こんにちは。くらむBONです。
「ひぐらしのなく頃に卒」アニメ「祟明し編・其の参(卒9話)」のポイントを振り返りながら考察しますので、ネタバレを踏みたくない方はご注意下さい。
祟明し編・其の参では北条家に招かれた大石によって北条家内が調べられ、内情が把握されました。
優しい叔父様の良心が招いた大石L5発症ルートの補足と、沙都子について、エウアに名前が無かった理由について考えていきます。
キーワードは「分かたれた存在」です。
では、「ひぐらしのなく頃に卒」の惨劇と謎について考察してみましょう。
目次
沙都子の戸惑いと大石L5発症ルート
これまでの記事で「大石の頑張り物語=大石L5発症ルート」については過去記事にて考察してきました。
過去記事はこちらからご覧ください。
この記事ではネット上の考察などを入れない形で、あくまでも作品のみで考察を進めますので、考察部分に関しては個人的な意見としてとらえていただければ幸いです。
おおむね予想どおりのルートを進んでいますが、「祟明し編・其の参」では大石が園崎家による「オヤシロ様の祟り」実行犯を捕まえるための餌として、古出神社への狼藉を鉄平の仕業に見せかける展開がありました。
このことから大石の綿流しの祭の夜の警備対象は北条家になり、圭一と鉄平の事件現場から移動した沙都子が、大石にすぐに連絡が付いた理由となりそう。
大石にとって祭の夜に沙都子自宅に入っていった圭一は、「園崎家を後ろ盾に持つ雛見沢を代表するお神輿」であり「オヤシロ様の使い」として映った事でしょう。
借りパクされた書籍たち
北条家の実情を調査していた大石は、ある部屋で机の上に並べられた書籍を目にしています。
大石は関心を持っていませんでしたが、それらは勉強嫌いの沙都子が読むには難しい専門書ばかり。
書籍名が気になったので「法華経・命定論・名分論・形神論」について調べてみたところ、これらは中国の思想書やお経の解説書のようです。
私は浅学なのでこちらを解説できませんが、各自調べてみても面白いでしょう。
図書分類ラベルが貼られている事からこれらの書籍は図書館所蔵の蔵書であり、北条家の現状を鑑みると、沙都子の父の4により結果的に借りパクされた物である可能性が非常に高いと考えられます。
沙都子の父を考察
これまで沙都子の両親については2年目の被害者としてしか作中で紹介されていないため、不明な点が多い人物。
かなり頭の良い人物であったことが、ダム誘致運動の中心人物だったことや、これらの書籍から判断できるでしょう。
そして私たちの鉄平はそんな沙都子の父へのコンプレックスからチンピラへの道を歩み始め・・・(L5発症により中略)。
沙都子の父は「雛見沢やオヤシロ様」を研究する在野の研究者、もしくは郷土史家だったのではないでしょうか。
この場合ダム誘致派の沙都子の父は理論武装するために、村の成り立ちや古出神社についても調べていたと考えられます。
沙都子さん@がんばらない
沙都子は今回冒頭でエウアから「人でない」や「北条沙都子ですらない」という言葉を投げかけられています。
また、沙都子自身は頑張らずにL5発症者の頑張り物語を量産する沙都子について、前話でエウアはまるで「魔女」と発言しました。
沙都子自身は自分以外の何者でもないと言っていることから、沙都子自身は瞳の色が変わっていることに気付いていないのではないでしょうか。
今回沙都子にとって鉄平の良心からの暴走は嬉しくもあり、以前のカケラ世界との変貌ぶりに戸惑っている描写がありました。
この時の沙都子の心情には迷いのようなものが垣間見られます。
優しい叔父様との生活が沙都子の人間性を少しでも揺り動かしていて欲しいと想ったシーンでした。
沙都子の二面性
大石の登場で沙都子はこの時点でL5雛見沢症候群を発症させるターゲットを鉄平から大石へと変えたのではないでしょうか。
過去記事で沙都子の心情について考察しています。
沙都子の中にはかつてのカケラ世界には無かった穏やかな暮らしに対する憧れのようなものが生まれつつあるのかもしれません。
しかしその感傷は梨花への歪んだ愛情によって塗りつぶされてしまっています。
魔女という呪縛
魔女というキーワードからはゲーム的には女魔法使いの姿が思い浮かびますが、歴史的に見れば「魔女狩り」が連想されます。
魔女狩りとは
「中世末期以来,ヨーロッパのキリスト教会が行った,悪魔に魂を売った者(魔女)に対する徹底的弾圧
“魔女”とは,キリスト教の信仰を捨て,悪魔から得た魔力で人間社会に害毒を与えると信じられた者のことで,男も含む。魔女信仰の起源は,キリスト教以前の土俗的原始宗教にあり,教会はその初期には妥協的関係にあったが,教会内部の異端運動の激化に伴い,14世紀以降4世紀間にわたり,おびただしい犠牲者が“魔女”として裁判で血祭りにあげられ,特に宗教改革が起こった16〜17世紀,新旧両派によって行われ最盛期となった。しかし,1692年アメリカのマサチュセッツ州の「セーラムの魔女事件」を最後に,魔女狩りは急速に衰えた。」引用:コトバンク「旺文社世界史事典 三訂版」
「魔女狩り」には諸説ありますが、かみ砕いて説明すると宗教・政治的に不満が蔓延した中世ヨーロッパ時代に横行した、異端狩りやマイノリティへの八つ当たりによる弾圧でした。
かつてのカケラ世界でルールZの呪縛により「雛見沢村中からイジメられていた」沙都子。
エウアに「繰り返す者」として選ばれているのが偶然でなければ、エウアは「魔女狩り」の歴史を知っているのでしょう。
これまでエウアがしてきた観劇の中には、そういったゲームもあったのかもしれません。
和装(?)のエウアと同一視されるフェザリーヌが何故洋式の名を持っているのかは、かつて観劇した別世界でのゲームで魔女狩りが行われた名残だったりして。
魔女憑依説
魔女は「悪魔が取り憑いた存在」と定義されることがあり、性別は関係ありません。
この場合、元の人格と悪魔が憑依した人格は別なものですが不可分なのでしょう。
しかし雛見沢の伝承では「鬼狩柳桜」があり、羽入を56した神剣だったと記憶しています。
その後羽入は「オヤシロ様」となり8代続く古出神社の女児を見守る存在になった。
「賽殺し編3話」では梨花の母が8代目で、「ひぐらしのなく頃に」シリーズでは梨花が8代目だったので梨花は「オヤシロ様の生まれ変わり」と呼ばれていたはず。
ならば、沙都子が魔女だとしてラムダデルタとしての人格が生まれているのだとしたら、魔女の存在は沙都子から切り離すことができるのではないかと考えられます。
エウアに名前が無かった理由と分かたれたもの
「ひぐらし」と「うみねこ」を結びつける仮説は様々なものがあります。
「梨花=ベルンカステル」説や「鷹野もしくは沙都子=ラムダデルタ」説、「エウア=フェザリーヌ=羽入」説などがあって、作中の描写から類似するものがあるものの、明言はされていないのが現状。
以前の記事で、私は盤上世界がそれぞれ別の世界ではないかと推察しています。
繰り返すものに関わる存在である羽入やエウアは、フェザリーヌの一側面として切り離された存在なのではないでしょうか。
神道には「分霊」という概念があり、神は分けられるのです。
分霊とは
ある神社の祭神の霊を他に分かち祭ること。また、その霊。
引用:デジタル大辞泉
羽入やエウアがフェザリーヌから分かたれた存在だとすると、同じ世界を観劇する意味が無いので「雛見沢」と「六軒島」は別の世界の盤上なのではないでしょうか。
エウアに名前が無かった理由とは、フェザリーヌから分霊された直後だったからかもしれません。
鷹野と沙都子も分かたれているもの?
ラムダデルタの正体については「鷹野三四」説や「北条沙都子」説があり、混乱を招いてきました。
例えば外見が幼い鷹野であり、中身は沙都子と似た設定があることが原因でした。
鷹野三四と北条沙都子の類似性が見いだせずにいましたが、今回専門書があった事から沙都子の父は少なくとも古代中国の思想や宗教について研究していたことがうかがえます。
このことから鷹野の祖父と沙都子の父は雛見沢を研究する人物ということや、「オヤシロ様になり替わろうとする存在」という点で共通の部分が見いだせます。
鷹野は「祭囃し編」までのカケラ世界で不幸な現実から逃れるために「雛見沢症候群」を利用して、「新たな神となる」ために行動していました。
その計画のもとになったのは「祖父の残した論文」と「34号文書」です。
沙都子は「祭囃し編」までのカケラ世界で、北条家に関するルールZにとらわれて、魔女狩りのような「村全体からのイジメ」に苦しんでいました。
エウアによって「繰り返す者」となり「梨花を雛見沢に閉じ込める」という目的で惨劇を起こし続けています。
雛見沢を構成する無数のカケラ世界はカケラと呼ばれているので、分かたれた世界の破片なのでしょう。
カケラを組み上げたときには何が起こるのかわかりませんが、沙都子と鷹野は ラムダデルタを魔女として完成させるための構成要素として選ばれた部品なのかな。
ひぐらしのなく頃に卒9話感想まとめ
鉄平が「祟騙し編」で料理に挑戦して火事を起こしかけた圭一と同じく、料理に挑戦する様は意図的に圭一の裏返った姿がSSR鉄平としている演出で、全国の鉄平ファンにとっては嬉しい展開。
「祟明し編」自体はもう解き明かすべき謎がないのでのんびり視聴していましたが、北条家の描写が多かったのは、惨劇の中で訪れたひとときの安らぎが演出されている回で良かったと思います。
時流に乗って「沙都子=ラムダデルタ」説ばかりだとつまらないので、今回描かれた沙都子の様子から、沙都子と魔女に関する考察とエウアという存在について考えてみましたがいかがだったでしょうか。
ここは作中で補完されない部分だと思うので、L5雛見沢症候群発症中の信用できない語り部の語る「34号文書」だと思ってください。
折り返した物語の着地点が何処へ向かうのかを楽しみにしつつ、次週を期待しましょう。
ではまた。
ばいばい。
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コメント
目が赤くなってるのは「魔女的な言動をするときの演出」であって、実際に目が赤くなってるわけじゃないと思いますよ
梨花も綿騙し編で目が赤くなってたけど、圭一はそれに全く言及してません
沙都子と鷹野の共通点は「絶対の意志で目的を叶えようとする」事でしょう
そもそもラムダデルタは「絶対の魔女」であり、その「絶対の意志」でベルンカステルを「あるゲーム盤」に閉じ込め続けていましたが、ベルンカステルの「奇跡」によって一瞬の油断から敗北したとされています
これは鷹野にも沙都子にも当てはまる話です
沙都子は猫騙し編のラストで油断して梨花にループの記憶があることに気付かれました
「沙都子の魔女人格のみを切り離す説」は割と見かけますが、
祭囃し編で鷹野すら許した前作ひぐらしのラストを根底から否定してるという問題があります
そもそも沙都子の魔女化はエウアが力を与えたのがきっかけですが、
大元の原因は梨花と沙都子のすれ違い並びに共依存なので、
それを解決せずに沙都子に芽生えた魔女の部分だけ切り離して解決はスッキリしないし同じ事の繰り返しになる危険性もあります