こんにちは。くらむBONです。
前回では天元と上弦の鬼の戦闘が開始され、圧倒的な作画による戦闘シーンは、鬼気迫る戦いをド派手に表現していました。
「8話:集結」ではその魅力はさらにパワーアップして、アクションのカッコよさと動きは、個人的にTVアニメとして最高峰と断言しても良いのではないかと思っています。
ストーリーでは残酷な環境に対して、新時代を前向きに生きようとする天元と、嫉妬に溺れて他者を踏みつけにする妓夫太郎の対比が光る構成。
物語の軸となる3つの対比構造を振り返りながら、今回は雛鶴の持ち出した忍具について考えてみます。
原作既読の皆さんは未読ライターの考察を天丼100杯食べながらお楽しみください。
8話の軸になる3つの対比構造
8話のストーリーを簡単に言うと、戦闘の最中に宇随天元が過去を振り返りながら妓夫太郎との戦闘を続ける、よくある展開でした。
しかし、物語の軸がブレずにハッキリしていて、天元や妓夫太郎が「何故戦っているのか・どんな思いを持っているのか」が深堀されているのが印象的です。
8話には次のような3つの対比構造があり、物語に深みを与えています。
・残酷な環境を生き抜いてきた天元と妓夫太郎
・理想の柱を追い求めた天元と煉獄
・寝言で正論を吐くぶちゃいくと、ねじ曲がった美しい堕姫
制作会社ufotableの圧倒的な作画力については、凄すぎて語るまでもないので、今回はあまり触れません。
①天元と妓夫太郎の対比
天元は自分自身の出自に疑問を持ち、新しい時代を前向きに生きようとして、嫁たちを連れて鬼殺隊に入隊した経緯がありました。
過去についてはまだ語られてはいませんが、その言葉の端々に不幸だった自分の過去と、幸福そうな他者への嫉妬心が浮き彫りになっている妓夫太郎。
世界を取り巻く環境は残酷で、天元と妓夫太郎はどちらも多くの問題を抱えていたことが推察され、考え方の違いでそれぞれの立場に至っていることが分かります。
少年漫画の分岐点
8話視聴後に天元と妓夫太郎の戦いから、ヒーロー(柱)とヴィラン(鬼)という存在は、人生のどこかで分岐点をたがえた同じ存在なのかなという思いが浮かびました。
天元は自分の才能に疑問を持ってライバルとなる存在を認めて努力し、妓夫太郎は他人に嫉妬して攻撃することで幸福を勝ち取ろうとしています。
一見少年漫画らしい対比ですが、最近話題の「無敵の人」が生まれる背景とはこういうものなのかもしれません。
②炎柱と音柱
『鬼滅の刃 無限列車編・7話』では、煉獄杏寿郎の訃報(ふほう)を鎹鴉(かすがいがらす)から聞いた天元の、次のようなセリフがあります。
「上弦の鬼には煉獄ですら負けるのか」
また、自分よりも才能のある他の柱たちへの劣等感を持つ天元は、天元の環境を妬む妓夫太郎に柱としての力不足を認めて激昂していました。
天元はみんなから愛された杏寿郎に自分にはない才能や能力を見出しています。
「俺は煉獄のようにはなれねえ」
そう自問自答して開き直った天元に、炭治郎がかつて憧れた煉獄の幻影を見ているのが熱い展開でした。
③ぶちゃいく寝坊丸と堕姫
伊之助に寝坊丸と呼ばれた善逸と堕姫の対話も物語のテーマに厚みを持たせていて、遊郭や世界そのものへの不条理に対して言及しています。
歴史的に遊郭というものがあり、そこには貧困や差別など、どうにもならない様々な不幸があったのは事実です。
不幸に慣れて開き直り闇に飲まれてしまった堕姫と、「それおかしいだろ」という少年目線の正論を寝言で言う善逸の対比が面白い演出でした。
3つの対比には『鬼滅の刃』が王道の少年漫画らしさがあって、原作者の吾峠呼世晴先生の作家性とメッセージを読み取れます。
雛鶴の苦無はどれくらい重い?
吉原遊郭の最終決戦でチャンスを作ったのは、雛鶴の持っていた藤の毒を塗った苦無(クナイ)を広範囲に発射する忍具。
作中の鬼は藤の花が苦手だという設定になっているので、対鬼用の忍具だと考えられますが藤には人間も食中毒を起こす成分があるので注意が必要です。
雛鶴は天元との合流前に毒を飲んでいたので汗をかいているようですが、本当にそれだけでしょうか?
苦無1本が仮に300グラムだとして、16本が4か所に配置されたこの忍具の重量は苦無だけで約20キログラムあります。
発射装置は火薬による爆発音がしなかったことからコイルばね式と推定でき、現実の武器「弾道ナイフ」のような構造なのでしょう。
おそらく総重量は木枠と発射装置を含めると、推定で40から50キログラムを越えるものになりそう。
これを屋根の上まで持っていった雛鶴は、腕力も相当なようで、怒らせないほうがよさそうなお嫁さんです。
鬼滅の刃遊郭編8話感想まとめ
制作ufotableの本気の作画が光る回で、劇場版『Fate/staynight』での戦闘シーンを彷彿とさせる素晴らしい出来栄えに感無量。
TVシリーズでこれやっちゃうのは反則級です。
それとは別に、天元の柱になるまでの経緯や苦悩が分かるストーリーの描写も情感たっぷりで「只々、素晴らしい」としか言いようがありません。
8話の物語には3つの対比できる要素があり、それぞれが複雑に絡み合っています。
『鬼滅の刃 遊郭編』には残酷な世界の環境から、光をつかもうとあがいた天元と、闇に飲まれた妓夫太郎と堕姫がいます。
原作者の吾峠呼世晴先生が伝えたかったものとは、「苦しい環境に負けずに頑張って欲しい」という少年(かつての少年も含む)へのエールなのかもしれません。
物語の決着がどうなるのか、非常に楽しみです。
ではまた次回で。
ばいばい。
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