皆々様こんにちは。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(以下『完』)担当のgatoです。
前回は雪乃の母親の登場によってプロムが一気に暗礁に乗り上げる嫌な展開に。
おまけに一人で戦う雪乃の決意を無下にできず、八幡も結衣も動きづらい状況になってしまいました。
しかし、それでも八幡は雪乃のために動くことを決心します。
頑なな雪乃を相手に八幡はどうしたのか…早速振り返っていきましょう。
原作ファンの方は初見勢の考察にニヤニヤしながら読んで頂ければと思います。
※コメント欄でのネタバレも厳禁でお願いします。
大人のお話
雪乃を助けるべく学校に戻った八幡を迎えた平塚ですが、彼女の話は色々興味深いものがありました。
その一つが「大人」の話です。
今回の件を含め、人は自分と向き合うことが往々にしてある。
そこでやりたいこと、やりたくないこと、なりたい自分、なりたくない自分などを選び、失敗して、諦めて、挑戦して、選び直して…を繰り返していく。
この話、使われている文言こそ違えど、これまで陽乃が語っていた「大人」の話と概ね同じなんですよね。
とりわけ大人になる過程に「諦めること」が入り込む点はそのまま重なります。
ただ、平塚の話の印象と陽乃の話の印象はどこか異なっていますよね。
恐らくこれは平塚と陽乃の「大人」になることへの捉え方がそれぞれ異なっていることが原因でしょう。
陽乃の「大人」の話は「諦めること」が全面的に押し出されており、また母親への敗北感と思しき感情も垣間見えています。
「大人」になることが通過儀礼として重要だと理解しつつも、どこかネガティブに捉えている感じがしますね。
加えて雪乃を助けようとする八幡に釘を刺すなど、あくまで雪乃一人に通過儀礼をクリアさせようとしています。
これに対し、平塚は「挑戦」や「選び直す」といった再起を意味する文言を用いるなど、「大人」になることに対して何度も立ち向かう気概を感じさせます。
どちらかというとポジティブな印象ですね。
さらに八幡の真意を質しつつも、雪乃を助けることを止めたりはしません。
つまり平塚にとって「大人」になることは個々人が乗り越えるべき試練だけど、誰かの支えや助けがあってもいいことなんでしょう。
そして支えや助けを得ることは周囲への甘えではなく、平塚のいうことの「自分達が積み上げてきたことを信じること」なんでしょう。
大切な人やその人とのつながりは、孤独からの逃げ道や都合の良い後ろ盾ではなく、自分がこれまで懸命に積み上げてきたことの結実…といった感じですかね。
いやー「大人」の捉え方に関しては平塚に軍配が上がりますかね。
陽乃にとっての「大人」は諦めを知りつつ、孤独に戦っていくイメージですが、平塚にとっての「大人」は自分の積み上げてきたものを信じ抜ける人なのでしょう。
そして、信じ抜くことができた時、その積み上げてきたものは「本物」になる…のかもしれません。
ところで、「お兄ちゃん」の時といい、一つの事柄を異なる視点から掘り下げる構図がまた出てきましたね。
この辺に注目するのも一興かも。
間違えない関わり方
結局自粛という名の中止に追い込まれそうになっているプロムですが、雪乃を助けるために八幡は前回動き出しました。
しかし八幡の助けを借りないと明言している雪乃に手を貸すのも至難の業。
そこで今回八幡はある展開に持っていくことで、雪乃と協力体制を構築することに成功します。
その協力体制において重要なファクターになっているのが「動機」と「構図」でした。
動機:名前のない感情
助けを拒否している雪乃を相手に尚も助けようとする八幡ですが、その動機に関しては個人的にはイマイチ判然としない印象でした。
八幡は「責任」を取るため…と語っていましたが、なんていうか、その動機を語る際にもっと適した言葉があるような感がありますね。
実際、八幡も「上手く説明できる気がしない」…つまりまだきれいに言語化できないことを窺わせます。
他方で、前回のラストでは平塚に「言葉になんてなりようがない」「大事なことだからいわないんだ」と語るなど、その動機が非常に大切なものであると示唆していました。
ただ…「責任を取る」「助けたい」「言葉にならない」「大事なこと」、そして八幡と雪乃のやり取りを見たいろは曰く「告白」「痴話喧嘩」「別れ話」、そして相手は雪乃…以上を踏まえると、まぁ八幡の動機は恋愛的な意味での好意でいいんじゃないかなと(笑)
まぁ八幡と雪乃は色々屈折した半生を送り、共に面倒な事態を潜り抜け、対立したり仲良くなったりと紆余曲折があった間柄ですから、そう簡単に好意と名前をつけることはできないんでしょうね。
それに、二人とも恋愛経験はほとんどないし(笑)
八幡にいたっては無自覚という感じもするしな…。
一方で雪乃は八幡が結衣といたと聴いて表情を強張らせる描写があるなど、恋愛感情が明確になっている印象です。
勝負、再び
案の定、「動機」だけでは雪乃は動きませんでしたが、ここで八幡は「関わり方」を変えることで雪乃と協力体制を築くことに成功します。
それは「勝負」でした。
いやぁー正直これは上手いと思いました。
ただ助けるのではなく、支えるのではなく、あえて「好敵手」として真っ向からぶつかり合う。
なるほど、確かに二人の出会いは奉仕部での勝負であり、対立からでした。
そしてそこから二人の信頼は育まれていきました。
つまり「勝負」は八幡と雪乃の原点であり、理想的な関わり方であり、そして二人を結びつける絆のようなものというわけです。
さらに二人が「勝負」は「積み上げてきたもの」の始まりであり、「勝負」を通じて二人は様々なものを積み上げてきました。
何より前回の記事で掘り下げたような「共依存」のようにお互いがベッタリしているものではない。
個人的にこの「勝負」の上手いところは「助け合っていないけどお互いがいなければ成立しない」という点だと思います。
力を貸すわけでも支えるわけでもないけど、意見をぶつけ合わなければならないためお互いが必要になる。
だけど決して一人であることが揺らぐわけではない。
そして意見をぶつけ合うことがお互いの糧になり、結果的にお互いを助けることになる。
そして何より、孤独を体験し、個人主義的でもある八幡や雪乃に合っている。
まさに雪乃と八幡の関係性を踏まえたうえで、ベストな関わり方と言っても過言ではないでしょうね。
実際、八幡の提案を受けて雪乃は一瞬で奮起。
いつもの力強い眼差しに戻り、テキパキと仕事を再開していました。
もちろん八幡がなんやかんやで関わることになったことの喜びがあったのかもしれませんけど、個人的には八幡が自分の力を信じてくれていることが大きいのかなと思っていたり。
だって勝負は、お互いの実力が拮抗していてこそ楽しいものですからね。
何より、八幡が雪乃の「負けず嫌い」というパーソナリティを理解している…自分のことをよく知ってくれている以上に嬉しい事はないでしょう。
まぁ、それでも嬉しさは隠れなかったようでラストでは目薬で涙を誤魔化しているような描写がありましたね。
ただ、ここは「仕事に集中するために目薬を差したけど、それが涙に見えた=無意識的な喜びの暗示」って見た方が好きだけど(笑)
それにしても、雪乃が眼鏡をかけようとしてやめた理由はなんだろうか…。
眼鏡をかけない「普段の自分」で挑もうという彼女の心境を暗示しているかと思いましたけど、なんかもっと腑に落ちる見方があるような…。
いろはの独白
八幡と雪乃の前進の場面を終始見せられていたいろはですが、ラストでは内心で文句を垂れるという意外な一面を見せました。
元々いろはは葉山ラブでしたが、彼に告白したきっかけは八幡でしたし、八幡を信頼してたり、八幡と関わりが深い雪乃や結衣と自分を並べて「めんどくさい」と言っていたりと、今回は八幡に対して(無意識的に?)好意を持っている感じがしましたね。
というか、好意なんでしょうけどね(笑)
あの場におけるいろはの立ち位置は、八幡と雪乃の関係性の「入り込む余地のなさ」をつきつけられた結衣と同じ感じでしょう。
ただ、いろはは悪態を吐いたり、不満に思ったりと、イライラしつつもちゃんと真正面から現実と向き合っている印象があります。
この辺りは隠れて泣いたり、取り繕ったり、本音を抑圧して「奉仕部」を守ろうとした結衣とは大きく異なります。
個人的に八幡に対して「諦める」という選択をせざるを得なくなった状況下におけるいろはと結衣のスタンスの違いは、平塚と陽乃の差異に通ずるものがある印象ですね。
『俺ガイル完』第5話感想
八幡と雪乃の関係性が前進し、プロムにまつわる諸々が一気に進展しそうな予感が爆発した第5話でした。
何より八幡×雪乃が待ったなしでどんどん進展していく感じがしますね。
他方で個人的には八幡×雪乃が進展するのを目の当たりにする結衣といろはの立ち回りが気になるところ。
次回も注視していきたいと思います。
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コメント
メガネかけなかったのは八幡の力は借りないってのを暗に描写してるんだろ
八幡さんコメントありがとうございます!
>八幡の力は借りないってのを暗に描写
あーそっか、あの眼鏡、八幡があげたものでしたっけ。
普通に忘れていた…orz
ご指摘ありがとうございます!