アニメ「ワンダーエッグ・プライオリティ」の感想・考察・解説記事を毎話更新していきます。
皆々様こんにちは。
今回から『ワンダーエッグ・プライオリティ』の担当となりましたgatoです。
『ワンダーエッグ・プライオリティ』は90年代を席巻した脚本家の野島伸司が初めてアニメの脚本を手掛けた話題作。
早速エッジの利いた演出と謎だらけの展開で注目を集めています。
僕も観ました正直何が何やら…(笑)
こんな感じになるアニメ久しぶり…(笑)
とりあえずこの記事から内容を追っかけていきたいと思います。
なお、今作はオリジナル作品のため原作はありません。
目次
卵を割って、セカイを変えろ
第1話から説明なし突っ走ってきた『ワンダーエッグプライオリティ』ですが、まずはアイがやっていたことを振り返ってみましょう。
今の所彼女がやっていたことは「ガチャ」でエッグ(ワンダーエッグ)を買い、その中から出てきた少女を守りながら、エッグ世界でミテミヌフリやワンダーキラーと戦う…という感じですね。
うーん、これだけじゃわけわからん(笑)
とりあえず色んな事柄を掘り下げてみましょう。
エッグ世界
夢を見る形で入ることができると思われるエッグ世界ですが、なかなか訳がわからないものですね(笑)
ひとまず今わかることは「エッグ世界の中では不タヒ身(目と心臓をやられない限り)だが、リアルに戻るとダメージが発生する」、「所持品を武器に変えられる」といった感じでしょうか。
アイが入り込んだエッグ世界は学校となっており、屋上に小糸の彫像が置かれているのが特徴でした。
ねいるが入り込んだエッグ世界が描写されていないので何ともいえませんが、アイが不登校児であり、小糸の事件がトラウマになっていることを踏まえると、アイのエッグ世界は彼女固有のものかもしれません。
だとしたらエッグを買った少女の精神や記憶が投影されている世界って感じでしょうか。
そう考えるとあのエッグ世界でお葬式の献花と思しき白い花がやたら出てきたり、過去に小糸へのいじめを撮影する際に隠れていたロッカーが出てくる理由がなんとなくわかります。
個人的にロッカーが扉になっていることにはアイの過去を踏まえると、象徴的な描写になっている気がしますね。
エッグ、そしてその中の少女
本作の象徴でもある「エッグ」ですが、その中から出てくるのは少女でした。
これまで登場したのは西城くるみと鈴原南ですが、いずれも何らかの問題を抱えており(後々解説します)、おまけにミテミヌフリやワンダーキラーに命を狙われ続けます。
しかし守り抜いても、灰のようになって消えてしまい、くるみの場合だと「どこかの世界で彫像になっている」、「彼女の友達が来るまでそのまま」とのこと。
アカや裏アカは濁していましたが、小糸が彫像になっていたことを踏まえると、恐らくくるみも南も既に故人の可能性が高いでしょう。
そしてアカと裏アカの言葉をそのまま受け取るなら、彼女の友達がエッグの少女を守り続けることで蘇る可能性もあるんでしょうね。
いずれにせよ、エッグの中に入っているのは「悲惨な末路を辿った故人の魂」って具合に解釈できそうです。
他方で、アカはアイがエッグを得る際に「ほしいもの」「友達」と言う風に表現していました。
実際中から出てくるのはアイと面識のない少女ですが、いずれもトラウマを抱えているだけでなく、アイの過去を触発したり、彼女が共感できる何かを持っている印象があります。
おまけにいずれも「友達」を求めている。
これらを踏まえると、『ワンダーエッグプライオリティ』における友達は「共に痛みを分かち合う者」「戦っても守り抜かなければならない者」というテイストがあるように感じられます。
それにしても、エッグの中の少女が生き返るプロセスはなかなか面倒ですよね(笑)
誰かに守ってもらってから彫像になり、その人の友達が色んな少女を何度も助けることで蘇る…ってだけでも面倒なのに、何人助ければいいかわからないという(笑)
それにその子にとっての友達が来ない限り蘇生しない、裏を返せば友達と認定されている存在でなければ蘇生させたくてもできない…これもなかなか切ないものがあります。
まぁアカと裏アカの台詞を鵜呑みにしていいかまだわからないので何ともいえませが…。
というか、小糸が既に彫像になっているということは、一度誰かに守られたということでしょうかね。
後、余談ですけどエッグの表面に書かれている記号は換字式暗号と呼ばれる、ミステリだと御馴染みの暗号だそうです。
たまたま別の考察サイトで見かけたのですが、実際換字式暗号で読み解くとエッグの表面の記号は中に入っている少女の名前になるようですね。
ワンダーキラーとミテミヌフリ
エッグ世界で敵として現れるのがワンダーキラーとミテミヌフリです。
いずれもエッグの中の少女を狙って攻撃してきます。
ワンダーキラーはエッグの中の少女のトラウマが顕在化したものと解釈していいでしょう。
くるみにとっての井上(斧を持った少女)、南にとっての先生がそれに該当します。
またアカや裏アカの言葉を聞く限り、ワンダーキラーは「囚われの乙女」であるエッグの中の少女をトラウマで縛り付けている存在ともいえそうですね。
これに対してミテミヌフリは、毎回ワンダーキラーと一緒に登場する一方、エッグの中の少女のトラウマとは直接関係がないようです。
「ミテミヌフリ」という名前を踏まえると、あれはエッグの中の少女が周囲の助けを得られていない状況の象徴のような気がしますね。
つまりミテミヌフリは周囲の無関心が由来の敵ではないでしょうか。
アカと裏アカ
アイにエッグを教えた存在がアカと裏アカですが…この2人怪し過ぎる(笑)
マネキンのそのまま服を着せたような外見ですが、アイを唆すような発言が多いのがなんとも…。
それにくるみの末路とか、大事なことはあんまり教えてくれないですしね。
個人的にはどことなく『まどマギ』のキュウべぇを連想してしまいます(笑)
例えば、「エッグを割れ」とか「ワンダーキラーを倒せ」と誘導してくる一方、ねいるが命を落とす寸前までエッグ世界で戦っていてもアカや裏アカは放置している印象があります。
いってしまえばアイやねいるがどうなろうとあまり関心がない雰囲気がしますね。
友達を買うということ
ここではちょっとばかり僕の個人的な印象を書かせてもらいます。
本作では「ガチャでエッグを買う」という行為がありますが、エッグ=友達とみるならこれはなかなか皮肉めいた表現ですね。
アイがエッグを買うために財布を持ってきたところを見ると、本当に現金で買っているようですが、孤独で小糸という親友を喪った彼女が「友達」を買っているというのはちょっと面白い構図です。
それに基本的にアイは小糸やエッグの中の少女のために全力で戦いますが、ねいるは「自分のためじゃないか」と指摘しています。
もちろんアイが戦うのは小糸やエッグの中の少女を心底思っているからですが、エッグの中の少女を助けるという行為は「大切な人を守れなかったトラウマを持つ人間の代償行為」と捉えることもできそうです。
つまり「大切な人を守れなかった」という自分の傷を癒すために、大切な人を投影できる誰かを守る…みたいな感じですね。
これだけ聞くとエゴイスティックな感じに聞こえるかもしれませんが、アイにとって小糸を蘇らせるために戦うことは結局アイ自身のためでもあると捉えてもよさそうです。
一方、タイトルにも入っている「プライオリティー(優先度)」という言葉も気になるところです。
アイは小糸を蘇らせるためにエッグの中の少女を守りますが、決して彼女達は救われることがない。
なぜならアイは彼女達を蘇らせることができないからです。
どう足掻いても蘇らせる対象の小糸が優先されてしまう。
つまりアイの戦いには必然的に友達の優先度(プライオリティー)の問題が隠れているといえますね。
こじれたアイ
「トサカにきたぜー!」でお馴染みの主人公のアイですが、なかなか複雑な人間性を持っているキャラクターであることが窺えます。
アイはクラスで孤立しており、自分をブスと卑下している、オッドアイがコンプレックス、そして不登校の引きこもりと、根暗な印象が強い反面、ねいるや南に「かわいい」「スタイルいい」といってはしゃいだり、激昂するとヤンキー口調になって暴れ回るなど、陽気で熱血な一面もあります。
個人的にはそれこそオッドアイのように、陰と陽の二面性が際立っているキャラクターであると感じました(大戸アイ=オッドアイ…なんて駄洒落だったら猶更ですね笑)
他方で我が身可愛さでくるみを一人で逃がしたり、敵が出てこないからエッグを割らずにおこうと考えるなど、少々臆病な一面も目立っています。
おまけに「仲間外れにされたくない」というなど、孤立していたのに孤立を怖がっている一面もあるようですね。
まぁアイはアイでいじめられていたようですから、そのトラウマが大きいのでしょう。
一方で「横断歩道はみんなで渡っても怖いんだ」というように、ただみんなと一緒にいることを是としていないような発言もあります。
どうやら彼女は「自分の意思を貫くこと」と「同調圧力に屈すること」の間で葛藤している感じがしますね。
そんなアイですが、小糸を蘇らせるために一念発起して「陽」の一面を積極的に発揮しています。
それを見る限り、くるみや南を助けたり、ねいると「友達になろう」といった時のような、体を張って積極的に誰かに寄り添う姿こそが、アイの本当の強みかもしれません。
親友の小糸
アイに多大な影響を与え、そして彼女の唯一無二の親友であった小糸ですが、どうやら作中では既に故人になっているようです(同時に彼女の事件がアイの不登校の原因っぽいですね)。
ただ小糸が転落して命を落とした経緯は少し疑問が。
確かに小糸はいじめられていましたが、アイの前では平然としており、また彼女に動画を撮ってもらうなどしてちゃんと反撃できるようにしていました。
これだけ気丈な人物であった以上、小糸が自ら命を絶つのはちょっと考えにくい。
だとしたらいじめっ子達がエスカレートして小糸の命を奪うようなことをしたのか、それか自ら命を絶たざるを得ない何かが起こったのか…いずれにせよ、もう一波乱あった予感がします。
また、まだ作中では明示されていませんが、元々いじめられていたアイの親友になったことで、小糸にターゲットが移った可能性もありそうですね。
だからアイはいじめられている小糸を直接助けることはできず、「ミテミヌフリ」をしていたのかもしれません。
戦うねいる
アイと同じエッグを買う少女であるねいるですが、この子もなかなかの曲者の予感がします。
ねいるは気さくに話しかけるアイをスルーするなどツンケンしているうえに、「私は私が大好き」とあっけらかんに言える自己肯定感が強い人物です。
一方で大量にエッグを購入し、動けなくなるほどのダメージを負ってまで戦うなど、自分を犠牲にするのも厭わない一面もあります。
ねいるについてはまだ詳細がわからないところが多いですが、蘇らせようとしている妹の存在がねいるの根底に大きく影響しているようですね。
少なくともねいるが「タヒなせた妹」は大量にエッグを購入し、命を落とす寸前まで戦う価値があるほど大切な存在なのでしょう。
他方で、初対面のアイに「自分の為に戦っている」と指摘したところを踏まえると、あそこまで苛烈に戦うのはねいるにとって自罰的な意味もあるのかもしれません。
それにねいるが友達になろうというアイに「友達になったら何をするの」と尋ねるところを見ると、あまり友達がいないようにも見えますね。
後、個人的に気になったのが彼女の名刺。
「vice president」と記載されていたので、ねいるはあの年齢で「ブルーコーポレーション」という会社の副社長をやっているようですね。
あの大人びた振る舞いを見ていると納得ですが…その社会的地位の高さや特殊な境遇も彼女のパーソナリティに影響していそうです。
強気なくるみ
記念すべき最初のエッグの中の少女として登場したくるみですが、「こんなところで割るなよ」と言っていたり、ミテミヌフリや逃げ道となる扉を知っている、後述する南と違いエッグ世界での立ち回り方や一定のルールを理解しているところを見ると、何度かエッグ世界に足を踏み入れたことがある印象です。
アイに助けられるまで彫像になっていなかったことから、恐らくこれまで何度かエッグを割られて登場はしたものの、結局ワンダーキラーやミテミヌフリから逃げられなかったのかもしれませんね。
ここから、エッグの中の少女はワンダーキラーやミテミヌフリに命を奪われると、またエッグに戻ることが窺えます(その時の記憶も引き継がれるようです)。
そんなくるみですが、彼女の過去はほとんど語られません。
そのためくるみの過去は不明ですが、親友について語る際に彼氏を引き合いに出していたこと、ワンダーキラーの井上が同級生と思しき少女だったことを踏まえると、もしかしたら色恋沙汰で同級生とトラブルを起こしていたのかもしれません。
また、くるみはアイをリードし、怯える彼女の心中を理解して置いていくなど、自ら危険に飛び込む度胸を持ち合わせていました。
もし彼女が救済に失敗し続けていたのなら、その原因は自分を助けにきた少女を庇ったからかもしれませんね。
臆病な南
くるみとは対照的に引っ込み思案な一面が強かったのが南。
どちらかというアイに性格が近く、生真面目なためにパワハラしまくりな先生に対しても怯えながらも従ってしまうタイプです。
くるみと比べるとエッグ世界に不慣れな感じが強かったので、彼女ほど何度もエッグを割られていない印象です。
やっぱり南も過去の経緯は深く語られてはいませんが、ワンダーキラーである先生とのやり取りを見ている限り、どうやら部活動で苦悩していたようですね。
後、何かと先生は胸部を強調されたデザインになっていましたが、実は南に性的なことをやっていた暗示ではないか‥と邪推できそうですが、これは何ともいえません(笑)
沢木と多恵
ちょこちょこ登場するアイの母親である多恵と教師の沢木ですが、この辺りも気になりますね。
そもそもさわやかなイケメン教師である沢木がやたら多恵に近い感じがする(笑)
普通に家で二人きりでいたり、アイと面談する時に隣同士で座っていたりと…ちょっと距離感が気になりますね。
実は二人が付き合っている…なんて展開がありそう(笑)
それにアイの回想で小糸の側に沢木がいたこともちょっと気になります。
別段小糸のいじめに関与していた風ではありませんでしたが、沢木はキーパーソンになりそうな予感がします。
『ワンダーエッグ・プライオリティ』第1話・第2話感想
第1話と第2話をまとめたので、ちょっと長くなりましたが…。
まぁ今の時点でいえるのは「全然わからん!」です(笑)
こんな感じのアニメ久しぶりだなー(笑)
かなり抽象度が高いので、色々解釈できる楽しさはありますが…。
個人的に野島伸司の作品はあまり見たことはありませんが、「むき出しの人間関係やえげつないリアリティを描き出す作家」という印象があります。
そのエッセンスが随所にちりばめられている感じがしますね。
本当はもっとディティールに注目したいですが、今回は紙面の都合でこれまで(笑)
第3話の記事でお会いしましょう!
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