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俺ガイル完(3期)9話感想・考察・解説!八幡の独白と結衣のお願い事の意味【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(はまち3期)】

皆々様こんにちは。

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(以下『完』)担当のgatoです。

八幡のフォローもあり、プロムは雪乃の案で実施することに。

しかし、八幡の力を借りたことが響いたのか、勝者となった雪乃は八幡に「結衣のお願いを叶えること」を命じました。

事実上、雪乃が八幡を諦めたような終わりとなってしまいましたが…今回どうなっているのでしょうか。

このまま結衣のお願いを聞いてしまうのか、果たして…。

早速振り返ってみましょう。

原作未読者によるネタバレなし初見考察です。(アニメは全シリーズ視聴済み)

原作ファンの方は初見勢の考察にニヤニヤしながら読んで頂ければと思います。

※コメント欄でのネタバレも厳禁でお願いします。

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お願いの行方

『完』、第9話、八幡

©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

前半の山場といえば、やはり雪乃との勝負を終えた八幡と結衣のやり取りでしょう。

結衣の「お願い」を叶えることになった八幡ですが、今回そのお願いが完全に叶うことはありませんでした。

他方で、二人のやり取りの水面下ではお互いの葛藤が見え隠れしたことが窺えます。

そこをひとまず突いてみましょう。

願った結衣

『完』、第9話、結衣

©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

八幡への好意と雪乃との友情の狭間で揺れる結衣ですが、奇しくも雪乃の計らいで八幡との関係を進める機会を得ました。

しかし、結果的に八幡へ想いを伝えることはありませんでした。

まぁ結衣らしいといえば結衣らしい結果ですが、彼女の台詞の端々からは葛藤が窺えます。

まず八幡から勝負が決着したことを告げられても、結衣は「まだ勝負が終わってない」というニュアンスの返しをしています。

さらに願い事自体が一つではない、さらに「八幡にできないこと」を示唆するような発言もしています。

この辺りから、結衣の中には複数のお願い事があり、そしてその内のいずれかは八幡の力を借りても達成し得ないことが窺えます。

単純に考えると、結衣のお願い事は大きく分けて2つです。

これまでの流れを踏まえるなら「八幡と結ばれたい」と「みんな(奉仕部)と仲良く過ごす日々を続けたい」といった具合でしょうか。

ただ、この2つは両立が難しいものです。

まず前者は雪乃の八幡への好意、そして雪乃と八幡の関係性もあって結衣から積極的にいくことが難しくなっています。

だから雪乃は願い事を色々いいましたが、カップルの会話を目にしながらもついに八幡を誘うようなことは口にしませんでした。

後者はかつて結衣が実践しようとしましたが、それは自身や雪乃の本心を抑圧するものでした。

いってしまえば「関係を維持するための関係」みたいなものです。

これは「本物」を志向する八幡にとっては欺瞞に等しく、大好きな彼が望まない。

そしてかつての自分を脱却しようとしている雪乃も望まないことでしょう。

だから後者も難しい。

こうしてみると、いざ機会を得たところで結衣の願い事(最も彼女が叶えたいものに限り)は実現することが難しい感じがしますね。

そんな中、結衣が八幡にいったのは「八幡のお願いを叶える」でした。

この選択肢、実際的には結衣が八幡に選択を委ねたといえるでしょう。

つまり、八幡が現在の関係を、雪乃と自分とどう付き合うかを先に決めてもらおうとしているわけです。

一見すると結衣が自分の決断を後回しにした感じがしますが、個人的には必ずしもそうともいえない面もあったり…。

詳細は後述しますが、少なくとも「八幡のお願いを聞いてから自分のことをいう」という結衣の台詞に彼女なりの決意が感じられます。

ややネガティブに書くなら、結衣は自分の決断を後回しにしたのではなく、八幡に引導を渡してもらうことにしたのでしょう。

八幡に結論を出させ、それを受け入れ、そのうえで自分の想いを伝える。

この決断には結衣なりに八幡と真正面から向き合う覚悟ができていることが窺えます。

もしかしたら、多くを語らなかったですが、結衣は雪乃が八幡に「結衣のお願いを聞いてほしい」といったことを察知しているのかもしれません。

雪乃が自分の本心を抑圧し、友人の結衣のために身を引いたことへの結衣なりのアンサーが八幡に選択を託すことだとしたら…。

結衣はなかなか切ない決断をしたことになりますね。

見守る三浦

『完』、第9話、三浦

©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

流れとしては八幡のことを書くべきですが、ここはあえて先に三浦について書いておきたいと思います。

八幡と結衣のシークセンスの後、三浦が八幡に忠告をしていきますが、それは明らかに結衣の八幡への好意を知っているうえのものでした。

そして「半端はしないでくんない?」と八幡に決断を求めるような文句だったことも印象的です。

これは結衣の八幡への好意にまつわる問題が「八幡の選択次第」であることを示唆しているといえます。

それからの雪乃

『完』、第9話、雪乃

©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

もう一度遠回りして、今度は雪乃をチェックしてみましょう。

今回の雪乃の出番は控えめでしたが、前回のラストの余韻が残っている様子でしたね。

実際、雪乃は八幡に対して気まずげに振る舞い、いろはを介して会話するなど直接的な接触を避けているニュアンスがありました。

極めつけは「助けはいらない」とそれとなく強調。

明らかに八幡から距離を置いていますね。

まぁ前回のラストで身を引いた以上、あれが雪乃なりにけじめをつけた結果なのでしょう。

願われた八幡

『完』、第9話、八幡

©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

雪乃との勝負が終わってしまい、彼女から結衣のお願いを聞くよう託された八幡ですが、個人的に今回の彼の振る舞いは色々印象的でした。

かねてから八幡が「鈍感では済まされない領域」にいると書いていますが、実際『完』は何かにつけて八幡に言語化を求める場面がありました。

平塚や戸塚とのやり取りがその代表格ですが、興味深いのはいずれも雪乃絡みの事態でそのやり取りが行われている点です。

そして今回の八幡は結衣に自分の願いを考えておくよう言われ、さらに三浦から「半端はするな」と忠告を受けています。

この点を踏まえると、今回は結衣に関する事柄(あるいは結衣に対する事柄)の言語化を、八幡は迫られている印象があります。

これらの点を統合すると、今回で八幡は雪乃と結衣、ひいては奉仕部全体のつながりそれ自体の行く末に対する自分の願いの言語化しなければならないという課題を得たといえます。

よくよく考えると、これまで雪乃と結衣は奉仕部全体を見据えた決断を迫られましたが(雪乃の決断の是非は一旦置いといて)、八幡はまだ奉仕部全体を見据えた決断を行っていません(プロムはあくまで雪乃のためでした)

これはもう、いってしまえば雪乃と結衣が秘めている自身への好意に八幡がどう向き合うか…それこそ「鈍感では済まされない領域」に来たと考えてもいいでしょう。

他方で、今回は八幡の独白も興味深いものがありました。

「肝心なことは何も言わずに、いつも通りを装って、わざと核心に触れない」

「俺自身への裏切りだ」

「彼女の願いを一つ一つ叶えながら、日々を紡いでいくことができるなら…そんなありえない想像をした」

印象的な台詞を抜粋しましたが、これはいずれも結衣との場面で流れた独白であることを踏まると、八幡は結衣とのやり取りにある種の欺瞞を感じていることが窺えます。

少なくとも今回の結衣とのやり取りが「正しくない」と八幡は感じているといえるでしょう。

これは個人的にかなり重要な点だと思ってます。

前回、陽乃が八幡が結衣に依存していると指摘しましたが、この独白を見る限り八幡はそれを自覚している印象があります。

結衣とのやり取りが「肝心なことを何も言わない」ことであり、それを続けることが「俺自身への裏切り」であり、そしてそんな日々は「ありえない」…今回の結衣とのやり取りに対し、八幡が否定的なのがわかりますね。

実際結衣は優しく、空気が読めるので傷つかない範囲で接してくれるため、お互いの本心に触れず、ただ心地よい関係を展開するための依存対象としてはもってこいです。

雪乃が離れることを選んだ以上、彼女の面子を立てるうえでも結衣との関係を続けることは重要ですし、雪乃が傷つくことを避けるうえでも結衣を選ぶことも有効ではあります。(恐らく結衣を突き放したら雪乃は傷つきますしね)

しかし結衣に依存することは関係のために関係することであり、それこそ「本物」を志向する八幡が嫌う欺瞞に他なりません。

それでも八幡は欺瞞をやってしまっている…彼は独白でも語っているように、自分に対して致命的な裏切りをしてしまっているわけです。

そして同時にそれは「肝心なことを話さない=本心を抑圧する」という形で関係を維持しようとした結衣と同じ行動ともいえますね。

何はともあれ、八幡自身が現状が欺瞞だと感じている以上、何かしらの形で打破する必要があります。

そうしなければ八幡は「本物」を手に入れることはなくなりますからね。

前回の記事で現状を打破するファクターが「八幡が恋愛感情を自覚することにある」といいましたが、個人的にはやはりこれが土台になると思います。

俺ガイル完(3期)8話感想・考察・解説!陽乃の憎んでいる相手とは?【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(はまち3期)】
皆々様こんにちは。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(以下『完』)担当のgatoです。 前回は着...

さきほど述べたように、八幡は「肝心なことを話さない」という形で欺瞞を行いましたが、これは結衣が行った欺瞞と同様のものです。

これらの共通点は「本心を欠落させた関係を作る」といってもいいでしょう。

結衣はもちろん、八幡も平塚・戸塚・三浦から言語化を迫られる中でも一番肝心なことは表に出していない。

八幡自身が独白で否定的に扱った結衣とのやり取りは、まさに本心に触れないためにあえて本心を欠落させた関係といえます。

そして八幡と距離を取って雪乃でさえも、あの離れることそれ自体が本心を欠落させた関係になってしまっているといえます。

これらを踏まえると、現在の奉仕部はお互いに本心を欠落させた関係を構築した結果、雪乃は離れ八幡は結衣に依存し、結衣は痛みを感じながら関係を続けるという、なかなか痛ましい状況になっているといえます。

あるいはかつて欺瞞で維持しようとした関係が欺瞞によって歪んでいるといった方がいいかもしれませんね。

この状況を打破するには欠落した本心を開示したうえで、関係性の維持を図る以外にありません。

雪乃と結衣はそれとなくお互いの本心を察知しており、ある程度本心を開示できている状態といえます。

まさに「お願い」がその本心ですね。

しかし、八幡自身はそのお願いを開示できていない(言語化できていないともいえます)。

八幡の本心が欠落した状態だから関係ができてしまう。

ならば、八幡が本心を開示する以外に道はありません。

だって本心を以て向き合わなければ「本物」の関係は作れないし、八幡の本心が欠落している限り結衣や雪乃の振る舞いはひたすら上滑りしていくしかなくなります(だって八幡の本心に対応できないから)。

だから今回のエピソードは八幡に言語化を迫る場面が多いのでしょう。

現状を打破する鍵が、外ならぬ八幡にあるから。

…他方で、八幡がなぜ結衣に依存してまで欺瞞を選んでいるのか、それ自体はまだ語られていません。

まぁこれを明かす場面がクライマックスになりそうなので後回しにされている感じはありますが、そもそも八幡自身が奉仕部の関係を心地よく思っていたので、それこそ結衣のように守りたいと思ったのでしょうね。

ただそれは自分の意に沿わない。

だから独白で八幡は自分や結衣とのやり取りに対して批判的な言動をしていたのでしょう。

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助けるいろは

『完』、第9話、いろは

©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

個人的に距離感が変わった雪乃と八幡に対して、いろはが色々フォローしていたことが印象的でしたね。

「助けはいらない」というスタンスを崩さない雪乃に対し、いろは八幡に助けがいるかのような言動を繰り返しています。

また雪乃に却下されて唇を尖らせるなど、フォローが意図的なものであることを示唆する場面も。

どうやらいろはは八幡と雪乃をくっつける方向で動いているような感じがしますね。

奉仕部ではないものの、八幡の三角関係に何かと入り込み、『完』では何度か重大な示唆を与えてきたいろはですが、今後の八幡の決断に彼女が大きく絡む予感がします。

実際、ラストでは明らかに八幡をプロムに巻き込もうとしてますしね。

彼女のフォローに期待です。

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由比ヶ浜家にて

『完』、第9話、ガハママ

©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

後半では由比ヶ浜家にて結衣と八幡のデート…もといガハママを交えて小町のためのケーキ作りが行われました。

ガハママと対照的に結衣から全然関心を持たれないガハパパはともかく…個人的にこのシークエンスでは面白いポイントがありました。

ガハママは手作りお菓子に関して、「何年か後に思い出す」という観点を踏まえてアドバイスをしていました。

この「何年か後に思い出す」というのは、回顧のニュアンスがありつつも、基本的に未来志向の話です。

基本的に『完』は「終わり」というワードが多用されるなど、ある種の終局に向けた物語である一面が強調されていましたが(まぁ『完』ですしね)、今回は明確に「終わった後のこと」について語ってます。

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卒業式

『完』、第9話、めぐり

©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

最後に描かれた卒業式も軽く触れておきましょう。

号泣する八幡や三浦、文化祭に触れられて苦い顔をする相模、呑気な戸部、そして感動的な締めで終わらせためぐり…。

酸いも甘いもある青春の幕引きとしては上々だったと思いますが、個人的にあの「笑って、泣いて、笑って終わる」という形式は今後の八幡達の展開を示唆している…と思いたい(笑)

少なくとも、あの終わり方と重なることが、八幡達の在るべき終わり方でしょうね。

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『俺ガイル完』第9話感想

『完』、第9話、八幡

©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

ようやっと八幡がキーパーソンとして躍り出た回といった印象ですね。

少なくとも八幡が結衣への依存を自覚している以上、今後はあの欺瞞を終わらせることが主軸になっていくと思います。

ところで余談ですが、今回の八幡は公園での結衣との会話でずっとブラックコーヒーを飲んでいましたね。

八幡といえばマッ缶ですが、彼はマッ缶に関して「人生は苦いから、コーヒーくらいは甘くていい」という名言を残しています。

ただ、そんな八幡がブラックを飲んでいる…ということは、彼にとってあの状況は「苦い」ことを示唆しているのではないでしょうか。

そしてそんな苦い時間はどうなるのか…。

次回はいよいよプロム本番を向かえるようです。

八幡の欺瞞に「終わり」は来るのか…。

注目ですね。

俺ガイル完(3期)感想・考察・解説記事まとめ【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(はまち3期)】
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』の感想・考察・解説記事を毎話更新していきます。 ...
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コメント

  1. こま より:

    前回の雪乃回と今回の結衣回で八幡の内面や立ち位置を俯瞰するような演出に感じました。八幡は決断を迫られている、というよりも逃げ場がなくなってきましたね。周りはとっくに気付いているんです。雪乃と結衣の家庭環境も見えて、平塚先生や先輩たちの卒業、小町の進学を機に八幡がどういうきっかけで(そのキーマンは誰なのか)決断をするのか興味深いところです。個人的には3人を見てきた平塚先生が八幡の背中をダメ押しするような気がしますが・・・まだ分かりませんね(笑

    • gato より:

      こまさんコメントありがとうございます!

      >前回の雪乃回と今回の結衣回で八幡の内面や立ち位置を俯瞰するような演出に感じました。

      仰る通りだと思います。

      八幡自身が言語化していないですが、明らかに周囲の状況は八幡・雪乃・結衣の関係性の曖昧さに決着をつけるように求めていますね。

      そしてその決着をつけるには八幡自身がキーパーソンになると、その自覚を促している構図の印象です。

      >雪乃と結衣の家庭環境も見えて、平塚先生や先輩たちの卒業、小町の進学を機に八幡がどういうきっかけで(そのキーマンは誰なのか)決断をするのか興味深いところです。

      まぁ順当にいったら平塚ですよね(笑)

      小町は基本的に八幡関係の問題には首を突っ込まないスタンスですし。。

      ただ、個人的には葉山が関わったら面白いかなーと思ったりしています。

      別の記事でも書きましたが、葉山は陽乃・雪乃と3人で八幡・雪乃・結衣と類似した関係を作っていた可能性があるため、彼が関わってると色々意義深い感じはします。