皆々様こんにちは。
『Sonny Boy(以下『サニーボーイ』)』担当のgatoです。
色々悩ませてきた『サニーボーイ』ですが、いよいよ最終回。
ラジダニや猫達と別れ、元の世界への帰還を目指す長良と瑞穂。
幾多の出会いや別れ、そして苦悩を経験した「この世界」、ハテノ島を離れた長良と瑞穂を待っていたものとは…。
まぁちゃんと終わってくれるとは初めからは思っていないのですが(笑)
どうにかこうにか締めくくっていきたいと思います(笑)
起こり得ることしか起こらない世界
光の速度を超える(?!)移動の結果、長良と瑞穂は無事に元の世界に帰還しました。
長良がいうところの「起こり得ることしか起こらない世界」ですが、何かと晴天だったハテノ島とは、対照的にずっと雨天でどんよりしていることが印象的でした。
帰還した長良や瑞穂のテンション、「世界は変えられない」という台詞から、ハテノ島や「この世界」と比べると元の世界は夢も希望もなく、抗いようもなくただ継続していくだけでの場所という印象が強調されているように思えます。
そして「この世界」で漂流していた長良達はコピーであることが作中で示唆されていましたが、やはり元の世界にいた面々は漂流していたことなど全く知らないオリジナルでした。
そのため、元の世界は一見する漂流の影響は何一つないように見えるわけです。
しかし、そんな元の世界にも何の変化もないわけではありません。
まず長良と瑞穂が漂流のことを記憶していたことは、大きな変化の一つとして挙げられるでしょう。
詳細な原理はもうよくわからない(笑)ので省きますが、個人的にこれまでの記事やコメントでもちょこちょこ挙げてきた「外へ志向する」という行為が大きな決め手となったと思っています。
いってしまえば、「自分の意志を持って『この世界』から脱する」という行為が漂流時の記憶を持ち帰るうえで不可欠な因子になっているわけです。
この点については後ほど掘り下げるとして、もう一つの大きな変化について触れていきましょう。
やはり触れざるを得ないのが、希の生存です。
作中で希は元の世界では故人になっていると示唆されていましたが、今回見事に生存していることが明らかになりました。
「世界は変えられない」と言っていたにも関わらず、本来なら故人であるはずの希の生存はかなり大きな変化といえます。
ただ、個人的に希の生存をもってしても「世界は変えられない」という長良の台詞は事実であると思っています。
ここで長良がいった「変えられない」のは世界の原理…「この世界」におけるルールに相当するものではないでしょうか。
つまり、元の世界=我々が生きる世界は突拍子のないアイテムもなければ、とんでもない能力もなく、不可思議な現象も起こらない。
あるものが、ただあるがままに存在し、然るべき流れに乗って変わっていく…中学生が高校生になるように。
「世界は変えられない」は、良くも悪くも「この世界」のようにチートな能力を持って大々的に世界を変革するようなことができない、ある種の「不自由さ」が依然として現存していることを示している思っています。
では希の生存はどんな意味を持つのか。
それは長良や瑞穂の台詞…「可能性を振り直す」、「長良が選んだ未来」、「僕が選択した世界」、「彼女(希)が見た未来」にあるかと思います。
端的にいうなら、「世界は変えられない。だが未来は変えられる」が最終話では示されたのではないでしょうか。
ここでいう未来は長良が触れていたように確率的な変動、いうなれば異なる世界線のようなものと捉えた方がしっくりくるでしょう。
長良と瑞穂の「この世界」からの脱出は、彼らが行ったのは一種のタイムリープ的な、異なる世界線へ飛び込むことだったのかもしれません。
そう考えると、元の世界にはまだ生きる意義があるように見えてくるでしょう。
世界の原理は変えられなくても未来は変えられる。
それだけでも、生きる者の気持ちは大分変わります。
終盤で雨が上がったことがそれとなく強調されていたのは(畳んだ傘の描写)、元の世界で生きることへの「希み」がまだ尽きていないことを示していると捉えても面白そうです。
希の生存
さきほどは希が生存するという事象の意義を突き詰めていましたが、ここでは希個人の顛末を掘り下げてみましょう。
無事に彼女が生還したことで希ファンの皆様は涙がちょちょ切れているかと思いますが(笑)、意外や意外、生き残っただけでなく、彼女は朝風と付き合っているという展開になっていました。
希ファンと朝風アンチは一緒に仰天したかもしれませんね(笑)
その辺りは後ほど触れるとして、印象深かったのが希は最終回において一度も彼女自身の内情が描写されていないという点です。
漂流の記憶がないことは示唆されていますが、長良はラストで少しばかり言葉を交わしただけで、元の世界における彼女がどんな人間なのかは不透明なままです。
ただ、長良と会話した時の希は漂流時とあまり性格が変わらないように見えました。
そう考えると、個人的に希は変わらないことに意義があるキャラクターだと感じました。
希は決してどんな状況でも、決して自分の軸をブラさない。
同時に他者を尊重し、困っている人に手を差し伸べることができる。
だからこそ、希は誰かにとっての光に…コンパスになり得るわけです。
また、希は雛を助けた際、「飛べるようになるまで、私が面倒みようかな」と言っていますが、これも印象的でした。
一見取るに足らない台詞だと感じるかもしれませんが、「飛べるようになるまで」という辺りに個人的に希らしさを感じました。
ここには希は雛が自分で飛べるようになる…つまり自分の元から去っていくことを念頭に置いていることが窺えます。
つまり希は誰かを導くだけの度量とカリスマ性(ちょっと大仰ですが)を持っている一方で、導いた相手を侍らせたりはせず、彼らが彼ら自身で選んだ未来に、彼ら自身の足で向かっていくことを歓待できる人物といえそうですね。
朝風の見送り
色んな意味で最終回を見た人間を仰天させたのは朝風でしょうね。
元の世界へ向かう長良と瑞穂の前でラジダニ達の顛末を伝え、送り出した一方で元の世界でフラれたはずの希と付き合っているという、ある意味逆転ホームランを決めてくれました(笑)
言動がアレなので恐らく作中で最も不人気な朝風ですが、個人的に彼の本質は長良と一緒だと思っています。
自分に自信がなくて、内向的で、ネガティブで、屈折している…という点がそうでしょうか。
彼が救世主として、長良が漂流の元凶として対称的ながらも漂流の核心を握る立ち位置に立った点も共通点として挙げられるでしょう。
だから朝風は長良に何かと突っかかっていたし、長良と同じように外に迷わず志向できる希に惹かれたのでしょう。
そんな朝風と長良は対外的には驚くほどパーソナリティが違っていましたが、そこには彼らの周囲への接し方の違いもあったのだと思います。
朝風はルックスが良く、コミュニケーションもある程度取れるため、取るに足らないみっともない自分を隠せる張りぼてを作ることができました。
そのため、ある程度周囲に対して威圧的に振る舞えるし、逆に威圧することで自分の内面に触れさせないようにすることもできたわけです。
しかし虚勢に満ち満ちた張りぼてで自分を囲んだために彼は外とまともに向き合えなくなり、周囲への人間を利用することばかり考えたために信頼を寄せることができなくなり、張りぼてに依存したために自分と張りぼてのギャップに苦しむことになった。
つまり内なる自分を見せないように虚勢を伴って外へ向き合おうとした結果、彼は両方のバランスが崩れてしまっているわけです。
対して朝風ほど取り柄がなかった長良はひたすら引っ込み思案を続けたために、立ち位置も弱く、不器用でコミュニケーションが下手なために失敗することも多くありました。
しかし長良は張りぼてを作れなかったために、直に、ありのままの外に触れることができた。
そもそも彼は朝風みたいに立派な張りぼてを作れなかったために、内に向かえなくなったら自然と外に向かわざるを得ません。
つまり、長良は内へ向かえなくなるだけで逃げ場がなくなるため、結果的に真っ当に外へ向かうことができるようになってしまえるわけです。
だから長良は漂流の元凶とされて孤独に陥っても、ありのままを見つめ、受け入れて、立ち直ることができました。
対して朝風は張りぼてに依存するあまり孤独な現状を直視できないために、あき先生に慰めてもらい、つばさを利用するなどした必死に取り繕うとした結果、何も残らず、一人になってしまったわけです。
ただ、何もかもが残らなかった結果、ようやっと朝風はありのままの自分を、そして外を見つめられるようになったと思います。
恐らく決定打は第10話でつばさに心を読まれていることが発覚した際でしょうね。
だからこそ、朝風は真っ直ぐ希と向き合ってフラれ、長良と瑞穂を送り出す立場を担えたのでしょう。
あれが朝風なりの自分の内と外への誠実な向き合い方なんでしょうね。
彼に必要だったのは、誰かに必死に追いすがることではなく、立ち止まり、己を見つめ、誰かを見送ることだったわけです。
そう考えると、ある意味朝風は希と同じようなパーソナリティを得たと捉えられる気がするんですよね(朝風アンチの方に怒られそうな解釈ですけど笑)。
さて、閑話休題的にちょっと話を横道に逸らしますが、元の世界の朝風って個人的になんかいい奴のような気がするんですよね。
バスケ部に助っ人を頼まれたことを自慢げに喋っちゃう辺りは相変わらずですけど、ラストでさりげなく希の傘を持ってあげていたり、残された雛に構う彼女を受け容れていたりと、かつての自己中心的な性格がなりを潜めている感じがします。
むしろ希の彼氏として、彼女のパーソナリティを分かったうえでちゃんと付き合えている感じもしなくもありません。
まぁあれすらも虚勢である…といえなくもないですし、何の根拠もなければ劇中で明示されてもいませんが…朝風が長良や瑞穂のように元の世界へ帰還した可能性も微レ存くらいにはあるのではないかと思ったり。
まぁあくまで妄想の一つですけどね(笑)
ただ、少なくとも長良と瑞穂がロケットに乗っていった「この世界」と元の世界の狭間の空間(?)みたいなところに彼は単身で行けているわけですし。
個人的に朝風は嫌いじゃないので、この説を頭の片隅くらいには置いておきたいです(笑
瑞穂の巣立ち
個人的に、瑞穂は元の世界へ帰還して一番損をしているのはないかと思っていたりします。
祖母が息を引き取り、彼女の家も猫もいない。
まさに「全部、なくなっちゃった」わけです。
彼女が声をかけてきた長良を拒絶するような態度を見せたのは、そのことに対する苛立ちが大きかったんでしょうね。
ただ、そんな彼女もなんやかんやで前に向けるようになったわけですが…。
ごめんなさい、正直瑞穂の心情の変化は上手く追えていません!
彼女が夜の学校に一人で入ってコップを割っていったところ、全然わかんない!(『この世界』への入り口を探していたのかな…くらいしか予想できない笑)
どなたかご教示ください!(笑)
でも、ファンも多い瑞穂だけを雑に扱うわけにもいかないので、色々述べるならば…。
元の世界に帰還し、現状を目の当たりにしたことでブレはあったものの、瑞穂は根本的に祖母や猫(すなわち家族)への依存を脱却できていると思います。
最初こそ猫に依存して自分を保ちつつ、我が道を行くスタンスを貫いていた瑞穂ですが、長良や希、ラジダニとの出会いで彼女は次第に独り立ちできるだけのパーソナリティを鍛えることができたのでしょう。
家族ではない存在と関わりや、その支えを知ることで彼女は家族から脱却できたというわけです。
だから墓地での長良との対話で、彼女は幾分前向きな感情を取り戻せたのでしょう。
他人と交流せずに我が道を生きることに拘っていた彼女が、長良という他人を通じて自分の混乱の整理ができたことが、今回提示された彼女の変化の一つではないでしょうか。
うーん、というか瑞穂が元の世界で祖母や猫を喪失したことに苛立つ…あるいは少なからず動揺するのは無理からぬことだと思います。
漂流中に「この世界」で色々失うキャラクターが多かった(朝風など)のに対し、どちらかというと瑞穂や長良は漂流中に色々得ていますからね。
そう考えると、失うことで変化したキャラクターと得ることで変化したキャラクターが作中で対比されているところもあるかもしれません。
そして自分が「色々得た」ことを自覚できたからこそ、長良と瑞穂は外へ向かい、「この世界」を脱出できた…なんてこともいえそうです。
長良の希望
さて、いよいよ主人公の長良を見てみましょう。
長良の視点で全てを語ると、今作の根幹にも触れることになるので、ここでは一旦彼の顛末だけに絞って掘り下げてみましょう。
元の世界に帰還したものの、変わり映えのしない日常の中でブラック感漂うバイトをこなし、わびしい日常を送っている長良ですが、最後に希と何気ないやり取りをしてからは笑顔で帰路についています。
恐らく、彼が恐れていたのは「この世界」での漂流の経験が無為になってしまうことでしょう。
あれだけの経験が、あれだけの出会いが元の世界に戻った途端にその効力を失い、ただの記憶として日常の中に埋没していく…。
何もかもがおかしかった「この世界」から自らの意志で外を志向し、脱出した長良にとってそれは耐えがたいことです。
しかし、長良は瑞穂との対話で漂流の実在を改めて実感し、そしてある種の漂流の「成果」である希と対話することで、彼女のパーソナリティが変わっていないことを再確認したことで前向きに生きていく気力を取り戻していきました。
この一連の流れに置いて、個人的に決定打になったのは希が雛を助けた場面だと思っています。
あの雛は第2話で長良が学校で見捨てた鳥を彷彿とさせます。
あれだけ見ると、結局長良はカモメの時のように自分は手を出さずに希に助けてもらうのと同じ構図を繰り返している感じもしますが、良く見ると微細なところで違っています。
第2話で希に問い詰められた際、長良は「急いでいた」「下手に手を出すと良くない」「自分は冷酷な人間だ」と返すなど、罪悪感を振り払うような言い訳ばかりを重ねていました。
しかし、今回は長良はわざわざ踏み台を使って雛の様子を見て、希に「君が飼ってみる?」と問われた際は「ペット禁止だから」と断っています。
少なくとも第2話の時点の(厳密に言うと漂流前の)長良と比べると、自分から雛の様子を見て、飼うことを選択肢に入れるくらいには成長していることが窺えます。
まだ自分の手で面倒を見る度胸は持ち合わせていないが、気に掛けることを誤魔化したり、自分を卑下して言い訳するようなことはしない。
飛躍的な成長とは言い難いですが、この微妙な成長がなんとも長良らしいところですね。
そして何よりも、第2話でカモメを助けた時のように、自ら進んで雛に手を差し伸べる希は間違いなくここにいる。
自分に光を見出してくれた希は無事に元の世界で生存している。
それを成し遂げた漂流は間違いなく残っている。
それを知れたからこそ、長良は生きることに笑顔で向き合えるようになったのではないでしょうか。
また、個人的には雛や鳥にも面白い意味があるような気はするのですが、それはその後に回しましょう。
起こらないことが起こる世界
さて、いよいよ作品を統括してみましょう。
まずは今作における「この世界」の意味付けですが、僕としては「永遠の青春」と捉えたいところです。
ここでいう青春は一般的な意味合いではなく、「可能性」と同じような意味合いで使っています。
そして可能性だけでなく、当事者の感情や苦悩などといったものがセットになっているのが「青春」というわけです。
これを端的に表すなら、墓地での長良の台詞が最適でしょう。
「いつかこの感情も忘れてしまって、また同じことを繰り返してしまうんだ」
これを踏まえるなら、僕が使いたい「青春」は様々な「もしも」=可能性、そしてそこに向けられたあらゆる感情が集合した状態であると思ってください。
この「青春」は当事者が望んだ道筋を選択し、その先に広がる未来に投企していくことを可能とします。
そのため、「青春」は未来に志向することを前提としたものであり、そこの当事者は意識的に未来を選び取らなければならなくなります。
個人的に、最終回で出てきた雛や白い鳥、第2話出てきたカモメ達はこの「青春」と結び付けられると思います。
これらの鳥達は「青春」を生きる長良達を暗示しているのではないでしょうか。
元の世界へ帰還する際に現れた白い鳥達は未来へ進んでいく姿を、残された雛やタヒにかけの鳥達は「青春」の只中で困難にぶつかった姿を示している…みたいな。
…と、ちょっと話が逸れたので、「この世界」を「永遠の青春」と捉えることはどういうことなのか、掘り下げてみたいと思います。
そもそも「この世界」は良くも悪くも可能性に満ち満ちています。
実際、長良が元の世界でほとんど接点がなかった希と、瑞穂が長良やラジダニ達と関わりを持てるようになったのは、元の世界での関係性や社会から来る様々な影響(受験や部活など)が排斥された「この世界」だからこそ起こり得たことです。
おまけに人知を超えた能力や不可思議な現象があるために、既存の価値観からも離れることができる。
その意味では「この世界」は「青春」を送るうえで最適な場所にみえるでしょう。
思えば、「この世界」の神の如く振る舞うヴォイスが校長だったり、長良や瑞穂が元の世界へ帰還する直前にヴォイスと会った場所が学校だったりと、「この世界」は青春の舞台としての学校という一面を見せていることが、その証左でしょう。
しかし、「青春」を送るうえで最適だからといって、「この世界」に留まることは間違っていることです。
朝風が口にしていたように、「この世界」は結局ヴォイスが管理する箱庭…それこそ学校のように誰かが与えた場所に過ぎません。
確かにヴォイスやあき先生に従うことで「この世界」でより良く生きることはできるかもしれませんが、それは自分で選んで進むことではなく、誰かに与えられた場所に言われるがままに留まり続けることに他なりません。
そこに当事者の思考はなく、当然自分で手にしたものなどないから、最終的に朝風のように自分には何もなかったことに気づく羽目になります。
そして、何よりも「この世界」は静止しており、精神的な「タヒ」以外で変化が生み出されません。
さきほどもいったように「青春」は未来を志向しなければならない状況であり、それである以上、そこには必然的に変化を伴います。
これは一般的な意味の青春でも同様でしょう。
我々が青春と捉える時期は、最低でも中学校→高校→大学と進学していくような環境の変化が必然的にあり、肉体も精神も成長することで変化していきます。
しかし「この世界」は常に静止しているため、このような変化が起きません。
複数の「この世界」を渡り歩いたり、様々な人々と関わりを持つことで擬似的に環境を変えることはできますが、それでも静止している状態は絶対に揺らがず、そのためにあらゆる変化が相対化され、それに伴う感情の起伏もフラットなものになっていきます。
静止した膨大な時間が様々な形で精神的な「タヒ」をもたらすことは第11話の記事でも書いた通りです。
変化が伴わない未来は未来ではありません。
だから「この世界」は「永遠の青春」というわけです。
「この世界」は青春を送れるが、静止している以上、それは永遠に続く。
しかし変化がなく、永遠に続く状態に未来はなく、未来へ志向しなければならない「青春」とはならない。
つまり「この世界」に留まり続けることは静止した「永遠の青春」に囚われ、未来へ志向する「青春」を永遠に体感できなくなってしまう…というわけです。
では「この世界」で体感したことを無駄にしないにはどうすればいいのか。
それは「青春」を成し遂げること…つまり望む可能性を選び取り、そこに伴う感情を以て、未来に投企することです。
「永遠の青春」を体感できるからといって、そこに依存するのではなく、只中で体感した「青春」を以て未来に向かうことで、初めてその経験が活かされるようになる。
まさに長良と瑞穂が元の世界へ帰還したこと、そして作中で度々「外を志向すること」が重視されていたことは、全てここに集約できるでしょう。
出られないわけではない「この世界」を出て、未来がある元の世界へ向かうことが、「この世界」を、ひいてはそこで漂流したことを最大限生かすことができる、唯一無二の術というわけです。
それでは、最後に作中における漂流の、個人的な解釈を述べるなら…。
漂流とは「『青春』の謳歌」ではないでしょうか。
あらゆる可能性に触れ、それに伴う感情をありのままに受け入れ、そして数多ある可能性から自分の意志で望むものを選び取り、未来へ投企していく…。
もっとざっくりいってしまうなら、長良と瑞穂はただ「青春」をしただけなんですね。
…ちょっと単純すぎる解釈だと自省していますが、まぁこんなものでもいいんじゃないでしょうか。
ロビンソン・クルーソーだって最後はちゃんと帰国したんですから。
漂流記のオチはいつだって「脱出」なんです。
続編の可能性&未回収の伏線
そんなこんなで視聴者を悩ませてきた『サニーボーイ』ですが、続編の可能性はあるのでしょうか。
…ないでしょうね(笑)
まぁ円盤が売れたとしても、話の質的に続編難しいんじゃないかな…。
話としても一応決着はついてますからね。
話題性は会ったようなので、何らかの形でスピンオフとかが出てくるかもしれないけど…明確な続編は望み薄でしょう。
…未回収の伏線?
それしかないでしょうが!(笑)
まぁ伏線を回収するどうこうで楽しむ作品じゃないので、色んな隙間を色んな解釈で埋めて楽しむ以上、細かいことは気にしないのが一番かと思います(笑)
『サニーボーイ』最終話感想
いやー、しんどかった(笑)
文字数がすごいことになったので、例によって細かいとこは端折りましたー、ここまで書くのもしんどかったから許してほしいー、こんな口調になっている時点で色々察してほしいー(笑)
量子力学とかで見るのが妥当なんでしょうけど、その辺は良く知らないし、勝手にオリジナルの概念作ってまとめちゃいました。
だから粗だらけなんでしょうけど、そこはもう…ご愛敬で(笑)
個人的に存在と実存で見ても面白そうな感じはするんですけどね…それはできないのでできる人に任せたいと思います。
何はともあれ、色々興味深いアプローチをしている作品という印象を受けました。
『ワンエグ』といい、今作といい、この手の作品が増えることは良い傾向ですね…もっとやりやすいのがありがたいけど(笑)
とりあえず、『サニーボーイ』もこれで終わり。
またどこかの作品でお会いしましょう。
▼サニーボーイの記事はこちらにまとめてあります
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コメント
方位磁石がまわってたのは目的地だからじゃないか?北極に方位磁石持ってくとまわるらしいし。
あさんコメントありがとうございます!
>北極に方位磁石持ってくとまわるらしいし。
全然知らなかった(笑)
ご指摘ありがとうございます。
そう捉えるのが自然そうですね…記事を修正しておきました~
元の世界の希にコンパスを渡したらどうなるかは気になるところですけどね。
あさん再度コメント頂きありがとうございます!
>元の世界の希にコンパスを渡したらどうなるかは気になるところですけどね。
確かに気になるところですね。
元の世界に帰還した場合、能力遺物がどのように変化するかは不明ですので、何とも言えないところですが…。
個人的には存外何も起こらないのではないかと思ったりします。
まぁ元の世界が「この世界」と全く異なる原理で存在している以上、あのコンパスはただのコンパスになってしまったと捉えるのが妥当というのもありますが…。
ただ、希は「この世界」にいる間、常に光を見続けることができていた以上、そもそも彼女にとってコンパスは不要であり、そのために何も起こらないと見た方が個人的にしっくりきますね。
コンパスは狂った方位磁石ではなく「この世界が現実ですよ」と知らせるためだけに元の世界の原理で動いている能力遺物でもあるわけなので長良と瑞穂の脳細胞の配列以外では唯一元の世界の痕跡を残していますよね。能力遺物は現実世界にもってきても有効であることを示してもいます。
ただ、目的地が希の脳内であるならば方位磁石は回転していないと思うのであれはあれで現実では無意味な能力遺物持ち出しただけということなのかもしれません。
また、どのような原理で現実世界に戻ってきているのかも実はよく語られてないんですよね。肉体ありきで戻ってしまった場合ソウセイジみたいになっちゃうので、ただ両世界の2年分の記憶が融合している感じではなさそうなんですよね、2年分の元の世界の長良を消したうえで上書きしているようにもみえます。
主観の中でもどってきていて、一回目の長良と瑞穂が接触したときに無視されたのは瑞穂なりの葛藤のなかでの無視なのか、それとも戻ってくるには長良との接触するなどの条件が必要なのかも不明なように感じられます。
あさんコメントありがとうございます!
>能力遺物は現実世界にもってきても有効であることを示してもいます。
あさんの解釈には概ね同意ですね。
僕はどちらかというと「現実では無意味な能力遺物」と思っている方ですけども。。
>また、どのような原理で現実世界に戻ってきているのかも実はよく語られてないんですよね。
まぁそこは想像にお任せみたいになっていましたよね~。
長良や瑞穂の内面を直接的に描いていないので、根拠は薄弱ですけど、漂流の記憶の有無について会話していたところを見ると、個人的には両世界の記憶が融合していると思いたいですね。
元の世界に帰還したことの空しさ・無意味さが際立ちますし…。
でも、だとしたら長良は2年くらい瑞穂とほとんど接触していないことにもなっちゃいますけどね。
まぁ元々元の世界で仲良しというわけじゃないので、疎遠なのは当然と言えば当然なんですけども…。
また機会があったらじっくり見直してみよっか…。
>主観の中でもどってきていて、一回目の長良と瑞穂が接触したときに無視されたのは瑞穂なりの葛藤のなかでの無視なのか、それとも戻ってくるには長良との接触するなどの条件が必要なのかも不明なように感じられます。
個人的には前者ですね。
祖母が息を引き取ったのもありますし、夜中の学校に入り、既に自分が「この世界」にいないことを確かめて、ようやく葛藤が落ち着いた…って感じでしょうか。
最終回、気持ちを整理するために何度も見返してしまいました。
「もう一度、友達になろう」という巨大な伏線を華麗に舞われ右してしまった点には少々納得いきませんが、それも「これからの日々」のどこかで消化されるのでしょう。何せ彼らには未来があり、変化があるのですから。
余談ですが、個人的にショートボブの女の子がとても好きなので、元の世界の希のビジュアルがどストライクだったのもあり、結ばれない長良を見ると、特に恋愛ものの筋を期待していたわけでもないのに、走り出したくなりました。
感想内で触れられていた夜の校舎に忍び込むシーンですが、再び漂流できないか試したか、長良のように漂流した経験の存在を懐疑し、どこかにその痕跡を探したか、どちらかの解釈だと思います。(自分は前者で取りましたが、ネットには意外と後者もいました)
前者なら直前の厳しい現実に直面した瑞穂の自然な反応として整合性がとれます。
ガラスが割れる描写は、瑞穂の持っていた「静止」の能力の喪失、そして現実世界の不可逆性の描写でしょう。サニボに限らず、ガラスが登場する暗喩はまず間違いなく「壊れたらもう、戻らない、戻れない」の象徴だと思っております。
これは考察でもなくごく個人的な想像ですが「この世界」は自分にしても可能性に満ちたモラトリアム(義務教育?)を想起させます。朝井リョウさんの小説のなかで、「僕たちは真っ白なキャンバスであり、そこにはまだ何でも描けるが、何も描かなければ、何者にもなれない(大意)」のような台詞がありましたが、漂流世界はまさに、「可能性だけ」の世界。何者にも成れるが何者でもないままで静止してしまった生徒たち。だからそこには漠然とした不安だけがある。
閑話休題。最終回までは、自分はサルトル的なアンガージュマンを長良の成長の目標に据えるのだろうと思っていましたが、いざ蓋を開けると、どちらかというとニーチェの言うところの「超人」のような成長を遂げていましたね。救いもへったくれもない現実世界を、逃避することなくありのまま受け入れ、それでもなお明日へ歩を進めることができる。逃げエンドなど揶揄する人もいましたが、並大抵の人間に出来る所業ではありません。
最終回で出てきた、ヴォイスとの対話シーンにも回想で映ったように思われるバイト先の金髪の女性、ロビンソン計画に書き足した項目など、気になる、気にせざるを得ない未回収の伏線もありますが、この喉につっかえた魚の小骨のような感覚が、またサニーボーイの魅力なのでしょう。今期で断トツに好きでした。
蛇足を承知で書きますが、創作物というのは、現実で満たされない気持ちを満足させるための単なる娯楽、代償材料としての役割も大いにありますが、第一にそれと一対一で向かい合い、それ自体を鑑賞すべき対象でもあります。SonnyBoyは作品を通して伝えるメッセージがあまりにも夢のない、世俗的な、現実的がすぎるものであることは確かですが、だからといってそこに自身のオナペットを期待していた輩が「駄作」「時間の無駄」など吐き捨てるのを見ていると、作品を通して日本人の文化的姿勢の凋落を見た気がしました。
深夜に書いた文章ですので、論理の飛躍などありましたら申し訳ありません。
名無しさんコメントありがとうございます!
>「もう一度、友達になろう」という巨大な伏線を華麗に舞われ右してしまった点には少々納得いきませんが、それも「これからの日々」のどこかで消化されるのでしょう。
>何せ彼らには未来があり、変化があるのですから。
仰る通り、多少のモヤモヤは残りますが、僕もとりあえず同じような受け止め方をした次第です。
あらゆる可能性に満ち満ちた未来は依然として長良の前に広がっているわけですし、漂流前にはできなかった希との接触が実現した以上、この先なんらかの形で彼らが関わることは充分にあり得るかと思います。
その可能性を見出す終わり方にしただけでも、『サニーボーイ』らしい希望は提示できたと捉えるのが良いでしょう。
>感想内で触れられていた夜の校舎に忍び込むシーンですが、再び漂流できないか試したか、長良のように漂流した経験の存在を懐疑し、どこかにその痕跡を探したか、どちらかの解釈だと思います。
あー、やっぱり「この世界」絡みで見ればよかったんですね…。
素直に書いておけばよかったです(正直しんどくなったのもありますが笑)
その場合、前者と後者、どちらを捉えるかは難しいところですが、個人的には後者が推しですかね。
確かに前者で解釈できる余地もありますが、あれだけ愛していた猫と離れる決心をした以上、瑞穂がすぐ後ろ向きになるのは少し悲しい感じがするので。。。
>ガラスが割れる描写は、瑞穂の持っていた「静止」の能力の喪失、そして現実世界の不可逆性の描写でしょう。
>サニボに限らず、ガラスが登場する暗喩はまず間違いなく「壊れたらもう、戻らない、戻れない」の象徴だと思っております。
あーそうか、静止の有無の確認か…。
それでしっくりきました。
純粋に読めてなかったですね…。
>これは考察でもなくごく個人的な想像ですが「この世界」は自分にしても可能性に満ちたモラトリアム(義務教育?)を想起させます。
>漂流世界はまさに、「可能性だけ」の世界。
正直、近い解釈をしている方がいて安心しました(笑)
名無しさんがいう「可能性だけ」の世界という表現は、実は僕も一度は考えたんですよね。
ただ、記事内で引用した台詞のように、長良が感情と結び付けて考えていたことに加え、今作は「可能性だけ」の世界で摩耗する精神や、様々な葛藤の描写に主軸が置かれていたので、可能性だけでなく感情も結びつける形で書いてみました。
後、ヴォイスが神として振舞う描写もあるので、「この世界」自体が巨大な学校=義務教育の場であることも強調しようかと思いましたが、ヴォイスの楽しみ方は別の記事でも書いたように、青春ドラマに没頭する大人のそれに近いものを感じました。
実際的にあき先生に付き従った生徒以外は自由に「この世界」を生きていたわけですし、学校や義務教育の場として見るにはいささか拘束がなさすぎる印象もあります。
そう考えると、もっと露骨で露悪的な表現になりますが、ヴォイスのような立場からしたら「この世界」は学生達が様々な可能性を自由に謳歌する様を見物するためのサファリパークや動物園の類に近いかもしれません。
>最終回までは、自分はサルトル的なアンガージュマンを長良の成長の目標に据えるのだろうと思っていましたが、いざ蓋を開けると、どちらかというとニーチェの言うところの「超人」のような成長を遂げていましたね。
あ~!
ともすれば元の世界(あるいは「この世界」も)は永劫回帰というところですかね。
実際長良の台詞には一種の繰り返しを示唆するようなものもありましたし、そこに対して己の意志を保ち、未来を見据えながら、その足で歩く様を超人とみるのは非常に的を射た解釈だと思います。
…といっても、僕がニーチェに詳しくないので、その路線を突き詰めるのはお任せする形になりますけど(笑)
哲学には浅い僕がこの観点で乗っかるのはいささか気が引けますが、あえてもう少し乗っからせて頂くなら…。
個人的に『サニーボーイ』は他者との交流がキャラクターの変化に大きく影響するような書き方がありましたので、実存主義的な観点からアプローチするなら、ハイデガーやレヴィナスもありなのかな?と思ったりします。
とはいえ、両方に詳しくないので、僕はできないですけどね(笑)
>救いもへったくれもない現実世界を、逃避することなくありのまま受け入れ、それでもなお明日へ歩を進めることができる。逃げエンドなど揶揄する人もいましたが、並大抵の人間に出来る所業ではありません。
全くの同意です。
確かにフィクション的なカタルシスこそ薄いですが、一見すると何も変えられていないように感じる世界の中で、それでも漂流の意義を信じて生きる道を選ぶことは、並大抵のことではありません。
逃避エンドといってしまうのは、少し寂しいですね。
>最終回で出てきた、ヴォイスとの対話シーンにも回想で映ったように思われるバイト先の金髪の女性、ロビンソン計画に書き足した項目など、気になる、気にせざるを得ない未回収の伏線もありますが、この喉につっかえた魚の小骨のような感覚が、またサニーボーイの魅力なのでしょう。
個人的には金髪の女性がメチャクチャ気になりましたね(笑)
まぁ仰る通り、諸々が未消化のままであることが『サニーボーイ』の魅力であり、何度も見返す必要を感じさせるポイントなのでしょう。
個人的にゼロ年代~10年代前半のアニメが好きなのですが、好きな作品の多くはどこかフワッとした、漠然とした終わり方をしたものでした。
そう考えると、『サニーボーイ』はある意味伝統的な終わり方を踏襲しているといえるかもしれません(笑)
>創作物というのは、現実で満たされない気持ちを満足させるための単なる娯楽、代償材料としての役割も大いにありますが、第一にそれと一対一で向かい合い、それ自体を鑑賞すべき対象でもあります。
>SonnyBoyは作品を通して伝えるメッセージがあまりにも夢のない、世俗的な、現実的がすぎるものであることは確かですが、だからといってそこに自身のオナペットを期待していた輩が「駄作」「時間の無駄」など吐き捨てるのを見ていると、作品を通して日本人の文化的姿勢の凋落を見た気がしました。
辛辣ですね(笑)
でも、大筋で同意できます(笑)
当然商業の一環である以上、アニメは消費され得るべきものですが、それを差し引いても我々を虚構に、そして虚構の奥にある現実に向き合わせる機能を有しているものだと思っています。
ただ、昨今は消費の面ばかりが強調され、享楽的な、即物的な要素をアニメに求めることが多くなった印象があります。
もちろん消費はアニメの発展において不可欠な要素であり、むしろアニメをより豊かなものにする土壌の一つだといえます。
しかし、昨今はそれが出過ぎて土壌になれていない感じがしますね。
>深夜に書いた文章ですので、論理の飛躍などありましたら申し訳ありません。
いえいえ、全然問題ありません。
むしろ粗だらけの記事の補完をしていただき、非常にありがたいです。
また、名無しさんの様々な感情に触れられたことも良い体験でした。
今後も何かしらの記事にコメントをいただけると幸いです。
視聴後に考察を検索して拝見し、どうも文章に見覚えが…と思っていたところワンエグの考察でもお世話になっていたと気が付きました。個人的にgato様の文はすらすらと読めて読後感が心地よいです。あと分かりみが深い。
Sonny Boyは一気に見たのですが、一言で表すなら秒速5センチメートルのトゥルーエンドがあったらこんな感じなのかなという感想を持ってしまいました涙。ただ本作は行動の結果がほろ苦くても、その過程に爽快感を感じる描き方で、誰しもが持っている青春という時間を一度抽象化してから解像度を上げたらこんな体験になりそう、という希望を感じました。
物語づくりにおいてある手法では、一度満たされた状態を手放すことで自己実現に至る、という描き方をするらしいのですが、本作はまさにその王道なのかなという印象を受けます。ただ、最近は主人公が外的世界を変化させることで自己実現を果たす展開の作品が表立っている気もするので、文字通り自分自身が納得できる世界を選ぶという内的世界(観)の変化によって前に進むことを描いた本作は現代のコンテクストでは覇道でもあるかもしれませんね。
自分はやまびこと朝風の関係が意外と傍観者としての表裏一体を表しているのかなという感じで興味深く考えています。”せんそう”という脅威に相対して、思い人が近くにいても最後まで自分の殻に閉じこもった結果、疫病によってじわじわと全てを失った前者。一方、思いを告げても断られ、能力も使えず眼前で行方不明となり打ちひしがれた後者。しかし朝風はつばさの能力によって内に閉じこもることを許されず、外の世界と向き合うことを強いられた。その違いが対面に繋がるのかなーと。つばさの能力はゲーム周回要素の種明かしアイテムみたいなかたちで、モブっぽい人物がすごい能力持ちでしたということも含めてこれまでの物語の密度が増してすごく好きです。人間関係において心を読めるのはまじチート。結局アキ先生何者だよという謎は残ったままなので、その辺が掘り下げられるものを読み取っていきたいなーと思っています。
拙文失礼いたしました。これからも楽しく記事を拝読させて頂きます!
こめかみさんコメントありがとうございます!
>個人的にgato様の文はすらすらと読めて読後感が心地よいです。
毎度ありがとうございます(笑)
『ワンエグ』もそうですけど、不明なところに手前でこねくり回した理屈を通す悪癖があるので、正直今回のクオリティはどうなんだろうかと思っておりましたが…。
お陰様で幾分安堵しました(笑)
>一言で表すなら秒速5センチメートルのトゥルーエンドがあったらこんな感じなのかなという感想を持ってしまいました涙。
『秒速5センチメートル』は貴樹が明里との想い出を消化できず、大人になってから鬱屈に苛む姿が描かれましたが、『サニーボーイ』でいうとやまびこが近いかもしれませんね。
後、貴樹が時間の経過と想い出の埋没の狭間で苦悩する様は、『サニーボーイ』最終回での長良の台詞と結び付けられるものでしょうね。
そう考えると、作者の青春に対するスタンスが両作では近いものがあると思います。
>ただ、最近は主人公が外的世界を変化させることで自己実現を果たす展開の作品が表立っている気もするので、文字通り自分自身が納得できる世界を選ぶという内的世界(観)の変化によって前に進むことを描いた本作は現代のコンテクストでは覇道でもあるかもしれませんね。
このご指摘は非常に興味深いものでした。
僕の観点も織り交ぜるなら、90年代~10年代前半は内的世界と外的世界の摩擦を根底に置いた物語が多い印象があります(セカイ系がその最たるものかもしれません)。
あるいは内的世界が満たされていると思いつつ、実は致命的な欠陥や矛盾があることを見出し、それを外的世界との関わりの中で解消していく、または内的世界の変化が外的世界に影響を及ぼしていく…といった構図でしょうかね。
他方で、こめかみささんが仰るように、最近は内面世界が変動せず、外的世界をひたすら変化させることで自己実現が達成させる構図が多い印象があります。
なろう系や異世界系に多い構図ですが、正直好き嫌いが別れるところはあるかと思います。(ストレスレスなので見やすいのは大きいメリットですけど)
ただ、内的/外的世界の描き方はその時々の時代性や社会の状況の大きく左右されるものですので、今の時代にこの構図が流行っている意義を突き詰めれば色々面白いことがわかるかもしれません。
…ちょっと好きな話題に持っていき過ぎたので、こめかみさんのお話に寄り添うなら、『サニーボーイ』は良くも悪くもひと昔前のアニメの雰囲気が漂っているかと思います。
それこそ希という少女を物語のテーマを体現した象徴のように扱っているところとか、一種のなつかしさを覚えますね。
昨今の流行りからは外れているものの、『サニーボーイ』のようにトレンドから外れた作品が度々出てくることは重要なことだと思います。
>自分はやまびこと朝風の関係が意外と傍観者としての表裏一体を表しているのかなという感じで興味深く考えています。
その対比は考えたことがなかったなぁ(笑)
仰るように、2人を対比するならやまびこ×こだま、朝風×希で考えるべきでしょう。
その場合、個人的には2人の結末だけでなく、そこに至るまでの過程に着目したいところです。
やまびこは居心地のいいこだまの側にい続けることで、彼女の本来の望みを叶えなくさせてしまい、停滞の中で悲惨な結末を迎えていきます。
対して朝風は最終的にフラれてしまったものの、希を追いかけ続けたり、彼女の本音と向き合おうとする姿が見られました。
その過程で様々な「この世界」を渡り歩いています。
「外への志向」という観点で見るなら、やまびこはこだまを見ることでその場にとどまり続けたのに対し、朝風はとどまらず、様々な「この世界」を渡り歩いていた点で対照的だといえるでしょう。
だからこめかみさんの言う通り、やまびこと違って、朝風は最終的に外へ向くようになっているといえるでしょうね。
>結局アキ先生何者だよという謎は残ったままなので、その辺が掘り下げられるものを読み取っていきたいなーと思っています。
ホント誰だったんでしょうね(笑)
正直僕の中でも固まってないですが、あれはあれであき先生の「もしも」、異なる世界線での彼女だったのかもしれないですね。
卒業式の場面で、大人のあき先生と思しき人物が涙を拭っている描写がありましたが、あの姿は「この世界」でのあき先生とは似ても似つかないものでした。
どちらが彼女の本質なのかは見出すのは不明ですが、いずれの彼女も教師という役職を全うしようとしている点は興味深いです。
尤も、「この世界」の彼女は自分の力を発揮できる役目として積極的に教師役をやろうとする少女…という印象がありますが。
>これからも楽しく記事を拝読させて頂きます!
もったいないお言葉、ありがとうございます!
まだ次回作の記事は未定ですが、お付き合いいただけると嬉しいです。
不評の最終回でも、きちんとした考察流石です。
瑞穂ですが、祖母やとらの事が有り、漂流前から学校では使えていた能力が、今でも使えないか学校に確認にいったという解釈をしております。
彼女自身、一番見たくないもの(タヒ)をみて、現実を突きつけられて、メンタルズタズタだと思いますが、きちんと長良を勇気づけて、メインヒロインらしくなったなあ、と感慨深いものがあります。
「やりたかった事」が、最後まで分からないのは残念ですが。
この最終回に対する批判をふうじこめるようなコメントもありますが、敢て、批判的に。
〇群像劇としては最低。
〇長良の成長物語としても落第点。
(群像劇としては最低の理由)
希は、グレイスのイチゴがたくさんのったヤツを食べて・・・とか、軽薄な部分のみ残った印象です。これでは長良の成長を語る為の舞台装置に過ぎず、群像劇のメインヒロインとしては、積み上げてきたキャラクターの崩壊です。
監督は今更ながら、「これは長良の成長物語」と強調しているようですが、公式HPに群像劇と謳っている以上、観る側は群像劇を期待するので、その観点(希のキャラクター崩壊)からの批判は当然あるでしょう。
キャラクターは確かに、アニメーターなり、クリエイターなりが創作したものですが、作品として世に出した時点で、ファンのモノでもあると考えられないでしょうか。
(長良の成長物語として落第の理由)
11話の回想の約束が果たせていない。どうでも良いファクターじゃなくって、多くの観ている側にとって、重要な事柄なので、この点に関する批判が多いのはしょうがないと思います。作品内で決着させずに「先は長い~」云々は”逃げ”と批判されても仕方ないでしょう。
余韻とか、想像の余地を残したとか、そういうレベルではないと思います。
ただ、11話の回想の約束が無ければ、長良の成長物語としては、及第点だと思います。
ビターな方向でまとめたかったら、例えば、希の相手がラジダニ(希はラジダニもリスペクトしている)で、11話の回想の約束が無い。それで良かったのでは?と愚考します。
いずれにせよこんな大変な作品の考察どうも、お疲れ様でした。
老師さんコメントありがとうございます!
>不評の最終回でも、きちんとした考察流石です。
恐れ入ります。
このようなお言葉をいただけるだけでも励みになります。
>瑞穂ですが、祖母やとらの事が有り、漂流前から学校では使えていた能力が、今でも使えないか学校に確認にいったという解釈をしております。
よくよく考えると、静止の能力の所持者であった瑞穂が現状を目の当たりにして能力の有無を確かめるのは当然の流れでしたね…。
むしろあの体験があったからこそ、瑞穂は元の世界を受け容れられたのかもしれません。
静止がないことを確認することで瑞穂は元の世界を受け容れられたからこそ、彼女は長良を励ますことができたのでしょう。
>この最終回に対する批判をふうじこめるようなコメントもありますが、敢て、批判的に。
議論は様々な観点があってこそ成立するかと思いますので、ここは敢えて僕も乗ってみたいと思います。
>群像劇としては最低。
条件付にて同意です。
確かに『サニーボーイ』は群像劇らしく、様々な人物が登場し、それぞれの観点で物語が進められる場面もありましたが、第11話以降は長良の観点に集約されてしまい、彼の成長物語として一本化されました。
この展開のさせ方は確かに群像劇としてはイマイチだったように思います。
また、一部の主要人物の顛末が暗示されるだけで、他の人物の顛末は完全に放り捨てられたのも残念でした。
介錯の余地を多分に残す構成とはいえ、それで片付けるのは少しばかり都合が良すぎる感じもします。
ただ、希の描写で批判するのは少し難しい気はします。
最終回の希が漂流中の彼女と同じパーソナリティを有していると断定する描写がないため(記憶の有無に関わらず)、最終回の希の描写だけを見てキャラクター崩壊と見なすのは尚早でしょう(もっとも、キャラクター崩壊を正当化できる設定を卑怯だと批判する余地はあります)
個人的に希はヒロインとして機能しきれない価値があるかと思いますので、あれはあれでよいとは思います。
他方で、希が舞台装置的というご指摘には同意です。
>キャラクターは確かに、アニメーターなり、クリエイターなりが創作したものですが、作品として世に出した時点で、ファンのモノでもあると考えられないでしょうか。
このスタンスはちょっと僕とは違いますね。
僕は作品は作家のモノであり、ファンのものであり、同時に誰のものでもない状態こそが健全だと考えています。
つまりみんな好き勝手に考えていて、お互いに違う考えぶつけあうような状況がいいって感じです。
ただ、作家とファンの関係は作家優位の非対称的な関係が一番だと思いますが。
まぁ、この辺は本筋と逸れるのでこれくらいにしましょう(笑)
>長良の成長物語としても落第点。
別の方のコメントでも書きましたが、僕は長良の結末を逃げエンドとするのはあまり好みではありません。
確かに11話の約束を達成できなかったことは不完全燃焼感が凄まじいですし、それを期待していた方からしたら肩透かしも大きいでしょう。
ただ、あの約束を「まだ果たせない」のは長良らしいと思っています。
そもそも長良は元の世界で幸福に生きていたとはいえない立場であり、人間性も特別強くない等身大の人物です。
そんな彼にとってまずすべきことは、漂流の痕跡がない元の世界を受け容れるところから入るのは想像に難くありません。
それに彼にとって最も大きなイベントは「約束が達成できないリスクを踏まえて未来に投企すること」であり、それを成し遂げることの方が重要な印象もあります。
というか、ここに重点を置かないと、約束を果たせない未来になった場合、長良の成長は永遠に達成されないことになってしまいます。
だからこの場合、重要なのは成果(約束の達成)ではなく、選択とそれに伴う覚悟と見た方が良いような気がします。
そもそも成果に関わらず未来に投企することが重要であると、最終回で提示していたわけですからね。
それもあるので、長良の成長物語として、『サニーボーイ』は十分及第点を取っていると感じています。
ただ、これは個々の好き嫌いによるところかと思います。
「逃げ」と表現するのは好きではないですが、約束の未達成は批判されるべき事柄であることは十分理解できます。
かくいう僕も、成長物語としては及第点と思っていますが、好みかといわれるとそうではありません(笑)
個人的には押井守の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を思い出したりもしました。
cooさんコメントありがとうございます!
>個人的には押井守の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を思い出したりもしました。
あー、ループものの元祖ですね。
映像持っているんですけど見たことない…(笑)
ただ、ループ的な世界からの脱却という意味では、『サニーボーイ』と通底している感じはします。
朝風、おまえなのか。
なぜ、おまえなのか。
どうも、
嫌いなものは『イケメン』
好きな言葉は『リア充死ね』
心はいつでも14才の少年
うどんです(^^)/
最終話が来ましたね、gatoさんも執筆おつかれさまでした。
途中から引き継ぐ形での『誰かの』ムチャ振りにも臆することなく、大変に読み応えがありました。
楽しく読ませていただき感謝です。
→
…未回収の伏線?
それしかないでしょう!
ホントにコレですよね。
お腹抱えて笑っちゃいました(^^)
——————–
私の個人的に気になったのは
『ホントにこの子は希なのかな?』です。
髪もベリーショートからショートボブっぽくなってますし、全体的に丸っこくなってませんか?体も性格も。
この世界に行く前の希ちゃんは…転校初日に教科書を破りつつ「君もやる?」、鳥を見殺した長良くんに「ホントは、どこにも行くところないんでしょう?」と詰め寄る猛者、豪傑でした。
もう問題児感がハンパなくて…この子はやべぇ。
上手く言えないけどもやべぇ。って思ってました。
この世界に行ってからも、見殺し長良くんに『だけ』話しかけてきます。
「誰かに見捨てられることが、誰かを見捨てることにはならないのよ。」(←誰に言わされてるの?)
その後は屋上まで見殺し長良くんの手を引っ張って来て準備運動。
疾風のように屋上を駆け上がり…飛び降ります!
ちょ…待って!やべぇって!
ここで見殺し長良くんが汗だか泣きべそだかをかきながら、希の手を取り…新しいこの世界を作って希を助け?ます。
この時点で見殺し長良くんは、お助け長良くんに変わってるんですよね。
あの頃のエッジの利いた希ちゃんとは別人の気がします。
そもそも、朝風を待ってて見つけた時に小走りで寄ってく様な子でしたっけ?
朝風ーーッ!こっちこっち!
って逆に呼びつける印象でした。
体躯も2年ほど経ってるはずなのに逆に幼くなってませんか?
陸上部のエースみたいな手足の長い精悍な躰つきだったのに。
駅で朝風に走り寄る姿は文化部のポテポテ走る、その感じなんですよね。
いや、可愛くはあるんですが…
でも笑顔はそのままで、ちょっと嬉しかったです。長良の可能性のサイコロは良い目が出た感じですね。
面長になった長良、丸っこくなった希。
以上の事から、漂流先のこの世界の希は多分に『長良くんの理想の希』が反映されてた気がします。
わたしsonny boyで唯一納得が出来ないのが、初期の希が長良くんにだけガンガン上から美少女を丸出しで覗き込みながら話しかけてる点です。
いゃ、そんな美少女が1日中寝っ転がってるブサイクに話しかけないでしょ!
しかもガンガン手を引っ張って!
どんだけ恵まれてるの!
その後は更にひどく、ツンデレ美少女の瑞穂に後ろから蹴っ飛ばされながら暗幕の捜索をしてるんですよね。
どんだけ恵まれてるの!
手を引き、先をゆく美少女。
後ろから尻を叩き、先を促すツンデレ美少女。
長良くんの漂流での2年はこの『普通ならありえない』ことが起こっています。
その反動での被害者が朝風だとしたら、戻って来た『少し違う』元の世界での朝風も納得が行きます。
もちろん、元の世界ではスローライトが使える事もなく、朝風が「お前、何も出来ないんだから」とか言っちゃう事も無いでしょうし。
漂流世界では文句と嫌味しか言わなかった朝風のセリフも、丸っこくなってますね。
もともと運動神経が良かったのでしょうか、それとも何か努力して来たのでしょうか。
ぜんぜんイケてないポニーにでさえ「パッとしなかった」と言われてた朝風もバスケ部の助っ人が出来る位には信用されてる様です。
顔か?顔なのか。
たしかに朝風の口びるはセクシーだよね。
ちなみに、わたし陸上部のエースの子が好きだったので、初期のエッジが利いた希の方が好きです。←え?誰も聞いてない?
——————–
さて、ゴンドラから元の世界への移動は素晴らしかったですね。
ラジダニの「上ではもっとアナログだけどね」
って走るんですね!アナログの極地!
でもこのシーンが一番好きです。『誰も聞いてない』のに、みんなの近況報告に来てくれるイケメンな朝風も良かったですし。
なんだかんだで『誰も頼んでない』のに手助けもしてくれました。
朝風はハテノ島の穴もそうですが…もしかしたら元来、誰に言われるでもなく、行動で示すタイプのイケメンなのかもしれません。
そして、折れたつばさちゃん、生きてて本当に良かった。
『手の表現』
このsonny boyの良さは『手』にあると思います。
希のなぜか見殺し長良くんを引く手。
瑞穂と長良の仲治りの握手。
やまびこの、こだまと物理的に指切りが出来なかった手。
雪に埋もれた希に差し出す長良の手。
朝風のイケメンな手助け。
はぐれないように、瑞穂を離さない長良の力強い手。
あー、
あとハヤトの指先の光る、無意味な手。
『表情の変化』
今回は、ほとんど瑞穂の表情だけで世界観を作り込んでましたね。
瑞穂の走る姿は、運動が苦手な人が一生懸命に走ると、こうなるよね感。がものすごく出てて良かったです。
時々つまずきそうになりながら。
途中、不安な表情になったり、泣きそうな顔をしたり。
ずっと長良の方を見てるのも印象的でした。
手をつないでからは、ちょっと驚いた表情したり、頼れる人を見る羨望の眼差しだったり、ちょっと嬉しそうだったり。
ここがあの「大丈夫だよ。」
「あの島での長良が少しでも残ってるなら大丈夫だよ。」
に繋がってると思います。
この時の長良くんは、間違いなくイケメンでした。
自分の意志で、自分の足で走り抜ける。
ちょっと不安なツンデレ美少女の手を引き寄せながら。
くぅーーっ、あの1日中寝っ転がってるブサイクも、行動が変わるだけで、めっちゃ雰囲気イケメンに変わりますね。
——————–
戻って来た2人には、元の世界はめっちゃ普通でしたね。
バットエンドでもハッピーエンドでもない、普通。
ロウルートでもカオスルートでもなく、ニュートラル。
普通に人が死んで、後悔が残ったりする普通の世界。
美少女には普通にイケメンの彼氏がいて話しかけるスキも少ない
(もうちょいがんばれ)
(彼氏がいても友達にはなれるでしょ)
(そもそも朝風にも話しかけようよ)
(あの時のイケメン長良くん、どこいった)。
それにしても『全てを無くした』瑞穂のことを想うと胸がキュンとなります。
「私もバイトしようかな、部屋を借りて猫たちを引き取って。」
これ、取りようによっては…
「いいね、それ。一緒にやろうよ。」
ってセリフ待ちなんじゃないの?
瑞穂と長良くんが一緒に住んでニャンコ達とソコソコ楽しく暮らすの、見たかったゾ。
コレに「ヤラないで済むならヤラない方がいい」
とか言っちゃうのが長良が長良くんたる、ゆえんなのでしょうが…
思えば朝風の
「一緒に来いよ、長良も」のセリフに
「私は…どうしようかなー…」って希は長良の方をめっちゃ見てるのに、何も言わなかった長良くん、そのものですよね。
そりゃ、ひとりで2週間以上も過ごしちゃいますよ。
あんだけガンガン私から話しかけてるのに長良くんは何も言わない。
——————–
ところで、バイト先のゴミ置き場の、雰囲気しかない女の子。
この子、元の世界へ走り抜ける途中に、一瞬だけ今まで出てきてない女の子のカットインが入りますが…その子に似てる気がします。
意外と、様々な可能性の中で『この世界』の記憶を持った人間は居るのかもしれませんね。
外から見たら『共通の長い夢』の記憶を持った2人ですからね、瑞穂と長良くんは。
もしかして、朝風も希も実は覚えてて
「これで良かったのか?」
「いいのよ、あいつはいつも受け身なんだから、自分から動くまで待ってるの!」
とか話してたら面白いと思いました。
どちらかと言えば、希は攻められたい派。
——————–
とてもギミックの利いた
複雑に見える物語ですが…
本当にシンプルでまっすぐなメッセージしかない作品でしたね。
私は11話、ラジダニの
「なんの意味もないこの世界だけども、でも時折素敵な事が起こる」
「だから僕らはやって行ける」
長良のさいごのセリフ
「人生はまだまだこれからだ」
をこの作品のメッセージとして強く感じました。
最終話にはエンディングがなくて『少年少女』の弾き語りで終わるのが、とても良かったです。
全ての過去作を超えて、一番好きな作品になりました。
20〜30年くらいは歳月による風化にも耐えうる作品なのではないんでしょうか。
ここでgatoさんと出会えたのも
『時折素敵な事が起こる』
その一つかもしれません。
昨今ではYouTubeでの感想を上げてる方も多いですが、やっぱりこういうのはまだまだブログの方が楽しいです。
ブログってやっぱり最高ですね。
コメ返も楽しみにしています(^^)/
ありがとうございました!
またどこかでお目にかかりましょう。
うどん。さんコメントありがとうございます!
>最終話が来ましたね、gatoさんも執筆おつかれさまでした。
もったいないお言葉、誠に恐れ入ります。
ムチャ振りとは思っていなかったですが、思った以上のややこしさで軽はずみに引き受けたことをちょっと後悔しました(笑)
>私の個人的に気になったのは『ホントにこの子は希なのかな?』です。
まぁそこは尽きない疑問ですよね…。
僕はどちらかというと「この世界」での希とある程度同じだと考えていますが、「この世界」である種のカリスマ性を発揮していた頃と比べると、別人のように「普通の女の子」になっている感じは否めません。
その差分が、元の世界と「この世界」の彼女を分ける一線なんでしょうね。
>以上の事から、漂流先のこの世界の希は多分に『長良くんの理想の希』が反映されてた気がします。
このご指摘は面白いですね。
実際、可能性を「振り直した」のは長良ですし。
最終回で描写された元の世界での希は「生存」という最大の逆転を果たしていますし、彼女なりに楽しく、幸福に生きている感じがしました。
長良との関係こそ希薄でしたが、彼のことはちゃんと記憶しており、十分にこの先も良好な関係を築ける余地はあったように見えます。
そんな彼女が生存していただけでも、十分長良の理想は実現したといえるでしょうね。
>わたしsonny boyで唯一納得が出来ないのが、初期の希が長良くんにだけガンガン上から美少女を丸出しで覗き込みながら話しかけてる点です。
だ、だってアニメだし…(震え声)
ただ、それをもって「普通ならありえないこと」と評するのは同意です。
今までの彼だったら、希とも瑞穂とも良好な関係を築けなかったでしょうけど、「この世界」において彼はそれを実現しました。
そしてその経験を「起こり得ることしか起こらない」元の世界に持ち帰ることができたからこそ、長良は前向きに生きられるようになったのかもしれません。
>朝風はハテノ島の穴もそうですが…もしかしたら元来、誰に言われるでもなく、行動で示すタイプのイケメンなのかもしれません。
珍しく朝風に肯定的な意見が(笑)
確かに、朝風はわりと行動的で、思い立ったら実現に移しているような印象があります。
そんな彼が「この世界」で駄目になってしまったのは、救世主という重すぎる荷を背負ってしまったからかもしれません。
身の丈以上の称号を与えられ、それに徹しようとしたばかりに、本来の自分とのギャップが広がって、あんな感じになっちゃったんでしょうね。
>コレに「ヤラないで済むならヤラない方がいい」とか言っちゃうのが長良が長良くんたる、ゆえんなのでしょうが…
確かに、終始長良は鈍感というか…色恋が下手ですよね(笑)
ロケットに乗って旅立った後も、あんだけ瑞穂と二人きりで狭い空間にいたのに、全然そういう気配ないし(笑)
まぁ恋愛に絡めない人間関係を作るからこそ、長良は長良というのもわかりますけど(笑)
>意外と、様々な可能性の中で『この世界』の記憶を持った人間は居るのかもしれませんね。
それは正直思っていました(だから朝風帰還説を唱えてみたりしたんですが)
「この世界」から脱出せずに何千年もいる人間が多いのは、恐らく元の世界を目指さなくなっているからであって、実際に元の世界へ戻るのはそこまで難しくない気がします。
それに「この世界」でお尋ね者になっていた長良が帰還に成功したとなれば、それなりに「この世界」で話題になるでしょうし、後に続く者がいてもいいでしょう。
そう考えると、あの雰囲気しかない女の子が「この世界」からの帰還者と考えるもありでしょうね。
というか、そうでもないとあの雰囲気は説明できない(笑)
>本当にシンプルでまっすぐなメッセージしかない作品でしたね。
だからこそ普遍的に、世代を選ばず見られる要素があると思います。
ただ世代は選ばないけど、人は選ぶみたいな感じですけど(笑)
>ここでgatoさんと出会えたのも『時折素敵な事が起こる』その一つかもしれません。
そう仰っていただくと気恥ずかしいですけども(笑)
とはいえ、こうやって記事を書いていて、色んな方にコメントをいただけるのは僕にとってもささやかな喜びですね。
>昨今ではYouTubeでの感想を上げてる方も多いですが、やっぱりこういうのはまだまだブログの方が楽しいです。
僕は口下手なので書く方がまだ気楽ですね(まぁ書くのが特別上手いわけではないですけども)。
YouTubeのような動画でやるのも面白いですけど、やっぱり書く方がじっくり整理できますしね。
>ありがとうございました!またどこかでお目にかかりましょう。
こちらこそ!
またお声かけいただけると幸いです。
少し、自分の頭が整理できてきたので再びこちらへ書き込もうと思います。
いろいろ語りたいところは多いのですが、文章量が半端なくなるので、主にエンディングについて自分の考えを述べさせて頂きます。(でも短くならなくてすんません)
このお話は飛べない鳥と言う重要な要素が数回登場しており、その事を突き詰める事によりエンディングの意味を考えました。
地面に落ちた鳥は 命や弱者 のメタファーと自分は感じており、希と長良とのエピソードでは3回程登場していると思います。
2度目、ハテノ島で死んだカモメに対し、何も出来ない長良にむかって希は「誰かに見捨てられた事が、何かを見捨てて良い理由にはならない」と言っています。
親に見捨てられていた彼には厳しい言葉です。
弱った命を見捨てておけないと言う希のキャラクターを強調するエピソードだったとも思います。命の限りが近い彼女だからこその強い思いです。
そこで最後の鳥、 親を失い、巣から落ちた燕のヒナ
この鳥も既に希が救っていました。やはり希は希です。
このヒナ、実は 漂流前の長良自身を表現する存在なのでは?
他の鳥は死にそうな成鳥だったのが、最後のこれはヒナであったのも特徴的です。
これで自分は、なぜ希はあの冴えない長良と一緒に居たのか?と言う、最大の疑問が分かったような気がしました。
彼女は教師に助けを求めて職員室に居た彼を目撃しています。だから彼に寄り添い心配し、見守って居たと言う事だったのではないでしょうか。
ここまでくると希が長良の事を本当はどう思っていたのか?が想像できます。
そう、希の長良に対する思いは 愛 ではありましたが、恋愛ではない博愛に近い感情だったのでは?と。
対して、長良は終盤には完全に希を 愛 してしまっていたのではないでしょうか?
結果、長良はもの凄い事を成し遂げます。
希が病死しない世界にサイコロを振りなおす事に成功し、彼女を救う事に成功したのだから。 これが 愛 じゃなければ何なのよ?ですよ。
希の望んだ世界で見つけた彼女は、当然長良との約束は知らない別の人でした、でもヒナを気にかけて命を大切にする気持ちは相変わらずです。(病気も克服したような)
そして、あの朝風と一緒に居た。そして、その彼女がやはりヒナを助け、笑っているのを見た時に、長良は彼女の本当の気持ちに気づいちゃった。
つまり、勘違いに気づき目が覚めたんじゃね?
彼女がくれた 愛 は好きな男に注がれたものではなく、ヒナの様に弱っていた自分に注がれた 博愛 だったと。
側に居たのは朝風で、自分では無い。既に、長良は希の助けが要らない存在に成ってしまっていたので、その様に修正されてしまったのでは?
物語後半、瑞穂と一緒に墓地へ行き、希が死んでない事を確認、最後に瑞穂から大丈夫だと太鼓判を貰います。恐らく、今度逢ったら約束の言葉を伝えようとすら思ったかも。(これは自分の想像です。)
ここで思い出すのは、やまびこ と こだま のエピソードです。
あの出来事をふまえて考えるに、希が長良に対して本当に望んだ事は、
ただ希と一緒に居る事ではなく、現実と向き合い長良自身の人生を強く生きる男になる!これだったのではないかと?
戻ったラジダニが瑞穂と語った話もこれと少し似ていると思います。
希の望んだ世界で、彼が成すべきは、自身の現実と向き合い生きる事。ただ希と一緒に居る事ではない。という事に長良が気が付いた、と言うのが自分の結論です。
今一度見直すと、希の言った約束は、まだ弱い長良だったらまた友達になろう!ともとれます。
エンディングの意味は見る人で変わると監督もおっしゃっていたので、人それぞれとは思いますが、自分には切ないけど力強い終わり方だったと思います。
おまけは朝風について、希は漂流の時点では尊敬できない朝風とは付き合えないといっていました。だから、あのちょっと変わったように見えた朝風が、希が尊敬できる様な男になっていたのでしょうかね?個人的には、希の庇護の対象で無くなってしまった長良のポジションに滑り込んでいるだけとも思えるのですけど・・憎めない奴だけどね。
でも、長良ってやっぱり理系男子だったのね。(工業高校行ってるっぽい)
将来有望だよ、だってラジダニの助けがあったとしても、あんな計画作れるし、観測すら難しい量子力学とか相対性理論かその辺のものを体験してしまってるんだから凄い
!将来、物凄い大学の研究室とかに入って、ラジダニと再会とか妄想しちゃう。
とにかく 長良に幸あれ(もちろん瑞穂も)
最後にgatoさん、お疲れ様でした。周りでも、家族ですらこれについて話す人居ないので、この場が救いとなりスッキリしました。ありがとう、まだどこかで。
生姜山盛りさんコメントありがとうございます!
>いろいろ語りたいところは多いのですが、文章量が半端なくなるので、主にエンディングについて自分の考えを述べさせて頂きます。(でも短くならなくてすんません)
まぁこっちも1万字近い文字数で記事書いているので、あんまり人の声は言えません(笑)
>地面に落ちた鳥は 命や弱者 のメタファーと自分は感じており、希と長良とのエピソードでは3回程登場していると思います。
僕は「困難にぶつかった長良」と捉えましたが、その捉え方もありだと思います。
とりわけ「弱者」という見方は面白いですね。
また、長良は自分がそうであるために鳥を救えない、一方で希は自分がそうであるために救おうとする対比は興味深いです。
>この鳥も既に希が救っていました。やはり希は希です。
僕もこの点において、元の世界の希が漂流中の希と重なると判断しました。
飛べない鳥を助けるところに、最大の希らしさを感じます。
>他の鳥は死にそうな成鳥だったのが、最後のこれはヒナであったのも特徴的です。
成鳥と雛の違いはすっかり抜けていましたね…。
漂流前の長良と成鳥を重ねるのはかなりアリだと思います。
漂流前・漂流初期は上手く生きられず、まさに息絶え絶えだったのに対し、漂流後は飛べずともこれから飛ぶ可能性を秘めている…。
長良の変化を端的に示している気がします。
>そう、希の長良に対する思いは 愛 ではありましたが、恋愛ではない博愛に近い感情だったのでは?
そこは同感です。
希は特定の誰かに入れ込むというより、誰にでも分け隔てなく同じように真っ直ぐに向き合えるのが最大の特徴だと思います(個人的には博愛より「友愛」といいたいですね)。
だからこそ、長良が本来目指すべきは希のように誰に対しても手を差し伸べられる姿なわけですが…。
そう考えると、長良が恋愛感情とか抜きで、瑞穂に手を差し伸べたのは希の影響が多少なりともあるのかなと思います。
>既に、長良は希の助けが要らない存在に成ってしまっていたので、その様に修正されてしまったのでは?
その解釈はありですねぇ…。
いや、結構好きです(笑)
希が手を差し伸べなくても、すでに飛べるようになっていたと考えると、希とほとんど接触しないオチにも筋が通る気がします。
もし長良が鳥なのだとしたら、すでに彼は「元の世界への帰還」という形で、飛び立っていますからね。
>ただ希と一緒に居る事ではなく、現実と向き合い長良自身の人生を強く生きる男になる!
ここでのぞみとやまびこの関係を重ねるのは面白いですね。
長良は傍にい続けられなかったからこそ外に出られたのに対し、やまびこはこだまの傍にい続けたからこそ外に出られなくなった。
この対比は物語の根幹にもつながると思います。
>希の望んだ世界で、彼が成すべきは、自身の現実と向き合い生きる事。ただ希と一緒に居る事ではない。という事に長良が気が付いた、と言うのが自分の結論です。
この先の長良が希の関係は想像に委ねるしかありませんが、その結論は非常にありだと思います。
やまびことこだまのエピソードも踏まえ、長良が既に希に助けられる鳥ではないというのなら、彼が希と軽く言葉を交わしただけで去れたのは、そういった気づきがあったと捉えられるでしょう。
>だから、あのちょっと変わったように見えた朝風が、希が尊敬できる様な男になっていたのでしょうかね?
うーん、「尊敬」の定義にもよりますが、個人的にはむしろ「余計なことを考えずに普通に付き合える」ような関係になれたことが大きいのかなと思います。
個人的に希が付き合える相手というと、優しさを発揮しなくていい、お互いに上手く労わり合える関係を築けるような人物をイメージします。
誰に対しても優しく手を差し伸べられる彼女だからこそ、変に気づかわずにシンプルに向き合える相手=ちゃんと自立した人間こそ彼女の尊敬に足る人物…って感じですかね。
そうだとしたら、あの朝風は弱い人間というより、飛べる人間なのではないでしょうか。
>将来、物凄い大学の研究室とかに入って、ラジダニと再会とか妄想しちゃう。
『ペンギン・ハイウェイ』のアオヤマの将来みたいですね(笑)
>周りでも、家族ですらこれについて話す人居ないので、この場が救いとなりスッキリしました。
そんな形でお役に立てて、恐縮の至りです。
お気持ちはよくわかりますので、そんな場になれたことは光栄ですね。
またご縁があったら、いつでもお声かけください。
元の世界では希は何かしらの理由で二年後のうちに亡くなり、
「この世界」では朝風の手にかかって亡くなる。
こうなると、元の世界での亡くなる原因も朝風なんじゃないかって思います。
付き合いだしたけれど、関係を持つ内に朝風の内面を見透かされ、別れ話を切り出されて……、と。
希が望んだ後の世界は、恐らく元の世界と何も変わらないと思います。
変化を望んだけれど、変化を求めなかった。
なのになぜ、後の世界は未来が変わったのか。
それは「この世界」の最後で、朝風が長良達と向き合った事で、自分の内面を認めたことが影響しているのではと考えます。
何も変わらなかったけれど、何かが変わったのが、後の世界であると。
ウラシマ効果で変化のない長良のコンパスと、悠久の時を共に過ごした朝風のコンパスの関係も気になる所です。
たまごさんコメントありがとうございます!
>こうなると、元の世界での亡くなる原因も朝風なんじゃないかって思います。
変化のない、それこそ「この世界」での朝風の人間性がそのままであったなら、さもありなん…といえるかもしれません。
ただ、「この世界」での朝風は故意というより、事故で希を能力遺物にしてしまった感じがしますので、過失致タヒ的な感じで希の命を奪った状況なのかなと思ったりします。
まぁ個人的に朝風嫌いじゃないので、あまり悪役にしたくない感情が入っちゃってますけど(笑)
>希が望んだ後の世界は、恐らく元の世界と何も変わらないと思います。
あー、その解釈は結構面白いですね。
確かに希は世界や未来を願望に基づいて積極的に変化させようとする印象はありませんね。
ただ、彼女は世界や現実に対して、真正面から向き合いたかったのかもしれませんね。
>それは「この世界」の最後で、朝風が長良達と向き合った事で、自分の内面を認めたことが影響しているのではと考えます。
あーなるほどー!
これは、とてもいいですね(笑)
だとしたら、朝風に付けられた「救世主」はヴォイスの指示通りに力を発揮する者ではなく、元の世界の未来を革新するところにあったりするのかな…。
いずれにせよ、ラストで朝風の様には意味があると思いたいですね。
はじめまして。
Twitterで感想を探していたところ、こちらのサイトを知りました。
「一度も彼女自身の内情が描写されていないという点」
この部分は、戻った世界の希とコンパスになった希の対比演出のように感じました。同一人物だけど、違う世界の希ですよ、みたいな。
「朝風の見送り~戻った世界での朝風」
私はここはすごく切なく、でもよかったなと思いました。
難しい理論は分からないので、すっごく単純な考え方ですが。光速を超えた長良に対し、漂流世界はその分時間が経っていて朝風はやまびこより長く漂流世界を生きた。
朝風は漂流世界にとどまりクラスメイトを見守っていたというか、見届けた。
その朝風が長良たちの選択も見守り、オリジナルの希(コンパス)を渡すところは、切なかったです。漂流世界での唯一の希なのに、これも連れて行け、って朝風はここに残るんだなって…。
そんな朝風が戻った世界で希と仲良くしているのは、漂流世界の朝風の本来の希望が形になっていてよかったなと思います。
コンパスをもらっていなかったら、たぶん長良の手元にコンパスは残らず、漂流世界が夢物語になってしまっていたかもしれない。
漂流世界での希を残してくれたおかげで、長良も瑞穂も戻った世界でも内面を成長させたまま帰れたと思います。
そんな朝風が希と結ばれ(?)たのは素直によかったね!と思うと同時に、漂流世界の朝風…(´;ω;`)ウッ…って感じで、この対比が本当切ないです。
ラジダニの話で死の発明家がありましたが、これ絶対ホシだよな、と思っていて(かたくなに左目を写さないカット、髪形・瞳などの雰囲気から)そんなホシのもとに骨折が行った、とのセリフにぞっとしました。
死の発明の犠牲になったのか、衝動がなくなって一種の死の概念になったホシに寄り添ってるのか…
総括してすごく面白かったです。
長良はコンパスという形に見える希望があるから、きっと強く生きていけると思います。何かのタイミングで、希とも友達になれるだろうなって。
すごく偏った感想&散文で申し訳ないです。
サマンサさんコメントありがとうございます!
>Twitterで感想を探していたところ、こちらのサイトを知りました。
Twitterで流れているとは…ちょっと怖い(笑)
何はともあれ、見つけて頂いてありがとうございます!
>この部分は、戻った世界の希とコンパスになった希の対比演出のように感じました。
同意です。
むしろ内部を描かないからこそ、元の世界の別の希なのか、「この世界」の希なのか、不透明な感じが強調されますね。
>漂流世界での唯一の希なのに、これも連れて行け、って朝風はここに残るんだなって…。
あ~!
非常に面白い感想ですね。
仰るように、朝風はクラスメイトのそれぞれの顛末を見届けたことを示唆していますが、その過程で一人で残ることを選択できています。
朝風はつばさが見抜いたように、誰かを踏み台にして自分を誇示するなど、ある意味「一人でいられない」人間性でした。
そんな彼が孤独を選び、なおかつあれだけ固執した希=コンパスを手離し、よりにもよって見下していた長良に手渡した。
そこに朝風の並々ならぬ決意を感じますね。
サマンサさんのご感想で朝風の場面の印象がだいぶ変わりましたね。
仰るように、とても切ない場面と見ることができます。
>そんな朝風が戻った世界で希と仲良くしているのは、漂流世界の朝風の本来の希望が形になっていてよかったなと思います。
正直、朝風はわりと嫌われ者なので(笑)、朝風寄りの見方は新鮮でいいですね。
朝風視点で見た場合、希と良い関係になれたのは、真正面から彼女にフラれ、なおかつ希=コンパスを手離し、孤独を選べたことに起因しているかもしれません。
>漂流世界での希を残してくれたおかげで、長良も瑞穂も戻った世界でも内面を成長させたまま帰れたと思います
この点を踏まえると、朝風の行為が長良が振り直した未来に影響していることともいえそうですね。
実質的に彼は「この世界」に残ることで自ら長良と瑞穂が元の世界に戻る礎になったって感じでしょうか。
そう考えると、希と付き合える未来に入ったことで、少しは朝風も報われているのかな…。
>そんな朝風が希と結ばれ(?)たのは素直によかったね!と思うと同時に、漂流世界の朝風…(´;ω;`)ウッ…って感じで、この対比が本当切ないです。
マジでそれですよね(笑)
サンタナさんのおかげで、今更ながらすごい切なくなってきました(笑)
>ラジダニの話で死の発明家がありましたが、これ絶対ホシだよな、と思っていて(かたくなに左目を写さないカット、髪形・瞳などの雰囲気から)そんなホシのもとに骨折が行った、とのセリフにぞっとしました。
正直、タヒの発明家=星説は僕も考えたのですが、まがりなりにも希望を持って旅立った彼が闇落ちしていると考えるのはちょっとなー…って感じですね。
というか、タヒの発明家が彼なら、朝風はつばさが星の元に行くのを止めなかったってことになりますね。
それはそれで…どうなんだろうか(笑)
返信ありがとうございます!
あんな拙い文を解析していただいて感謝…!!!
他の方の感想見ていて気づきました。視聴者から朝風あんまり好かれてないんですね笑
私は朝風好きだった…。
ちょっとした挫折で自分で軌道修正できなくなってあんな風にぐれてるの、中学生らしいじゃないですか(^^)←
逆に、希がまっすぐ過ぎて、軸がぶれなさ過ぎて、どう生きてきたら、どんな環境で育ったらあんな風になるんだ…?と変に怖かったです。
方舟でみんなを導いていった星ですが、あの回で思ったのは
その”みんな”がいなくなったらこの人はどうなっちゃうんだろう、という感想でした。
カリスマ性があって、自分だけに聞こえる声のためにみんなを誘導して、そこまでする彼が、導く対象がなくなったときその衝動はどこに向かうんだろう。と。
そう…もし本当に星=タヒの発明家だとしたら、数千年生きた(?)朝風はそれを止める精神性はなくなってたんじゃないかな、とかまた朝風寄りの解釈をしてしまいます笑
gatoさんとお話しできて、私自身の感想・解釈がより深まりました。
ありがとうございます!(^^)!
サマンサさんコメントありがとうございます!
>あんな拙い文を解析していただいて感謝…!!!
解析というほどではないですけど(笑)
僕としても共感できるところが多かったので、色々お答えさせていただきました。
>ちょっとした挫折で自分で軌道修正できなくなってあんな風にぐれてるの、中学生らしいじゃないですか(^^)←
すごいわかります(笑)
あの無軌道さと承認欲求の強さが等身大で、ある意味安心して中学生だと思えます(笑)
ただ、そんな彼だからこそ長良を助ける人間性を持つ伸びしろがあり、その成長の振れ幅にこそ価値を感じますね。
それも変に「大人になった」というよりも、彼なりに、年相応に悟ったところが、僕はわりと好みです。
>逆に、希がまっすぐ過ぎて、軸がぶれなさ過ぎて、どう生きてきたら、どんな環境で育ったらあんな風になるんだ…?と変に怖かったです。
正直、同じことは思いました(笑)
希はあの作品におけるテーマ性の象徴みたいなものなので、ある種の達観と「ブレなさ」は身に付けておかなきゃいけない立場なんですけども…。
でもあそこまでぶれない人間性を持っていると、一周回って人間味を感じにくいですよね(笑)
ただ、彼女のルックスは結構好きですし、あのキャラクターも憧れる気持ちはよくわかります。
>方舟でみんなを導いていった星ですが、あの回で思ったのはその”みんな”がいなくなったらこの人はどうなっちゃうんだろう、という感想でした。
その意味では星は成長前の朝風に近い感じになりますね。
確かにその方向の解釈はありかと思います。
ただ、星はポニーの不正を見過ごすことで利用するなど、互いに秘密を持つ形で周囲との関係を気づく傾向があった印象です。
やっていることはネガティブですが、裏を返すと「腹を割った関係性を築いている」ともいえなくもありません。
これを「他人との向き合い方」と考えると、一方的に自分のすごさを認めさせ、自分のダメさをひた隠しにしていた朝風とはちょっと違うベクトルな気はします。
>そう…もし本当に星=タヒの発明家だとしたら、数千年生きた(?)朝風はそれを止める精神性はなくなってたんじゃないかな、とかまた朝風寄りの解釈をしてしまいます笑
この場合、朝風の達観性は「誰かを見送る」というより「誰かを傍観する」という印象ですね。
それこそ長良達と交流しても人間性を失い続け、最終的に完全に犬になったやまびこみたいな感じかな…。
うーん、個人的に朝風の変化はもっとポジティブなものであってほしい(笑)
>gatoさんとお話しできて、私自身の感想・解釈がより深まりました。
恐れ入ります。
お役に立てたなら幸いです。。
サニーボーイ視聴後あまりに理解不能な点が多くこちらに辿り着きました。
軽労働で不自由なく生活出来る理想郷を捨てる理由が全く分からず、希が生きている世界に行くためとしても自分が生きる世界の範囲で希が生きている事を選んだだけの現実逃避にしか感じられず、また理想郷を捨てる程の関係性とも感じませんでした。
しかし停滞が死と同列という価値観であれば飲み込める部分もあります。が、あくまでレトリックであり死は停滞とは全く異質だというのが個人的な感覚で、停滞が死というのはナイーブ過ぎるよう感じます。まあ学生の話だからと言われればそれはそうですが。
全体的にぬるま湯漂流生活で成長を謳われても首を傾げざるを得ないというのが率直な感想で異世界の舞台設定がテーマから説得力を奪っているように思えます。現実の方が遥かに無慈悲です。
ただ映像作品としては興味深かったです。またgatoさんという知性溢れる素晴らしい論客の意見を伺える場を見つける契機となったことに感謝します。
ぽにぽにさんコメントありがとうございます!
>軽労働で不自由なく生活出来る理想郷を捨てる理由が全く分からず、希が生きている世界に行くためとしても自分が生きる世界の範囲で希が生きている事を選んだだけの現実逃避にしか感じられず、また理想郷を捨てる程の関係性とも感じませんでした。
「この世界」を理想郷と捉える気持ちは正直よくわかります。
実際、僕も行きたい気持ちがないわけではない(笑)
「この世界」での体験を実感するのは難しいですが、個人的にあそこで過ごす時間が100年、1000年となってくると理想郷と思えなくなるのはそれなりに想像できます。
そもそも人間は100年はまだしも、1000年も生きられるようにデザインされている生き物ではないですからね。
通常の人間の一生の時間で「この世界」を過ごすならそれこそ理想郷かもしれませんが、やまびこのように5000年も生きるようなことになると、終わらない生を歩まされる世界を理想郷とするのは少し難しいかもしれません。
>が、あくまでレトリックであり死は停滞とは全く異質だというのが個人的な感覚で、停滞が死というのはナイーブ過ぎるよう感じます。まあ学生の話だからと言われればそれはそうですが。
別の記事で「この世界」におけるタヒに仰るような停滞を含めていますが、ご指摘通りタヒと停滞は完全に同一というわけではありません。
停滞は作中で示唆されているように精神のタヒですが、個人的にはそれは精神が無になっているというより、「動」を失くした状態と捉えています。
人間の精神は自分でも制御できない感情の乱れや突発的に発生する衝動があるものですが、そのようなものが一切なく、全く動かない…それが作中における停滞って感じですかね。
>全体的にぬるま湯漂流生活で成長を謳われても首を傾げざるを得ないというのが率直な感想で異世界の舞台設定がテーマから説得力を奪っているように思えます。
正直、仰るような側面は否定できないかと思います(笑)
ただ、あの漂流生活の意義は停滞に加え、元の世界=社会から隔離されていることも重要な意義のように想えます。
「この世界」は過ごすうえで気を付けなければならないポイントはあるものの、様々な可能性を行使できる場所です。
しかし、それはヴォイスが管理する箱庭めいた安全圏の中での話であり、そんな場所で可能性を本当の意味で生かすことはできません。
だってあの世界で色んな可能性に触れたところで、自我の根源を育んた元の世界に干渉することはできないですからね。
その結果、静止した世界でただ可能性に触れて、本当に変えたかった「元の世界での未来」を放置することになる。
つまり「この世界」に留まり続けることは可能性を飼い殺しにしてしまうだけというわけです。
可能性を活かすなら、何らかの形で「元の世界」にコミットしていかなければならない。
でも「元の世界」はぽにぽにさんのおっしゃる通り無慈悲で、「この世界」以上に思い通りにならない。
それをわかったうえで、自分の可能性を正しい形で活かし、未来に投企できるか。
作中の漂流生活を経験したことによる成長が、このゴールに向かうものであるならば、個人的にはそれなりに価値があるように想えます。
>またgatoさんという知性溢れる素晴らしい論客の意見を伺える場を見つける契機となったことに感謝します。
いささか過剰な評価を頂いてしまって恐縮です(笑)
自分がやっていることは俗にいう批評の真似事みたいなものなので、そこまで価値はないと思っていますが…。
そう仰っていただけるだけでも幸いです。
初コメです。
二年間の休暇、最終話に相応しくいいタイトルでした。休暇と言うとバカンス的な楽観的思考の元、悠々自適に過ごす印象を受けますが、最終的にはこの世界で過ごした学生達はそれぞれが考え、独自の未来への投企をしていた訳ですね。
モラトリアム期間(学生のうち)をどう過ごすべきかが大事であることを改めて考えさせられました。既に執行猶予期間を解かれ毎日社畜生活を送るサラリーマンの私にとっては、今の現実をここから新たに振り出せる可能性の幅が狭くなっていると感じ少し寂しくも有りました。学生のうちにもっと来たる未来に向けて、可能性を広げておくべきでした。
しかしながら、まだ私にも振り出せるチャンスがあるんじゃないかとも思えました。考察にも書かれてましたが「世界は変えられないが未来は変えられる。」今後も、様々な取捨選択を迫られ人生が分岐していくことは明確です。その時に、少しでも自分の選択肢の幅が増え、より良い分岐して行けるように生きてみようかなと思います。
どんよりと感情が静止したまま、歳だけ老いていく生活を何年か送り過ごしていましたが、、、もう一度、青春してます!!
20代独身サラリーマンさんコメントありがとうございます!
>二年間の休暇、最終話に相応しくいいタイトルでした。
元ネタは漂流ものの小説らしいですね。
肝心のその小説は読んだことがないので、今作と照らし合わせることは難しいですが、仰るように一度世界から隔離され、モラトリアムを通じて未来に投企していくという筋書きの感じはしますね。
>モラトリアム期間(学生のうち)をどう過ごすべきかが大事であることを改めて考えさせられました。
まぁモラトリアムはモラトリアムと認識しない内に、いつの間にか過ぎ去ってしまい、そしてそのことを後悔することも含めてモラトリアムだと思うので、致し方ないでしょうね。
僕も同じような後悔がありますし、恐らく『サニーボーイ』の制作陣も同様でしょう。
>その時に、少しでも自分の選択肢の幅が増え、より良い分岐して行けるように生きてみようかなと思います。
20代独身サラリーマンさんがそう感じられたのなら、僕の記事がというより、『サニーボーイ』がそう感じさせたんでしょうね。
ただ、選択に対して常に気構えているよりも、然るべき時に誠実に選択肢と向き合えるかがどうかも重要な気がします。
>どんよりと感情が静止したまま、歳だけ老いていく生活を何年か送り過ごしていましたが、、、もう一度、青春してます!!
『エア・ギア』って漫画で引用されていたサミュエル・ウルマンの言葉に、「青春は人生の一時期のことではなく、心の在り方のことだ」なんてものがありましたね。
「飛べるようになるまで、私が面倒みようかな」
希は一貫して誰かのコンパスであると…確かに腑に落ちました。
物語序盤は長良のコンパスとして、そして最後は2年の漂流を経て成長した長良からは離れてまだ危うい朝風のコンパスとして。
約束が守られず友達にすらならなかったのは解釈の余地が残りますが、それでも希の行動原理は一貫してましたね。
エフさんコメントありがとうございます!
>物語序盤は長良のコンパスとして、そして最後は2年の漂流を経て成長した長良からは離れてまだ危うい朝風のコンパスとして。
すごい聖女感が出ちゃいますけど、「まだ危うい朝風のコンパスを担っている」と考えると、ラストで彼女が朝風と付き合っているのも腑に落ちそうな感じがしますね。
彼女は道に迷う青少年の道標となり続ける…みたいな。
それが彼女の幸福かどうかは、また別の話ですけども。
>約束が守られず友達にすらならなかったのは解釈の余地が残りますが、それでも希の行動原理は一貫してましたね。
久しぶりにコメントをいただいたのですが、あれから解釈がほとんど進展していなくて申し訳ないです…。
まぁあのラストを見る限り、友達に「なってはいない」けどこれから「なっていける」余地は充分あった印象です。
希からではなく、長良が自分から手を差し伸べていく方向性を見せたことに意義があるのかもしれません。
夏のYouTubeの全話配信で見ました。最初から最後までよく分からないアニメだと思ってました。しかし、ここの感想や考察を読んで、長良はそういえば元の世界にいた時は希に話しかけれなかったんだ。そうか、それが話しかけれるようになったのか。それは大きな変化だ。とか、ラジダニは本当に学生なのか??というレベルで賢いし、思慮深くなんというか成人している私よりも年上のように思えてくる良さを持っているキャラだなー。最後、朝風がラジダニは森になったよと言われた時、なんか無性に嬉しかったなぁ。
朝風のようなやつは他の漫画でも出てくるけど、そうか内と外での自分と他人との壁での虚勢でそうなるのかとか。
ここの考察やコメ欄の人達面白いなぁと思いながら読みました。また、こういう意味が理解できない。けど、続きがすごく気になるというアニメやって欲しいな。
おろし醤油さんコメントありがとうございます!
何年も前に書いた記事ですが、まだコメントがつくとは驚くばかりです(笑)
>長良はそういえば元の世界にいた時は希に話しかけれなかったんだ。そうか、それが話しかけれるようになったのか。
あの世界で長良達に起こった変化は大きいものもあれば、細やかなものもありました。
しかし、そのいずれも各キャラクターの可能性の発露であり、「青春」の顕現といえるのではないでしょうか。
>また、こういう意味が理解できない。けど、続きがすごく気になるというアニメやって欲しいな。
私もそう思います。
単純に伏線を考察するようなものよりも、散りばめられた空白や何気ない描写を自由に解釈させてくれる作品の方が個人的に好みですね。
最近はめっきり減ってしまいましたが(笑)