皆々様こんにちは。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(以下『完』)担当のgatoです。
前回は結衣の協力を得た八幡が雪乃に対案を出すために、戸塚達の助力を取り付けていました。
他方で八幡と雪乃の関係性に複雑な気持ちを抱く結衣の心中は相変わらずで…。
今回も対案の実現のため、八幡が様々な人物を尋ねますが、その中には意外な面々がいたようで。
どんなやり取りを繰り広げたのか、早速振り返っていきましょう。
原作ファンの方は初見勢の考察にニヤニヤしながら読んで頂ければと思います。
※コメント欄でのネタバレも厳禁でお願いします。
八幡と曲者達
今回は八幡がプロムの対案を出すために、遊戯部と海浜総合高校を訪れました。
前者は材木座の紹介、後者はクリスマス会以来の訪問になりますが、興味深いやり取りが繰り広げられていましたね。
また、個人的には「中心となる八幡」の描写が印象的でした。
これまでの八幡は裏方に徹したり、表ではヒールとして出てきたりと、あまり企画(みんなといってもいいかもしれない)の中心として活動することはなかったものです。
しかし、今回の八幡は初対面でも苦手な相手でも、彼なりのやり方で能動的にコミュニケーションをとっています。
そこにはこれまで彼が培ってきた経験や、人に対する理解の深化が垣間見えました。
雪乃のためであることを差し引いても、今回の彼の頑張りでも前回いったような「ボッチから脱却した八幡だらこそできるわけであり、彼の成長を感じられるもの」であったといえるでしょう。
さて、前置きが長くなったので、遊戯部と海浜総合高校それぞれのやり取りの詳細を見ていきましょう。
遊戯部
材木座から紹介されたのは後輩である遊戯部の秦野と相模弟でした。
いやー相模弟とは意外な人物の登場でしたね。
相模といえば文化祭で色々やらかした…まぁなかなかひどかった人でしたけども、弟は比較的まともなようです。
むしろ姉の行為に対して批判的(というか呆れている)ようでしたね。
また、秦野と相模弟のスタンスはかつての八幡を彷彿とさせます。
引っ込み思案で、結衣やいろはのような陽キャに対して警戒心を抱き、どこか卑屈な…いうなれば八幡の類友です(ボッチとまではいかないようですが)。
プロムという煌びやかなイベントとは縁がなさそうですが、そこは流石類友、八幡は彼らの心中を理解しつつ、上手く協力まで持っていきました。
ただ、個人的には八幡の真の変化は遊戯部を味方につけたことよりも、会話の中でそれとなくいろはや結衣をフォローした点にあるのではないでしょうか。
とりわけ結衣をフォローする際は、わざと彼女をいじるようなスタイルをとることで可愛さを引き出すという高等テク(?)を見せました。
いろはや結衣をネタにすることで気を許させるのは彼らしいやり方ですが、誰かを貶めるようなことをせずに結衣やいろはに対する警戒心を解かせるところは、八幡の成長を感じさせます。
海浜総合高校
対案を高校合同プロムイベントとすることにした八幡は協力をとりつけるため、海浜総合高校の玉縄と折本の元を訪れました。
中身のない会話や横文字が得意な玉縄と、かつてトラウマの象徴だった折本…八幡にとってはきつい取り合わせ(笑)
ただ、海浜総合高校でのやり取りは意外な展開を見せましたね。
まず謎に繰り広げられた玉縄と八幡のラップバトル。
ここで驚きなのが、玉縄が横文字をほとんど使わずに普通にわかる言葉で的確に八幡の企画の穴を指摘している点です。
まぁラップしたり、変な仕草いれたり、うざい決め台詞使わなければもっと良かったのですが…(笑)
しかし、かつてのイメージとは異なる的確な指摘に八幡も思わず面食らっていました。
実の所、彼が横文字を使うのは大勢の前の格好つけであって、信頼している・認めている相手の前では普通に喋るのかもしれません。
つまり横文字がなくなるのは、彼なりに八幡を認めている証左なのではないでしょうか。
まぁ結局ラップになっちゃったからよくわかんないけど(笑)
単純に玉縄が成長しただけかもしんないけど(笑)
対して折本は相変わらず「それある!」の連呼でしたが、企画自体は好意的に受け取っていましたね。
その結果、明らかに折本に恋慕している玉縄が同調するような形で、八幡は協力を得ることができました。
このシークエンスでのやり取りにおいて重要なのが、玉縄や折本が八幡の企画にちゃんと耳を傾け、向き合ってくれているという点にあると思います。
恐らくヒールをしていた頃や根暗で素直じゃなかった八幡であれば、このような展開にはならなかったでしょう。
しかし、折本へのトラウマを克服し、玉縄のような苦手な相手でもちゃんと向き合えるようになったからこそ、八幡は海浜総合高校の協力を得ることができたといえます。
いってしまえば、彼らとちゃんと向き合ってディスカッションできていること自体、八幡の成長の証になるわけです。
マッ缶の行方
コメディタッチだった前半ですが、後半以降は相変わらず三角関係にまつわるシリアスなエピソードが続きました。
その最初が八幡と休憩していた雪乃のやり取りです。
前々回以降、打ち解けた八幡と雪乃のやり取りは以前の二人らしい様相を保ちつつも、お互いを気遣い合う温かなものでした。
とりわけ八幡も雪乃も、無理をするお互いをそれとなく労わり合っている様は見ていてほっこりしましたね。
心温まるやり取りですが、個人的に気になったのは八幡が雪乃を見つけた時に持っていた「マッ缶」(マックスコーヒー)でした。
雪乃は結局八幡にマッ缶を差し入れとして渡し、八幡もマッ缶を買ってお返しするというオチでしたが、ここで重要なのは「雪乃はなぜ普段飲まないマッ缶を買っていたのか」でしょう。
雪乃は「糖分補給のため」といっていましたが、八幡が見つけた時の彼女はマッ缶を大事そうに握りしめながら物思いに耽っていました。
あの様を見ていると、雪乃はマッ缶を買ったのは糖分補給のためではなく、マッ缶それ自体が重要だったからだといえます。
だとしたら、雪乃はマッ缶を八幡に見立てていたのかもしれません。
そして、あの時の雪乃はマッ缶を通じて八幡を想っていたのでしょう。
だから八幡がマッ缶を見つけた時、雪乃は少し恥ずかしそうにそれをしまったわけですね。
ここからわかるのは、雪乃にとって八幡はかなり大切な心の支えになっているということです。
一人で家族と戦う道を選んだ雪乃ですが、彼女は常に八幡を支えにしていたからこそ、その道を進めているのでしょうね。
そしてあのシークエンスは、そんな雪乃を示唆する重要な場面だったのではないでしょうか。
友達はやめない
八幡と雪乃の心温まるやり取りで終わり…のわけがなく、やっぱり結衣が出くわしちゃいました。
本当この子は間が悪い…。
ただ、雪乃と結衣のやり取りは色々重要なものでした。
結衣は雪乃が自分を避けていると捉え、さらに自分の願いや「ちゃんとする」の意味を理解しているか雪乃に質し、さらに「雪乃のお願いは敵わない」と宣告しています。
これに対し、雪乃は結衣の真意を理解したうえで、自分はそれを受け入れるかのような発言をしています。
邪推してしまうと、この会話は結衣はプロムが終わり次第八幡に想いを伝える気でおり、雪乃はそれをわかったうえで、結衣を応援するという意思表示をしているわけです。
そしてもちろん、結衣は雪乃が八幡に好意を寄せていることを察知している。
だから端的にいうと「アンタの好きな男取ろうとしているけどいいの?」「いいよ、応援している」みたいな感じになるわけです。
なかなかシビアというか…修羅場ってますよね(笑)
ただ、結衣はそれでも雪乃への想いの丈を話すことで、彼女との友人関係を終わらせたくないと伝えます。
例え八幡との恋でどちらかのお願いが叶わなかったとしても、それで友達関係が終わることはない、終わらせたくない。
結衣が雪乃を抱きしめて伝えたかったのはそのことでしょう。
そしてこのやり取りがあるからこそ、八幡を巡る三角関係がどんな決着を迎えようとも結衣と雪乃の関係が壊れることはないという希望が垣間見える気がします。
他方で、雪乃が結衣の真意を知って「身を引く」という選択肢を選んでしまうのは、ちょっと悲しいものがあります。
何より彼女は自己が希薄だからこそ思い悩んでいたのですから、結衣を慮っているとはいえ自分の恋を諦めてしまうのは、本当の意味で彼女がかつての自分を脱却することにはならなくなる。
これを踏まえると、遠回しとはいえ実質的に「何が起こっても八幡も雪乃も諦めない」と宣言した結衣の方が一歩踏み出している印象があります。
それにしても、当の八幡はどこか他人事みたいに独白していて…腹立つなぁ(笑)
前回の記事で八幡が「鈍感では済まされない領域」に入っていると記しましたが、こんな感じで大丈夫なのか(笑)
でも、個人的に八幡がラストで結衣と雪乃を見てマッ缶を握りしめていたり、独白で自分を含めて「伝え方が下手」と語っているのを見ると、その実八幡は結衣と雪乃が自分への好意のためにギクシャクしているのを察知しているのかもしれません。
それでも八幡が具体的にアクションを起こさないのは、それこそ「簡単な伝え方では正しいと思えない」からなのでしょう。
簡単に想いを伝えて関係を片付けるには、八幡も雪乃も結衣もお互いに関わり合い過ぎている。
だから八幡も結衣や雪乃のように間違えないように振舞うのが精いっぱいで、人知れずより良い決着はないか探っているのかもしれません。
何より結衣や雪乃の友人関係もまぎれもない「本物」になり得るものであり、そこに八幡は迂闊に手を出すべきではありません。
その結果、「せめて間違わないようにする」ため、あの場の八幡は結衣と雪乃のやり取りに首を突っ込まなかったのでしょう。
だとしたら八幡はそれなりに大人な対応ができていることにはなりますが…、だとしても結衣が惚れる行動をし過ぎなんだよなぁこいつは(笑)
まぁそこはまだ恋愛経験が乏しい奴だからって…というより、彼が生来持ち合わせている優しさがあるからこそ、そうなってしまうんでしょうけどね。
『俺ガイル完』第7話感想
意外な面々とのコメディタッチなやり取りがありつつ、ラストはしっかり三角関係を描いてきましたね。
個人的には三角関係の打破に関しては結衣が一歩進んでいて、八幡と雪乃がまだ足踏みしている感じの描写だと感じられました。
うーん、八幡はまだ腹の内が読み切れないのであれですが、雪乃はもうちょっと進んでもいいんですけどねぇ…。
それにはまだブレイクスルーが足りないようです。
さて、次回は部長会に「総部高校プロム サイコウプロジェクト」の協力を取り付けるため、八幡は葉山と接触します。
まーこれは何も起こらないわけがないですね(笑)
次回も注目です。
最新情報をお届けします
Twitter で2017春夏秋冬アニメ考察・解説ブログをフォローしよう!
Follow @anideep11
コメント
いつも楽しませていただいています。7話感想早速拝読しました。ワタクシ頭が弱いので本編だけでは理解できない仕草や言い回しを分かりやすく解説しており大変助かっています。たぶんこういうことなんじゃないかなと、もやもやと思いながら観た感想の答え合わせをしている感じで読んでいます。そういう観点から俺ガイルは非常にめんどくさい作品だと感じつつ、なぜか話に引き込まれるし進展が気になるラブコメの王道作品だと思います。貴殿の解説を今後も楽しみにしています。
こまさんコメントありがとうございます!
>たぶんこういうことなんじゃないかなと、もやもやと思いながら観た感想の答え合わせをしている感じで読んでいます。
もったいないお言葉…本当にありがとうございます!
正直僕もおっかなびっくりやっているところがあるので、お褒めの言葉をいただけるだけでもありがたいです!
今後もお付き合いいただけると幸いです。
>たぶんこういうことなんじゃないかなと、もやもやと思いながら観た感想の答え合わせをしている感じで読んでいます。
この手の解説記事は色んな方の解釈があってこそだと思います。
こまさんご自身の解釈と合わせて、僕の記事との違いや共通点を楽しんでもらえれば…。
それに僕の書いたことも必ずしも正解ではないので、気になるところとかがあればいつでも仰ってください!
>そういう観点から俺ガイルは非常にめんどくさい作品だと感じつつ、なぜか話に引き込まれるし進展が気になるラブコメの王道作品だと思います。
仰る通り、伝えることが下手な面々が主人公だからこそ、『俺ガイル』の面倒くささが生まれていると思いますし、だからこそ面白くなっているのだと思います。
ただ、学生の頃に見ていた時の方がもっと感じ方が違ったかなぁ…と大人になってしまってからはしみじみ思いますね(笑)
今はゆいとゆきの、ふたりとも、譲る気持ちの可能性はありませんか
8月さんコメントありがとうございます!
>今はゆいとゆきの、ふたりとも、譲る気持ちの可能性はありませんか
結衣と雪乃がそれぞれ八幡をお互いに譲ることを指しているのでしょうか?
今回のエピソードを見る限り、少なくとも雪乃は譲る気だったようですし、結衣も少し前は雪乃と八幡の関係に勝てないと判断して身を引きかけていたので、ある意味「ふたりとも譲る」に近しい状況だったと思います。
ただ、結衣が八幡のことも、雪乃のことも大切にしたい、ずっと関係を続けたいと明言し、自分の想いを貫くことを示唆したため、その状況からは一歩踏み出していると感じがしますね。
そもそも「お互いが譲る」というのは、相手のことを想うとはいえ、あまりに諦めが勝ち過ぎているので、どうにも八幡達が求める「本物」とは食い違う印象です。
互いを想うからこそ、それぞれの想いを貫く道を選ぶことが『俺ガイル』らしいと個人的に思います。