超絶怒涛のハイクオリティ…!!
ごきげんよう。ケムリクサ【TVアニメ版】考察担当の模造紙です。
さてさて2019年1月9日よりケムリクサの放送がスタートしますが、その前に本作品の原作である自主制作版について語りたいと思います。
2010~2012年にかけてネット投稿された作品ですが、現在でも世界観や登場人物に魅了され続ける根強いファンが多いのも特徴ですよね。
個人的に気になった点について諸々記して行きますので、TV放送前の予習としてお役立てください!
スポンサーリンクケムリクサとは?
作品タイトルにもなっているケムリクサ。
TV版事前記事でも夕バコを模倣した携行型の武器アイテムであると記しました▼
注目したいのはビジュアル的にはまんまそれでも、我々が知っている夕バコとは異なる部分が多いところ。
武器アイテム“ケムリクサ”の正体を考えることで作品の根幹に近づいていける予感がします。
“ケムリクサ”に関して判っていること
以下web版で判断できた事柄です▼
・原料の大部分は水
・ビジュアル的には細い紙夕バコ
・人間が口に含んで吸い込むと肉体疲労が和らぎ外傷が治癒される
・人間はケムリクサ無しに紅霧に入るとタヒぬ
・虫にとっては有害、吸い込んだら弾け飛ぶ
・味は『水気の多い夕バコ』
(※見落としがあれば教えてください!)
つまり木を維持するためには大量の水が必要であり、木に茂っている葉を用いてケムリクサが作られているようです。
作中でも「ケムリクサは水が原料」という件があり、わかばも『水気の多い夕バコ』と評しているので私たちが良く知っている二コチンの多いアレとは全く別のシロモノと考えて良さそうです。
ただ、やはりビジュアル的にはどうしても夕バコを想起させてしまうため、現実世界のそれと完全に切り離してしまうのも躊躇われます。
精神の安寧と依存の暗喩か?
「二コチンが切れるとタヒぬ」とか「吸っていないと口寂しい」などは愛煙家が連発する言葉ですが、ようするに吸わないと落ち着かない、切らすと情緒不安定になる、精神的な均衡が保持できないがために手放せないということです。
虫=我々現実世界の人間の肉体と置き換えて考えると、ケムリクサは人体に対して有害であり最終的に破滅に追いやられるというのが当てはまるんですよね。
逆にりんたち“人間勢”ですが、体内に取り込んでも害ではないどころか回復アイテムとしても活用できるとなれば…完全に依存状態に陥ってしまった中毒者とも取れます。
つまり、りんたち“人間勢”はケムリクサのメリットに依存した人間の本能的な部分、敵である“虫”は目を逸らしがちな短所や、徐々に肉体を蝕まれることへの恐怖に対するストッパーとも言える人間の理性を具現化した世界だと考えられないでしょうか。
「禁煙です」と警告を発する虫のシーンも印象的でしたし、夕バコの概念は何かしら作品テーマに関わっている説が濃厚でしょう。
スポンサーリンク『さいしょのひと』と“あらすじ”から考える
なかなかに難解な世界観と設定のため、本編視聴のみでは十分な理解が厳しい部分もあります。
そんな人のために前日談とも言えるあらすじが公開されているので是非ご覧ください。
ずっと昔、さいしょのひとが船に乗ってこの星に不時着したとき
船の外は紅霧に汚染され外に出られませんでした。
さいしょのひとはこの星で生きていく為に、
ピンクの液体を使い自分を7分割し、
それぞれに特化させた能力をもたせました。そのうちの一人は脳を特化させ、
さいしょのひとの記憶と情報を引き継ぎましたが、
分割の直後に自ら紅霧に飛び込み死んでしまいます。
残った6人は手探りで生活をはじめました。近くに生えていた樹のまわりは紅霧の濃度が低いこと、
紅霧のなかには虫が出ること、虫には樹から取れる葉が有効なこと、
色々なことを時には命がけで学んでいきました。
それぞれ名前もつけ、互いに識別しやすいように髪を結わえました。それから2000年ほどの月日が流れました。
引用:pixiv
かなり作り込まれた世界観な上に、興味深い設定もちらほら。
個人的には“さいしょのひと”が気になったので言及して行きたいと思います。
『2000年ほどの月日』というと…
ケムリクサ原作が初めてネット投稿されたのが2010年。2010年は“2000年ほど”の括りに十分に含まれますよね。
つまりケムリクサの物語が展開されている世界は西暦の暦で時を刻んでおり、さらに言うと我々の並行世界に当たる世界観とも考えられるのではないのかな…と。
いわゆる昔話的な語りで物語の前日談を設定するときに、明確な歳月の経過を数字で示すことは少ないように思うんですよね。
それをわざわざ“2000年ほど”と記すとなると、何か意図的な含みがあるような気がしてなりません。
ちなみに西暦の始まりで何があったのかというと
西暦元年、つまり西暦1年がなぜ設定されたのかというとイエス・キリストが降誕したからなんです。
(※近年の研究だと、実際はキリスト降誕は紀元前4~5世紀だとされていますが、一般的に広く知られているのは西暦=キリストが生まれてからの年数とされているのでご了承ください。)
さいしょのひとが未知の星の不時着した設定は、キリストが救い主として地上に生を受けたことに着想を得たのではと考えられます。
つまり、さいしょのひとのモデルはキリストなのではないでしょうか?
りんは自分たちを“人間”と言っていますが、作中の彼女たちの動向や特殊技能からするとどう甘めに見ても“人間”にカテゴライズするのは難しいですよね。
そもそも本来の人間がどういうものかわかっていないのかもしれませんが…。
「本当の意味での人間」は外部から侵入したわかばでしょうから、比較対象がいなかったために己が人間だと信じて疑わなかったというのが正しいかもしれませんね。
ちなみにキリストは大天使のお告げで聖母マリアの胎内に宿り、神の子や救い主として祝福を受けました。
様々な見識人の考えや諸説あるものの、生物学的に考えると人間のマリアから産まれたためキリストも“人間”にカテゴライズされるのが適切だと言えます。
しかしながら、一般的なキリスト教の教えを考慮しつつ聖書を読み解くと、キリストは神の御子や神の化身――つまり神であるキリストは人間であるマリアから人間の姿で生まれたということが分かります。
したがって“神であり人間でもある存在”と言えるでしょう。
さいしょのひともキリストのような超人的な特殊スキルや奇跡の力を持ったまるで神のような人間、もしくはそれに近しい存在と考えられそうです。
ヤオヨロズ、7分割
そして現在たつき監督が所属するアニメ制作会社名である『ヤオヨロズ』の名称。
さいしょのひとが自分を『7分割』したこと。
何かと神や神話を思い起こすワードが挟まれる点も作品テーマに関わっている気がします。
ヤオヨロズは日本においての神様への考え方である八百万(ヤオヨロズ)に由来するのは言うまでもありません。
7分割に関しては、日本神話で神が体を洗った際に生まれる別の神様の誕生を示しているのではないでしょうか。
元々、たつき監督は神話を題材とした物語づくりが好きなのかもしれませんね!
少女たちは神の末裔か?
さいしょのひとがキリストをモチーフにしていると考えられる点、そして随所に散らされた神の存在を過ぎらせるワード。
以上のことから、りんたちは神の末裔――紅霧で汚染された星の救世主としての運命に在るのではないかと思います。
わかばと出会ったことで急速に運命の歯車が動き出し壁越えの先には救いを求める何者かがいる…そんな気がします。
スポンサーリンクケムリクサ(web版)の感想
非常に難しい作品ですね…!!!
というか明かされない設定、敢えて描かれない舞台装置が多分にありそうで考察が迷走してしまうというか(涙目)
自主制作版は良くも悪くも選ばれた人種に限られた視聴に留まるでしょうから、これをどのように間口を広げて地上波TVアニメとして仕上げるのかは興味深々です。
正直、嫌煙や分煙、身体被害のリスクばかりが叫ばれるなかで夕バコモチーフ(にしていると思われる)な作品がアニメ化って大丈夫なのかなという懸念もあるのですが、心配を良い方向に裏切ってくれることを願っています。
もちろん、たつき監督をはじめヤオヨロズスタッフは↑の点を指摘されるのも端から想定されているでしょうし、それをひっくり返せるくらいの大きな爆弾をきっと仕込んでくれるに違いないでしょう。
残された謎や気になる設定もまだまだありますので、TV放送版でスッキリ解消されることを期待しています。
それではまたTVアニメ初回放送後の記事でお会いできますように!
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