皆々様こんにちは。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(以下『完』)』担当のgatoです。
前回は雪乃がしっかりと前進している一方で、陽乃が八幡に不穏な予言を残したり、結衣が「本物なんてほしくなかった」と本音を吐露するなど、なかなか不穏な場面も描かれました。
必ずしも八幡達は順風満帆な未来へ向かっているわけではない…そんな感じがしましたね。
不穏は残りつつ、今回は小町の受験やいろはのプロムに色々進展が見られたようです。
それでは早速振り返っていきましょう。
原作ファンの方は初見勢の考察にニヤニヤしながら読んで頂ければと思います。
※コメント欄でのネタバレも厳禁でお願いします。
サクラサク
冒頭では小町と、川崎の弟の大志が無事に総部高校に合格しました。
前回の不穏な終わり方からは想像できないくらいほっこりするスタートでしたね(笑)
合格した小町と大志、そして八幡、川崎のそれぞれのリアクションが印象的でした。
ただ、小町と大志が受験合格し、総部高校に進学を決めたことは確実に時間が過ぎていることを示唆している気がします。
二人が新たな始まりに向かっていることは、八幡達が一つの終わりに向かっていることの表れである…みたいな。
まぁ水を差す話になりそうなので、ここは素直に言祝ぎましょう(笑)
プロムのいろは
前回からプロムの開催に心血を注いでいるいろはですが、今回はプロムが開催に向けて着々と進められている様が描かれました。
雪乃の男装姿や結衣のドレス姿など、色々嬉しい場面がありましたが、個人的にはいろはと八幡の描写が印象的でしたね。
「お兄ちゃん」にはならないで
最初に印象的だったのが、八幡といろはが交わした「お兄ちゃん」に関する会話です。
一見すると妹扱いする男に関する雑談っぽいですが、前回の記事でも触れた陽乃と八幡のやり取りを念頭に置くと色々興味深い内容であることが窺えます。
陽乃は八幡のお兄ちゃん気質に「私もこんなお兄ちゃんがほしかった」と、好意的に受け取っている印象があります。
これに対し、いろはは「過保護」、「やめた方がいい」、「妹扱いされて喜ぶ女の子なんていない」と批判的なスタンスをとっています。
つまり、八幡のお兄ちゃん気質に、陽乃といろははそれぞれ真逆の評価を下している訳です。
おまけに、八幡のお兄ちゃん気質が現れる際には必ず雪乃が絡んでいる点も共通しています。
これを踏まえると、八幡の雪乃に対する振る舞いはお兄ちゃん気質の延長線上にあり、その振る舞いには明確に賛否が分かれていることがわかりますね。
なぜ陽乃といろはがそれぞれ違う評価を下したのかを掘り下げると話が脱線してしまうので、今回は八幡に絞ってこの点を語ってみましょう。
小町がいることもあって、確かに八幡はお兄ちゃん気質であり、人の行動を見守りつつも、困っていたらつい手を差し伸べてしまう性分があります。
それは彼特有の優しさと解釈できますが、いろはの評価を意訳するなら「人の自立を妨げる」「負うべき責任を無理矢理奪ってしまう」というリスクもあるわけです。
実際、これまで八幡が問題に対して実行した解決方法は自分を悪役にすることで、然るべき人が負うべき責任を奪うものだといえます。
八幡の方法は確かに結果を丸く収めますが、その人が本来一人で果たすべき責任を奪ってしまうことにより、育まれるべき自立心も積んでしまうリスクがあります。
いうなれば、「俺に任せてお前は何もするな」になり得てしまうわけですね。
これだけいうと「いや、そんなことないよ!八幡めっちゃいいお兄ちゃんじゃん!小町も感謝してたじゃん!」っていわれそうですけども(笑)
でも、小町ってそもそも八幡に必要以上に甘えたり頼ったりしないんですよね。
つまり八幡は多少のシスコンは小町にできても、雪乃に向けているほどのお兄ちゃん気質は発揮していないわけです。
そして八幡のお兄ちゃん気質は実家と戦うことを決心した雪乃のスタンスとは致命的に相性が悪いものです。
雪乃は八幡や結衣を信頼しつつも、然るべき場面で一人で戦う覚悟を決めています(実家に引っ越すことが好例ですね)。
だけど、現状の八幡だと一人で戦うべき雪乃の邪魔をしてしまうことになるかもしれません…。
まぁ『続』でのやり取りもあって、八幡も以前ほど露悪的な振る舞いはひそめましたが、それでも一人で頑張っている雪乃に対してついつい心配してしまう癖は残っています。
雪乃が八幡のお兄ちゃん気質に対して何を想っているかはまだ不明ですが、彼女を触発したいろはが「妹扱いは嫌だ」と明言しているようなもんですから、同様の感想を持つ可能性は高いでしょう。
八幡のお兄ちゃん気質は間違いなく彼の美徳でもありますが、それがネガティブに働かないことを祈るばかりです。
まぁでも、雪乃が八幡のことを好いているのは、彼のお兄ちゃん気質とはまた別の部分に惹かれている…といえなくもありません。
実際、八幡をさらに意地悪な方向に持って行ったのが陽乃だといえますし、その一面で好きになるなら雪乃はもっと陽乃に心を開いていたでしょうしね(尤も、彼女の場合は「似合わないことなんてやるな」みたいな、もっと突き放した感じですけども)。
だとしたら、雪乃は八幡のお兄ちゃん気質以外の良い一面を知っていることになるので、一概にネガティブな展開ばかりが待っているわけではなさそうですね。
いろはの反省
相変わらず小悪魔的で図々しいいろはですが、今回は意外な一面を見せました。
八幡に情報を伝え忘れたり、雪乃に頼り過ぎていたことを反省した場面ですね。
まぁ元々いろはは決して無能な人間ではありませんし、生徒会選挙やクリスマスパーティーのこともあって、良い意味で八幡達の影響を受けて成長していますからね。
それに雪乃を触発するだけあって、いろはは周囲の状況や機微をしっかり感知できるだけでなく、芯や自己主張の強さも失わない人間です。
反省すべき時は反省しつつも、瞬時に切り替えて前に進める一面は正直八幡達以上のスペックといっても過言ではないでしょうね。
後、今回のプロムの企画に関するエピソードですが、個人的に第一期の文化祭を少し重ねている印象がありました。
「無茶をしている雪乃」のイメージが文化祭のものでしたし、「人に頼ってしまったり、ミスをするリーダー」であるいろはは相模と少し重なる部分があります。
ただ、雪乃はあの頃と違って露悪的な八幡のフォローがなくても周囲の助けを素直に受け入れていましたし、いろはも他人や自分に甘えたりしないで切実に企画に取り組んでいます。
もちろん露悪的にならずに素直にフォローする八幡達も前回とは大違いです。
あの場面は文化祭の時期から、どれだけ雪乃達が変化したかを示す役割もあったのかもしれませんね。
彼女の想うこと
前回のラストを見ているのであれば、やはり結衣には触れざるをえないでしょう。
いやぁ…前回のラストの独白を踏まえると、今回の結衣の描写は色々胸に来るものがあります。
雪乃と八幡の関係に敗北感を覚え、八幡には手が届かないと感じている。
それでも八幡はドレスやヒールに慣れない自分をエスコートしてくれる、一緒に踊ってくれる、汗をかいていることを気にしてくれる…。
うわぁぁぁぁ切ねぇぇぇぇぇ(笑)
この場面の上手いところって、余計な独白は入れずに、前回のラストとこれまでの積み重ねの余韻だけで結衣の心情を演出しているところですよね。
一見すると楽しそうだけど、結衣に関する文脈を一つ入れるだけでガラリと印象が変わる…。
うーん、ここはシンプルに作劇が上手いですね(笑)
それに、人に見せる動画じゃないのに結衣が念入りに化粧をするところ…。
八幡といる思い出を少しでも綺麗に残したいと言う乙女心でしょうかね(雪乃達がいることももちろん重要でしょうけど)。
これもいじらしくて…すごくいい(笑)
立つ鳥跡を濁さず
今回は今後の展開に大きく影響するであろう場面が、さりげなく挿入されていました。
冒頭で八幡とやり取りした後、たそがれていた平塚が「立つ鳥跡を濁さず」と口にした場面ですね。
そしてその目線の先には段ボール箱に詰められた私物…。
まぁ明らかに平塚が辞職か、異動することのフラグですね。
いずれにせよ平塚が総武高校を去ることはほぼほぼ確定っぽいですね。
平塚といえば奉仕部の顧問であり、八幡や雪乃を巡り合わせた張本人であり、彼らの頑張りを見守り、都度フォローしてきた人物です。
彼女もまた奉仕部を語るうえで欠かせない存在ですが、そんな彼女が近々いなくなる…。
この段階で、奉仕部は既にこれまで通りではいられないことが確定していますね。
いずれ平塚がいなくなることが明かされた時の奉仕部の面々のリアクションが楽しみですね。
とりわけ彼女を「10年早く生まれていて10年早く出会っていたら心底惚れてたんじゃないか」と評していた八幡はどうなるのか…。
平塚も八幡は結構目にかけていましたし、彼と会話した時に一瞬ぎこちなさが生まれたのも、彼と別れることを内心寂しく思っているのでしょうね。
ただ、それを隠して振る舞えることに加え、隠していることを洞察力のある八幡に悟らせないところが平塚の大人たる所以でしょう。
『俺ガイル完』第3話感想
物語としては大きな展開があったわけではないですが、八幡のお兄ちゃん気質やいろは・結衣の描写が光る第3話でした。
八幡といろはの何気ないやり取りが色々掘り下げられるのは面白いですね。
加えて結衣の描写の切なさといったら…。
そしてそして、今回は戸塚が登場しましたね。
個人的に一番好きなんですけどね(笑)
彼の活躍にも今後注目したいところです(笑)
最新情報をお届けします
Twitter で2017春夏秋冬アニメ考察・解説ブログをフォローしよう!
Follow @anideep11
コメント
八幡&いろはとの会話で出てきた「お兄ちゃん」の話。
最後は『もう妹とは思えない』が口説き文句になると言ったあとの、
『私、先輩の妹じゃないですからね?』
と言ういろは。死ぬほどあざとい。
思わず神聖不可侵なサンクチュアリを侵してしまうところだった。八幡の言う通り今一度考え直して悔い改めるべきだろうか。
深いところから踏み入れた足を抜き戻す様な感覚の一話だったが、程よく浅いコメディー混じりの流れがとても心地良かった。それぞれの思いが引っかかり合って、ぎこちなく固まっている部分にいつか話が戻ると思うと心苦しくなるが、どのような終わりが来るのかキャラの一言戯言すべて聞き漏らさず耳の中頭の中で噛み締めていきたいと思う。
無名しさんコメントありがとうございます!
>最後は『もう妹とは思えない』が口説き文句になると言ったあとの、『私、先輩の妹じゃないですからね?』と言ういろは。
ですよねー!(笑)
よくよく思い返すと、いろはって要所要所で八幡にアプローチかけているんですよね…。
そんないろはだからこそ、雪乃と八幡の関係の特別性に気づいた時にあんな悔しそうだったのかもしれません。
>深いところから踏み入れた足を抜き戻す様な感覚の一話だったが、程よく浅いコメディー混じりの流れがとても心地良かった。
非常に絶妙な総括だと思います。
確かに第3話に限らず、『完』は重大な本題に触れながらも踏み込まずに下がるような…それこそ「二歩進んで一歩下がる」みたいなテンポで展開している印象です。
ただ、それが却って「着実に本題に近づいている」という事実を浮き彫りにし、水面下で募る切迫感を如実にしています。
そう考えると、八幡に自分の心中を語らせないことも、この演出の一助になっているのかもしれません。
>どのような終わりが来るのかキャラの一言戯言すべて聞き漏らさず耳の中頭の中で噛み締めていきたいと思う。
僕もその心意気で向き合う予定です。
…ただどっか取りこぼしていたり、思い違いをしていそうで怖いんですよね(笑)