皆々様こんにちは…というか、お久しぶりです。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女(以下『水星の魔女』)』担当のgatoです。
衝撃的な結末を迎えたシーズンから早3か月…いよいよ『水星の魔女』のシーズン2が始まりました。
母親であるプロスペラに唆され、笑顔で人の命を奪えるようになったスレッタ。
徐々に距離を縮めていた父が負傷したミオリネ。
すれ違う2人が、そして世界がどうなっていくのか…ゆっくり振り返りましょう。
目次
その後の彼女達
今回のエピソードはプラント・クエタ襲撃事件から2週間程度が経過した状況ですが、あの事件以降のスレッタ達の変化を見ていきましょう。
戦いの痕
緘口令が敷かれたこともあって、アスティカシア高等専門学園はプラント・クエタ襲撃事件後も平穏さを維持しているようです。
ただし、事件の当事者だった地球寮の面々には、あの事件は深い爪痕を残していることが窺えます。
スレッタが連戦の決闘を勝ち抜いている場面では、MSが撃墜される様を見て目を背けていたリリッケを始め、一部のメンバーはトラウマになりかかっているようです。
他方でニカ達がスレッタといつものように接しているところを見ると、彼女が人の命を奪ったことまでは知らないようですね。
まぁプラント・クエタ襲撃事件の時にニカ達は別行動を取っていましたしね。
また、気になる点としてはシャディクを始めとする決闘委員会がエラン(強化人士5号)以外入れ替わっているという点。
厳密にいうとエランも4号から5号になっているので、実質的にシーズン1で権力を握っていた御三家の御曹司達は全員いなくなっているわけです。
後述しますが、シャディクは一応学園にはいるものの、すでに別の意図で動いているようですし…。
一方の5号は決闘を取り仕切りつつ、株式会社ガンダムの一員としてちゃんと活動はしているようです。
振る舞いはオリジナルそのもの…というか、ニューゲンの言う通り5号ちょっと似すぎだろ(笑)
ロウジにキャラが変わっているって指摘されているし(笑)
ただし、ノレアの言動に共感しているところを見ると、5号は5号で腹に一物持っていそうなんだよな…。
それにノレアとぶつかった時、彼女は絶対に何か(ファラクトのプロテクトを開ける道具?)をすり取っているんですが、それに気づいている素振りを見せながらも放置しているようですし。
こいつもこいつでとんでもないトリックスターになりそうな予感ですね…。
何はともあれ、一見平穏に見える学園ですが、しっかり火種は撒かれている模様。
これがどのようにしっちゃかめっちゃかになっていくのか、今から楽しみです(笑)
約束を果たすまで
前作のラストで躊躇なく人の命を奪ってみせたスレッタですが…意外と前向きな感じでしたね。
個人的に気になったところは、まず彼女が決闘にかなりポジティブに向き合っている点です。
ここには第11話でのミオリネの約束(絶対負けない)が影響しているでしょうし、「誕生日まで負けない」と言っているところを見ると、スレッタはもうミオリネと添い遂げる覚悟を決めているようです。
それに、地球寮の面々に対しても以前のように頼られることに依存するのではなく、自分から仲間を守ろうとする気概を見せたり、ニカの変化にも敏感になるなど、コミュ障全開だった時期と比べると、かなり対人関係に対して積極的になっているようですね。
てっきり12話以降はスレッタがサイコパス前回になるのではないかと、記事でもさんざん不穏さを盛り上げていましたが…
プロスペラに色々唆されたこともあるでしょうけど、スレッタなりに事件時のあの異常な状況を乗り越えたことによって成長したことが窺えます。
何より、スレッタが12話のラストシーンでの行動に反省を見せている点は特筆すべきでしょう。
ミオリネを守るためとはいえ、他人の命を奪い、彼女を怖がらせてしまった自分の行為に対して、スレッタは一抹の後悔を感じているのかもしれません。
また、彼女にとってのガンダム=GUND技術はなおも医療技術であると明言しています。
つまり、スレッタはまだ株式会社ガンダムの志を忘れていないことがわかります。
それがある分、スレッタはまだ道を踏み外していないといえるでしょう。
ただし…そんな彼女の変化に暗い影を落としているのが母親のプロスペラです。
あくまでスレッタの行為を「正しいこと」とするプロスペラ…第12話の記事でも書きましたが、やはり彼女はスレッタを陰謀渦巻く戦いに駆り立てようとしているようですね。
そんなプロスペラを、スレッタは自分を前に進ませてくれる「優しい魔法使い」と語っていましたが…。
そもそも今作と関連性が指摘されているシェイクスピアの戯曲『テンペスト』において、プロスペラに相応するプロスペローは使役する妖精のエアリアルの「魔法」で復讐を果たそうとしていました。
これを参照するなら、スレッタを前に進ませるプロスペラの「魔法」は復讐のための手段であり…同時に彼女の唱えるおまじないはスレッタに様々な重荷を背負わせる「呪い」でもあるわけです。
プロスペラの力を借りて立ち直っている限り、スレッタは本当の意味で自立はできないでしょう。
ただし、プロスペラに依存するスレッタが己の行いを自分で見つめ直せるようになっているところが…唯一彼女に降りかかる呪いを振り払う糸口になるような気がします。
目覚めぬ父親
学園で懸命に頑張っているスレッタに対し、ミオリネは意識不明の重体となったデリングにかいがいしく付き添っているようですね。
医者から「休んだ方がいい」といわれているところを見ると、本当にデリングの傍から離れていないようです。
あれだけ不仲だったのに…ミオリネいい子過ぎる(笑)
そんな彼女ですが、事件以降はスレッタと連絡すら取っていないようですね。
参考人としての聴取が影響しているようですが、どう考えても被害者である彼女が外部との連絡を許されないのは少し不思議な話です。
まぁプロスペラの言動を見る限り、第12話のラストで躊躇なく人の命を奪ったスレッタとどう向き合えばいいかわからないってこともあるんでしょうね。
でも、スレッタに人の命を奪わせたとプロスペラに批判的だったところを見ると、ミオリネはまだスレッタを見捨てていないことがわかりますね。
むしろ、純粋で善良な彼女を利用したプロスペラへの怒りを持っている印象です。
そしてラストのプロスペラとのやり取り…。
後述しますが、どうやらミオリネはデリングに続く道を選ぶような気がしますね。
敵はアーシアン
さて、総帥のデリングが意識不明になったうえに、御三家の一人であるヴィムが命を落としたことにより、ベネリット・グループにも変化が生じました。
グラスレー社のサリウスがデリングの代理のような形でトップとなり、ヴィムの後釜にはグエルの弟であるラウダが着任しています。
しかしフォルドの夜明けがジェターク社製のMSであるデスルターを使用していたことから、ジェターク社は微妙な立場に。
おまけにサリウスは、恐らくシャディクを利用してデリングの命を狙ったことを誤魔化すためかフォルドの夜明け、ひいてはアーシアンを敵にするような言動をしていました。
つまりプラント・クエタ襲撃事件によってアーシアンVSスペーシアン、ひいては地球VS宇宙という構図ができあがってしまったわけです。
これまで『水星の魔女』で起こった様々な出来事は、ヴァナディース機関壊滅を除いてベネリット・グループという一企業グループの内紛の域を出ないものでした。
しかし、ここにきて世界そのものを巻き込んだ戦いが萌芽しつつあることがわかります。
オープンキャンパスの陰
今回のエピソードは前半部でプラント・クエタ襲撃事件のその後を描きつつ、後半部は新たな展開が起こっていました。
ここではそれぞれのシークエンスを掘り下げていきます。
時期外れの編入生
恐らく視聴者が一番驚いたのはプラント・クエタ襲撃事件の主犯であり、新たに登場したガンダムを駆る魔女であるソフィとノレアが編入してきたことでしょう。
アーシアンである彼女達はあっさり地球寮に入りこんでしまいますが、早速ファラクトを調査+あわよくば破壊しようとするだけでなく、それを制止したニカやスレッタの命を奪おうとします。
潜入しているわりには結構行動が大胆だな…(笑)
わりと後先考えていないんですかね。
いずれにせよ、この2人、現時点で結構謎に包まれている人物です。
そもそも2人が利用しているガンダム(ルブリスウルとルブリスソーン)は、プロスペラも出自を知らない模様。
『PROLOGUE』に登場したガンダムルブリスと同じ名前を冠しているのに、ヴァナディース機関にいたエルノラ=プロスペラが知らないことはいささか奇妙です。
これまでのパターンを踏まえるなら、ベルメリアのようなヴァナディース機関の生き残りが地球で作成した…という流れになるでしょうけど…。
そうなるとGUND技術ちょっと流出しすぎじゃないかとも感じちゃいますが(笑)
あと、個人的に気になる点としてはソフィがスレッタを「お姉ちゃん」と呼んでいること。
若干勘繰るとしたら、スレッタに「きょうだい」がいるということは第5話でのアリヤの占いで示唆されていたんですよね。
この時はてっきりエランなどを指す言葉だと思っていましたが(字幕表記が「兄弟」だったこともあり)、今回のエピソードを見ていると、実はこのソフィ(あるいはノレアも)を指す可能性も出てきます。
もし「きょうだい」と「お姉ちゃん」が同じ意味合いを持つものだとしたら、個人的にあり得る説は2つ。
1つはシンプルにスレッタが魔女の先輩だから「お姉ちゃん」と呼んでいる説。
もう1つが巷で流れている仮説であり、第4話の記事以降で検証しているクローン説です。
現状、今作でガンダムに乗っている人間は強化人士だったり、クローンじゃないかと噂されているスレッタであったりと、普通のパイロットは一人もいません。
だったら普通に考えてソフィやノレアも強化人士…あるいはガンダムのパイロットにするために生み出されたクローン(あるいはデザイナーベビー)である可能性はあってもおかしくないんですよね。
ソフィがぬいぐるみを家族に見立てているのも、「本物の家族がいない」という状況から生じている行為とも考えられますし。
うーん、でも、まだ仮説の域は出ない(笑)
ソフィとノレアがスペーシアンのせいで家族を喪い、孤児になったという筋書きも普通にあり得ますし、彼女達のスペーシアンへの敵意って「普通のアーシアン」だったからこそ醸成された印象があるんですよねぇ…。
この辺りはフォルドの夜明けの正体とも関わりそうなので、もう少し追っていきたいと思います。
持たざる者達
さて、さきほどはソフィとノレアの外縁的な部分に触れましたが、ここでは内面的な部分に触れましょう。
まずはさきほども触れたソフィが持つぬいぐるみから。
彼女が持っているぬいぐるみですが、いずれもボロボロな状態にも関わらず、わざわざ学園にまで持ち込むほど大切にしていることが窺えます。
物持ちがいいともいえますが、ソフィの新しいものが手に入らないほど困窮している状況+家族に見立てるほどの「家族」という概念にこだわっている印象ですね。
ただ、途中でハロを仲間に加えていたり、破れて綿が飛び出たきりんのぬいぐるみ(お母さんに該当?)が落ちていたりと、ソフィの心情の変化を示すためにも使われているみたいです。
単純に考えるとハロ=スレッタ=お姉ちゃんが家族に加わって、きりん=お母さんが蹴落とされた…って感じですけど、この場合ソフィのお母さんに該当する人物は誰だろうか…?
後半の展開を踏まえるとニカっぽい感じもしますけど、彼女はお母さんって感じじゃないしなぁ(母性を感じさせるキャラではありますが)。
この辺りは正直上手く掴みきれていない(笑)
まぁ、単純にソフィがこれまでの「家族」よりお姉ちゃんをあっさり優先しちゃうくらい、刹那的で無軌道な性格であることを示唆している可能性もあるかもしれません。
もしかしたらソフィにとって家族は「後からいくらでも切り替えられるもの」に過ぎないかもしれませんね。
一方、個人的に注目したのがノレアの言動です。
ノレアは5号とのやり取りで、循環されたきれいな空気・鮮やかな空・みずみずしい緑・楽しげな笑顔に「反吐が出る」と言い放っていました。
最終話でもノレアは「地球を汚した」としてスペーシアンを批判する一面を見せていましたが、彼女の言動から、作中の地球は空気も空も緑も笑顔もほとんどない世界になり果ててしまっていることが窺えます。
ノレアやソフィがいたフォルドの夜明けのアジトは廃墟とはいえ、どこかきれいな感じでしたが、デモをしているアーシアンの場面はひどい状況でしたからね…。
それに、ノレアが描いていた絵がいずれも生物の骸ばかりで、彼女がどんな環境で育ってきたかを示唆しています。
ただ、個人的に面白かったのが「地球人がコロニーの環境をうらやむ」という点です。
「汚れた地球」という描写自体は遡れば『Z』から描かれているモチーフですが、地球人がコロニーをうらやむという構図は『ガンダム』シリーズではあまりなかったんじゃないかな…。
最新作の『閃光のハサウェイ』が顕著ですけど、それまでの宇宙世紀において地球はむしろ高所得者層の住む場所でしたからね。
そしてコロニーに住むスペースノイドは棄民政策の犠牲者であり、人が生きられない環境で水や空気を自分達で必死に生み出さなきゃいけない。
この辺りは『クロスボーンガンダム』でよく描かれていますが、環境面で考えると水も空気も当たり前に溢れている地球はむしろ楽園なんですよね。
だから宇宙人が地球人より上位に置かれていた『∀ガンダム』や『Gのレコンギスタ』でも地球は帰るべき場所として特別扱いされていました。
そんな従来のシリーズの構図を『水星の魔女』は見事に逆転させているんですよね。
この点は個人的にもっと注目したいポイントです。
連絡役の苦悩
ある意味、今回のエピソードで一番大変そうだったのがニカです。
第7話時点からシャディクと関係性が示唆されており、第10話ではフォルドの夜明けの関係者であることが明かされましたが、プラント・クエタ襲撃事件が起こった挙句、マルタンに疑念をかけられるきっかけを作ってしまいます。
どうやらマルタンは全て把握しているわけではないうえに、ニカの事情を伏せてくれていますが…。
よりにもよってソフィとノレアが来ちゃいましたからね。
思いっきり荒事をやろうとしている2人を止めようとしたら命を狙われ…ニカの気苦労がヤバいことになっています(笑)
ニカの地球と宇宙の架け橋になることという夢はなかなか叶いそうもない…。
というか、ニカはソフィやノレアと同じようにシャディクの手引きで学園に入学していたんですね。
ということは、彼女は入学時点からシャディクの仲間というわけだったのか…。
だとしたら、シャディクは早い段階からフォルドの夜明けを巻き込んで動いていたということがわかります。
シャディク・ゼネリの謀
シーズン1の終盤から怪しい動きを見せていたシャディクでしたが、プラント・クエタ襲撃事件以降も相変わらず暗躍していますね。
それも利用したフォルドの夜明けの存在を隠そうともしていなかったり(ガンダムについては流石にとぼけていましたが)、後継者レースから脱落しても平然としていたり、サリウスを巻き込むためにソフィとノレアを呼んだりと…今回だけでも怪しいポイントが盛りだくさんです。
第10話の時点で個人的にシャディクの目的を掘り下げていましたが、ちょっと近い感じかな…。
今回の状況とすり合わせるなら、シャディクの目的は革命…それも上流階級の一掃による格差の転倒を、戦争によって起こそうとしている感じがします。
つまり、シャディクにとってプラント・クエタ襲撃においてデリングと同じくらい重要だったのは、アーシアンがスペーシアンを攻撃したという事実であり、同時に事件を引き金に地球VS宇宙という構図で戦争を引き起こすことではないでしょうか。
だとしたら、アーシアンであるソフィとノレアを学園に呼んだ理由もそれとなく察しがつきます。
でも、彼にとってアーシアンが利用する駒の一つに過ぎないのか、それともアーシアンを含めて全ての下層階級の人間のために戦っているかは、まだよくわからない…。
ただし、今回のエピソードでシャディクが下手したらラスボスになるくらい危険なことを企んでいる可能性は垣間見た気がします。
戦争のない世界へ
さて、ここではラストで流れたミオリネとプロスペラのやり取りを見ていきましょう。
まぁクワイエット・ゼロの全貌は今後ゆっくり掘り下げるとして、まずは現段階でわかっていることについて考えてみましょう。
ガンダムの力で
クワイエット・ゼロについては第11話の記事でも触れましたが…一応、半分は予想が当たったのかな(笑)
個人的にデリングの発言からクワイエット・ゼロは彼がいずれ誰かに主導権を託す計画ではないかと思っており、その候補としてミオリネを挙げていました。
そして今回、一応その展開にはなったわけです。
ただ、同じ記事でも予想していたように、デリングが意識不明になったことで案の定プロスペラが主導権を握っちゃったうえに、彼女がミオリネに引き継がせるという展開ではありますが…まぁ誤差の範囲でしょう(笑)
クワイエット・ゼロの全貌についてはまだ不明ですが、最後のシーンで映し出された巨大な機械が大きく関係しているようですね。
コロニーレーザーの中身みたいな外見ですけど、巨大なコンピューターのようにも見えるし…一体なんなんだろ(笑)
現状わかっている範囲でいうと、クワイエット・ゼロはGUNDフォーマットのネットワークを利用して戦争のない世界に書き換えるプロジェクトとのこと。
つまりガンダムの力を得て初めて成立するプロジェクトということです。
だからこそデリングはプロスペラと結託していたわけですね。
第6話でベルメリアがプロスペラに「エアリアルは1人で作ったものじゃない」と指摘していましたが…それがデリングだったということか。
というか、ここまでくるとスレッタの入学やプロスペラへの尋問も全て計画の範囲内だった可能性すら出てくるな…。
あと、第7話の時点で予想していたこともあながち間違いではないかもしれません。
デリングがいずれクワイエット・ゼロをミオリネに託すつもりだった場合、それはガンダム(GUND技術そのもの)をミオリネに託すことと同義になります。
だからこそデリングはGUND技術を医療のための技術として活用する道を選んだミオリネを見て、株式会社ガンダムを認めたのでしょう。
…ところで、プロスペラが言っていた「GUNDフォーマットのネットワーク」って何でしょうね。
なんか、個人的にイメージしてしまうのは第6話の記事以降、ちょいちょい書いていた過去作におけるサイコフレームなんですが…。
普通に考えたら第11話の記事でも書いた『ヨルムンガンド』のヨルムンガンド計画みたいなものなんですが、これまでの描写を見ていると『UC』や『NT』のような魂の定着という路線もあり得るんだよなぁ…。
つまり「GUNDフォーマットのネットワーク」とは人の魂(意識?)が接続されたもの…みたいな。
というか、放送開始の直前のタイミングであえて『NT』を放送したのは、GUND技術のモチーフはサイコフレームだと示唆する伏線じゃないかと想っちゃうんだよな(笑)
平和のためなら
個人的に面白かったのは「戦争をなくす」ためのプロジェクトをミオリネが引き継いだという構図です。
そもそもミオリネは、第8話でガンダムを兵器として売り出すと平然と言っていましたが、人が人の命を奪い、破壊の限りを尽くす状況の当事者になったことで、彼女の心境に変化が生じたことは想像に難くありません。
そして何よりもスレッタの変化を目の当たりにしている。
今の彼女にとって、自分を守るためとはいえスレッタが人の命を奪い続けるような状況は避けたいでしょう。
だとしたら、「戦争のない世界に書き換える」というクワイエット・ゼロを積極的に実践しようとする可能性は高そうです。
また、デリングが戦争に対して彼が真剣に向き合ってことは『PROLOGUE』でも明らかであり、彼が戦争のない世界を目指していることは不思議ではありません。
そしてミオリネがスレッタの人の命を奪う様を見て反戦に傾くとしたら…本当にこの2人は父娘なんだと思いますね。
ただ、こうなると不思議なのはエルノラ・サマヤことプロスペラの「取り分」ですね。
彼女が復讐を目的としていることは『ゆりかごの星』でも示唆されていましたが、それだとプロスペラがクワイエット・ゼロに加担する理由がよくわからない。
そもそも復讐の相手であるデリングと結託している時点でも驚きですが、クワイエット・ゼロを達成しても、ベネリット・グループの兵器関連の売り上げが大幅に落ちる程度の影響しかなさそうなんだよな…。
こうなると可能性として挙げられるのは2つ。
1つはプロスペラがやはり復讐を目的としている可能性。
この場合、彼女がクワイエット・ゼロに関する何かを使ってベネリット・グループを崩壊、ないしはデリングやミオリネを絶望の底に叩き込むような事態を引き起こそうとしているという筋書きになりそうです。
まぁこれまでの描写を考えるとこれが妥当なんですが、あえてもう1つの可能性も語ってみましょう。
それは、プロスペラが復讐をやめて純粋に世界平和のために動いているという可能性。
正直、ここまで腹黒い立ち回りをしておきながら、これはないだろうとは思いますが(笑)
でも、彼女がデリングと結託できている理由は説明できるんですよね(笑)
なぜならすでに和解しているから。
そしてスレッタに復讐をけしかけるような発言をしていない理由も簡単です。
なぜならすでに復讐をやめているから。
ガンダムを表に出すという周囲からメチャクチャ警戒されるような立ち回りをあえてしている理由も簡単です。
なぜならガンダムを表に出す以上誰かが矢面に立たなければならないから(ガンダムを潰した経緯があるデリングには難しい)。
ミオリネに対して悪役のように振る舞うのも、デリングという前例がありますし、何よりデリングがミオリネにガンダムを含めてクワイエット・ゼロを引き継がせることが目的なら、プロスペラは彼の目的を律義に実行していることになる。
スレッタに対して人の命を奪う道を選ばせるのも、ガンダムに乗る以上必要な通過儀礼だからともいえます。
もしプロスペラがこのようなキャラクターだった場合、彼女の取り分は「世界平和のためにガンダムを使うことで、ヴァナディース機関が受けた汚名を雪ぐ」という感じになるんでしょうかね。
…とまぁ、長々と書きましたが、正直この路線の可能性はあんまないと思っています(笑)
それよりも、個人的に面白かったのが、ミオリネがクワイエット・ゼロを引き継いだことでシャディクと対立する構図になるという点ですね。
片やデリングから戦争のない世界に書き換えるプロジェクトを託され、片や地球と宇宙が戦争するような状況を作り出す。
厳密にいうと「プロスペラVSシャディク」のような状況になっていますが、これが今後どのような展開をもたらすのか…注目です。
『水星の魔女』第13話感想
これまでの描写の回収もしていたら、ちょっと長くなっちゃいましたね…。
キーボードを打つ指が痛い(笑)
シーズン2のスタートとしてはいささか大人しい仕上がりでしたが、個人的にはいろんな情報を得られて楽しいエピソードでした。
予想もちょっと当たったしね!
少なくともかすってはいたね!(笑)
何はともあれ、次回はソフィやノレアとの決闘のようです。
オープンキャンパス最終日のランブルリングで行われそうな予感もしますが…一体どうなることやら。
ところで、第12話で一番悲惨な目にあったグエルは元気なんでしょうかね。
OP見る限り、戦場から離れてその辺でこっそりメカニックとかやってそうな感じですが…。
そのあたりも含めて、次回も楽しみにしましょう。
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コメント
こんにちは。いつも楽しく感想を見ています。
gatoさんは今回から新しくなったEDを見てどう思いましたか?
スレッタを刺すエアリアル
5人?いるスレッタ
と明らかに彼女の正体を示唆する場面ばかりでしたが、どうでしょうか?
ジョセフさんコメントありがとうございます!
>gatoさんは今回から新しくなったEDを見てどう思いましたか?
この手の謎解きは得意じゃないんですが…できる限りやってみますね(笑)
>スレッタを刺すエアリアル
これまで「家族」として扱われていたエアリアルが「呪い」となる場面を指しているのではないかと感じました。
第10話でスレッタとエアリアルが強く同調した際、エアリアルが青い光を放っていましたが、そもそも今作におけるガンダムはパーメットの逆流の描写に代表されるように、赤い光を強調する演出が多いです。
青い光はエアリアルとスレッタが強調している印象を演出していますが、赤い光は『PROLOGUE』の時点からガンダムがパイロットを蝕むような印象を与えてくるものです。
これを踏まえると、EDでのエアリアルは赤い輪郭で描かれており、容赦なくスレッタを刺すなど、これまでのような「家族」としての面影はありません。
むしろスレッタ自身を脅かす「呪い」の一面を、今後は見せていくという暗示ではないでしょうかね。
ただし、この「呪い」は必ずしもスレッタにネガティブなものを与えるだけのものではないのでしょう。
実際、EDではエアリアルに刺されたスレッタが大人びたドレス姿になり、ビットを操るような仕草を見せていました。
これは呪いを受け入れた彼女が大人として成長し、さらに力を拡張させていくことを暗示していると思いました。
つまり、「呪い」はエアリアルを脅かすと同時に、彼女が大人になるための通過儀礼のようなものなのではないでしょうか。
同時にこれは、これまで頼っていたエアリアルと、本当の意味で向かい合わなければならないスレッタの運命を示唆しているのかもしれません。
>5人?いるスレッタ
正直このシーンはちょっと解釈を定まっていないのですが…。
さきほども触れた呪いを示す「赤」を踏まえると、エアリアルに刺され、ビットを操り、5人に分裂するスレッタはいずれも赤色で描かれていました。
その直前にパーメットリンク特有の紋様が彼女の体に表れていたことを踏まえると、これはスレッタが「呪い」の只中で戦い、もがいている様を暗示している印象です。
他方で、ビットを操る際に協調を意味する青も度々現れる点から、スレッタとエアリアルの関係が「呪い」と「家族」の間で変動しているとも捉えられます。
いうなれば、スレッタがエアリアルを敵か味方、どちらとして扱えばいいか迷っている感じでしょうか。
つまり、彼女が5人に分裂するような描写はエアリアルと向き合う過程で揺れ動く彼女を示しているのではないかと思います。
それだけでなく、幼少期から共に過ごしてきたエアリアルという半身を奪われる可能性を示している気もします。
>と明らかに彼女の正体を示唆する場面ばかりでしたが、どうでしょうか?
うーん、ここまで書いてきたように、僕としてはEDはスレッタの正体を示唆しているというより、スレッタとエアリアルとミオリネの今後を示唆するシーンがメインで描かれている印象でしたね。
もちろん、スレッタを複数描くことでエリクトのクローンを示している可能性もあるでしょうけど、だとしてもミオリネの存在が大きく描かれ過ぎているような…。
個人的にスレッタの正体を示唆する描き方をするなら、エアリアルだけでなくプロスペラを出してくる印象がありますし、それこそエリクトやナディム、ヴァナディース機関なども描く気がします。
とまぁ、こんな感じでしょうか。
尤も、僕が色々見落としている可能性もあるので、ほかにご意見があれば頂戴できれば幸いです!
成程、ミオリネとの関係を表しているということを考えていませんでした。
素晴らしい意見をありがとうございます!
ジョセフさんコメントありがとうございます!
あくまで一意見ですので、もしご自身の解釈があったらぜひお聞かせください!