皆々様こんにちは。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(以下『完』)』担当のgatoです。
コロナ禍による放送延期を乗り越え、やっとこさ放送が開始された『完』。
前回は『続』のラストシーンのその後を描きつつ、受験を乗り越えた小町と八幡のやり取りが描かれました。
そして今回は八幡と結衣に「依頼」した雪乃が家族と向き合う様が描かれるようです。
さらにシリーズでおなじみのキャラクターも何人か登場するようですね。
どんなシナリオになったのか、早速振り返っていきましょう。
原作ファンの方は初見勢の考察にニヤニヤしながら読んで頂ければと思います。
※コメント欄でのネタバレも厳禁でお願いします。
「私達のこと、これからの私達について」
前回に引き続き、今回も雪乃が家族と向き合う様が描かれていました。
今回の相手は雪乃が劣等感を持つ原因になった姉の陽乃。
飄然とした態度で掴み処がないかと思いきや、えげつない言葉で突き刺してくる御馴染みのトリックスター(笑)です。
ただ、今回の雪乃はこれまでと違って陽乃に対しても真っ直ぐと向かい合って自分の想いを伝えていました。
前回の記事でも触れましたが、雪乃は母親と向かい合うことで将来の夢を諦める…すなわち敗北する覚悟を決めています。
しかし、雪乃が陽乃の前で見せた表情は決意に満ちており、また結衣や八幡の存在もあって笑顔を見せる余裕さも持ち合わせていました。
「自分」という存在が希薄だった頃と比べると、各段に雪乃が変化していることが窺えます。
さらに後半では「自分のため」にプロムを計画するいろはに触発され、雪乃は自分の力で彼女をサポートする決断をしました。
今回だけで見るなら雪乃の「一人でやる」はこれまでと属性が異なる印象です。
これまでの『俺ガイル』では奉仕部から離れて一人でやるとなると面倒なトラブルに巻き込まれたり、孤立したりと散々な結果になりがちでしたが、今回の雪乃は仲間(奉仕部)の支えを得たうえで一人で問題に対処するという構図になっています。
つまり孤立して(あるいは孤独だから)一人でやるのではなく、「みんな」の中に身を置きつつ一人で立ち向かっているわけです。
「みんな」に良い意味で依存せず、「一人」に悪い意味で耽溺しない姿勢こそが、雪乃の変化の根幹ではないでしょうか。
「君は酔えない」
雪乃の変化を目の当たりにし、姉らしくサポートを宣言した…と思いきや、やはり陽乃は腹に一物抱えていたようです。
八幡との深夜デート(笑)で陽乃は自分のパーソナリティについて訥々と語っていましたが、これがなかなか興味深いものでした。
陽乃はそれなりに杯を空けても「冷静な自分がいる」と語っていましたが、それは常に自分や周囲を俯瞰してしまう癖のようなものなのでしょう。
絶対的権力を持つ母親や必死にもがく雪乃の間にいた陽乃らしいパーソナリティですが、それを語る時の陽乃の表情を見ているとそんな自分をあまり好きではないような雰囲気もありますね。
このシーンを踏まえると、個人的に陽乃は雪乃の姉として振舞いたいけど振る舞えない人間なのかなぁと思ったりします。
陽乃はいじわるながらも雪乃に対して一定以上の愛情はきちんと抱いていますが、その愛情すら客観的に冷静に見てしまえる自分がいるのでしょう(もちろん雪乃に対する悲喜こもごもとした感情もあって)。
俯瞰してしまえるからこそ、雪乃に対して首ったけになれず、かといって完全に突き放すことができない。
だから陽乃はいじわるをしながらもフォローするという、どっちつかずな振る舞いをしてしまう一面を持つのでしょうね。
そして陽乃が八幡に対して「君は酔えない」と告げているのも、八幡が彼女と似た一面を持っているからともいえそうです。
実際八幡もボッチだった経験や疎外感・孤独感から生まれた分析力もあって、周囲や自分を俯瞰する傾向があります。
何より他者から向けられる無垢な感情を素直に受け取れない。
それこそ陽乃が雪乃の姉であることに「酔えない」ように、八幡もまた他者との関係や自分に向けられる、あるいは自分が抱く感情に「酔えない」パーソナリティを持っているといえます。
ただ、一概に八幡を同一視しようとする陽乃の行為は必ずしも正解とはいえなさそうです。
実際、『続』で八幡は「本物がほしい」と自分の想いを率直に吐露していますし(ある意味自分に「酔う」)、雪乃や結衣の前では自分の本音や想いを言える程度には変化しています。
だから、八幡は陽乃と同様の「酔えない」人間からは既に脱却しつつあるといってもよいでしょう。
ただ、陽乃のことだからそんな八幡の変化を察知したうえで、あの言葉を言ってきた可能性もありますけどね。
単純に見るなら陽乃は八幡を自分と重ねることで、ある種の警告、あるいは呪いを仕掛けていることになりますが、もし陽乃が八幡の変化を察したうえでいっているなら、彼女の予言は「指摘」とも解釈できそうです。
つまり、雪乃を支えるなら(陽乃風にいうと「お姉ちゃんをする」)、「酔えない」ままでいいのか…みたいな。
はたまた、「こんなお兄ちゃんがほしかった」という陽乃の冗談を真に受けるなら、雪乃が自分の欲しかった「お兄ちゃん」を味方につけていることへの嫉妬みたいな感情も込められていたりして(笑)。
いずれにせよ、陽乃の言葉には色々解釈の余地があって面白いですね。
「もちろん私のためです」
家族と向き合う決心をした雪乃をさらに触発したのが久々に登場したいろは。
相変わらずあざといのはご愛敬ですが、「プロムをやりたい」という気持ち一つでどこまでも積極的になれるタフさには頭が下がります。
葉山の名前を口走っていたところを見ると、まだ彼を諦めていないように見えますね。
まぁ彼女にとっての「私のため」というのは、葉山のことなど色々ひっくるめたうえでの「私のため」なんでしょう。
思えば、いろはは自分という存在が希薄で態度がでかいくせに引っ込み思案な雪乃とは対極のキャラクターだといえます。
自分のためならどこまでも積極的にやれるいろはに対し、かつて自分のために行動しきれなかった雪乃。
正反対の二人ですが、だからこそお互いに刺激し合えるのでしょうね。
「本物なんてほしくなかった」
雪乃の変化もあって色々前向きなエピソードだった…と思いきや、そこにシビアな一撃を入れてきたのがラストシーンの結衣でした。
実家へ引っ越す雪乃の手伝いをしていた中で、結衣は雪乃が八幡と二人で映っている写真を見つけてしまいます。
ここから結衣は再び雪乃や八幡との三角関係に引きこ戻されるわけです。
そもそも結衣は奉仕部という「関係」を守るために恋心を抑圧しようとしていましたが、その選択は結衣にとってはかなり辛いものです。
しかし手をこまねいている間にも雪乃はどんどん変化し、きっと八幡に自分の想いを伝えるまでになるでしょう。
大好きな雪乃の変化は嬉しいけど、力になってあげたいけど、それは同時に八幡をどんどん自分から遠ざけることになり得る。
自分には届かない八幡と雪乃の関係性…まさに「本物」というべき二人の関係性は結衣には直視しがたいでしょう。
だからこそ結衣は「本物なんてほしくなかった」と本音を吐露してしまったのでしょうね。
結衣は八幡の「本物がほしい」という告白に間違いなく感化された人物であり、彼の気持ちにも共感し、応援している人物です。
そんな彼女が、誰よりも「本物」に苦しめられているのは…申し訳ないけど結構面白い構図だな(笑)
果たして結衣なりの「本物」は見つけられるのか、あるいは欺瞞を選んでしまうのか、
ここは注目していきたいところです。
『俺ガイル完』第2話感想
雪乃の前進がメインで描かれていたエピソードですが、個人的には陽乃と結衣の方の方が印象的でしたね。
とりわけ結衣で締める構成は色々不穏を残していて、次回が一気に気になってきましたね。
というかOPで雪乃達がダンスを披露していましたけど、どうやらプロムがここにつながっているようですね。
次回もプロムのくだりが進んでいくようですが…。
個人的に結衣がどうなるか、注視したいと思います(笑)
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