皆々様こんにちは。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(以下『完』)担当のgatoです。
前回は無事にプロムを終えたものの、八幡・雪乃・結衣の三角関係はなかなか解決せず…。
それでも八幡は雪乃の決断を尊重するためにあえて突き放しますが、それもモヤモヤが残る感じでした。
ただ、今回はついに三角関係に決着をつけるようなイベントが発生する模様です。
何があったのか、振り返っていきましょう。
原作ファンの方は初見勢の考察にニヤニヤしながら読んで頂ければと思います。
※コメント欄でのネタバレも厳禁でお願いします。
目次
「君が好きだよ」
雪乃のことで悶々とする八幡でしたが、その背中を押したのは…コメントでも予想されていたように平塚でした。
まぁ妥当ですよね(個人的にはあえての葉山が見たかった笑)
何はともあれ、平塚が八幡の背中を押すためのアプローチは「君が好きだよ」…というと語弊があるので、個人的に要約するなら「君なりの答えを紡げばいい」でした。
大まかな感じとしては、「自分の想いを信じて突き進め」みたいな感じですが、個人的に重視したいのが平塚が八幡の面倒くささを否定せずにいたという点です。
よくある青春ものだと「好きっていえばいい」とか「難しく考えるな」といった「考えるな、感じろ」系に陥りがちです。
平塚も大枠で見るなら、そのジャンルのアドバイスをしています。
しかし彼女は八幡が物事を小難しく考えすぎてこじらせすぎてしまう点を否定せず、彼の考えや想いを単純化しません。
むしろ一言で尽くせない想いを、一言で尽くさない八幡を肯定しています。
決して自分の考えを押し付けず、相手の考えに手を加えず、八幡を理解しているからこそありのままの八幡を肯定する…これは平塚でないとできないアドバイスでしょうね。
まぁ変に考えを押し付けるより、その考えを認め、むしろ背中を押すような形のアプローチでないと、八幡は動かなさそうですが(笑)
ただ、それを差し引いても、八幡の尊敬に値する教師らしい、珠玉のアドバイスといってもいいのではないでしょうか。
「たった一言じゃいえない」
前半の最大の盛り上がりは間違いなく八幡と結衣のシークエンスでしょう。
ここでこれまでこじれにこじれてこんがらがってしまった八幡と結衣の関係性が結末を迎えます。
ここはじっくりと見ていきましょう。
「だから、絶対言って」
八幡と公園のベンチで横並びになりながら、結衣は八幡に答えを求めます。
直接的に言及しませんですが、あの問いかけは八幡の「お願い」(雪乃のみならず奉仕部全体)の答えを求めるものでした。
そして八幡は奉仕部の終わりを認めつつも、雪乃との関わりが終わるのを拒みます。
端的に要約するなら、八幡は雪乃を選んだわけです。
八幡と雪乃を結び付けていた奉仕部の終わりは、実際的に二人の関係の終わりを意味します。
だから雪乃は八幡を突き放し、八幡もまたそれに応じようとしていました。
もし八幡が奉仕部の「終わり」を認め、同時に雪乃とも距離を取るなら結衣にも活路がありましたが…。
ところで、八幡が奉仕部の「終わり」を認めた直後、結衣が「じゃあ」と何かを言いかけていましたね。
個人的に、結衣はあのタイミングで八幡に告白しようとしたのだと思います。
結局八幡がすかさず雪乃の話に移行したため、結衣が何を話そうとしたのかはわからずじまいでしたが…。
学校の玄関で八幡を待つように立ち尽くしていたり、雪乃について語る八幡のリアクションを見る限り、結衣はあの日を決戦の日にしたのでしょうね。
「初めて本当に恋をした」
雪乃を選んだ時点で決断は明確になりましたが、八幡はちゃんと結衣との関係性を着地させます。
そう、結衣をフッたわけです。
(中略)
「けど、お前はそれを待たなくていい」
この台詞が実質的なトドメになりました。
雪乃との関係を終わらせなかった段階で答えは明白でしたが、上記の台詞で八幡は雪乃との関係を取り戻す過程から実質的に結衣を除いています。
プロムの際は八幡は結衣の力を借りましたが、今回はそれを止めたわけですね。
結衣の力を借りることは八幡が彼女にしてしまう依存であり、同時に誤魔化しでもありました。
ただ、その欺瞞は八幡にとっても、結衣にとっても良いものではありません。
だから、八幡は結衣から離れて雪乃に向き合う必要があったわけです。
この点を踏まえると、個人的に八幡は意識して上記の発言をした…つまり結衣をフッたと思っています(今まで鈍感扱いしてきたお詫びの意も込めて笑)。
「好き」やフることへの謝罪といった直接的なワードを使わず、結衣が自分を支えてくれたことを認めつつ、その役割を解くような八幡のやり方は、彼なりの思いやりだったのでしょう(まぁ好きというワードを安易に使わないことには別の意味の方が大きそうですが)。
前回の記事でも触れましたが、八幡の優しさが垣間見えましたね。
一方で、結衣が雪乃との友情も本当に大事にしており、雪乃がいる日常を取り戻すために八幡に託さざるを得ないという状況が功を奏している感じは否めませんが(笑)
それにしても、やっとトドメを刺してもらえたとはいえ、いざ結末を見ると切ないものがありましたね。
しかし、彼女がAパートのラストで行っていた台詞は個人的に印象的でした。
(中略)
「私は、私達は」
「初めて本当に恋をした」
「私」が結衣だとはわかりますが、彼女はさらに「私達」を使っています。
流れから見るに、この私達には八幡が含まれているでしょう。(もしかしたら雪乃も?)
さきほど触れた「『好き』という言葉を使っていない」という点は後ほど語るとして、結衣はフラれてから自分達が「恋をした」と感じたといっている…これはなかなか面白い感じです。
個人的に「本当に恋をした」という台詞には、八幡・雪乃・結衣の三角関係を覆っていたメッキ(ごまかし・欺瞞etc..)が剥がれたことを示唆するものと思っています。
八幡も雪乃も結衣も、それぞれに恋心を抱きながらも表に出さず(あるいは出せず)、それが原因でお互いの関係が壊れることを恐れていました。
そしてそのために欺瞞的で共依存的な関係に陥ったわけです。
しかし、八幡が結衣をフッたことで、そのメッキは剥がれ、彼らは「本物」の気持ちで「本物」の関係性を結び直すことになりました。
その新たな展開を指し示すのが「恋をした」のでしょう。
あえてネガティブな意味で使うなら、よくも悪くもお互いに欺瞞を生み、束縛していた「奉仕部」というくびきから解放され、八幡・雪乃・結衣の丸裸な三角関係が生まれた瞬間を、結衣は目の当たりにしたのではないでしょうか。
「俺を助けてくれ」
突き放してきた雪乃に再び接近するため、八幡がやったのはダミーのプロムを開催させることでした。
この段階でダミー(ニセモノ)を「本物」にするという、なかなかセンスが光っている展開なのですが…。
当然立ちはだかってくるのは御馴染み雪乃の母と陽乃…ついにいろはが陰で雪乃の母をババア呼ばわりしましたけども(笑)
ただ、八幡は強敵相手にも―――相手の温情もありつつも―――どうにか立ち回っていました。
確かにダミーを当て馬にすることで、生徒会のプロムを認めさせた以上、ダミーが実現することは雪乃の母や陽乃の面子を潰すことになります。
何より、生徒会のプロムに雪乃が関わってきた以上、ダミーの成功は雪ノ下家の関係性にも影響してきます。
そこに八幡は雪乃に対して責任を取ると言いつつ、金も時間がないダミーが成功するために雪乃の力を借りたいと申し出たわけです。
ダミーの開催を行うのを有志にすることで保護者会を介入し辛くしつつ、雪乃の力を借りるという構図を作ることで、例え表面的でも彼女を認めてしまった雪乃の母の面子を刺激したわけです。
ただ、個人的に八幡の目論見は雪乃の母に逆利用させれた印象もありますね。
雪乃の母は雪乃にダミーの責任者として必ず企画を成功させるように激励しますが、恐らく陽乃だけでなく、雪乃の母も前回のプロムに納得していないのでしょう。
だから八幡から力を借りるのではなく、彼に力を貸すシチュエーションでもう一度雪乃を試そうとしているのではないでしょうか。
陽乃はこれをわかっているからこそ、八幡の考えをそこまで否定しなかったのでしょう。
尤も、「バカ」なやり方でストレートに勝負を挑んてきた八幡に好意的だった感はありましたけども。
「お前の人生ゆがめる権利を俺にくれ」
今回のエピソードで最も重大な場面は、やはりラストの歩道橋でのやり取りでしょう。
そう
ついに
告りやがった
自分達の関係を終わらせたくないと語り、去り行く雪乃の手を自ら掴む…いやぁ八幡らしくからぬ場面でしたが、長々と思いを語り、相手の弱さを受け入れ、それでも自分の想いを伝え続ける様は…珍しくかっこよくみえた(笑)
この告白に対して色々言うのは野暮ですが、あえて掘り下げるとしたら結衣のくだりでも書いた「『好き』という言葉も使わない」という点でしょう。
八幡の雪乃への告白、雪乃の八幡への告白は互いへの愛情がにじみ出るものでしたが、彼ら特有の言葉回しで表現されており、「好き」という直接的なワードは一切使われていません。
だから少しわかりづらい感じですが、むしろこれでいいわけです。
「一言じゃ足りない」だの、「言葉を尽くせ」だの言ったり言われているように、彼らの心中にある感情は単純な言葉でまとめていいものじゃありません。
おまけに八幡も雪乃も面倒くさくて、コミュ障で、こじれていて、色々ややこしい人間です。
そんな彼らが告白するんですから、単純な言葉でまとまらない、面倒くさくてコミュ障でこじれていて色々ややこしいまま告白していいんです。
これは平塚のアドバイスが効いている証拠でもありますが、ここには彼らがありのままを貫くことへの決意それ自体が表れている気がします。
あえて少し大仰な表現を使うなら、彼らは彼らの青春を貫くことにしたのでしょう。
思えば青春は、その実色んな正解を求められます。
もっと単純な言葉を使えばいい、もっと正しいやり方をすればいい、みんなとの関係性を守らなければならない、もっと素直に振る舞わなければならない、空気を読まなければならない…。
しかし、八幡も雪乃をその何もかもが上手くいかない、間違えてしまう。
でも、それでいいんですよね。
間違えるからダメなわけじゃない、正しいことが良いことではない。
間違えたから学べたことがあるのなら、間違えたから出会えた人がいるのなら、無理に正す必要なんて全くない。
むしろ間違えているからこそ彼らの青春は恋は、ラブコメは成立する。
つまり「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」というわけですね。
ただ正すのではなく、間違いを受け入れ、貫くことこそ誠実である…八幡と雪乃の告白にはそんな意義もあるのではないかと思います。
…まぁすごいいい場面だったので、それっぽくまとめたけど、無理矢理上手く言おうとしている感じが否めない(笑)
『俺ガイル完』第11話感想
ひとまず、八幡・雪乃・結衣の関係に一区切りがついたという感じでしょうか。
結衣にとっては切ない結末を迎えましたが、欺瞞に満ちた青春を送り続けるよりかは良い結果でしょう。
むしろ一度奉仕部から離れることで、3人はありのままの自分達と向き合い、ありのままを貫けるようになったわけですからね。
結局奉仕部は「終わり」を迎えたわけですが、ある意味、卒業式とこのエピソードを被らせたのは、3人が奉仕部を卒業する過程を描きたかったのかもしれませんね。
ただ、奉仕部を離れた3人がどのような関係を紡いでいくかはまだわからないままです。
恐らくそれが次回描かれるのでしょう。
そして次回は最終回。
放送開始から10年近くの時を経て、いよいよ『俺ガイル』が終わりを迎えます。
果たして、八幡は「本物」の関係を手に入れることはできたのか…。
彼らのこじれまくった青春の行く先、楽しみにしましょう。
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コメント
由比ヶ浜をフッた台詞の解釈が興味深かったです。
私もフッたのは分かったのですが、本能的にそう思っただけで、何故あの言葉でフッた事になるのか理解できていませんでした。
雪の下母のシーンは、私はかなり異なる解釈をしています。
雪の下母が
「そういうことを言う時は、もうちょっと恰好つけるものよ?」
と言ったのは、この時点で比企谷が雪ノ下雪乃に口説くために、母親や姉を利用しようとしたことに気づいていると思いますね。
だったら、もうちょっと恰好良く言わないとね、という意味です。
まさか、私を利用してまで雪乃を口説こうとするなんて、大した胆力だ、と感心しているのでしょう。
そこで、比企谷が頑固な雪乃をどう口説き落とすのかお手並み拝見、と見ていたところ、比企谷は見事に口説き落とします。
だから、雪ノ下母は感心して、陽乃さんと同じような目で比企谷を見たのだと思いますね。
だから、引き下がったのだと、私は思います。
小田急さんコメントありがとうございます!
>由比ヶ浜をフッた台詞の解釈が興味深かったです。
ありがとうございます!
まぁ八幡は結衣への依存を指摘されていましたし、わりと順当な方向で解釈した感じですが…。
ある意味、前回いろはが言っていた「都合の良い女」に結衣をしたくなかったって思いもあったかもしれません。
>この時点で比企谷が雪ノ下雪乃に口説くために、母親や姉を利用しようとしたことに気づいていると思いますね。
な る ほ ど
仰る通りの解釈で良いと思います。
というか、あのシークエンスさほど重視していなかった…反省orz
そう考えると八幡は結構大胆なことしてますね(笑)
>だから、雪ノ下母は感心して、陽乃さんと同じような目で比企谷を見たのだと思いますね。
この場面では雪乃を見ていなかったでしたっけ?
実際、あの目つきは雪乃とのやり取りで向けていましたし。
ただ、小田急さんの「八幡が雪乃を口説いていた」という解釈とあの時の雪乃とのやり取りを踏まえると、色々面白くなりそうです。
あのシーンでは雪乃の母は八幡が雪乃を口説いていることを認めたうえで、雪乃に「やり遂げられるのか」と覚悟を問うています。
これは「自分の娘を口説く男の覚悟にちゃんと応えられるのか」と迫っているとも解釈できそうです。
だとしたら…結構雪乃の母は良い親として振舞っている印象にもなりそうだな(笑)
こんにちは!前回の返信コメントありがとうございました。
11話、良すぎましたね!熱が未だに醒めません。今回も自分が解らなかった部分を補わせて頂きました。
凄く良すぎたので、3期を1話からみかえして、とあることに気が付いてしまいました。10、11話で主要人物が八幡の体に触れていることに。雪乃、結衣、いろは、平塚先生、陽乃さん全員が自ら八幡に触れている。しかも左手で触れる、左肩に頭を預ける、左手の袖を引くorつかむ、左肩を抱く、左手で頬を触る、左耳にささやくなどが多い。そして今回のED曲の雪乃と結衣の立ち位置が、雪乃が左だったことに!!マジで驚愕しました。アニメの演出なのか、原作なのか、原作からなら渡航先生凄すぎます。
そのすべての触れた熱が今回のサブタイトル「想いは、 触れた熱だけが確かに伝えている。」の本当の意味だったのではと。一気に観ることでそこに至りました。(全然検討違いだったら笑ってやってください)笑
オモイカネさんコメントありがとうございます!
>11話、良すぎましたね!熱が未だに醒めません。
いやーやっと大きな壁を超えたって感じですね。
個人的に11話で結衣、最終話で雪乃との関係に決着をつけるって想像していたんですが、まとめてくるのは予想外(笑)
なかなか高カロリーな回でしたね。
>雪乃が左だったことに!!
な る ほ ど
それは結構意味深な構図ですね。
まぁ結婚指輪をつけるのが左手って考えると…まぁそれとなく察しがつく仕掛けですね(笑)
>そのすべての触れた熱が今回のサブタイトル「想いは、 触れた熱だけが確かに伝えている。」の本当の意味だったのではと。
それも面白いご指摘です。
そもそも八幡は序盤から心中を上手く言葉にすることができず、苦心している描写がありました。
そんな彼に必要な後押しは言葉ではなく、それこそ触れることで伝わる熱だったのでしょう。
ただ言葉を重ねると混乱してしまう八幡にとって、非言語的な想いを伝える熱は何よりも有効なものだったのかもしれません。
それこそボッチで生きてきた彼にとって、「誰かに触れられる」という経験はかけがえのないものでしょうからね。