皆々様こんにちは。
『Sonny Boy(以下『サニーボーイ』)』担当のgatoです。
第9話より本作を引き継ぎましたが、まぁ苦労の連続で(笑)
今回もどう料理したらいいかよくわからないストーリーが展開されましたね(笑)
おまけに狂言回しを担っているのが意外なアイツ!
まぁひたすら丁寧に解きほぐしていかないとわかんないでしょうから、今回からはじっくりやってみましょうか…。
それでは、早速振り返ってみましょう。
みにくいおんな
相手の心を読める能力「モノローグ」を所有していることが発覚したつばさですが、今回は彼女が狂言回しを演じつつ、彼女の人間性を掘り下げる展開になっていました。
一見すると地味で大人しい印象のあるつばさですが、周囲の人間や朝風への心情を見る限り、かなりの曲者であることが窺えます。
能力を活かして器用に立ち回っている一方、自分を加賀のように「気持ち悪い」と自覚し、希が自分より朝風に必要な存在と悟るなど冷静に自省できる一方で自己評価は低め。
しかも想いを寄せる朝風に内心でコケにされていることをわかっていながら力を貸すなど(というか普通に朝風の評価低い笑)、かなり尽くしてしまう性格(いうなれば「ちょろい」)。
一歩間違えれば情緒不安定になりそうな要素が盛り沢山ですけど、つばさは決して腐ったり、不安定になることがありません。
これって地味にすごいことなのですが…それが出来ているのは彼女の根底にある諦念ではないでしょうか。
つばさは朝風を篭絡したあき先生に敵愾心を抱きつつも何もせず、友人であり朝風が想いを寄せている希に負けを認めており、決して良い人間性とはいえない朝風を変えることも諦めています。
挙句の果てには孤立した朝風が上手いこと自分に転がり込むことくらいしか、自分が彼を手に入れることはできないと認めている節も。
つまり、つばさは自分からアクションを起こすことをことごとく放棄するほどに諦めているわけです。
他方で、つばさは諦念に満ちた自分をすんなり受け入れているわけではない印象を持ちました。
利用されているとわかりながらも朝風の誘いに乗ったり、彼が変化できるように希の力を借りようとしたりと、彼女なりに朝風を前進させようとしています。
傷付きながらも尽くそうとする姿には、諦念を抱きながらももがこうとしている印象を受けました。
もちろんそれを表に出そうとはしませんが…。
そんなつばさを見ていると、彼女の心の内には表に出せない…いうなれば抑圧を秘めた「裏」があるような感じがしますね。
個人的に、この解釈は朝風につながるものと思っています。
救世主になれない男
実は今回のエピソードにおいてつばさと同じくらい中心にいたのが、朝風です。
つばさ目線とはいえ、全編にわたって朝風の心情は何かと描写されていました。
元々生意気で無鉄砲で高慢な一面がある朝風ですが、つばさを通じて彼の猜疑心と苦悩に満ちた内心が今回明かされました。
普段のデカい態度は虚勢で、実際の朝風は高慢ながらも、周囲への猜疑心と救世主になれない自分に思い悩む人物だったというわけです。
おまけにつばさだけでなく、周囲からも実は低評価であるなど、残念さがかなり強調されました。
まぁそんな小さい自分を隠すために、朝風は長良を見下したり、周囲に威圧的に振る舞ったり、つばさを利用したりと、それなりに頑張っているんですが…。
それでも不安に苛む自分を支え切れず、想いを寄せる希にアプローチしたり、あき先生に依存したりと隠し切れない残念さを露わにしているわけです。
さて、ここまで朝風のしょうもなさをわざわざ挙げていきましたが、これには前述したような意図があります。
つまり、つばさと朝風は表面的には正反対だが、本質的には同じタイプの人間であるということです。
モノローグを有することでちょっと優越感に浸りながらも、自己評価の低さや希への敗北感を隠せないつばさ。
周囲へ威圧的に振る舞いながらも、アキ先生や希に縋ってしまうほどに不安を隠せない朝風。
両者は一見すると普通に振る舞っているようにみせて、実際は抑圧を秘めた「裏」に苛まれ、何らかの形で不安定さが表に出てしまっているという共通点を持っています。
2人の違いは諦念に任せて何もかも受け入れようとするか、周囲に対して虚勢を張り続けて自分を誤魔化すかの、表面的な振る舞いの違いに過ぎません(受動的か能動的かの違いだけ)
こう捉えると一見対称的な2人が対比されつつも、その根底にある本質が重なっていることを今回のエピソードは巧みに描いていることがわかります。
また、前回に引き続き、朝風の内面の描写を増やしているイメージですね。
まぁラストのことも踏まえると、朝風の今後が大きく変動する予感はありますが…。
自分では覗けない
さて、表面的には正反対に見えて、実は根底が同じつばさと朝風ですが、そんな2人の屈託を解消するのは、これまた共通して2人に大きな影響を与えている希でした。
後半でモノローグが発覚したことにより、つばさと朝風の間で蟠りが生じます。
というよりも、お互いに「裏」を隠すことで表を成立させてきた人間であるため、お互いの「裏」が露呈したことに動揺したとみた方がしっくりくるでしょう。
ただ、そんな2人の動揺を鎮めたのは希の振る舞いでした。
つばさは希が朝風にラインした後にあっさりスマホを捨てたのに倣って自分もスマホを捨てていました。
その後の「ポストカード(能力遺物)くらいがちょうどいい」という台詞を踏まえると、あの行為は「必要以上のつながりを断つ」みたいなソーシャルデトックス的文脈で視たくなるところですが、僕としては「朝風への執着を断ち切る」という行為として捉えたいところ。
今回のエピソードでつばさがスマホを見ているシーンって基本的に朝風絡みが多いんですよね(朝風とのライン、朝風に関するブログ、朝風が写った写真)。
そして捨てられる時の希のスマホの画面も朝風とのラインでした。
つまり、今回のエピソードにおいて、スマホは朝風とのつながり…つばさ目線から見れば朝風への執着の象徴と捉えられるわけです。
それを捨てるということは、これまでつばさの「裏」を生み出す根源である朝風を断ち切るという風に解釈できると思います。
これは「つまらない男を捨てる」というよりも、つばさが「自分では朝風を変えられない」と、本当の意味で彼を諦めるきっかけと見た方がいいでしょう。
あのスマホを捨てる場面は諦念に囚われ続けるだけの片思いをつばさが吹っ切る…ある意味、初めて彼女が自分からアクションを起こした場面といえそうです。
そして朝風は「裏」を知られたことで、想いを寄せていた希に初めて自分の本音を語れるようになります。
まぁしっかりアキ先生に慰められた後ではあるんですけど(笑)、あれはあれで朝風の成長が垣間見えましたね。
つばさが朝風への執着を断ち切ることで動揺を鎮めたように、あの場面は朝風が希への執着を断ち切る(「さよなら」する)場面と捉えられるでしょう。
このように捉えると、これまた面白いことに、つばさと朝風が同じようなプロセスを経て立ち直っていることがわかります。
つばさは朝風に対して、朝風は希に対してそれぞれ「さよなら」をすることで「裏」が暴かれた動揺を鎮めたわけですからね。
また、別の角度で見ればつばさは朝風を唯一を変えられる存在として、朝風は自分にはなれない人間として、それぞれ希への憧れを抱いていたとみることもできます。
これらの点においても、つばさと朝風は重なっていたといえそうです。
静止を望む瑞穂、生タヒを受け入れる希
個人的にもう一つ注目した対比が瑞穂と希でした。
今回は瑞穂が長良達漂流者の「静止」の原因になっていることが明かされました。
ラストの鶏を用いた実験から、この「静止」には瑞穂が「タヒ」を暗に拒否していることを示唆していましたね。
恐らく次回でこの辺りは解き明かされる予感はしますので、一旦これは置いておきますが…(まぁおばあちゃんのエピソードが絡んでそうですね)。
個人的に印象深かったのは「静止」という形で「タヒ」を拒絶する瑞穂に対し、希がすでに命を落とした未来を目の当たりにしながら現実世界への帰還を目指している点でした。
つまり「タヒ」を避ける瑞穂に、「タヒ」を受け容れている希が対比されているわけです。
…まぁ、ぶっちゃけ今の所それだけしか言えないのですけどね(笑)
ここから掘り下げるのは個人的にはもう少し待ちたい(笑)
ただ、ひとまずいえそうなのは、この作品は何かにつけて対比的な二者関係が所々に出てくるということです。
第7話の長良と二つ星、第8話のやまびこ先輩とこだま、第9話のソウとセイジ(+瑞穂と朝風)…といった具合に。
まぁ近々で見たエピソードの共通点を挙げただけですけど、この構造を意識するともう少し見やすくなるかな…。
能力の結晶
さて、つばさ・朝風・希がメインとなっていた今回のエピソードですが、ラストではちょっとした急展開が待っていました。
「この世界」の「戦争」で出会った落ち続ける男(仮称)を救おうとしたら彼が拳銃になり、さらに崖から落ちた希を朝風が助けようとすると彼女がなんとコンパスになってしまいます。
その後のヴォイスの発言を参考にとりあえず拳銃やコンパスを「能力の結晶」と呼ぶことにしますが…いやぁ全然意味わからん(笑)
「戦争」でさえもよくわかっていないのに笑(まぁ第8話に登場した戦争と関係はありそうです。「傷」という単語がやたら出てきますしね)。
希の能力を踏まえると、能力の結晶は自身の持つ能力を示す物体となった漂流者…と見れそうですけど、今の所情報がなさ過ぎてなんともいえないんだよなぁ(笑)
そもそも能力の結晶になる原理が不明瞭なんですよねぇ…。
「この世界」のルールの可能性もありますけど、第一印象としては朝風の能力によるものと感じました。
つばさの「本当の朝風くんを知ってると思ってた。でも違ってた」という台詞を見る限り、朝風の真の能力は「漂流者を能力の結晶に変える」と捉えられそうかな。
これまでのエピソードで瑞穂のニャマゾンの本質がコピーであることが発覚したり、希がコンパスになった場面の後に瑞穂の能力の新たな側面である「静止」を試す実験の場面が出てきたことを踏まえると、朝風の真の能力が判明した場面…とした方が流れとしては綺麗ですからね。
なんかチート過ぎる感じもしますけど、そこは長良や瑞穂の前例もあるので気にしなくていいでしょう(笑)
そして仮に朝風の真の能力が「漂流者を能力の結晶に変える」だった場合、ヴォイスの目的の輪郭もそれとなく見えてくる気がします。
能力の結晶である拳銃を楽し気に触っていた様や、「美しい」とほめていたところを見ると、ヴォイスの目的は能力の結晶の獲得にある予感がします。
まぁ獲得することに何の意味があるかは不明ですが(笑)
それに、希がコンパスになった様を見てアキ先生が終始無言且つ無表情だったのも気になるところ。
能力の結晶について語る場面でどこか嬉し気だったヴォイスとは対照的でしたね。
うーん、これまでヒールとして振舞っていたアキ先生ですけど、実際はヴォイスとは違う目的を持っている予感がしなくはない。
まぁこの辺は次回を見て掘り下げたいと思います。
『サニーボーイ』第10話感想
うーん、色々悩ましい回でしたね(笑)
つばさ、朝風、希の三竦みは面白かったですけども…。
というか、ここ最近は長良の心情描写より朝風の方に力が入っている気がするな…。
後、申し訳ないですけどサマーキャンプや「この世界」の“戦争”、落ち続ける男などに関しては省きました。
サマーキャンプはそんな掘り下げても意味ないかなと感じただけですが、“戦争”や落ち続ける男は情報が少なくて解釈が難しかったので一旦抜きにさせていただきました…。
後者二つに関しては段階を踏んでしっかりやりたいと思っています。
ただ、解釈ができている方がいらっしゃったらコメントで教えてくれると嬉しいです(笑)
ではでは、また次の記事でお会いしましょう~。
▼サニーボーイの記事はこちらにまとめてあります
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コメント
つばさの骨折は1話の時点で既に腕の骨折をしてます。
増えてませんよ!
この世界では怪我をしてもいつの間にか治っている。でも骨折したまま静止した人は、治ることがない。と丁寧に説明されていますよ。
さて、つばさで注目すべき点は、エンドロールのクレジットが『骨折』となってる点だと思います。ここまで誰からも名前を呼ばれて来なかったのです。
その一見、モブでしかなかった骨折ちゃんが今回は本当の能力が判明して、なおかつ饒舌に語りだしたのが、今回の一番の見どころだと思います。
名前も思い出せないような地味な子も、実はいろいろ考えてて、1人ひとりに物語がある。そんなメッセージが感じ取れました。
・希のコンパスは能力遺物ではないのか。
(この世界で死ぬと能力遺物に変化するのかな?)
・やまびこ先輩の知る『戦争』は拳銃を持っていた、朝風が今回初めて『殺した』人も拳銃になった。
・校長は朝風に『君が初めてこの世界に死をつくるのだ』と言った。
・やまびこ先輩の知る『戦争』は今まで何万人も『殺してきた』
朝風はこれから時空を超えながら、あの『戦争』へと成長していくのだろうか…
気になる点は
朝風は能力が使えなくなったのか?
それとも、能力が別の何かに変化したのか。
わたし個人としては、朝風は殺してきた人の能力をコピーする事が出来るようになったんじゃないかな。
そう能力遺物としての拳銃は能力のコピーができる。
だとしたら、やまびこ先輩の精神世界である、こだまの居るこの世界に入り込んで、腫瘍まで持ち込んだ戦争の能力にも納得ができる。
アキ先生の相対性の能力と朝風の重力操作で時空を超えて侵入、どこかの世界でコピーした腫瘍の能力をバラまく。
戦争本人は『人のため』にこの様な事を繰り返しており『いつも間違う』
本当はただ人に喜ばれたいだけなのに…
…うん、今の朝風にそっくりですね^_^;
って感じだとしたら楽しそうだなぁ。
って考えたりしてます。
別のところでは、アキ先生の正体は時空を超えて巨乳になった骨折ちゃんじゃないの?とかいろいろ予想されてて楽しいですね。
久々に先の読めない作品で、むしろいま、何が起こってるのかさえ良くわからないので楽しいです(^・^)
個人的には瑞穂ちゃんが可愛くって見続けてる感じがします。
口は悪いけども友達想いで、動物の世話が好きで、ニコニコしながらやまびこ先輩のブラッシングしてるのが良いお母さんになりそうでこの作中の一番人気です!私の中で!
『ねぇ、一緒に寝ていい?』
うどんさんコメントありがとうございます!
>つばさの骨折は1話の時点で既に腕の骨折をしてます。増えてませんよ!
すいません、完全に見落としていました。
第9話も良く見るとアームホルダーしたうえでコートを羽織っていましたね…。
当該箇所を修正しました。
>この世界では怪我をしてもいつの間にか治っている。でも骨折したまま静止した人は、治ることがない。
その説明は承知していましたが(希の傷が回復する描写もありましたね)、後でちょっと言い訳をさせてください(笑)
>名前も思い出せないような地味な子も、実はいろいろ考えてて、1人ひとりに物語がある。
つばさの場合は意図的に「地味な子」を演じていたので、個人的には逆に「隠したい特別性が暴露されてしまう」という文脈の方がしっくりきますかね。
それこそ長良や瑞穂のように本人が望まなくても表舞台に引きずり出されてしまう…みたいな。
ただ、長良も瑞穂もその状況を受け容れているようなので、ポジティブに向き合えている感じはします。
うどんさんが仰るメッセージは、個人的には二つ星を連想しますね。
二つ星は平々凡々、むしろ下位の立場で扱われてしまう人間ですが、彼なりに考えていて、求めているものがある。
そんな二つ星と触れあえたからこそ、長良は追い詰められても求めることをやめずにいられたのだと思います。
>朝風はこれから時空を超えながら、あの『戦争』へと成長していくのだろうか…
>戦争本人は『人のため』にこの様な事を繰り返しており『いつも間違う』本当はただ人に喜ばれたいだけなのに…
朝風と戦争を重ねる観点は面白いですね。
尤も、戦争の経歴が一切不明で、朝風とどこまで同一視できるかわからないので、どこまで語ればいいのかは難しいですが…。
静止はタヒすら無化する強力な力であるため、「コロす」はそんな摂理を超越する行為であることが窺えます。
それこそ第8話のこだま達がいた「この世界」が「平穏という形で静止していた」と考えると、戦争の行為が静止を破ることと捉えられるかと思います。
ただ、大勢の人間をコロしてきた戦争が通り魔的に攻撃を繰り返しているのに対し、戦争をコロすように唆すヴォイスは様々な人間を誘導しながら事態を操作している印象があるので、根本的な目的は違っている印象は受けますが…。
むしろ「外」を志向させるような行為をしていた戦争は希に近いスタンスの可能性を感じるんですよねぇ…。
これを踏まえると、朝風と戦争をイコールで結びつけるのはちょっと厳しい気がしますね。
仰る通り戦争は「いつも間違う」ことで苦悩していましたが、これはむしろ彼なりの善意が上手く通じないことが根底にあるものだと思います。
対して朝風は自己実現や承認欲求が強い人間なので、戦争のように自分なりの理念をもって振る舞うタイプではない感じがしますね。
まぁ第10話のラストでちゃんと希と別れられたので変化はあるかもしれませんが。
尤も、間違えるところだけを引っ張るなら、作中の人間で間違えていない奴はいない気もしますけど(笑)
さて、これらを踏まえたうえでつばさの解釈を誤ったいいわけをするなら、静止を破ろうとする存在が出てきているわけだし、何らかの形で静止が機能不全を起こしていること(ソウとセイジのコピーの失敗のように)が示唆されてもいいんじゃないか?!と思ったわけなんですね…ゴニョゴニョ(笑)
>アキ先生の正体は時空を超えて巨乳になった骨折ちゃんじゃないの?とかいろいろ予想されてて楽しいですね。
うーん、ソウとセイジの例を踏まえて、実はあちこちにもう一人の自分=ドッペルゲンガー的な存在がいるみたいな感じですかね。
あえて乗っかるなら、そういう存在が跋扈していることは、同時に自分の様々な可能性がリアルタイムで並存している…みたいな感じになるのかな。
実は似たような解釈は考えていたんですけど、これはもう少し寝かしてからにしてください。
>久々に先の読めない作品で、むしろいま、何が起こってるのかさえ良くわからないので楽しいです(^・^)
単なる漂流ものだと思っていたので、僕は結構面食らっていますね(笑)
>個人的には瑞穂ちゃんが可愛くって見続けてる感じがします。
リアルにいたら結構面倒くさそうですけど、瑞穂は結構面白いキャラクターですよね。
彼女が動物に優しいのは、彼女の人間嫌いなところが影響している節があると思いますが、同時に彼女が様々な苦難を味わいながらも優しさや人間味を失っていない証のような感じもしますね。
朝風が希を助けられなかったのは、「それも今日で終りだ」と言って希を諦めたこと。朝風にとって希はもはや忌むべき存在となっていたことに本人も気づいていなかった。だから無意識に見殺しにしたんだと思う。「心の奥底は本人にものぞけない」と校長も言っていた。そして骨折が「朝風を理解してるつもりだったけど違った」と言ったのはまさか友達を見殺しにするほど冷淡だとは思わなかったということ。骨折は人の表面的な意識は読めるが深層心理までは読めないということだと思う。
サニーポッターさんコメントありがとうございます!
>朝風にとって希はもはや忌むべき存在となっていたことに本人も気づいていなかった。
ちょっとネガティブ過ぎやしませんかね(笑)
仰る通り「朝風を理解してるつもりだったけど違った」という台詞がある以上、彼の深層心理に別の想いがあったと捉える余地はあるかと思いますが、彼が希を諦めたのは希に好かれることがないという以上に、「『なれない自分』としての希を追いかけることをやめた」という点が大きいかと思います。
それに希は朝風が選ばれた人間であることを否定せず、むしろ肯定していましたし、個人的にあんまり朝風が希を嫌悪する理由が見当たらないんですよね…。
正直、この辺りは次回を観ないと何とも言えないところですが…。
ただ、ご指摘の通り朝風が今まで見せていない一面が見せてくることはあるかと思います。
11話視聴後です。全話見てないにわかですが、考察してみました。見てない部分で見落としが多々あるかもですが、ご意見ききたいです〜
常に対比する存在が出てくることには同意です。SONNY(坊やの意味)BOY(男の子)というタイトルからしても、セイとシにしても、「表裏一体」的なことを物語で表してるのかなと思うのです。
朝風が能力を使えなかった理由ですが、朝風の能力は、そもそも希というコンプレックスがあったから使えたものなので、希を克服したから能力が使えなくなった、のかなと思いました。
裏がなければ表も存在できない。秋風の場合、能力が表なら希へのコンプレックスが裏、だったのかなと。
望んだ世界を手に入れることで変われるけど、望んでいた頃の自分には戻れない…つまり、願いが叶う事で願っていた心を失う。
そうでなければ、バベルのように、叶わなくても願い続ける方を選ぶしかない。願いを叶えるには犠牲と覚悟っていうメッセージが込められているのかなと思いました。
遺物化について朝風の能力というよりは、やっぱりあの世界では死んだら遺物になる…それか、表裏の関係者が変化すると、もう一方も変化するという説も考えました。
たとえば、朝風がコンプレックスを手放して、希の存在が必要なくなったから遺物化した。とか、こだまが嫌われたくないと思ったからやまびこが犬化した、とか。やまびこがこだまの死を受け入れたから、こだまが遺物化した、とか…表裏の関係者は影響を強く受けるのかなぁと。
戦争さんはについては、執着の対象は人ではなく「シ」や「傷跡」だったのかなと。やまびこたちの時代からずっと繰り返してきて、疲れてしまったのが今の姿かな?希も「長く生きすぎた」的な事いってましたし…
シを求めても、バベルの天国と同じように、手に入れたら終わってしまう。だから、何度もシを求め続ける(落ち続ける)。今回コロされた事でシを手に入れたので、解放されて遺物化したのかなーと。
所謂、肉体のシではなくて、アイデンティティのシ。それを迎えたらこの世界ではシになり、結果遺物化する、というのはあるのかなと思いました。
校長が「自分の心ものぞけない」といったのは、朝風が自分も知らぬうちに希へのコンプレックを手放したこと、「偶然のに生まれる結晶」と言ったのは、それによる事故死、もしくは執着の開放による遺物化、という意味ではないでしょうか。
あき先生に関しては、この世界に長く生きていて、この世界を守りたい人なのかなーと。
やまびこが昔、現実との時間の誤差が多いと帰れない?的な事を言ってたと思うのですが、元の世界に戻っても本来の自分と統合できないくらい、長く漂流の世界で生きてしまった、もはや本来の自分とは違う個体になってしまった人たちの生活を守りたい…とか。
校長も漂流世界を作ってる人だから、協力する意味はあるのかなと。
あとは校長の狙いですけど…。いい人解釈するなら、現実では叶えられい夢やコンプレックスの克服を漂流世界でさせてあげよう!的なありがた迷惑とか…?でしょうか。
それかもっとマッドな理由があるのかもしれません。
残り1話ですが、11話考察も、最終回考察も、記事楽しみにしてます!
ゆうさんコメントありがとうございます!
11話の記事を作成してからと思いましたので、返信が遅くなってすいません。
>望んだ世界を手に入れることで変われるけど、望んでいた頃の自分には戻れない…つまり、願いが叶う事で願っていた心を失う。
ちょっと面白い解釈ですね。
確かに「この世界」は望んだ世界を手に入れることができますが、現状、それでうまくいった人物はいません。
むしろ望んだ世界に留まり続けることが失敗につながっているケースが多いですし、外の世界に向かうことを重視しているような筋立てになっている印象です。
>願いを叶えるには犠牲と覚悟っていうメッセージが込められているのかなと思いました。
「犠牲と覚悟」は第11話でのラジタニの発言から参照されているかと思いますが、そことバベルを結びつける解釈はあり得ると思います。
具体的にどんな犠牲(現状サクラとの別れや記憶の消失などですね)が発生するかが不明なため、何ともいえないところですが、少なくとも元の世界に戻ることにメリットはあまりないわけです。
かといって「この世界」で漂流し続けることも望み薄。
だったらバベルのように希望を封じて働き続けた方がいい…という発想にいくのは良い解釈だと思います。
仰るように願い続ける自分は残せるわけですし、そんな自分がある限り静止…衝動の終わりを迎えることもないでしょうから。
>表裏の関係者は影響を強く受けるのかなぁと。
大胆な解釈ですね。
まぁソウとセイジのエピソードを踏まえると、十分可能性はあると思います。
それに他の方のコメントでも頂きましたが、実際朝風が希を能力遺物に変えてしまう場面を彼の彼女に対する心情の変化と重ねる解釈が多いようですね。
うーん、あり得ないことはないと思いますけど、個人的に朝風と希の関係性をそこまで特別視したくないんですよね(笑)
朝風は確かに驚異的な能力を持っていますし、希への感情も強かったですが、彼女の存在はつばさや長良にとっても大きなものでした。
朝風との関係に絞っちゃうと、その辺の意味が薄れてしまう感じがするんですよね…。
まぁここは朝風のその後次第なので…何ともいえませんが。
>今回コロされた事でシを手に入れたので、解放されて遺物化したのかなーと。
今作におけるタヒは第11話の記事で色々述べましたので、そちらをご参照いただけると幸いです。
ここでも軽く触れると、個人的に作中におけるタヒは…少なくともホームシックの男や発明家のタヒはアイデンティティクライシスというより、「意志(あるいは思考)の放棄」というニュアンスで捉えた方がしっくりくるかと思います。
まぁ『ジョジョの奇妙な冒険』でいうところの「考えるのを止めた」って奴です。
>あき先生に関しては、この世界に長く生きていて、この世界を守りたい人なのかなーと。
あー、その解釈はありかもしれませんね。
個人的にアキ先生はそこまでいい人と思っていませんでしたが(笑)、彼女なりの「この世界」に教育や秩序をもたらすことで守ろうとしているといえるかもしれません。
それこそ、元の世界との時間の誤差を踏まえるなら尚のことかと思います。
>いい人解釈するなら、現実では叶えられい夢やコンプレックスの克服を漂流世界でさせてあげよう!的なありがた迷惑とか…?でしょうか。
校長=ヴォイスは個人的にマッド路線だと思っています(笑)
いい人は人の骸(能力遺物)で早撃ちを決めたりしない(笑)
冗談はさておきつつも、仰るようにありがた迷惑的に善意を押し付けている節はあるかと思います。
すみません、Sonny Boyという単語は2つあわせてこれで「坊や」「男の子」という意味があるみたいなので、表裏一体はタイトルには当てはまらないかもしれません(笑)