皆々様こんにちは。
『機動戦士ガンダム水星の魔女(以下『水星の魔女』)担当のgatoです。
前回は実習を通じてスレッタとチュチュ達アーシアンが心を通わせる場面が描かれました。
同時にスペーシアンとアーシアンの対立の根源も描かれていましたね。
さて、今回はこれまでスレッタに意味深なアプローチをしてきたエランがメインになるようです。
彼の出生は個人的に興味がありますが…一体どうなったのか、振り返ってみましょう。
目次
氷の君が眼差すもの
まずは前半のエランの立ち回りから掘り下げてみましょう。
強化人士4号
今回はエランの正体が明らかになりました。
第2話の記事から、エランがほかの御三家の御曹司とは違い、ペイル社のCEOであるニューゲン達と血縁が見えないことを指摘していましたが、彼は「強化人士4号」という存在であることがわかりました。
ネーミングからして、『ガンダム』シリーズおなじみの強化人間の類のようですね。
というか、『ガンダム』シリーズを踏まえるなら、普通に考えてデザイナーベイビーよりも強化人間ですよね…なんちゅう初歩的なミス…。
でも強化人士は「ガンダムに乗るために作られた人間」と言われているのでね、まぁデザイナーベイビーみたいなもんですよ(笑)
言い訳はそれくらいにして、エランはシリーズに出てきた強化人間と違い、精神はかなり安定しているように見えます。
また、エアリアルにアクセスできるなど、ガンダム(あるいはデータストーム)への適応性が非常に高い存在であることが窺えます。
ただ、エリクトやスレッタと違い、彼の肉体にナディム達のような紋様が表れていたところをみると、エリクトやスレッタがそもそもにして通常の人間とは異なるメカニズムを持った存在の可能性が高そうですね…。
はじめてのデート
前半はなんとエランがスレッタを決闘委員会の業務(という名のデート)に誘う展開からスタートしました。
これでスレッタのハーレムにもう一人仲間が増えたことに…ミオリネは激おこでしたけど(笑)
エランは後述するようにある種のシンパシーを感じて彼女に接近したわけですが、慌てつつもなんやかんやでスレッタがOKだったという点はちょっと意外でしたね。
まぁエランは拘留されたスレッタに食事を渡したり、グエルとの二度目の決闘に勝利した時にメッセージを送ったり、実習で困ったときに手を貸そうとするなど、彼女からしたら、とても心優しい人物でした。
少なくとも、彼を罵ったミオリネに怒るくらいには信頼していたし、気を許していたことが窺えます。
また、スレッタがアリヤにエランについて占ってもらおうとしていたところも意外でした。
花嫁のミオリネじゃなくてエランってところが、特に(笑)
もしかしたら恋という文脈で見るのなら、スレッタの初恋はエランってことになるのかな…(笑)
まぁあの性格ですからスレッタが恋だと自覚することはないでしょうけど、気になる人との相性くらいは占いたかったのかもしれませんね。
呪いを背負えばこそ
ワクワクが止まらなかったスレッタとエランの初デートですが…エランがエアリアルに乗り込み、自分とスレッタが「違う」と理解したや否や、今までの優しい態度はどこでやら、突然酷薄な態度を取ってスレッタを泣かせてしまいます。
ただ、それもエランがスレッタとの出会いに彼なりの想いを賭けていたからでしょう。
エランは作中で一番初めにエアリアルが「ガンダム」だと気づいた人間であり、それからスレッタに急接近していました。
ここにはベルメリアの指示があったことが伺い知れますが、他方で彼の個人的な感情も入り混じっていたこともわかります。
そもそも、エランは自分の出生を決して肯定的に捉えていません。
エランが強化人士を「ガンダムに乗るために作られた人間」といった後にベルメリアに「恨み言はやめて」と言われる場面が象徴的ですね。
また、スレッタを拒絶したときにエアリアルを家族と語る彼女に対して「MSは呪いでしかない」と返したり、誕生日を聞かれてもそれとなくスルーするうえに「僕に誕生日なんてない」と発言するなど、エランは感情的になると強化人士である自分を素直に受け入れられていない本音を露にしています。
この表現を使うといささか軽薄な感じもしますが、エランにとって自分の出生は一種のコンプレックスのようなものだったのかもしれません。
ただ、自分と同じガンダムを駆るスレッタを目の当たりにし、彼女に接近していくにつれてエランの中で何か変化があったのでしょう(ベルメリアがいうところの「うれしい」)。
もしかしたらこれまでのエランの「氷の君」っぷりは自分と同じ存在がいない孤独から生じるものだったのでしょう。
そんな中、初めて自分と同じような存在であるスレッタと出会ったことで、彼は初めて孤独を癒されつつあった。
そして心のどこかで、彼女をうらやましく思い、憧れめいた感情を抱いたかもしれません…だからエアリアルに乗るときに彼にとっての呪いであるMSをわざわざ「家族」と呼び、「君の家族を傷つけたりしない」といった(演技の可能性は高いですが…実際彼は怒りに駆られてもエアリアルを丁寧に返していました)。
だからこそ、スレッタが自分と違う存在だと悟ったときのエランのショックは相当なものだったのでしょう…無感情な彼が思わずヘルメットをコクピット内で投げ飛ばすほどに。
それに、ただでさえショックを受けているエランに「誕生日」とか「お母さん」とか琴線に触れそうなことをスレッタが連呼しちゃったこともまずかったですね…。
この先二人がどうなるかが心配だな…。
ただ、個人的にエランのスレッタへの接近は何かあると思っていたので、この展開は興味深いです。
…まぁ、公式サイトでガンダムに乗ることが明言されていた御曹司がエランだけっていう時点で察するべきでしたが(笑)
『ゆりかごの星』で示唆されていたように、復讐という「呪い」を受け継がされたスレッタと、ガンダムに乗るために作られた出生という「呪い」を背負ったエラン…。
他の御曹司とは一線を画す共通点を持った2人の関係は、今後の展開を大きく左右するかもしれません。
横恋慕は繰り返す
前回のエピソードで横暴なホルダーから横恋慕上等のツンデレになっちゃったグエル(笑)ですが、今回はエランのファラクトのテストにされるというかませ犬っぷりを見せつけました。
俺様ホルダー→横恋慕ツンデレ→ヤムチャ(イマココ!)って感じですね(笑)
まぁスレッタの涙を見て決闘を即断したイケメンっぷりがあるので、株が下がることはないでしょうけど(笑)
ただ、第3話での敗北でエースパイロットを剥奪されるなど、家族の中でも窮地に立ちつつある彼が禁止されている決闘を行ったことで、ますます立場を悪くしていることは想像に難くありません。
地味に、今回のエピソードで一番ヤバい立場にいるのは彼なんですよね…。
でも、裏を返すと彼が追いつめられる立場に転じたことで、スレッタだけでなくミオリネや地球寮の面々と接近するきっかけは生まれつつあるようには感じるのですが…。
許されざる決闘
ここでは後半のエランVSグエルの決闘やエランを取り巻く様々な事柄、そしてエアリアルについて掘り下げてみましょう。
漆黒のガンダム
今回から登場したもう一機のガンダムであるファラクトですが、GUNDフォーマットが搭載されているなど、ガンダムの特徴をちゃんと兼ね備えていましたね。
ただ、パイロットであるエランに赤い紋様が表れているところを見ると、どちらかというとルブリスに近い印象があります。
また、エリクトやスレッタと違ってエランがファラクトと対話しているような描写がないところを見ると、これまでルブリスやエアリアルに示唆されていた自我めいたものが備わっている様子もなさそうです。
そう考えると、エアリエルとコミュニケーションができるスレッタと違って、エランがガンダムなどのMSを「あんなもの」という理由がわかる気がします。
ところで、エランとファラクトの戦い方は鮮やかでしたね。
電磁ビームによるスタンとレゴリスを利用した過負荷でディランザを行動不能にする戦い方は、他の『ガンダム』シリーズではあまり見ないものでした。
力任せに状況を打破してみせたグエルもなかなかでしたが…分が悪すぎましたね。
ただ、行動不能にしたディランザの腕を破壊したり、わざわざブレードアンテナを素手で引きちぎるなど、グエルとの決闘でのエランの戦い方は序盤で見せたそれとは違っている印象でした。
スレッタが自分と違う存在であると悟ったエランの無意識的な苛立ちが、ここに宿っているようですね。
もう一人の魔女
今回はエランとスレッタ・グエルとのやり取りがメインで進んでいましたが、水面下で地味に驚かせてきたのがエランの補佐役をしているベルメリアが実はプロスペラの後輩だったことです。
プロスペラが「魔女はもう一人いた」というところを見ると、ベルメリアはヴァナディース機関の生き残りである可能性が高そうですね。
どういう経緯でペイル社に入っているのかが気になるところですが…。
他方で、ベルメリアの登場で前回いろいろ掘り下げたプロスペラ=エリクト説が怪しくなりましたね…。
ベルメリアはプロスペラを「先輩」と呼んでいましたが、エリクトの後輩にしては少しおばさん過ぎる(笑)
逆にプロスペラが若々し過ぎるともいえますが、今回見せた素顔の彼女はちゃんと目元の皺が描かれていました。
だから歳をとったエルノラ=プロスペラ…と見た方が自然な気がします。
そしてこれと同時に、スレッタ=エリクトの子ども説も怪しくなりますね…ちょっと面白い説だっただけに残念(笑)
ところで、ベルメリアが関わっているのにパーメットの流入が発生している+ペイル社がパイロットを強化人士に頼るしかない状況であるところを見ると、エアリアルはベルメリアも知らない技術で作られていることがわかります。
そして両者の差異を決定づけているのはやはりスレッタの存在でしょう。
ここはこの後でもう少し深く掘り下げていきます。
ペイル社の魔女達
強化人士の手配、ガンダムの開発、そしてベルメリアを配下にしていることから、ますます怪しくなってくるのがペイル社です。
よくよく考えるとペイル社はプロスペラにエアリアルの技術データを欲しがるなど、ガンダムに興味がある素振りを見せていました。
今回のニューゲン達の立ち回りから、ペイル社は積極的にガンダムを含めたGUNDフォーマットの技術を取り入れていることがわかります。
ただ、彼女達の行為はガンダムを真っ向から否定するデリングの意向と対立するスタンスといっても過言ではありません。
となると、将来的にペイル社がデリングと衝突する展開があり得ますね。
ただ、彼女達が行動を起こすことをプロスペラは予期していた模様。
だとしたら、プロスペラがジェタークの次に抱き込むのは彼女達ってことになるのでしょうか…。
というか、改めて思ったんですが、ペイル社のCEO達って誰一人名字を持っていないんですよね。
今作は基本的にどのキャラもフルネームを公開されているから、これはちょっと気になるところ…。
どこか人間離れした風貌をしていますし、もしかしたらニューゲン達もケレスと同じような出生である可能性もありそうですね。
エアリアルの奥の奥
さて、最後にファラクトを踏まえながら、エアリアルについて掘り下げてみましょう。
今回エアリアルについてわかったことで、重要だと思う点は以下の4つです。
「身体拡張制御(GUNDフォーマット)の理想形」
「常人なら速攻で命を落とすレベルでパーメントが流入される性能」
「パイロットの生命倫理問題をクリアしている」
「パーメットが反応しない」
上記4点を簡単にまとめるなら、「非常に有機的な動きをするがデータストームを伴ったパーメットがパイロットに影響しない」…といった感じでしょうか。
今回のエランの描写でわかるように、ガンダムに乗るパイロットはデータストームの影響でパーメットが反応し、肉体に紋様が浮き出るようになっています。
これはエアリアルの前身であるルブリスにおいても同様であり、『PROLOGUE』で搭乗したエリクトも青い紋様が浮き出ていました(色の違いは適応度の違い…ってことにしておきます)。
ただ、搭乗したエランのパーメットが反応しないところを見ると、エアリアルはパーメットリンクを必要とせずに制御できる…つまりデータストームがパイロットに流入しない仕様になっている可能性が高そうです。
だとしたら、エアリアルは機体単体でデータストームの問題を解決できる何らかの機能が備わっていることを意味します。
となると、巷で噂されている「エアリアルには故人となったエリクトが組み込まれている」説や「スレッタ=エリクトのクローン」説が急浮上してきますが…。
後者はまだわかるんですよ、恐らくガンダムが最大の力を発現するレイアー33のキックバックを達成するにはエリクトの認証バイアスが必要だから、彼女のクローンをパイロットにするという説明がつきますし。
でも、前者はまだ懐疑的な印象が拭えない(笑)。
そもそもエリクトを組み込むことでデータストームの問題が解決するなら『鉄血のオルフェンズ』のアインのように直接エリクトが制御する仕様にした方がいいのでは?という感じがします。
それにエアリアルの修理のためにニカ達が思いっきりあちこち調べてますしね(笑)
せめて「ブラックボックスがある」みたいな描写があればよかったですが、一般人が気軽に触れられる環境でエリクトが組み込まれているMSを送り込むとは想像しがたいところがあります。
それに『ゆりかごの星』でのエアリアルの一人称問題もありますしね。
ただ、細かい点を差し引いてあえて前者を擁護するなら、そもそもエリクトはデータストームの影響を受けずにルブリスを操作できたため、原理は不明ですが彼女を組み込めば問題が解決するという捉え方は筋が通ります。
そして「エリクトが何らかの事故で植物状態or即タヒ状態になったから彼女の代替が必要になった」ということでスレッタが急遽生み出され、パイロットにされた…と考えれば前者でもいけなくはない気がする…。
うーん、今のところどっちもどっちで感じなんですよねぇ…。
もうちょっと情報がほしいな(笑)
占いが示すもの
ではでは最後に、スレッタの正体について、ちょっと考えてみましょう。
前回の記事では色々説を並べてみましたが、予想通りエランの描写が増えたことで色々情報が増えてきました。
ただ…現段階でいえるのは「スレッタ=エリクトの娘」説がちょっと下がって、「スレッタ=エリクトのクローン」説が上がったって感じなんですよねぇ…。
今回のエピソードで個人的に重視したいのが、やはり意味深に行われていたアリヤの占いです。
注目すべきはアリヤがいないはずのスレッタの「きょうだい」を指摘した場面ですね。
個人的にこの「きょうだい」が該当する可能性があるキャラクターは3つです。
まずはやはり「スレッタ=エリクトのクローン」説に則ったエリクトでしょう。
クローン元であるエリクトなら、きょうだいという単語に一番きれいに結び付けられます。
ただ、テレビ放送で見た場合、字幕が「兄弟」になっているため、女性であるエリクトに使う用語としては首を傾げてしまうところ。
もちろん「姉妹」と書いて「きょうだい」と読むことがありますし、字幕が100%正しいわけでもないですが。
もう一つがスレッタが家族と称するエアリアルです。
人について占いをしているのにMSが出てくる点は奇妙ですが、「エアリアルにエリクトが組み込まれている」説を持ってくるなら、それとなく筋は通ります。
つまり「エアリアルそれ自体がエリクトを暗示している」という捉え方ですね。
ただ、エアリアルを「家族」と呼ぶスレッタがあまりにピンと来ていないので、これはちょっと違う気がします。
そして最後の一つはエランでしょうか。
この占いの直後にスレッタはエランについて占ってもらおうとしていますし、今回のエピソードの主役がエランであることを踏まえると、あながち間違いではありません。
何よりスレッタがクローンだった場合、人工的に作られた者同士という意味で、ある意味強化人士であるエランとスレッタは「きょうだい」的な関係を言えなくはないです。
だとしたら、あの占いはエランがこの先スレッタにとっての「きょうだい」的な関係になることを暗示している…と捉えることはできます。
他方で、今回悩ましかったのが、スレッタに関する描写がアンビバレント過ぎて、スレッタ=エリクトを否定できないという点なんですよね…。
エランが言った「彼女は僕と違う」という発言は、「自分と同じガンダムに乗るために作られた強化人士じゃない」にも、「彼女はただの人間だった」にも捉えられるものです。
それに、父親(恐らくナディム)が故人であることについて、スレッタは「小さい頃にタヒんだと聞いた」と発言しているんですよね。
もちろん「小さい頃にタヒんだと聞いたってことは現場を知らない=クローンなんだ!」とはいえますが、『PROLOGUE』時点でエリクトは人の命を奪った自覚がないレベルでしたし、何よりナディムが命を落とした場面を直接見たわけではありません。
だから当時の状況を把握していたプロスペラ=エルノラから後々聞かされた…と解釈する余地はまだあります。
というか、これはどの説に対しても言えるんですが、そもそもプロスペラが復讐のためにスレッタを生み出したとしたら、復讐のことやガンダムについて一切教えないまま育てた理由がわからない。
まぁ情に絆されたとかなんとか、いろいろ理由はつけられますが…だったらスレッタ=エリクトでもいいじゃないかと想っちゃうんですよね…。
というか、ここに来た振り出しに戻っちゃった感じがするな(笑)
いろいろ自分で言っておきながらマッチポンプ式に反証してしまうのは僕の悪い癖です(笑)
ただ、個人的にエランがいった「彼女の顔も別人のものだったりして」というセリフがすごく意味深なので、今回のエピソードでスレッタ=エリクトのクローン説は現実味を帯び始めているとは思っています。
『水星の魔女』第5話感想
個人的に注目していたエランがメインになってきたということもあって、個人的には結構楽しめたエピソードでした。
スレッタの正体探しは難航するばかりですが(笑)
ただ、エランの立ち回りは結構重要な気がするんですよねぇ…。
ケレスの名前の問題もありますし。
ところで、本筋ではないのであまり触れなかったですが、ミオリネが思ったより地球寮になじんでいましたね(笑)
チュチュ達もまんざらではないですし、彼女も彼女で居場所を見つけられたのかもしれません。
彼女が焦がれている地球の出身者の集まりですしね。
ところで、彼女が言った「ロミジュリったら許さないからね」。
一見するとなかなかのパワーワードですが…そもそも『ロミオとジュリエット』って悲劇なんですよね…。
『ガンダム』シリーズは強化人間が酷い目にあうというお約束がありますが…スレッタとエランには適用しないでほしいところです。
そう祈りながら、次回を楽しみにしましょう。
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