皆々様こんにちは。
『ワンダーエッグプライオリティ(以下『ワンエグ』)』担当のgatoです。
前回は第1話・第2話をまとめて振り返りましたが、今回からは通常通り一話ごとに記事を作成していきます。
第3話は新キャラの登場に加え、今作のシナリオの核心が見えてくるような場面があるなど、色々重要そうなエピソードでした。
ひとまず振り返ってみましょう。
かわいいリカ
今回から登場した新たなレギュラーとなる川井リカ。
ヤンキーっぽい格好とは裏腹に、元アイドルで「超絶かわいいリカちゃん」といっても憚らないどこまでもあざとく図々しい性格の持ち主。
歯に衣着せぬ発言も多く、蘇らせたい対象であるチエミにも「デブ」だの「お財布」だの「ブス」だの言いたい放題。
結構な問題児っぽいリカですが、なかなか複雑な人間性を窺わせます。
まず「大人」に対する反抗心。
アカや裏アカを指して「ここにも悪い大人がいる」と言ったり、母親への嫌悪感を匂わせたり(実際家にはあまり帰らない模様)、ねいるの主治医にも「私達まだ若いから」というなど、どこか大人に対して反発的な一面があります。
一方で笑顔で語っているところを見ると、離婚して家を出た父親に対しては憎からず思っている節があります。
そしてリストカット。
「もう切らないよ」といっていましたが、過去にかなり苦悩していた体験があったのでしょう。
剃刀を今でも持ち歩いているところを見ると、自傷衝動自体はまだ残っている感じがしますね。
リストカットをしていた時期は不明ですが、二の腕にしていたということは誰かに見られないようにしていた=人と会うことが多い状況にあったと考えられます。
だとしたらアイドルをしていた際に何かしらの問題を抱えていた可能性が高そうですね。
まぁ冒頭で倒されたワンダーキラーの「若い子が好き」、ねいるの「枕営業」という言葉から邪推できそうですけど…。
底抜けに明るいようで、深い闇を抱えていそうなリカですが、妙に筋が通った一面も見せています。
他人の都合を考えない自己中でこそありますが、あれだけディスっていたチエミを蘇らせたいという感情は本物の模様。
そもそも「もう切らないよ」「約束だから」という独り言から、彼女はリストカットに関して誰かと約束を交わし、それをしっかり守っているようです。
つまりリカは自分中心で動く人間ではなく、ちゃんと誰かと向き合い、相手の想いを受け入れられる度量を持っていることがわかります。
どんな手段も選ばず、友達を蘇らせたいという願いを叶えるためにひたすら突き進む姿勢はアイも感化されていました。
そんなリカですが、ラストでマダムサチコの攻撃を受けて石化してしまいました。
エッグ世界では命を落とす可能性はほとんどなくても、現実世界ではダメージが返ってくるのが本作の特徴ですが、石化はどうなるんだろう…。
安否が気になるところです。
お財布ちゃんのチエミ
ここではリカに多大な影響を与えたチエミを掘り下げてみましょう。
アイドル時代のリカの熱狂的なファンだったチエミは持ち得るお金を全てリカにつぎ込んだ挙句、万引きした品物を換金してお金を作ったことがきっかけでリカに拒絶されてしまいます。
しかし、それからチエミはミイラのようになって命を落としたとのこと。
恐らく「デブは恥ずかしいから無理」とリカに言われたことが原因で、絶食して命を絶ったのでしょう。
これが事実なら、もしかしたら「大好きなリカの隣に立てるようになりたい」と無理なダイエットに励んでしまったのかもしれません。
そんなチエミですが、彼女を通じてリカを見ると色々感じ入るものがありました。
リカは結構チエミをディスってはいますが、実際は自分のファンになってしまったために万引きし、最終的には命を落とさせてしまったことに自責の念を抱いているのでしょう。
チエミを拒絶する際に彼女を容赦なく罵ったのも、自分が嫌われることで万引きをやめさせたい意図があったからでしょうね。
リカはチエミを友達とは形容しえいませんし、金づるだのお財布とまで言ってしまっています。
しかし実際は掛けがえのないファンである以上の、それこそ無意識に友達と思っていたのでしょうね。
「ファンと友達にはならない」というチエミへの言葉も、本当は「友達になりたかった」というリカの気持ちの裏返しだったりして。
そんなリカがチエミに会いたいと強く願うのは、もしかしたら彼女に謝りたいと思っているからかもしれません。
後追いのみこまこ
今回登場したエッグの中の少女はみことまこ。
自害したアイドルのゆぅゆぅ(でいいのかな?)の熱狂的なファンであり、彼を悼んで仲良く後追いをしてしまいます。
本人達はいたって陽気な性格で、かしましいうえに軽薄、おまけにゆぅゆぅに投資するためにパパ活をしていたなど、これまでの苦悩を抱えていた少女達とはえらい違いで驚きですね(笑)
他方で、手をつないで逃げる様を見てアイが小糸との関係を連想したりと、みことまこは「理想的な友人同士」のような描かれ方がされています。
確かに理解に苦しむパーソナリティの二人ですが、例え命を落とすことでも一緒にやれてしまうところには、真に強い友情を感じざるを得ませんね。
それこそ、アイのように友達に先立たれてしまった側からすれば、ある意味とても羨ましい関係に映るのも無理はありません。
熱狂するということ
既に多くの方がお気づきかと思いますが、今回のエピソードはやたらと熱狂的なファンが登場してきます。
チエミ、みことまこ、そしてワンダーキラーのマダムサチコ(阿佐ヶ谷マダムのサチコ)。
チエミは万引き、みことまこはパパ活+後追い、マダムサチコは逮捕されるまでストーカーと、全員見事にやり過ぎていますね(笑)
個人的に、第3話でこれだけ熱狂的なファンが登場しているのは、一つの問いかけをするためだと思っています。
それは「好きな人のためなら何でもやれるのか」です。
今回登場した熱狂的ファンはいずれも好きな人のために何でもやってしまえる人達ですが、いずれも相手への好意があるからこそです。
みことまこがチエミに共感していたように、彼女達からしたら誰であろうと好きな人のためなら何でもやれるのは当然というわけですね。
そして面白いことに、この姿勢はチエミを蘇らせるためなら「私は何人だってぶっコロす」と宣言したリカ、そんな彼女に同意したアイに重なります。
つまり熱狂的ファンの姿は、友達のためにワンダーキラーとハードな戦いを繰り広げるアイ達の在り方・モチベーションと同種、あるいは理想形であり、同時に好きな人のためならそこまでやらなきゃならないという指標にもなっているわけですね。
ちょっと突っ込んだ表現をするなら、みことまこ、チエミの姿にアイやリカは友達のために在るべき自分を見出しているといえそうです。
後、余談ですけど今回の熱狂的なファンの描き方はどこか野島伸司の世代らしさを感じますね。
そもそもいつの時代の熱狂的ファンは一線を越えてしまいがちですが、野島伸司の世代は尾崎豊やHideなど熱狂的ファンを多数抱えるカリスマの夭折、そしてそれに伴うファンの反応をリアルタイムで見ています。
尾崎豊やhideのファンも後追いをやったケースが多く、とりわけhideのファンに関してはX JAPANのメンバーが会見を開いて後追いを止めるよう呼びかけるなど、かなりのインパクトがありました。
正直、どの世代でも熱狂的なファンの心理を全て理解するのは難しいですが、好きな人のために何でもやれる人達は普遍的にいるのでしょうね。
沢木と小糸
今回は小糸の事件を巡って新たな情報が飛び出しました。
個人的に印象的だった情報は2つ。
一つは「親友のアイでも動機がわからない」、もう一つが「小糸が沢木にすがって泣いていた」という情報です。
そしてこれらを踏まえ、アイは沢木が小糸の飛び降りの原因ではないかと考えていることがわかりましたね。
沢木に関しては前回の記事で小糸の側にいることを指摘しましたが、まさかここまでどっぷり絡んでいたとは…。
小糸と沢木の関係はまだ未知数ですが、少なくとも親友のアイの前でも泣かなかった小糸があそこまで沢木の前で感情を露わにしているところを見ると、ただならぬ関係にあることは自明でしょうね。
というか、仮に沢木が小糸の飛び降りの原因だとして、そんな沢木が多恵に急接近しているとしたら…。
沢木は小糸だけでなく、多恵にも魔の手を伸ばしているって感じになっちゃいますね。
つまりアイは親友だけでなく、母親も沢木に狙われている…みたいな。
うーん、まぁ沢木が悪人と断定できる根拠がないので、これはまだ妄想ですね。
友達とプライオリティ
ここでは『ワンエグ』において重要な友達とプライオリティについてちょっと喋ってみましょう。
さきほど触れた熱狂的なファンの在り方がアイやリカに重なると述べましたが、これはそのまま「何よりも誰よりも友達を優先する」というプライオリティの問題として語れます。
また、アイの小糸への感情に「怨み」があることも今回語られました。
相談してくれず、道連れにもしてくれず命を絶った小糸をアイが恨むのも無理はありません。
「自ら命を絶つ」という選択肢を選んだ小糸はアイに関わらせなかった。
いってしまえば、アイは後回しにされた…アイのプライオリティは低かった。
つまりこれもまた、プライオリティの問題として扱えるわけです。
まだ小糸の飛び降りの動機は不明ですが、アイと小糸の関係の非対称性は今後問題になりそうですね。
同期するセカイ
エッグ世界など、作中に出てくる設定に関する新しい描写も今回は見られました。
一番印象的だったのがエッグ世界=夢が同期したことですね。
これによってアイはリカのエッグ世界に入ることができたわけですが、ここからエッグ世界は独立したものではなく他者のそれのエッグ世界にも入ることができるものだとわかります。
また、同期は「同じ時間にとても近くで眠ったこと」で発生し、入るエッグ世界は「想いの強い方」になるとのこと。
ここからわかることは、リカの方がチエミへの、つまり蘇らせたい友達への想いが強いことが窺えます。
まぁ小糸の唐突な飛び降りに疑念を抱いていたアイと比べたら当然かもしれませんが…。
加えてエッグ世界の同期において、当事者の関係性はあまり影響がないようですね。
実際、アイがリカのエッグ世界に入った時はまだお互いそこまで信頼関係を構築していたようではないですし。
ただ、アイとリカには友人を喪い、心に傷を負った共通の過去があることを踏まえると、それもトリガーになっているような予感はします。
ところで、エッグ世界は人によって違うものだということがわかりましたね。
アイは学校、リカは花畑+海と全く違う環境でした。
アイは何となくわかりますけど、リカが花畑+海というはちょっと意外ですね。
アイドルをやっているなど、人に囲まれることが当たり前だった彼女のエッグ世界が誰もいない場所というのは少し不思議です。
後、ミテミヌフリはどのエッグ世界でも現れるようですね。
だったら集合的無意識の権化みたいな感じなのかな…。
うーん、どっかでじっくり解説してくれるとありがたいのだが(笑)
『ワンダーエッグプライオリティ』第3話感想
個人的には『ワンエグ』の物語の方向性が見えた印象です。
ひとまず友達やプライオリティーといった観点から観ていけば色々面白そうな感じ…。
でも小糸のように、後出しで色んなエピソードが出てくる形式なのでひっくり返されそうな予感はしますけど(笑)
それにしても、今回は「トサカにきたぜー!」がなかったなぁ…。
それが心残り(笑)
何はともあれ、今はリカがピンチ!
彼女が次回どうなってしまうのか、注目してみましょう。
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