こんにちは。くらむBONです。
この記事は原作未読の状態で視聴したアニメファンが、伏線や作品中の謎について考察していくシリーズの最終回です。
『鬼滅の刃 遊郭編11話(最終回)』の内容に触れる記述がありますので、未視聴の人はネタバレに注意してください。
地上放送枠が45分(実質32分くらい)の拡大版で締めくくられた最終回は、鬼の兄妹の哀しい過去を情感たっぷりに描きつつ、新たな物語を予感させる期待に満ちたものでした。
アニメ版視聴を終えた原作既読の皆さんは、未読ライターの考察を今しばらくお楽しみください。
目次
嫉妬と憎悪と長男の言葉
最終回では遊郭に住んでいた上弦の鬼の壮絶な過去が、タヒにゆく妓夫太郎の回想で振り返られていました。
前回で炭治郎に鬼になれと誘う際に投げかけられていた罵詈雑言は、かつて人間だった頃の妓夫太郎が人々から投げかけられてきたモノ。
金と欲望が渦巻く遊郭に生きる人々の、うっくつした感情のはけ口のように扱われてきた兄と妹の境遇には、ただ生き抜くためにそうあるしかなかった哀しさがあります。
前回記事はこちらです。
鬼となり人外の力を得た後の兄と妹の罪については弁解の余地はなく、兄妹げんかを仲裁して最後を看取った炭治郎も「自分もそうなり得たかもしれない」と思っていたのかな。
嫉妬と憎悪にまみれた妓夫太郎が炭治郎の言葉で妹の名前を思い出して、梅を道連れにしないように闇へと向かって1人で歩き出そうとするシーンには、言い表せないエモさがありました。
梅という光と沢城みゆきの演技
自身の不幸の代償を取り立てるために鬼として生きていた妓夫太郎の夢想で、ありえていたかもしれない未来で描かれた梅の幸せそうな表情が切ない。
首を落とされた後のケンカの際に、妓夫太郎が堕姫を可愛がるのとは別に、負い目のようなものを感じているのが印象的でした。
育ての親代わりとなった自分さえいなければ、牛太郎を照らす光だった梅が焼かれることは無かっただろうと後悔しているところに、妹を思う兄としての愛情を感じます。
一方で13歳で全身を焼かれて堕姫となった梅の心は、その時点で精神の成長が止まっているかのよう。
2人ボッチとなった雪の中での約束を口にして、兄にしがみつく梅を演じた沢城みゆきさんのギャン泣きの演技も素晴らしかったです。
闇に向かって焔の中を行く兄と背負われた妹の情景が、遊郭編のシリーズをきっちりと締めくくっていて、炭治郎と禰豆子のこれからを期待させる素晴らしい結末でした。
残された伏線まとめ
『鬼滅の刃遊郭編』は剣劇アクション作品のため、炭治郎や登場人物たちによって物語が解説されてしまうジャンルです。
TVアニメ『鬼滅の刃遊郭編』内で明かされていない、これまでの伏線について整理してみると、次のようにまとめられます。
・堕姫の記憶に登場した日の呼吸の剣士
・青い彼岸花と上弦の鬼の血
・元上弦の陸の鬼
・無惨と産屋敷家の関係
どういった内容なのか、個別に見ていきましょう。
日の呼吸の使い手
6話で堕姫の記憶に登場した剣士は、まだアニメ本編で紹介されてはいないので、日の呼吸を使うのであろう謎の剣士として登場しています。
6話考察で謎の剣士について語っています。
鬼に対して憎しみを持ちつつもどこか憐れんでいるような口ぶりから、無惨と浅くない縁がありそうで、どんな所縁がある人物なのかはこれからの物語で語られていくことでしょう。
青い彼岸花と鬼の血
1話で無惨は猗窩座に対して秘薬の材料となる青い彼岸花を探すように命令していましたが、いまだに発見されてはいないようです。
可哀そうな猗窩座が責められる様子は1話記事で語っています。
また、上弦の鬼である妓夫太郎の血を採取して珠世に送り届けたことで、今後の人を鬼に戻す秘薬の研究が進むことが予想されるので、禰豆子が人間に戻る日も近いのかもしれません。
元上弦の陸の鬼
妓夫太郎の記憶に登場した鬼は『鬼滅の刃遊郭編』時点では、作中で名前が登場せず正体不明な状態で上弦の陸とクレジットされています。
上弦の鬼たちは近年で倒されたことが無かったと言われていることから、現在はさらに上位の鬼となっていることが予想されます。
実力主義の十二鬼月なのでランキングの変動で下限に転落するなどの事態が無ければ、炭治郎たちの前に立ちはだかることになるのかな。
声優が宮野真守さんという事で、今後も活躍する事が予想され、注目したい鬼です。
無惨と産屋敷家の関係
吉原遊郭で上弦の鬼を倒したことを鎹鴉の知らせによって知った産屋敷は、一族と無惨との因縁を口にしていました。
産屋敷一族の汚点と呼ばれていた無惨の過去についてはまだ定かではありませんが、今後明かされていくことが予想されます。
遊郭炎上を生き延びた隊士たちと元忍び
吉原遊郭は炎上して大破したものの、誰一人欠けることなく生還した鬼殺隊士たち。
大団円となりましたが大活躍でカッコ良かった善逸が眠りから覚めて泣き叫ぶ、何時もの「汚い高音(誉め)」を発揮していたのが印象的です。
過去記事で戦闘シーンのカッコ良さについて語っています。
生き残ったものの全員重症なのは間違いなく、負傷した隊士たちは、また「藤の家」でしばらくは治療に専念することになるのかな。
休んでいる間の訓練や戦いを通じてどんどん成長していく、若い世代の剣士の戦いはこれからも続くようで、今はただ休養してほしいと思います。
天元の引退と次の世代
天元は左目と左腕を失ったために柱を退く決意をしたようで、援軍に間に合わなかった蛇柱の伊黒小芭内(いぐろ・おばない)に、今後について語っていました。
伊黒は隊士たちの質の低下について嘆いていましたが、今後頭角を現す次の世代に望みを託す発言をする天元。
傷が癒えたら育手(そだて)になって、再登場する事になるのかな。
個人的に須磨がお気に入りの推し嫁なので、一緒に出てきてくれたらうれしいなあ。
天元と嫁たちについては過去記事で語っています
刀鍛冶の里編
【「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編】
「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編のテレビアニメ化が決定、ティザービジュアルを公開いたしました。https://t.co/lioTBbQQKBhttps://t.co/XQQRZT39Jw#鬼滅の刃 pic.twitter.com/SUP84bWnEO— 鬼滅の刃公式 (@kimetsu_off) February 13, 2022
次シーズンは公式サイトで発表されている通りTVアニメとして制作されることが決定しています。
タイトルから、またしても日輪刀をボロボロにしてしまった未熟な炭治郎が、鋼鐵塚 (はがねづか)さんに追いまわされる様子が目に浮かぶよう。
謎の琵琶によって無限城へと呼びだされた猗窩座(あかざ)が戦慄していたことから、上弦の陸を鬼殺隊に滅ぼされた無惨に、猗窩座が八つ当たりされるのが明白です。
今後、無惨が上弦の鬼たちに鬼殺隊の討滅を命じるという事になりそう。
公開時期はまだ不明ですが、人気ぶりから間を開けずに発表されることでしょう。
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鬼滅の刃遊郭編11話感想まとめ
ただ「傑作」としか言えない最終回を見終えて、『鬼滅の刃 遊郭編』が作画やアクションだけの作品でないことを、止め処なくあふれるオッサン(くらむBON自身)の涙で思い知りました。
TVアニメ11話を通して感情描写やどこで何を視聴者に見せるのかが計算され尽くしているため、映画館で見ているかのような臨場感や没入感を味うことができて、ufotableに感謝しかありません。
原作を知らずにアニメ視聴記事を書く私のようなライターでもわかりやすい表現になっていて、心を無にして少年時に戻って視聴することが出来たことに嬉しさを感じています。
単純に作画で魅了され、炭治郎をはじめとする剣士たちのカッコよさに憧れ、上弦の鬼の背景に涙して天元の嫁さんの可愛さに悶える。
そこには原作漫画の持つテーマや魅力をどうやって視聴者に伝えようか、細部まで配慮している制作側の、表現者としての努力の成果が垣間見えました。
次シーズンの『刀鍛冶の里編』にも期待がかかりますが、制作側も焦らずに作って欲しいなあと思います。
ではまた。
ばいばい。
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コメント
はじめまして。
鬼滅最終回は泣かせにきましたねぇ、まぁ、私は泣きはしませんよ?、江戸っ子だからねぇ、真冬の夜中に汗をかいただけでぇ……。(泣)
遊郭。落語なんかは廓噺と申しますが、大抵、女郎は性悪と話されます。
それは鬼滅でも同じこと、墮姫こと蕨姫の性格は、そりゃぁ悪いこと悪いこと……。
でもね、そこから泣かせに行くのは「紺屋高尾」かっ。て言うくらい上手かったね。
もう、サゲようが無いくらい。
さて、枕話は此のくらいにして本題。
妓夫太郎と梅の話を史実に当てはめると、彼らの産まれた年代が解る。
解るといっても60年間の開きがありますが。
でも、昭和の63年間を、一緒くたに「昭和」と語られるくらいだから、かまわないでしょう。昔々の江戸は新吉原の話ですから…。
………、なんか話が長くなりそうだなぁ。
一旦、話をここで折らせてもらいます。
迷惑かもしれないし…。
ただ、ここで話を終わらせるのも何ですから、小咄を一つ。
「狐、狸は、尾で化かす。」
「廓屋女郎は口で化かす(騙す)。」
「尾、いらん。」、「おいらん。」
「花魁。」
お後が宜しいようで…。
てけり・りさん。はじめまして。
ショゴスと落語という取り合わせにビックリですw。
噺と漫画(アニメ)というジャンルの違いはあれど、泣かせる話という共通点は江戸の昔も現代も変わらずに評価されるのは変わらないと思います。
上弦の鬼、妓夫太郎と堕姫は遊郭でしか生きるすべを持たず、外に出て生きる道を探せなかったところに哀れさがあって、炭治郎は義勇との出会いで外の世界とのつながりによって救われていました。
「紺屋高尾」はうだつが上がらない正直な男と花魁の恋の話だったかな?
生来性悪であっても人生を変える出会いによって、縁があれば人の心というものは変わるものかもしれませんね。
そこにドラマがあって聴者や視聴者の心を打つのでしょう。
>遊郭。落語なんかは廓噺と申しますが、大抵、女郎は性悪と話されます。
それは鬼滅でも同じこと、墮姫こと蕨姫の性格は、そりゃぁ悪いこと悪いこと……。
でもね、そこから泣かせに行くのは「紺屋高尾」かっ。て言うくらい上手かったね。
あまり落語には詳しくないのですが、落語で読み解く鬼滅の刃というのも面白そうです。
落語には話の成り立ちからその時代の風俗が取り入れられているので、作中の花魁の解釈などから深追い出来る要素がありそうで興味深いです。
鬼滅の刃を通じて江戸や近代の歴史に興味を持った視聴者が落語に興味を持つことだってありますね。
>妓夫太郎と梅の話を史実に当てはめると、彼らの産まれた年代が解る。
解るといっても60年間の開きがありますが。
では。
ども。呼ばれてもいないのに出て来るのが、油虫。
同じく、出て来たら、SAN値チェックしなきゃいけないのが、ショゴス。
どちらも迷惑な奴で……。
えぇ~と、まず最初に新吉原、今風に言えば「シン・ヨシワラ」の大きさ。
1656年、二町×三町(一町=約109m)の広さを黒塀で囲み、さらに「お歯黒どぶ」と呼んだ幅5mの掘(ヘイとホリって字が似てるよね。)で囲んだ内側が「吉原」。
出入り口は北面に一つ「大門」と呼ばれていた。(関東大震災で掘、塀ともに失われるが、吉原は昭和33年まで続く。)
まぁ、これだけ広ければ上弦の鬼が暴れたくらいでは、他所に被害は行かない。
史実とは時系列が違うが、どのみち関東大震災でこの街は全壊、全焼してしまうのだから……。
さて、本題(今さら…、長いな…。)
妓夫太郎が語ってた「羅生門河岸」これは実在した。
描写は間違っているが、確かに存在した。元々は、お歯黒どぶ沿いにある、「切り売り」専門の最も格が低い、「河岸見世」といわれる廓屋達。
「西河岸」と「東河岸」言われていたが、客引きが余りにも苛烈な東河岸を何時しか、羅生門(羅城門)河岸と呼ぶようになっていた。(羅城門には鬼が住む。この鬼は何時しか茨木童子と同一視された。)
一説には、この東河岸の廓屋の屋号の一つに「茨木屋」があったらしい。
兎に角、この羅生門河岸、遊女が客の腕を掴んだら放さない。(客引きが本来の妓夫太郎の仕事。)ほぼ拉致監禁の状態で射たさせる。(時間料金なので、射たそうが射たさなさそうが、料金盗るんだろうなぁ。)
金が足りなきゃ、付馬して身ぐるみ剥いで取り立てる。無けりゃリンチ。(本来これは妓夫太郎の仕事では無い。無いが、一人二役の仕事をしていたのかもなぁ。)
こんな羅生門河岸が文献で語られるのが、
宝永四年頃(1707年)~明和末(1772年)まで。
さらに言うと、明和末には既に、こんな客引きと呼び名は昔語りになっていた。(幕府公認の遊廓だから、怒られたんだろうね。)
……、思ったより、話が膨らまなかったなぁ。
まぁ、兎も角、妓夫太郎と梅が産まれたのは1707~1772年の間ではないか?と、思う。
ちなみに、明和五年(1768年)吉原は全焼し、明和九年(1772年)江戸の大火で二万人が…。
妓夫太郎と墮姫の復讐だとしたら?……。
興味深い知見での丁寧な解説ありがとうございいます。
内容について浅学な私は確認できませんが、読んだ人は正確なものを調べていただければと思います。
歴史って様々な説がある上で、次々と新しい発見があり、アップデートされることが多くて困ります。
史実は定かでないものの、頼光四天王の渡辺綱との絡みで変遷して羅城門と茨木童子がつながっていたと記憶しています。
(私は妖怪マニアほど詳しくない程度の妖怪愛好家なので未確認情報。)
>(羅城門には鬼が住む。この鬼は何時しか茨木童子と同一視された。)
妄想が膨らんで楽しい仮説ありがとうございます。
大正が1926年までなので、150から200年程度の間、妓夫太郎や堕姫が鬼として生きていたと考えると、その怨念とか妄執というのも凄まじいものがあります。
「河岸見世」は木造の長屋なので延焼しやすかったと記憶していますが、焔の中に鬼を見た遊女がいたのかもしれないと考えるとロマンがわきますね。
現実の史実や科学技術とフィクションの境界は、最近もtwitterなどで話題となっていますが、ファンとして鬼滅の刃がそういった史実や技術を学ぶ人たちの窓口になってくれたらいいなと思います。
>まぁ、兎も角、妓夫太郎と梅が産まれたのは1707~1772年の間ではないか?と、思う。
ちなみに、明和五年(1768年)吉原は全焼し、明和九年(1772年)江戸の大火で二万人が…。
妓夫太郎と墮姫の復讐だとしたら?……。
では。