皆々様こんにちは。
『ワンダーエッグプライオリティ(以下『ワンエグ』)』担当のgatoです。
前回は新キャラクターの桃恵が登場。
女の子にモテてしまうが故に悩みを抱える、繊細なキャラクターが印象的でしたね。
そして無事にみこまこを助けて帰還したアイとリカに、ねいると桃恵が合流。
ついにメインキャラクター4人が揃いました。
さて、今回はようやっとねいるのエッグ世界が出てくるようですが…。
早速振り返ってみましょう。
目次
沢木は何を知っているのか?
回を重ねるごとに重要性が増しているアイの担任の沢木。
今回はそんな沢木の色んな一面が描写されました。
みんな首ったけ
イケメンで通っている沢木ですが、やはり女子からの人気は絶大でしたね。
おまけに保護猫をたくさん預かっているなど心優しい性格であることがわかりました。
これだけ聞くと善人な印象ですが‥。
一方で、一瞬描写された無表情の沢木の顔の冷たいこと。
「おじさま」と呼んで慕っている桃恵がいるにも関わらず、特別彼女に声をかけていなかったことも気になりますね。
後、個人的に気になったのがアイの回想に出てきた小糸。
これまでの小糸というと物静かで、アイに対してはウェットな感じで接してくる印象でした。
しかし、展覧会に出す沢木の絵のモデルになったことに戸惑うアイに対し、「自信なかったら辞退した方がよくない?」とどこか半笑いで言い放っています。
あの話し方、どこか小糸らしくないんだよなぁ…。
もしかしたらあの段階で小糸の心はアイから離れて、沢木に移りつつある…ってことになるんですかね。
よくよく考えると、自分がいじめられているのに守ってくれなかったアイよりも、優しくしてくれる沢木を選ぶのは無理もないことです。
ただ、沢木の腹の内はよくわからないもので…。
画家志望
教師の沢木ですが、今回は彼が画家志望であることがわかりました。
むしろ本人としては教師より画家としてやっていきたい気持ちがあるようですね。
実際、アイの絵を描いている時の沢木はどこか楽しそうでした。
ただ、相手が沢木なのでちょっと疑ってしまいますよね(笑)
沢木はアイのコンプレックスであるオッドアイを「とても魅力的」とほめており、自分の絵が完成したら自信にしてほしいと励ましています。
一見すると優しい言葉ですが、相手を「大戸アイ」という個人か、ただのモチーフと見ているかで大分ニュアンスが変わってきそうですね。
まぁわざわざ生徒の家に来ているくらいだから、彼なりにアイを気遣っているのでしょうけど…。
でも元々小糸の方が仲良かったようですし、アイに対してはオッドアイの持ち主以上の興味を持っていない感じがするんですよねー
一方でリカが冗談半分でいっていた小糸の妊娠がガチだとしたら…沢木は結構最悪な奴になっちゃうんだよな(笑)
うーん、ここまで腹が見えない奴は久しぶりです(笑)
友達がたくさん
前回のラストで一堂に会した4人ですが、普通にアイの家で女子会をする間柄に。
桃恵でさえもあんなに溶け込むとは(笑)
今回はそんな4人がジェンガをしたり、ボーリングやゲームに興じたり、お互いの蘇らせたい人について色々語る場面がありました。
そんなやり取りの中で個人的に興味深かったのが4人が「誰も知らない物語」の共有者であり、リカが4人のやり取りを「グループセラピー」と表現した点です。
端的にまとめるなら、4人の関係性は単純に楽しい友人関係ではなく、特定の疾患の際に行うグループセラピーのような、「お互いが持つ共通の苦しみを開示し合い、互いに慰め合う」一面があるといえるでしょう。
よく言えば「同じ痛みを知る仲間」、悪く言えば「お互いがお互いの回復のために共依存する同志」といった感じですかね。
ラストではリカが「エッグを割るのをやめよう」と提案しますが、あの段階で少なくともリカはチエミへの罪悪感を振り切るためにアイ達に依存し始めている兆候があるといえます。
そう考えると、あの4人の関係って微笑ましいと同時に危ういんですよね。
ねいるのセカイ
アイ、リカ、桃恵に続き、今回はねいるのエッグ世界が明らかになりました。
さらにねいるの過去も触れられましたね。
ここではねいるにまつわる描写を一挙に振り返ってみましょう。
橋と花火
今回初めて出てきたねいるのエッグ世界ですが、アイ達のそれとは一味違いましたね。
ねいるのエッグ世界は遠くに夜景が見える橋の上。
レインボーブリッジのようですが、辺りは瓦礫が広がっており、荒涼とした雰囲気が漂っています。
他方でねいるの武器がコンパスから変化した銃(剣やスナイパーライフルにも変形する)なのが、アイ達と一線を画している印象がありました。
銃声が木霊したり、周りが燃えていたりと、ねいるの戦場ってなんか大人っぽいというか…無駄にシビアさが際立っている感じがします。
まるで会社という大人の世界に身を置くねいるを示しているような感じがしますね。
また、ねいるの妹に関する話で明らかになりましたが、アイ達のエッグ世界はどうやら「蘇らせたい人が命を落とした場所」をモチーフに構成されているようです。
でも、だとしたらリカのエッグ世界がよくわからないんですよね…。
チエミが海の近くの花畑で命を落としたような描写もないですし…。
まぁこの辺りはもう少し話を見てからにしましょう。。
ところで、ねいるのエッグ世界では毎回ワンダーキラーを倒した後に花火が上がっているようですね。
これも意味深…でも情報が少ないから一端置いときます(笑)
私を刺した妹
これまであまり内面を描かれていないねいるですが、今回は彼女が蘇らせたい妹のエピソードの一端が出てきました。
それは「妹が突然ねいるを刺して逃亡し、橋から身を投げた」という衝撃的なもの。
ICUにねいるが入っていたことを踏まえると、彼女の傷は致命的なものだったことがわかります。
ここからわかるのは、妹は本気でねいるの命を奪うつもりだったということですね。
これを念頭に置くと、ねいるの状況がよりシビアさを増してきます。
終盤でねいるが葵を守った後に「私をタヒに誘惑したのね」と呟き、同時に妹と思しき彫像にカメラが切り替わっていました。
恐らくこの描写は妹が命を落としても尚、姉の命を奪おうとしていることを示している気がしますね。
実際、葵は他のエッグの中の少女と違い、ねいるにタヒを迫ろうとしている一面がありました。
この一致は偶然かもしれませんが(エッグの中の少女が誰かはランダムであるため)、かなり意味深です。
もしかしたら、妹はねいるの命をただ奪おうとしたのではなく、初めから自分も命を絶つつもりだった…つまり無理心中をしようとしていたのかもしれませんね。
だから橋から身を投げ、そして今も尚ねいるをタヒに誘惑している…といえそうです。
そんな状況下で、ねいるはあくまで「自分のため」に戦っていると涼やかに語っていましたが…。
ねいるは妹がどうこうよりも、彼女につけられた傷のうずきから解放されるために戦っていると語っていました。
しかし「忘れようとするとうずく傷」のうずきが薄らいだということは、むしろ妹を忘れないようにしているからだといえます。
そしてねいるは大量のエッグを買い込み、入院するまで戦い続けるなど、積極的にタヒに接近しているような行いをしていました。
つまりねいるは結果的に妹が誘うタヒに近い場所に身を置き続けているということです。
だとしたらねいるは既に術中にはまっているのかもしれませんね…。
もしかしたら、クールに振る舞っているように見えて、実はねいるは大好きな妹の想いに応えるためにエッグ世界で戦っている…なんて展開もあったりするんでしょうか。
桃恵のモテ方
女子のモテモテの桃恵ですが、今回はそれに対する彼女の気持ちが明らかになりました。
やっぱり桃恵は彼女自身が望んでいない男らしさを周囲に求められていることがやはり悩みのようです(それも本気で告白される!)
他方で、モテていること自体はそこまで嫌がっている訳ではないようです
まぁこの一貫性のなさはむしろ年相応でしょうね。
例え望んだ通りではないとはいえ、一時の承認欲求が満たされるならついつい流れてしまうものです。
それに周囲の女子との関係性を維持するうえでの戦略も兼ねていたようですね。
そしてやっぱり気になるのが彼女が蘇らせたいハルカとの関係。
ハルカは桃恵を「女の子」として見てくれた数少ない人物だったようですが、どうやら同性愛者だったようですね。
そんなハルカに保健室で迫られた桃恵は「ゾワゾワ~っ」としたために拒絶してしまったようです。
台詞だけを拾うなら、ハルカが命を絶った理由はこれっぽいですね。
前回の記事で桃恵とハルカの関係性を色々邪推しましたが、一応ハマった感じかな…。
それにしてもハルカと撮った写真の桃恵はかわいらしかったですね。
でも、自分を「女の子」にしてくれる存在の気持ちを拒んだがために自害させてしまった桃恵の心境を考えると…なかなか切ないものがあります。
母と娘達
少し本筋から逸れますが、前半での女子会でアイ達が自分達の母親について語り合う場面がありましたね。
桃恵は特に話さなかったですが、優しくて何でも完璧にこなせる多恵に対し、リカは自分の母親を「女であることを優先する毒親」、ねいるは「時代錯誤のバカ女」と両断しています。
なかなか痛烈ですが、完璧なために父親が出ていったという事実がある段階で、多恵もちょっと問題を抱えていそうな感じはしましたね。
なぜアイの家が母子家庭なのかが気になっていましたが、まさか父親が出て行っていたとは…。
うーん、そうなると夫に出ていかれ、娘が引き込もりになった多恵が沢木に急接近するって構図がしっくりくるんだよな(笑)
また、桃恵の家族が描かれていないので断定はできませんが、アイ・リカ・ねいるを見る限り、家族が機能不全になっているという共通点がありそうですね。
それだけでなく、父親が不在という点も重要そうな感じがします。
責任とプライオリティ
度々触れている『ワンエグ』における「プライオリティ」という要素ですが、今回もそれを感じさせる場面がありました。
終盤でリカが「エッグを割るのをやめよう」といった時から発生したやり取りです。
友達を置いて、勝手に命を絶ってしまう…相談もなく、下手したら一時の興味や感情のために。
そんな連中のために命を張るくらいなら、今いる友達の方が大事ではないか…。
リカの問いかけはある種の「プライオリティ」に関する問題といえますね。
故人に想いを馳せ続けるか、今目の前にいる友人を大事にするのか。
いずれを優先するかが、今後のアイ達の葛藤の肝になる気がします。
また、OPが「巣立ちの歌」であることを踏まえると、「いかに故人と別れるか」も重要な要素の気配がします。
思春期と反抗期
個人的に印象的だったのが、終盤で「思春期」と「反抗期」という言葉が出てきたという点ですね。
思春期だの反抗期だのを改めて突き詰める作品って最近減った印象があるのでなんか新鮮(笑)
裏アカの台詞を拾うと、この作品は思春期と反抗期を微妙に区別していることがわかります。
個人的な解釈をすれば、思春期は「目の前の問題をスルーして風化させようとする怠惰さ」、反抗期は「命令には歯向かうが、結局自分のアイデンティティのために思い通りに動かされてしまう弱さ」って感じですかね。
いずれにしてもネガティブな意味合いになるな(笑)
この解釈をこの先どう使うかはまだ未定ですが、一応今はこんな感じで捉えておきましょう。
それにしても…ラストのアカの笑い方は不気味だな(笑)
てっきりアカは「善性+大人」、裏アカは「悪性+子供」って感じで捉えていましたけど、実は逆なのかな…。
『ワンエグ』第5話感想
相変わらずのハイコンテクストぶりで記事が長くなる(笑)
それだけ中身が詰まっていることなので楽しいですけど…大変だ(笑)
個人的に台詞回しはもちろん、キャラクターの動かし方が一々面白いと感じましたね。
とりわけねいるがエッグを買いに行ってからのアイ達の動き方が、良く見ると歩き方にちゃんと人間性が反映されていて、非常に緻密に描写しているとわかりました。
アニメ的でありながらも、ちゃんと写実的な描写がしっかりしていて、何気ないシーン一つとっても味わい深い。
次回も楽しみですね。
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