングでの消極的な振る舞いで立場が悪くなったうえに、エアリアルの強奪も厳しいとわかった中、珍しく5号がベルメリアに怒りを向けていました。
これまでのらりくらりと自分が生き残る道を選んできた5号ですが、本格的に立場が悪化してきたこともあって、感情を露わにした印象です。
5号が世の中を斜めに見つつ、自分の生き残りを優先しているキャラクターであることは前から感じていましたが、その根底には強化人士という立場も影響しているようです。
言い訳がましい弱音を吐くベルメリアを激高した勢いで殴るなんて彼らしくないですが、そこには彼が強化人士として使い捨てられ得る人生に屈託を抱いていることが表れている印象ですね。
思えば、シーズン1で4号が本心を露わにし始めたのはエアリアルに乗ってからでした。
奇しくも、5号も同じようにエアリアルに乗ってから苛立ちを露わにしています。
そして4号もまた、強化人士である自分を呪っていた。
シーズン2はOPで4号を示唆するような描写がありましたが、5号が4号と何らかの形で交わることを示しているもかもしれませんね。
セセリアとロウジはなおもいる
ちょっと閑話休題みたいになりますが、セセリアとロウジも触れてみましょう。
情勢の変化や総裁選の始まりもあって、決闘委員会はついにセセリアとロウジだけになりました。
状況的にほとんど決闘も行われなさそうな空気も漂っていますが…意外にも2人は決闘委員会に残る道を選んだようです。
あのシークエンスは既に学園生活に根付いていた決闘が終わり、「戦争」が始まりつつあることを示唆している印象がありました。
一方で、セセリアのセリフが終わる流れでフェルシーが描写されたのは興味深い流れですね。
これは彼女が決闘に参戦する流れを示しているのかな…。
ミオリネ・レンブランは動き出す
聴取を終え、無事に学園に帰還したミオリネ。
色々あった彼女でしたが、地球寮の面々とのやり取りを見ていると彼女の変化が感じられましたね。
とりわけ印象的だったのが、ニカを捜索している中でチュチュ達に感謝された場面。
笑顔で「どういたしまして」というミオリネなんて全然イメージがなかった(笑)
それだけミオリネが地球寮の面々に心を許していることを示していますね。
ただし、スレッタとはまだちょっと蟠りがあるようで…。
他方で、宇宙議会連合と独自に連絡を取るなど、政治的にも独自に立ち回っています。
でもこの宇宙議会連合、どうやら一枚岩ではないようで…。
フェンやグストンはベネリットグループやGUND技術への調査を慎重に行っていますが、宇宙議会連合自体は強硬的にグループへの介入を目論んでいる模様。
フェンのセリフが争いを示唆するようなものだったことを踏まえると、宇宙議会連合は下手したらベネリットグループと事を構える気でいる可能性があります。
宇宙議会連合が具体的にどういう組織かはまだ明らかになっていませんが、ベネリットグループが企業連合体でありながら独自に治安維持をするだけの実権を握っていると考えると、政治的な実権の奪取を狙っていそうな印象ですね。
それこそ、かつてフェンが口にした「宇宙には新しいルールが必要」を実践しようとしている感じでしょうか。
そんな中、フェンとグストンはミオリネとの取引で株式会社ガンダムに出入りするパスを手に入れ、プロスペラ率いるシン・セー公社の調査を企てています。
シン・セー公社はクワイエット・ゼロやエアリアルの重大な機密に関わり得るところ…つまり、フェンとグストンは物語の核心に触れる入口に立ったわけです。
いやー、ここでまた一波乱ありそうですね(笑)
ガンダムとなった少女
さて、ここでは物語の核心に触れるエアリアルと関係者2人について触れてみましょう。
罪と呪い
まずはプロスペラと同じヴァナディース機関出身者であるベルメリアから。
プロスペラからの協力を断ったベルメリアですが、彼女がカルドから反対された拡張神経理論を実践した強化人士を作っていることが明らかにされました。
詳しくは後述しますが、プロスペラが「人間とMSの直接的な融合」を実践したとするなら、ベルメリアは「人間のさらなる改造」を実践したというべきでしょうか。
いずれも人間が人間であることをやめ、何らかの形でMSと同調する…非人道的といわざるを得ない技術です。
いずれもGUND技術の発展にこそ寄与していますが、かつてガンダムが忌み嫌われた理由である人間を犠牲にするスタンス自体は変わっていません。
ここに魔女の「罪」とGUND技術の「呪い」が表れているように感じますね。
他方で、ベルメリアはGUND理論の理想実現を謳いながらも、自身の罪に苦しんでいる一方、プロスペラはむしろ積極的に罪や呪いを受け入れていく様子を見せていました。
いささか抽象的な表現になっていますが…罪への贖いも、呪いへの抗いもやめたプロスペラこそ、ある意味本当の「魔女」だといえるのではないでしょうか。
エアリアルのはらわた
さて、14話から2話ぶりに登場したエリクト。
エアリアル奪取のために乗り込んだ5号をデータストームで威圧し、追い払っていましたが…現段階でわかったことと気になることが。
まずわかったこととしては、あのエリクトは『PROLOGUE』での彼女より少し成長している印象でした。
作中では21年前にヴァナディース事変(ヴァナディース機関壊滅)が起こり、そして16年前にスレッタが誕生しています。
これを踏まえると、あのエリクトは空白の5年間にエアリアルと融合したとみるべきでしょう。
少し落ち着きがあることを踏まえると、エアリアルの中にいるエリクトは大体6~8歳くらいの可能性が高そうですね。
また、5号が乗り込んだ当初は何の反応もなく、その語彼女から接触してきたような描写を見ると、恐らくパイロットに接触する主導権はエリクトが持っているようですね。(そして4号は受け入れられた)
そして、エリクトはデータストームのネットワークを利用し、生体コードを転移される形でエアリアルとして存在しているということ。
第6話の記事以降、エリクトのエアリアルへの組み込まれ方には個人的に注目していましたが、ここで答えが出ましたね。
どうやらエアリアルとエリクトが一体化していた原理は、僕が引き合いに出していた宇宙世紀シリーズのサイコフレームに近いものの印象でした。
大仰な表現を使うなら「魂の定着」といったところでしょうか。
生体コードはエリクトの魂そのものであり、そしてデータストームは『FF7』に出てくるライフストームや『コードギアス』のCの世界のような…魂や意識が結び付いている空間のようなものというべきですかね。
そしてパーメットスコアが8に達すると物理空間では存在を保てないエリクトが実体化する…。
って、14話の記事でもいいましたけど、ここまで来ると本当に『NT』の放送が伏線になっているな(笑)
エアリアルはまんまユニコーンガンダム3号機(フェネクス)ですし、エリクトの実体化を狙っているプロスペラはまんまミシェルに見えちゃうな(笑)
このままだと流用なので、個人的にもう少し捻りを入れてほしいところですが…その捻りになりそうな要素が、今回気になったポイントです。
誰もが気になったかと思いましたが、5号が接触したエリクトは1人ではなく、複数いました。
かつてスレッタが「みんな」と呼び掛けていたり、子どもの人影が複数出てくる描写はありましたが、その種がわかりましたね。
いやぁ…僕もエリクト1人だけではなく、複数の人間が組み込まれているのではないかと思ってはいましたが、まさかエリクトがたくさんいるとは…予想外でした(笑)
分裂したとみるべきか、増殖したとみるべきか…。
うーん、前にEDに関してコメントを頂いたとき、スレッタの正体(エリクトを含め)は関係ないと返しちゃいましたが、EDの描写も実は暗示が入っているのかな…。
となると、あの大量のエリクトはデータストームと完全に適合したからこそ発生する副次的な作用のような気がしますね。
ただ、個人的に思ったのが、プロスペラはエリクトの状況を知っているのですかね?
もちろんエアリアルの開発者ですからモニターはしていそうですけど、今の状態だと実体化したときにエリクトが大量に出てきちゃうけど(笑)
それに、エアリアルの中のエリクトの冷めたような眼差し…。
データストームのネットワークの詳細はまだ明らかではないですけど、そんな空間の中で果たしてエリクトはエリクトでいられているのでしょうか?
もしかしたら分裂すると同時に、エリクトはエリクトでない何かに変異しつつあるのかもしれません。
復讐者は囁く
今回のプロスペラは一気に狂気じみた一面を見せてきましたね。
冒頭でのプロスペラは「全てはエリクトの幸せのため」とエリクトの実体化に全てをかけているように語っていました。
こうなるとスレッタを学園に入れたのも、クワイエット・ゼロに協力しているのも、全部エリクトを実体化すべくパーメットスコアを引き上げるための踏み台にしている可能性が出てきますね。
それこそ『NT』でのミシェルの企みを多くの人間を巻き込んで実現しようとしている感じですかね。
そして同時に、プロスペラはミオリネにヴァナディース事変の真相を語り、復讐を求めていることを告げます。
片やエリクトへの愛を、片やデリングへの憎しみを語る姿は、能登麻美子の迫真の演技もあって、鬼気迫っているものがありました。
一方で、プロスペラはクワイエット・ゼロ継続のためにミオリネにデリングを継いで総裁になるように迫ります。
うーん、ちょっとこの辺りはまだ釈然としないところがあるんですよね。
プロスペラがエリクトの実体化にこだわるために、クワイエット・ゼロを実現しようとするのはなんとなくわかります。
ただ、その行為自体に復讐の達成がイマイチはまる印象はない。
第13話の記事で書いたように、戦争自体をなくすことで軍需産業に依存するベネリットグループを崩壊させる…というのは筋道こそ通っていますが…。
なんていうか、穏やか過ぎるんですよね(笑)
プロスペラの狂気と釣り合いが取れていない気がします。
まぁミオリネにデリングの後を引き継がせ、全ての呪いを背負わせ徹底的に苦しめたうえでクワイエット・ゼロで思うように世界を書き換え、平和な世界でエリクトと過ごす…みたいな流れを考えている、みたいな感じになるんでしょうかね。
ところで、今回のプロスペラの言動を見ていると、彼女の描く未来にスレッタが全く出てこないことが気になるんですよね…。
まぁエリクトが実体化したらガンダムも、パイロットであるスレッタも用済みになりそうですからね。
そうなると、プロスペラにとってのスレッタは…エリクトとの接点を持つための駒の1つに過ぎないのかな…。
正しさの定義
久々に再開したミオリネとスレッタ…ですが、どうにもすれ違っていましたね。
ミオリネは自分を守るために手を汚したスレッタを突き放したことを詫びていましたが、一方のスレッタは相変わらず「プロスペラの言う通り」を繰り返すばかり…。
挙句にプロスペラの命令なら自分の夢すら捨てると語るスレッタに、ミオリネは愕然としていました。
まぁ、この辺りは第11話の記事で散々叩いたので…今回はちょっとスレッタを擁護してみますか(笑)
スレッタのプロスペラへの依存は偏にエゴイズムに等しいまでの依存しやすい性格によるものですが、今回のスレッタの言動から、彼女が抱えている「欠乏」が大きく影響しているようにも感じました。
プロスペラのいう通りにしたから学校に行けた。
プロスペラのいう通りにしたから友達ができた。
プロスペラのいう通りにしたからミオリネを守れた。
『ゆりかごの星』で描かれたように、学校も友達もスレッタが幼いころから強く求めていたものであり、そして中でもミオリネはかけがえのない大切な「花嫁」になりました。
プロスペラのいう通りにしたから求めていたものを得られた経験は、過酷で何もない水星で育ったスレッタにとって、この上ない喜びであり、プロスペラへの絶対的な信頼の支柱になっていました。
スレッタは欠けていたからこそ、望むものを手に入れさせてくれたプロスペラに依存していったわけですね。
そして皮肉にもミオリネを守るために戦わなければならない状況が、スレッタを一層プロスペラに依存させることになりました。
しかし、スレッタは完全に自分の思考を捨てているわけではありません。
第14話でソフィの最期を目の当たりにし、プロスペラの言葉で自分を納得させながらもスレッタは涙を零していましたが、ここには身近な人が命を落とす状況を前に、彼女が垣間見せた葛藤と動揺が表れているように感じます。
これは、最早プロスペラの言葉を以てしても、スレッタの精神の揺らぎを止められなくなっていることを示唆しているともいえるでしょう。
つまり、スレッタは…自分でどのように戦争に参画するか、どのように呪いを引き受けるかと向き合わなければならないかと決める時を迎えつつあるということですね。
血塗られた娘
すっかりプロスペラに依存してしまっているスレッタを目の当たりにしたミオリネは、次はプロスペラに詰め寄ります。
個人的にスレッタを責めず、彼女の前でプロスペラを罵倒せず、直接本人に詰め寄るところは、ミオリネの変化を感じましたね。
直接プロスペラに詰め寄ったのは、母親を大切に思うスレッタの気持ちを傷つけず、なおかつ確実にスレッタを解放するうえで最良の手段だったからでしょう。
つまりプロスペラに依存するスレッタを危惧しつつも、依存してしまう彼女の心中をちゃんと思いやれているわけです。
また、プロスペラからヴァナディース事変のことを知らされた際は、動揺しつつも、すぐに「自分達を巻き込むな」と、毅然とした態度を貫きました。
目の前で1人の兵士が潰された場面を見て動揺していたときのミオリネなら、恐らくここでスレッタと距離を取ってしまいそうな印象がありますが、やはりラジャンからデリングの過去を聞かされたことが影響したのでしょう。
平和を成し遂げるために、全ての「罪」と「呪い」を背負い続け、家族すら遠ざけた父親の姿は、ミオリネに全てと向き合う覚悟を決めさせたのかもしれません。
しかし、状況は想像以上に過酷です。
スレッタのことだけでなく、GUND技術、クワイエット・ゼロ、アーシアンとスペーシアンの対立など、世界を大きく動かす要因をミオリネは全て背負っていく立場に立とうとしているわけですからね。
ミオリネはクワイエット・ゼロや総裁の座の承継をまだ完全に決めていませんが、それを決めなければどうにもならない状況にまで来ている。
シーズン2のキービジュアルは1人だけ落ちていくミオリネにスレッタ達が手を伸ばしているような構図で描かれていました。
これは、ミオリネが全ての「罪」と「呪い」を背負い、孤立していく様を…これから起こるであろう展開を示唆しているような気がします。
『水星の魔女』第16話感想
デリングの後継を巡り、さまざまな派閥が暗躍する中で、徐々に物語の核心が明らかになっていく…そんな第16話でした。
いやー、プロスペラが生き生きとしていましたね(笑)
一方で、ミオリネやスレッタの今後も気になるところです。
ところで、データストームのネットワークが魂と関連するものなら、過去にエリクトと接触している可能性が高い4号が復活してくる可能性もあったりするのかな…。
いずれにせよ、次回からは総裁選でまた一波乱置きそうですね。
またエグい展開が待っているのかしらん…。
▼水星の魔女の全記事はこちらにまとめてあります!
▼当サイトでは他にも多数のアニメを考察しています!
最新情報をお届けします
Twitter で2017春夏秋冬アニメ考察・解説ブログをフォローしよう!
Follow @anideep11
コメント
何だか今回の話を見てスレッタは結局洗脳から解放されず、ラスボスの立ち位置になって最後は…という展開にもなりそうで怖いなーと思いました。
ジョセフさんコメントありがとうございます!
>スレッタは結局洗脳から解放されず、ラスボスの立ち位置になって最後は…
あ~…90年代のアニメにありそうな展開ですね(笑)
うーん、『水星の魔女』が放送されたときに何かと引き合いに出された『少女革命ウテナ』は、ヒロインが黒幕(ラスボスではない)でしたが、それと似たような展開に持っていく可能性はゼロじゃないですね…。
これまでのガンダムにない展開なので、それはそれで面白そう(笑)