『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』の感想・考察・解説記事を毎話更新していきます。
皆々様こんにちは。
この度『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。完(以下『俺ガイル完』)』の担当となりましたgatoです。
ここでは『俺ガイル完』の感想・考察・解説記事を掲載していきます。
これ以降は放送開始に先駆け、現在わかっている情報や今後の視聴に際して重要だと思われるポイントをまとめていきます。
原作ファンの方は初見勢の考察にニヤニヤしながら読んで頂ければと思います。
※コメント欄でのネタバレも厳禁でお願いします。
『俺ガイル』とは
『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。』といえば、言わずと知れた大人気ライトノベルが原作のアニメです。
原作は「このライトノベルがすごい!」で3年連続1位を獲得し殿堂入り…まさに10年代ライトノベルの金字塔といっても過言ではありません。
もちろん2013年に第1期が、2015年に第2期とアニメ化してからも話題沸騰になりましたが、この度5年ぶりに第3期が流れることになりました。
個人的にこの手のラノベの中では『俺ガイル』が結構好きだったので、何が語れるか楽しみですねー。
『俺ガイル』おさらい
ここでは2014年に放送された第1期『俺ガイル』、2015年に放送された第2期『俺ガイル続』のあらすじを振り返っていきましょう。
『俺ガイル』あらすじ
「青春は嘘であり、悪である」
過去のトラウマから、そんなモットーを持ってぼっち生活を謳歌する比企谷八幡。
ある日、八幡は教師の平塚静に学校一の才女であり、同級生の雪ノ下雪乃と引き合わされ、奉仕部に入部させられる。
雪乃は容姿端麗で優秀であるにも関わらず、八幡と同様に友人がおらず、独りぼっちな生活を送っていた。
辛辣な態度で接する雪乃と衝突しながらも、八幡は彼女にシンパシーを感じていた。
平塚はそんな二人に「どちらが多く依頼を解決できるか」で勝負をさせる。
そんな奉仕部に最初の依頼を持ってきたのは同級生の由比ヶ浜結衣だった。
「手作りクッキーを作りたい」と依頼を持ってきた結衣は、飾らない雪乃と独特の観点からフォローする八幡に興味を抱き、奉仕部に入部する。
奉仕部の活動を通じて雪乃と結衣は仲良くなり、八幡も戸塚彩加という友人ができ、クラス内のカースト上位にいる葉山隼人達とも関わりを持つようになる。
しかし、川崎沙希に関する依頼を終えた後、八幡は妹の小町から結衣が入学式の時の事故に遭った原因を作った犬の飼い主だったことを聞かされる。
八幡は結衣が負い目を感じていると捉え、彼女を突き放してしまうも、雪乃の協力を得て和解する。
夏祭りの夜、八幡は雪乃の姉の陽乃から、自身を轢いた車に雪乃が乗っていたことを知る。
それから八幡と雪乃の間に蟠りが生じる中、八幡は事実を話さなかった雪乃を許容できないことに自己嫌悪する。
その後、八幡は眠っていたためにクラスメイトの相模と共に文化祭実行委員になる。
すると雪乃が委員長となった相模の依頼を受けて文化祭実行委員会の副委員長に就任する。
だがOGとして介入する陽乃に乗せられた相模は疎ましく思っていた雪乃に仕事を押し付けるようになる。
八幡はフォローするも、激務により雪乃は体調を崩してしまう。
見舞いにいった八幡と結衣にフォローされた雪乃は、素直に心を開くようになる。
文化祭本番、開会式での失敗を引きずった相模が姿を消してしまう。
エンディングセレモニーまでに相模を見つけるため、雪乃や結衣達が即興バンドで時間を稼ぎ、八幡は相模の捜索を行う。
八幡は相模を見つけるも、そこに相模の友人を連れた葉山が現れ、彼女を説得する。
しかし八幡は相模が雪乃にした「文化祭実行委員長の責務を全うさせる」という依頼を達成するために、あえて相模を痛罵する悪役を演じる。
結果的に文化祭は大団円で終わるも、八幡の自己犠牲的な解決は波紋を広げる。
それでも、文化祭終了後にいつものように接する雪乃や結衣に、八幡は思わず笑みをこぼす。
『俺ガイル続』あらすじ
葉山グループの一人である戸部と海老名への恋愛問題を、八幡は現状のグループを維持したい葉山達の意向を受け、自己犠牲的な方法で解決してしまう。
八幡のやり方に雪乃と結衣は反発し、修学旅行以降奉仕部の関係に不協和音が生じ始める。
そんな中、後輩の一色いろはが「生徒会選挙を無傷で落選したい」という依頼をしてくるが、雪乃は自ら生徒会選挙に立候補するという手段を取り、雪乃や八幡の想いから結衣も自ら生徒会選挙への立候補を考える。
雪乃と結衣の選択を目の当たりにし、そして小町との対話を経て、考えを改めた八幡は奉仕部を守るためにいろはの本心を見抜いて誘導し、彼女の依頼を取り消すことで雪乃と結衣が立候補する理由を失くしてみせる。
奉仕部は無事に存続した一方、八幡は雪乃との間に微かなわだかまりを抱えることになる。
そんな矢先、会長に着任したいろはの依頼で八幡は総部高校と海浜総合高校の合同クリスマスイベントの手伝いをすることになる。
しかし海浜総合高校の生徒会は中身のない議論を広げるうえに仕事を押し付けてばかりで、それがいろは達生徒会の負担となっていた。
そのためクリスマスイベントは開催が危うくあり、八幡もいろはのサポートにかかりきりになったため、奉仕部とも微妙な距離感が生まれてしまう。
それでも平塚の助言を受けた八幡は事態を解決するために、雪乃と結衣にサポートを依頼する。
だが、それをきっかけに奉仕部3人がお互いに抱えていた本音をぶつけ合うことになる。
「それでも俺は」
「『本物』がほしい」
八幡はこれまでの自分を振り返りながら思いの丈をぶつけ、雪乃や結衣と和解する。
八幡の言葉は雪乃や結衣だけでなく、たまたま立ち聞きしていたいろはにも影響を与えていた。
改めて八幡は雪乃、結衣、いろは達生徒会と協力し合い、海浜総合高校の問題点にメスを入れ、無事にクリスマスイベントを成功させる。
また、八幡は自身のトラウマの原因を作った折本かおりとも和解するのだった。
その後、年が明けてから八幡達はクラスメイトの三浦優美子の依頼で葉山の進路を調べることになる。
頑なに進路を教えようとしない葉山の本心を見抜いた八幡は、マラソン大会で彼と正面から向き合い、絆を深めることになる。
そしてバレンタイン、奉仕部は優美子、川崎沙希達の依頼を受け、いろは達生徒会と共に海浜総合高校と合同で手作りチョコレートの試食会を催す。
イベントは大盛況だったが、帰路についた八幡達の前に雪乃の母のやり取りから、雪乃がまだ進路を決めあぐねていることが発覚する。
雪乃の母の指示で同居しようとする陽乃から離れるため、雪乃は結衣の家に泊まることになる。
翌日、結衣は八幡と雪乃を「デート」に連れ出す。
他愛のない時間を過ごした後、結衣は八幡にかつての依頼を彷彿とさせる手作りクッキーを渡し、以前雪乃にふっかけた勝負を持ち出す。
それが雪乃の問題を解決する術だと思ったからだ。
雪乃はそれを受け入れようとするが、八幡は雪乃の問題は自身で解決すべきだと反対する。
心のこもった八幡の言葉を受け入れる雪乃と結衣。
感極まって涙を流していた雪乃は八幡と結衣に「もう一つの依頼」があると告げる。
『本物』を手に入れる物語
『俺ガイル』は細かい心情描写が多いので、これまでのシリーズを網羅するのは少し厳しいので、シリーズごとのテーマを追いながら『完』につなげてみましょう。
個人的に『俺ガイル』は青春…あえて言い換えるなら「みんな」の中でいかに生きていくかを問う物語だと思っています。
ボッチにとって「みんな」は恨めしくも羨ましくあり、リア充にとっては愛おしくも苦しいものです。
そんな「みんな」は常に作中の登場人物の付きまとっています。
しかし、「みんな」の厄介なことはあまりに強大な影響力を持つために、それを維持するうえで「欺瞞」を必要とすることです。
そして欺瞞を重ねるごとに「みんな」は次第に欺瞞そのものになってしまいます。
一方で、「みんな」自体の影響力は「本物」であり、関わろうとも関わらずとも人を惹きつけてしまう。
『俺ガイル』はシリーズを通じて「みんな」のそんなアンビバレンスな様と、「みんな」を前に焦心苦慮する八幡達を描いていた印象です。
そう捉えると、『俺ガイル』はシリーズを通じて非常に見事な構成をしています(原作の力もあるのでしょうけども)。
第一期は八幡が外から「みんな」と対峙しつつ関わっていく過程を描き、第二期は八幡が望むと望まざるに関わらず「みんな」のために動いてしまう様を描いていました。
そして第二期で八幡が「『本物』が欲しい」と吐露したことから、『完』は「本物」を求める物語になると思われます。
しかし、「本物」を求める過程は決して平坦ではありません。
第二期の後半では、八幡へ恋心を持ったことにより、結衣と雪乃の間に葛藤が生まれます。
奉仕部(みんな)を守るために想いを捨て、欺瞞を続けるべきか否か。
往々にして性関係は人間関係に影響を与えるものですが、奉仕部の面々も例外ではありません。
第二期のラストこそ丸く収まっていましたが、一度生まれた恋愛感情はどんな形で帰着するに関わらず、確実に人間関係(つまり「みんな」)を変化させます。
海老名のように「欺瞞」で取り繕うことは可能ですが、その行為はあれだけ美しかった「みんな」を虚飾に変えてしまい、永遠に「本物」にはならなくなる。
「みんな」を維持するには「欺瞞」が必要、しかし「欺瞞」を続ければ「本物」には届かない。
そして「みんな」を壊してしまう恋心の誕生は「みんな」を守りたい願いと相反し、「みんな」を守ろうとすれば「欺瞞」を繰り返し、「本物」を失うことになる。
つまり、恋が生まれた段階でもはや八幡・結衣・雪乃はかつての奉仕部に戻ることはできなくなったわけです。
「みんな」を壊さないまま、「本物」を手に入れながらも個々人の想いを遂げさせる方法は果たしてあるのか…。
PVを見る限り、八幡・結衣・雪乃に加え、いろはが色々動くようですが…。
『完』で八幡達が見つける道に注目したいところです。
『俺ガイル完』放送前感想
『俺ガイル』は実直にテーマを追う過程で、丹念に心情描写を重ねる作品であるため、八幡達の機微をちゃんと解していかないといけない作品って印象なんですよね。
だから実際は度々過去作を見直さないとダメなんだろうなぁ…と思いますが…しんどいから、読んでくれた方にはぜひコメントでフォローしてほしい(笑)
個人的に『俺ガイル』は『桐山、部活やめるってよ』のような、「安易な美談を許さない物語」だと思っています。
一見、美談に難癖をつけたがるひねくれ者のように見えて、実際は誰よりも美談を信じている純粋さがある…それが僕にとっての『俺ガイル』です。
そして、そんな『俺ガイル』がどんな美談をもって完結するのか…。
じっくりと追っていきたいと思います。
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