こんばんは。毎度お馴染みもぐりの介護士、雨琴と申します。
『神様になった日』を担当しております。麻枝准作品はあまり履修してきておりませんので平にご容赦。
前回はひながいなくなったあと。世界が終わる日を迎えても過ぎていった陽太たちの日常に、央人の介入。
そして央人の手引きにより、陽太は変わり果てたひなと再会しましたね。
その続きとなる今回は施設でのひなの暮らしぶりの紹介から、改めて陽太とひなが近づいていくまでを描いています。
今回も気づいたこと感じたこと、思ったこと考えたことが山程あるので早速ふり返っていこうと思います。
ひなの日常生活動作
小児科での看護の経験はありませんが、施設介護の経験から、施設でのひなの暮らしぶりを興味深く拝見しました。
興梠博士の常温動作可能なチップ型量子コンピューターを失っても、座位は自立しているし日常生活動作に限ってみれば、かなり残存機能がありそうです。
発話に難があったりトイレトレーニングを行ったりしているので、問題がないとは言えませんが。
尺の都合で割愛した可能性もありますがトイレの回数が少ないのは尿意がないのでしょうか。パット交換もないとなると尿意がないのかもしれないと思いつつ。
パット交換のときはそれと知らず陽太が退室させられた可能性もありますね。
便座への移乗も車椅子を使った形跡がないので手引歩行が可能であると判断できます。ロゴス症候群の進行を抑えられれば在宅介護できるかもしれません。
ベッドにサイドレールがないことだけはどう解釈するか迷います。滑落の危険がないということは寝返りできないのかな。であれば体位交換の必要がありますが。
食事介助に対しても介護拒否が出て偏食だったので褥瘡の危険があります。
動物カードやプラネタリウムへの反応をみると意欲がまったくないのではなく低下しているということのようです。
本当のひな
司波素子の言う「本当のひな」をどう考えたらよいのでしょうか。
革新的な機械を素子がどう認識しているかわかりませんが、革新的な機械 a.k.a.常温動作可能なチップ型量子コンピューターは、ひなの肉親である興梠博士の作ったものです。
同時にひながあの年齢まで生存するために不可欠なものでした。
これがもし脳神経にまつわる機械でなく、たとえば義肢や義歯であったら、「本当の」なんて話にはならないと思います。
生きるために入れ歯が必要なた使えばいいというただそれだけのことなのですが、脳が関わると難しくなりますね。
「本当の」という問いかけ自体がレトリックとして巧妙というか「本当に?」をくり返されたら議論はできませんので考え方を変えます。
「本当の」ひなかどうかという問いを「佐藤ひならしく生きているか」と再定義してみます。
「らしさ」も難しい言葉ですが、単純に「自分のことは自分でやる」とか、「自分の体を自由に動かしたい」とか。
そういった欲求を叶えられているかどうか。
もちろんトイレトレーニングは必要だから行っているケアだと考えます。
同時に残存機能を活用し自身で行えることは可能な限り自身でやっていただくことが介護の前提です。
人が一人では生きていけないというのは自明なことです。そして他者と関われば大なり小なり、自分の存在は他者の心の一部を占める。
反対に他者の存在が自分の心の一部を占めていく。陽太の場合は一部ではなく全部をひなに占められてしまったようですが。
ひなの生命はひなだけのものではなく、ひなに生きて欲しいと願ったであろう興梠博士や、ひなのことを想っている陽太と周りの人々のものでもある。もちろん司波素子のものでも。
どうしたいかひな自身に決めてもらうためにも、選択肢は必要です。
側にいた陽太から「ゲームが好きだった」とアセスメントできたなら、それを活かした支援計画を組むのがチーム医療です。
意欲がないのでなく低いならば、欲求を引きだす誘因となるものを放っておく手はないと思います。
陽太のしたことは看護か
陽太の独断によりひなはゲームで遊び始めました。
素子の言ったようにゲームには依存性があると思います。
なぜならゲームはクリアしたり進めたりすると褒められたりアイテムもらえたりして、必ず報酬があります。
現実世界で自分のしたことに必ず報酬がもらえるなんてことそんなにないですからね。良かれと思って余計なことしてしまったことが何回もあります。
先程も人は一人で生きていけないと申し上げた通り、依存先を増やして何に依存しているかわからないくらいいろいろなものに依存した結果が自立です。
はじめの陽太はプレーのミスに対して批評ばかりして褒めるということをしなかったから、ゲームの持つ力を引き出せなかった状態です。
素子が星について語り聞かせるところを見て、陽太は介護/看護の本質についてのヒントを得たのではないでしょうか。
無論介助技術や医療技術は一朝一夕では身につきませんが、介護や看護自体は誰にだってできることだと思います。
ひなの代わりにゲームのレベル上げをしておくことは、陽太にできる範囲での最高の看護だったと思います。
ゲームの中ですが、ひなは自分の思い通りに体を動かす喜びを感じることができたはずです。
神様になった日 11話感想
期待した通りの介護アニメになってまいりました。というか勝手に介護アニメとして楽しんでいるだけですが。
そもそも世界が終わるということとヒロインの命を天秤にかけるタイプのアニメという事前情報だった気がするのです。
ではこの場合の世界とは何だったのか。革新的な機械を埋め込まれた状態のひなの意識という意味でないとしたらを考えると楽しいです。
最終回の予想、難しいですね。ひなに革新的な機械を与えた興梠博士は「神様みたいな人だった」と作中で言及されていました。
陽太がひなの在宅復帰と自立支援を行い、ひなの日常生活動作が回復したところで、陽太が『神様になった日』となるパターンを予想します!
前回までのふり返りはこちらから
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コメント
>そもそも世界が終わるということとヒロインの命を天秤にかけるタイプのアニメという事前情報だった気がするのです。
鍵作品の事前情報とか、この世で最も信用できないモノの一つですよ
シャーロットも青春ものから異能バトルものになりましたし
>ではこの場合の世界とは何だったのか。革新的な機械を埋め込まれた状態のひなの意識という意味でないとしたらを考えると楽しいです。
ひな自身は9話で「終わるのは『ワシの世界』だけじゃった」と言い切ってましたけどね
そもそも「世界が終わる日」の期日はとっくに過ぎてるので、そこはもう考えなくてもいいと思います
ループ説とか実は電脳世界説とか色々ありましたけど、単に「ひなの世界が終わる日」だったと
その世界を再生する事ができるのなら確かに陽太の「神様になった日」となりますね
ぶっちゃけると、ひなはすでに7話でひなの父親が言ってた状態(言葉も通じず身動きもできない)よりも、遙かにマシな状態まで回復してます
多分、最初からひなが今の状態なら、父親も見捨てなかったと思います
今のひなくらいの障害者ならば現実に大勢います
>ひなの代わりにゲームのレベル上げをしておくことは、陽太にできる範囲での最高の看護だったと思います。
病人が寝てる部屋で徹夜ゲームするのはアレですけどね
せめて部屋を代えてから、やれよと思いました