皆々様こんにちは
『ワンダーエッグプライオリティ(以下『ワンエグ』)』担当のgatoです。
前回は総集編だったので勝手ながらお休みしました。
改めて9話から再開…と思いきや、9話はとんでも展開と新事実発覚ですごいことに(笑)
とりあえず振り返ってみましょう。
目次
天才少女のエトセトラ
今回はねいるが中心のエピソードでしたが、彼女について色々新たな事実が判明しました。
親なき子
両親がおらず、家族との諍いの意味を理解できないねいるですが、それもそのはず。
ねいるはプラティに所属するメンバー同士が人工授精することで産み出した存在だったからです。
うーん、コメントでのやり取りで半分冗談でデザイナーベイビーといいましたが、当たらずとも遠からずといったところでしょうか笑(デザイナーベイビーは遺伝子操作が前提のため、ねいるは厳密にいうと該当しません)
そして生まれながらの天才として育てられ、プラティの一員として会社経営も行っていたとのこと。
実際、高度なIQを持つ人間しか加入できないメンサという団体がありますが、プラティのモチーフはその辺りでしょうか。
ねいるの本音
今回印象的なのが、ねいるの振る舞いですね。
普段はドライで冷淡、心情の機微にも疎い印象ですが、今回のねいるはかなり感情的になる場面が多くありました。
とりわけ後述する寿とのやり取りでは、年相応に感情を爆発させています。
他方でことぶきに依頼されて生命維持装置を外す際は反発するリカや桃恵に対し、徹底して機械的に振る舞っています。
一見すると矛盾しているようなねいるの言動ですが、リカが言った「意地を張っている」という台詞からなんとなくねいるの特徴がわかってきます。
端的にいうなら、ねいるのあの冷淡な振る舞いはただの虚勢です。
エッグ世界での寿のやり取りや、生命維持装置を外す直前のアイとのやり取りで窺えたように、本当のねいるは友達思いで悩みがち、感情も不安定な少女です。
ねいるはそんな素顔を抑圧するために冷淡な振る舞いをしていたのでしょう。
しかし普段の抑圧だけでは感情の起伏を抑えられなかった…少なくとも実質的に寿の命を奪うことになる行為を真顔ではできなかった。
だからねいるはわざわざアイ達を呼んで寿を紹介し、経緯を話したのでしょう。
一人で生命維持装置を外すことができないために、無理矢理友達を巻き込んだわけです(これだけ聞くと悪い奴だな笑)
普段は社長として辣腕を振るってるねいるですが、実際は躊躇われる行為や不安なことを一人で処理できない脆さを持っていることが今回のエピソードでわかりますね。
そしてその脆さを抑圧する際は、意図的に冷淡に振る舞っていることが窺えます。
そう考えると、前回の記事でも触れましたが、ねいるがリカの悩みを理解できないといったのは、自分の中に起こった感情の揺らぎをそれとなく抑圧した証拠かもしれません。
また、本人が「根っからの科学者じゃない」といっていたことを踏まえると、仮にプラティが寿のようなタイプの天才ばかりだった場合、彼女はその中でも浮いた存在であるともいえそうですね。
研究狂の寿
今回登場したエッグの中の少女はねいるの旧友の阿波野寿。
ただ、この子は結構な曲者でしたね…。
例えあの世に行ったとしても
精神医学の専門であり、医療センター長も勤めた(しかも大の大人から地位を奪った)寿ですが、彼女がエッグの中の少女になったのには他とは違う経緯がありました。
寿は生命の神秘(正しくはタヒ)の研究のために臨タヒ体験を繰り返しており、その結果植物状態になったという少女。
つまり寿は厳密な意味ではまだ自害をしていないわけです。
おまけにエッグ世界で寿はねいるに実質的な止めを刺すように依頼しています。
いうなれば、第9話は自害した少女を救うのではなく、むしろ少女の自害を幇助する物語になっています。
この転換はかなり重大な気がするので後々また語るとして…。
それにしても寿の性格はかなりマッドでしたよね。
享楽的で、タヒすら恐れず自分の身を捧げ、むしろそれに没頭し、そんな自分すら他人事のように語れる達観さも持ち合わせている。
これまで出てきたエッグの中の少女とは一線を画していることが窺えます。
よくねいるはこんな子と仲良くなれたなぁ…と思っちゃいますけど(笑)
他方で、嫌いな大人に自分の身体を解剖されることを拒否するなど、大人に対する潔癖さは思春期らしいとは感じましたね。
友達
今回ねいるが寿に対して見せた感情を見ていると、まるで寿が蘇らせたい相手のように見えてきましたね。
ただ、ねいるにとって寿は(あるいはその逆でも)彫像になり得る存在ではありませんでした。
だとしたら、ねいるにとって寿は救うべき相手ではなく、寿にとってねいるは救ってくれる相手ではなかったということがわかります。
なぜ寿が助けるべき存在にならなかったのかは明示されていませんが、個人的に寿がねいるによる救済を望んでいなかったことが起因していると考えています。
いや正確には、ねいるは寿が自分を救ってほしいと望まないことを悟っていたのではないでしょうか。
だから自分一人でできなくても、嫌でも、生命維持装置を外すことを受け入れたのでしょう。
これは寿がねいるに「自分のしてほしいことをわかっている」と指摘している場面からも窺えますね。
結局ねいるは抗いつつも、寿の要求を最後まで受け入れていたわけです。
まあこれだけ見ると結構ぶっ飛んだ関係性にも見えますが、ある意味ねいると寿の関係は以前登場したみこまこに近しいといえるかもしれません。
みこまこは友達同士であり、お互いに思い合っていたからこそ一緒に後追いをしたわけですが、ねいるもまた寿と思い合っていたからこそ、彼女の望みに従ったのでしょう(自身が生き残ることも含めて)。
そしてそこには寿の救済は含まれておらず、ねいるもまたそれを(仕方なく)受け入れていた。
だから寿はねいるの救済すべき対象にはならなかったわけです。
ところで、話が変わりますが、寿がこんな感じだと、ねいるが蘇らせたい妹との関係はある意味寿以上にインパクトの大きいものになりそうですね。
さきほどねいるが感情の揺らぎを隠すために冷淡に振る舞う点を指摘しましたが、ねいるの妹を語る際の口ぶりはまさに冷淡そのものでした。
つまり妹はある意味寿以上にねいるの心を揺さぶり、また寿と違って理解しきれていない対象である可能性が高いといえます。
二人ならファンタジー
今回の結末はねいるがアイと一緒に寿の生命維持装置を外すという、なかなかショッキングな結末でした。
ただ、二人の行為は彼女達の友情の強さを印象付けるものになっていましたね。
アイがねいるを説得する際、小糸とこっくりさんをやっていたエピソードを披露していましたが、このエピソードの本質は「原因の曖昧化」にあるように思います。
アイは「こっくりさんで出てきた答えが小糸によるものか自分によるものかわからない」、「それってファンタジー」と語っていましたが、これはいうなれば「二人でやった行為の原因の所在がどのようになっているか曖昧になっている状態」といえます。
ものすごいざっくりといってしまうと、これは原因を曖昧化することでもたらされる結果なんですよね。
こっくりさんのエピソードを例にとってみましょう。
アイと小糸がやったこっくりさんは「好きな人と両想い」という小糸が望む結果を出しました。
これだけ見ると両想いであると望んでいる小糸が意図的に操作したように思います。
しかし、小糸を大切にしたいアイが「自分がやったかも」と考えることにより、小糸以外の原因が発生して真相がわからなくなり、結果的に原因が宙づりになります。
ただ、原因がわからなくなっても、小糸とアイの双方の想いは成就されたため、少なくともその場は大団円でした。
つまり原因が曖昧だからこそ、小糸もアイも幸福感を覚えられたというわけです。
これが二人だからこそ生み出せるファンタジーということでしょう。
そしてこれを今回のエピソードにはめると、ねいるはアイと同時に「生命維持装置を外す」ことにより、原因を曖昧化することで不安感を解消し、寿の願いを果たすことができたと捉えられます。
まぁいってしまえば罪悪感の共有をすることで、ハードルの高い課題をクリアできたってことですね。
ところで余談になりますが、ねいるが出会ったばかりのアイを受け入れた理由ってもしかしたらオッドアイだったからかもしれませんね。
実際寿もさりげなくオッドアイでしたし。
それにアイの天真爛漫なところも、どことなく寿と重なったのかもしれません。
不気味な大人達
後半ではねいるの秘書である美咲が意外な立ち回りを見せていましたね。
さらにこの物語の根幹に触れるようなやり取りも出てきました。
アカと裏アカと美咲
驚いたのはねいるの秘書である美咲がアカ・裏アカとつながっていたことです。
おまけにねいるが絡んでいたとはいえ、美咲はエッグ世界を計測できる立場にいました。
別の記事で、「エッグ世界、あるいはミテミヌフリの根幹にはアイ達を攻撃すべき対象かを判断する意思か、あるいはそれを判別する摂理がある」と書きましたが、実際はアカ・裏アカ以外に美咲のような観測者がいるということですね。
彼女がどこまでエッグ世界に干渉できるかは不明ですが、アカ・裏アカに報告していたり、ねいるの知らない事柄を知っている素振りを見ると、どうやら美咲はねいるの秘書というよりも、アカ・裏アカの部下のようですね。
というか、これを踏まえるとねいるを生み出したプラティや、寿の身体を回収しようとする政府も絡んできそうな感じがしてきますね。
うーん、だとしたらアカ・裏アカのバックは国ということに…。
なんかすごいことになってきたな(笑)
他方で、アカ達が一枚岩ではないことは相変わらずの模様。
アカは裏アカがねいるに寿を助けさせようとしたことを指摘していますし、美咲は事実を知ったらアイ達はむしろ立ち向かうとアカ・裏アカとは違う予測をしています。
まぁ、いずれにせよアカ達(あるいはバックにいる組織)はアイ達を使って何らかの実験をしている雰囲気が漂ってきましたね。
誘惑の秘密
もう一つ明かされた大きな秘密は、エッグの中の少女達の自害の原因がアカと裏アカにあり、そこには「タヒの誘惑」が大いに絡んでいるとのことでした。
うーん、この謎のヒントとして提示されているが「寿の出したヒント」、「あどけない悲しみ」、「事実を知ったらアイ達は立ち向かわなくなる」ですが…何がなにやら(笑)
細かいことを述べると字数がすごいことになりそうなので、さっさと推測だけ書いてしまうなら…。
今回のエピソードでは寿が何かと「パラレルワールド」を口にしており、そこにいることを楽しんでいることが描写されていました。
このパラレルワールドをそのまま受け取り、自害と絡めるなら、やはり連想されるのは「あの世」です。
恐らく寿の実験を通じて「あの世」=エッグ世界が見つかり、それを実証/実現するためにアカ・裏アカは動いているのでしょう。
その際、あの世で人が存在できるかを実証するためにエッグの中の少女が用いられているのかもしれません。
この世に生きづらさを感じている少女達を自害を通じて「あの世」に送り込み、「あの世」がパラレルワールドとして機能しているのか確かめる…みたいな感じでしょうか。
しかし発見された「あの世」はミテミヌフリやアンチが跋扈し、少女達のトラウマがワンダーキラーとして具現化する世界だった。
そもそもタヒを選んだエッグの中の少女は生きるための気概が欠けているために、これらと戦うことができない。
だから「大切な人を蘇らせたい」という気概を持つ生者=アイ達を呼び込むことで、ワンダーキラー等々を排除し、「あの世」を安定させる…それこそ「天国」にすることがアカや裏アカの狙いではないでしょうか。
…はい、この推測だと彫像の少女=蘇らせる存在を拾えていませんね。
書いている途中で思い出したので、もうちょっと続けましょう(笑)
仮に本当に自害した少女を蘇らせることができるなら、エッグ世界は「あの世」というよりもあの世とこの世の間…「煉獄」に近い立ち位置といえます。
つまりそのままいればあの世に行けるし、その気になればこの世に戻れる狭間というわけです。
だとしたらアカと裏アカの目的は生きづらい少女の避難場所として、または生き返りたい少女が友達を待ち続けられる場所として「煉獄を作り上げること」ではないか…と予測できそうです。
まぁこの予測は生き返りが前提なので、これがなくなると途端に崩れてしまいますが(笑)
それに事実を知ると「戦えない」、あるいは「立ち向かえる」と語っている以上、生き返りのチャンスがある「煉獄」とより、生き返りを放棄して安らぎを味わえる「あの世」と捉えた方がしっくりくる感もありますね(笑)
まぁでも、予防線ということで今回は両方の予測を残しておきます(笑)
『ワンエグ』第9話感想
いやー思ったより色々な新事実が発覚した回でしたね。
エピソードも寿の強烈なキャラクターが印象的で面白かったです。
ただ、思ったより話の風呂敷が広がってきたので戸惑いも隠せない(笑)
3月に入ったから残りの話数も少ない中、どうやって話を終息させるのか…。
色々気になりますね。
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