皆々様こんにちは。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(以下『完』)担当のgatoです。
前回は着々とプロムが進められる中、八幡の「お兄ちゃん」な一面に対するいろはの指摘が入ったり、結衣の複雑な心境が表れたりと、色々意味あり気な描写が差し込まれていましたね。
ただ、プロム自体は順調な滑り出しを…迎えたかと思いきや、そうではなかった模様。
今回はある人物によって一波乱起きるようです。
一体どんなことになったのか、早速振り返ってみましょう。
原作ファンの方は初見勢の考察にニヤニヤしながら読んで頂ければと思います。
※コメント欄でのネタバレも厳禁でお願いします。
ささやかなデート
冒頭は小町へのプレゼント選び…という名の結衣と八幡のデートでスタートしました。
いやー、前回に引き続き、結衣にとっては切ないイベントが続きますね。
あの様子を見ると、結衣は雪乃に勝てないと思いつつも、自分の欲求に素直に従うことを選んでいるようです。
八幡を隣に座るよう誘ったり、将来の夢の話で「お嫁さん」と意味あり気な台詞を言ったりと、積極的なアプローチを継続しているところがそうですね。
何よりあのデートは雪乃が全く介在しない時間であり、雪乃がその時間を作り出すきっかけになっていました。
つまり、結衣にとってあのデートは目の上のたんこぶ(あえて語弊のある表現です)だった雪乃から解放された時間かもしれません。
母、来襲
順調にプロム実現に向けて進行中…かと思いきや、まさかの雪ノ下家の介入によって早速暗雲が立ち込めてきました。
雪乃の母…確かに「理詰めで戦ってはいけない人」ですね。
彼女の巧妙な点は保護者会など生徒より地位のある存在をちらつかせ、なおかつ主語を彼らにすることで自分の意見を主張していないように見せかけている点でしょう。
つまり、主観的な話を上手く客観的に見せているわけです。
往々にして学校や生徒への「ご注進」は忌み嫌われるものですが、「客観的な立場での助言」という体裁を貫き通せば印象が変わりますし、学校側も無碍にしにくくなります。
もちろん、足りない部分は正論で補強し、さらにサポーターとしてOB・OG代表の陽乃を利用、陽乃が立場を変えようとしても速攻で軌道修正をさせ、生徒側からの直情的な反発は教師である平塚で抑えるなど、場のコントロールにも長けています。
おまけに雪乃には尊敬する父の存在をちらつかせるという一面も。
雪乃の母は雪乃と陽乃が自分を畏れていることを理解しているうえで、あの態度を取っている気すらしますね。
共依存の中で
前回の記事でも触れた八幡のお兄ちゃん気質ですが、今回はそれをベースに新たなファクターとして「共依存」という言葉が出てきました。
母親の登場でプロムの決行が難しくなったため、八幡や結衣はサポートしようとしますが、陽乃が阻止し、八幡達の関係を「共依存」と指摘します。
これがどうして、なかなか的を射ている表現です。
お兄ちゃん気質を発揮することで相手の自立を妨げてしまう八幡。
奉仕部であることを意識し過ぎて本音を隠してしまう結衣。
追い詰められると無意識に誰かの力を借りたくなってしまう雪乃。
いずれも信頼する奉仕部のいずれかのメンバーがあってこその性質であり、同時にいずれかのメンバーを求めてしまうものでもあります。
つまり、それぞれ求めているもののために意識的・無意識的にお互いを利用し合ってしまい、いつしかお互いがいなければ自分の欲求を満たせなくなるわけですね。
確かに八幡達の関係は美しいですし、理想的な絆に近いものかもしれません。
ただ、第1話で告げられた雪乃の依頼は「二人に見届けてほしい」であり、二人に助けてほしいというものではありません。
雪乃にとって重要なのは逃げるのをやめ、一人で母に立ち向かい、そして負けること。
だから八幡と結衣は依頼を受けた以上、責任を持って雪乃を手離さなくてはいけません。
仮に雪乃が母に認められるというハッピーエンドがあったとしても、それが八幡や結衣の力を借りたものなら「本物」にはならないですから。
どうやら、このプロムが八幡達にとって大きなターニングポイントになるようです。
これまでボッチだった八幡や雪乃は結衣のような仲間を得ることでお互いに助け合い、支え合う術を身に付けました。
しかし、今回はそれが逆に働いているわけです。
「本物」になるには、お互いを手離さなくてはならない。
八幡は雪乃を助けたくても助けてはならない。
雪乃は八幡や結衣に頼ってはならない。
結衣は八幡にしっかり想いを伝えて(恐らく)フラれなければならない。
「本物」を得るために「欺瞞」を捨てるには、大切な「みんな」を手離さくてはならない…。
少なくとも、今はこんな構図になってしまっていますね。
…というか、陽乃は八幡の「お兄ちゃん」な一面に好意的かと思っていましたが、実際は彼の本質をいつもの要領で指摘していただけなんですね。
って、陽乃の性格を考えればさもありなんでした…。
いやぁてっきり陽乃が弱みを見せていたと思ったもんだから…騙された(笑)
どうやら僕は陽乃みたいな女性に転がされるタイプだな(笑)
大人の階段
陽乃は今回の一件を通じて雪乃が何かを諦めて大人になると語っていました。
雪乃が諦めるものを陽乃は「いろいろ」と語っていましたが、今回のエピソードに絞るなら、個人的には「みんな=奉仕部」だと思っています。
つまり、ボッチだった雪乃は誰かに頼ることで自分を以て戦えるようになりましたが、それは所詮他人から力を借りているに過ぎない。
大事なのはボッチであることを自覚し、孤独の中で自分を保って戦い抜く術を身に付けること。
少なくとも、それが今回における雪乃が大人(本物)になるための学びなのでしょう。
確かに陽乃の理屈は筋が通っていますが、これだと大人(本物)と「みんな」は相対するものになってしまいますね。
大人になることが孤独になることというのも寂しいですし、何より「みんな」と出会えたからこそ得たものの否定が前提なのはいくらなんでも乱暴です。
そもそも「みんな」がいてこそ、雪乃は一人で母と戦う決心ができたわけですからね。
そしてこの先八幡や結衣が示すべきなのは、大人になることが「みんな」をあきらめることではないということなのでしょう。
言葉にできない
雪乃や陽乃の言葉でモヤモヤしている中、平塚の離任が明かされ、さらにプロムの中止が発表されたことで、ラストはなかなかの急展開を迎えました。
この只中にいたのが八幡と結衣ですが、それぞれの描写を掘り下げてみましょう。
八幡の場合
プロムの中止が雪乃の希望で伝えられなかったことは、それこそ八幡の助けを最後まで借りないという彼女なりの決意表明でしょう。
それでも八幡は「いつか助ける」という約束を胸に、尚も手を差し伸べることを決意します。
問題はこの決意がお兄ちゃん気質とどう違うのかをいかにして示すことですが…これは次回に期待ですね。
ただ、個人的に八幡の件で重要なのは平塚とのやり取りだと思っていたり。
平塚は優しくも温かな言葉で雪乃を助けようとする八幡の動機(覚悟、あるいは想い)を言葉にするよう諭します。
他方で、彼女が八幡にさせたことはその実彼女自身が出来ていないことなのかもしれません。
つまり、離任について何も言えていないことですね。
あのやり取りは八幡の背中を押す一方で、平塚が八幡を通して自分がいかにして愛する生徒と上手く別れられるかを考えるためのものかもしれません(有り体にいえば自己投影)
もう少し、今回使っている表現に合わせるなら、いかにして愛する生徒を「手離す」かを平塚は八幡達から見出そうとしている…といった具合でしょうか。
いずれにせよ、次回の八幡の言動が鍵になりそうですね。
結衣の場合
いやー結衣は…最近悲しいオチ担当みたいになっていますね(笑)
悪い言い方をすれば、結衣は雪乃が自分達を手離してくれたおかげで束の間の幸せを味わえたのですが、やはり最終的に雪乃は現実として立ちはだかってきます。
いやー結衣は本当につらい立場ですよね。
八幡と雪乃の性格を知っているからこそ、結衣は前に出られない。
八幡は助けてくれるし、雪乃は譲ってくれる。
その気になれば、結衣は雪乃を押しのけて八幡を独占することもできるかもしれません。
でも、それはできない。
八幡は雪乃を助けたい気持ちを捻じ曲げるべきではないし、雪乃がなるべきなのは八幡を諦めない彼女であることです。
何より、結衣は大切な人を助けようとする八幡が、大切な人を想う雪乃が好きなんですからね。
つまり、結衣は失恋することでしか、八幡や雪乃を大切にできないわけです。
うーん、ただ結衣が単純に八幡をあきらめて成長することは、陽乃のいうところの「あきらめて大人になる」と同じ理屈なので個人的にはやめてほしいところ。
どういった形で結衣に失恋させるかが、結衣にまつわるエピソードを完成させる肝ではないでしょうか。
『俺ガイル完』第4話感想
「共依存」というファクターが登場することにより、いよいよ奉仕部全体が試されるようなストーリー展開になりましたね。
平塚の離任も絡むことで、いってしまえば「奉仕部であることが問題」というなかなか厄介な課題を突き付けられたわけです。
このままだと雪乃が諦めるという形で大人になる道を選んでしまいますが…ここはきっと次回八幡が防いでくれるはず(笑)
ただ八幡や結衣が何をするにせよ、奉仕部それ自体が大きな転換を迎えることは避けられないでしょう。
彼が共依存から脱却し、どんな関係性を結ぶのか…。
次回に注目です。
最新情報をお届けします
Twitter で2017春夏秋冬アニメ考察・解説ブログをフォローしよう!
Follow @anideep11