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水星の魔女15話(2期3話)感想・考察・解説!オルコットはスペーシアン?【機動戦士ガンダム】

皆々様こんにちは。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女(以下『水星の魔女』)』担当のgatoです。

前回はシャディクの差し金により、学園内でソフィとノレアが大暴れ。

その過程でエアリアルの正体が示唆された挙句、暴走の果てにソフィが命を落とします。

さらにニカの出自が露見したために、地球寮の面々はプラント管理局ににらまれることに…。

急展開だらけからの第15話、どうなったのかじっくり掘り下げましょう。

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アーシアンは許さない

『水星の魔女』、シーシア

© 創通・サンライズ・MBS

今回のエピソードは、これまであまり語られなかった地球がピックアップされていました。

奪われ続けた者達

『水星の魔女』、フィリップ

© 創通・サンライズ・MBS

シーズン1では断片的に語られていた地球ですが、今回はようやく地球の様子がていねいに描かれていました。

これまでの廃墟ばかり移されていた地球ですが、その実態は…想像通りとはいえ強烈でしたね。

都市が丸々荒廃しており、人々は野営して少ない物資を分け合って生活していました。

この状況を招いている戦争シェアリングについてはこの後触れますが、現状を見ている限りスペーシアンは完全に困窮しているアーシアンを放置していることがわかりますね。

フォルドの夜明けのような武装組織を受け入れたのは同胞への善意もありつつも、実際はそんな組織に頼らないと秩序を保てないレベルにまで疲弊しているのかもしれません。

夜明けはまだ

『水星の魔女』、ナジとオルコット

© 創通・サンライズ・MBS

今回はオルコットを中心に、フォルドの夜明けの面々が描かれました。

シーズン1ではソフィとノレアの暴れっぷりばかりがクローズアップされていましたが、このエピソードで登場したフィリップやベッシ達は…なんていうか、普通の人々でした。

家族を愛し、子ども達(恐らく戦争孤児)をかわいがり、仲間同士で軽口をたたき合う…。

撤退する時にも自分達を受け入れた難民を優先的に移送するなど、彼らが完全に非人道的な集団ではないことが窺えます。

それに、感情的になって暴れていたソフィやノレアもそうですが、今回登場したフィリップやジャリルも気が逸って独断行動に出るなど、彼らの練度は高くないことがわかります。

つまり彼らは寄せ集めに過ぎず…ただアーシアンの現状を打破するために、終わりの見えない戦いに身を投じているのでしょうね。

裏切の末路

『水星の魔女』、ニカ

© 創通・サンライズ・MBS

さて、フォルドの夜明けに関わっていたばかりに、悲惨な目にあっているニカ…。

今回はソフィを喪い、怒り心頭のノレアにボッコボコにされていましたね。

フォルドの夜明けであることを差し引いても、今回の描写や、第4話の記事でも触れたデモのように、アーシアンの世論は反スペーシアンが大半を占めている印象があります。

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他方で、ノレアとサビーナのやり取りから、ノレアも決して安泰というわけでなく、むしろ行く末をサビーナ達(ひいてはシャディク)に握られている状況でもあることが窺えます。

というか、現状としてはシャディク達にフォルドの夜明けが完全に利用されている感じもしますね。

ベネリットグループに強襲を受けているフォルドの夜明けを放置していることを踏まえても、シャディクにとって、すでにフォルドの夜明けは用済みになっているのかな…。

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シャディクが描く未来

『水星の魔女』、シャディク

© 創通・サンライズ・MBS

前回の後半で養父のサリウスを誘拐したシャディク。

今回は彼の野望の一端が明かされます。

戦争シェアリング

『水星の魔女』、サリウス

© 創通・サンライズ・MBS

これまでもシャディクは不穏な動きを見せていましたが、今回はサリウスとの会話で彼の目的の一部が明かされました。

それは戦争シェアリングを破壊すること。

今回語られた戦争シェアリングですが、一旦どういうものか整理してみましょう。

きっかけを作ったのはデリングのようですが、どうやら企業(スペーシアン)が地球を舞台に代理戦争を行わせ、利益を生み出すシステムのようです。

恐らく、戦争シェアリングは軍事特需を常時生み出し、MSなど兵器を生産するベネリットグループをはじめとする企業が宇宙開発を実施するための利益を得るためのものでしょう。

…つまりは、金を稼ぐためだけに戦争をしているというわけですね。

過去に押井守が映画化した『スカイ・クロラ』シリーズでも同じような設定が出てきますが、『水星の魔女』の方は地球を丸ごと巻き込んで金稼ぎに利用しているところが胸くそですね…。

第8話の記事でも触れた、ヌーノが指した「戦争孤児はごまんといる」という状況の元凶はこれでしょうね。

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第4話での反スペーシアンデモにあった「スペーシアンの資本主義」はこの状況を指して非難している可能性もあるのかな…。

いずれにせよ、地球を金儲けのために丸ごと戦争に巻き込み、大勢の犠牲を生み出すやり方は、ノレアのような反スペーシアンを生み出しても仕方ありません。

他方で、詳細は後述しますが、この戦争シェアリングは単純な金稼ぎに限らない、別の一面があったようで…。

望むは力

『水星の魔女』、シャディクとサリウス

© 創通・サンライズ・MBS

シャディクは戦争シェアリングを破壊するために選んだ方法は、ベネリットグループの資産を地球に売り、新たに「抑止力」という経済を生み出すことでした。

…なるほど、これで第13話の記事で展開したシャディクへの推測が線になりましたね。

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皆々様こんにちは…というか、お久しぶりです。 『機動戦士ガンダム 水星の魔女(以下『水星の魔女』)』担当のgatoです...

以前僕は、シャディクの目的は「地球VS宇宙の戦争」ではないかと推測しましたが、シャディクは戦争そのものではなく、「いつ戦争が起こるかわからない緊張状態」を生み出すことで新たなビジネスが生まれる余地を作り上げようとしているわけです。

個人的に、このシャディクの目的には2つの側面があると感じました。

1つ目の側面は「地球の救済」

シャディクがこの目的を持った経緯はまだ明かされていませんが、サリウスのセリフから彼がアーシアンのハーフであり、また抑止力を持たせることで戦争で荒廃する地球の状況を変えようとしていることが窺えます。

つまりシャディクは抑止力を与えることにより、地球で戦争が起こらないようにしたいわけです。

ここには地球だけでなく、恐らく彼自身の人生もメチャクチャにした戦争シェアリングに対する怒りを感じさせますね。

第9話の記事で触れたように、シャディクは現実主義的・結果主義的な一面があるように感じていましたが、意外とシャディクは地球を想うアーシアンらしい感情で行動しているように感じられましたね。

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皆々様こんにちは。 『機動戦士ガンダム 水星の魔女(以下『水星の魔女』)』担当のgatoです。 前回はミオリネ達...

他方で、2つ目の側面を踏まえると、シャディクの危うさが伝わってきます。

シャディクの目的は抑止力を持たせて地球を守る効果をもたらし得る一方、戦争が起こるリスク自体は放置するものです。

いっていまえば、シャディクは戦争自体は一切否定しておらず、むしろ戦争のメカニズムを利用しようとすらしているんですよね。

個人的にこの辺りはスペースノイドとアースノイドの対立を放置し、逆に地球の緩慢な破滅に利用しようとした『UC』のフル・フロンタルに近いものを感じます。

「恨みで腹は満たせない」と語っていたシャディクですが、彼の目的はスペーシアンとアーシアンの互いの憎しみを利用しているものに他なりません。

「撃つべき相手」を想定するからこそ兵器は、そして抑止力は生まれるわけですからね。

そして戦争をビジネスに利用するという構図自体は形を変えど残存している。

個人的にシャディクは「既存の社会構造の転倒」を目的にしていると予想していましたが…彼の目的は「アーシアンがスペーシアンにやり返せるうえに金儲けもできる」状況を作るだけで、作中の社会に根付いた戦争そのものを排除するものではないと感じられますね。

まぁ、地球で戦いが起こらなくなるうえに復興が進む可能性が高まるだけでも、シャディクの目的には価値があるといえますが…。

ところで、今回のエピソードは思いがけない形で第13話の記事で語った予想に近づくことになりました。

ミオリネやプロスペラは「戦争が起こらない世界に書き換える」ためにクワイエット・ゼロを引き継ごうとしているのに対し、シャディクは「戦争が起きてもいいように力を得る」道を選んでいます。

両者の道は目的は似ていてもかなりすれ違っており、そして両者共に世界を揺るがす位置にまで歩を進めている…。

となれば、必然的にミオリネ+プロスペラVSシャディクの構図になりそうですね…。

かつての幼馴染と敵対するミオリネがどうするのか、スレッタがこの構図にどう関わるのかには注目です。

ところで、今作に出てくるスペーシアンは大抵アーシアンを見下していますが、サリウスはシャディクがアーシアンのハーフ(なんなら紛争エリア=地球出身)と知りながらも養子にしているようですね。

わりと冷徹なサリウスですが、意外とアーシアンへの差別意識はそこまで強くないのかもしれません。

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何もできないドミニコス

『水星の魔女』、ケナンジ

© 創通・サンライズ・MBS

ここではちょいちょいケナンジやラジャンについて触れてみましょう。

今回のフォルドの夜明け絡みの騒動はカテドラルやドミニコス隊の耳にも入っていますが、彼らが前線に立っている様子はありません。

完全にベネリットグループが主導権を握っていることが窺えますね。

そもそも作中の世界は宇宙議会連合の人間がスパイ紛いのことをやっていたりと、企業が世界を左右するだけの力を持っていました。

事実、シャディクの目的も企業が作り上げた利権構造を破壊することに重点が置かれています。

つまり今回の描写が元軍人であるデリングの肝いりで作り、公的な軍としての側面も持ちうるカテドラルが後回しにされるほど企業の力が強いことが示唆されています。

そして同時にカテドラルの創始者であるデリングが意識不明になったことで、生粋の企業人である御三家(厳密にはサリウスとニューゲン達)が台頭していることも感じられますね。

ドミニコス隊が下げられているところを見ると、デリングのベネリットグループへの影響力が確実に低下していることが窺えます。

いうなれば、地球VS宇宙の構図を止めるブレーキが現段階では機能していない。

となれば…クワイエット・ゼロを引き継いだミオリネが重要になってきますね。

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地球のグエル

『水星の魔女』、朝のグエル

© 創通・サンライズ・MBS

ここまで消息不明で安否が心配されていたグエルですが…ここにきてやっと登場です。

そして今回は、そんなグエルに大きな影響を与えるであろう人物、オルコットもピックアップされていました。

父さん

『水星の魔女』、グエルとシーシア

© 創通・サンライズ・MBS

大方の予想通り、ヴィムをその手にかけたことから、グエルはすっかり憔悴しきっていました。

冒頭で「3日食べ物を口にしていない」と語られるなど、完全に鬱になっていることがわかります。

シーズン1では横暴さが際立っていたヴィムですが、今わの際で行方不明になったグエルを心配していたことを吐露するなど、グエルとヴィムは色々ありながらも、互いに親子としての情はちゃんと持っていました。

第3話の記事でも触れましたが、グエルは結果を優先するヴィムに反発する一方、父に認められたいという想いを秘めていました。

水星の魔女3話感想・考察・解説!スレッタはプロスペラの目的を知らない?【機動戦士ガンダム】
皆々様こんにちは。 『機動戦士ガンダム水星の魔女(以下『水星の魔女』)担当のgatoです。 前回はエアリアルがガ...

そんな彼にとって、ヴィムをその手にかけたことの辛さは…想像に難くありません。

しかし、そんなグエルの経験は、思いもよらない形でシーシアと、そしてオルコットを結びつけることになるわけです。

持ち物はいらない

『水星の魔女』、オルコット

© 創通・サンライズ・MBS

シーズン1ではチョイ役に甘んじていたオルコットですが、今回は彼の活躍が描かれました。

従来の『ガンダム』ファンからしたら、『08小隊』のノリス・パッカードを連想したのではないでしょうか(笑)

そんなオルコットですが、名乗っている名前は偽名であり、本名はリドリック・クルーヘル。

ケナンジとも面識がある、元ドミニコス隊の一員であるとのことです。

となると、彼はスペーシアンである可能性が高そうですね。

そしてケナンジによると、ドミニコス隊の一員として上層部に臆せず自分の正義を貫いた結果、アーシアンに襲われる羽目になった…。

つまり彼は元々アーシアンの敵であり、積極的に攻撃していたことが窺えます。

今回は彼の経歴の一部に触れられただけですが、『PROLOGUE』を踏まえると、彼はヴァナディース機関をはじめとするGUND技術を生み出したアーシアンを弾圧していたのかもしれませんね。

しかし、その結果彼は目の前で息子を喪うことになった…。

それからフォルドの夜明けの一員となるわけですが…。

アーシアンに家族ごと復讐されたということは、オルコットは相当恨みを買っていたと思われますが、ナジとのやり取りを見る限り、フォルドの夜明けでの彼はかなり信頼されていることがわかります。

殿を任されるだけでなく、「考える時間がほしい」という理由で合流しないことをナジが認めていたくらいですからね。

フォルドの夜明けの一員になる経緯は不明ですが、オルコットがアーシアンを攻撃する側から、彼らと共にスペーシアンと戦う側に回って理由は、彼なりに贖罪しようとする意志があるように感じます。

息子を喪ったトラウマがあるのか、オルコットは私物を持ち歩かないなど、徹底して「何も持たない」スタンスを保っています。

また、グエルをいざという時の人質にすると公言し、致命傷を負ったシーシアを見捨てるなど、ドライな一面も見せていました。

しかし、虫の息のシーシアを前にして悲しげな背中を見せたり、ベネリットグループのセキュリティ・フォースとの戦いで仲間を喪う度にさりげなく動揺を見せたり、挙句には息子との最期の別れを思い出し、感情的な声を上げたりと…実際は大切な人間のタヒにちゃんと苦しんでいます。

そしてそんな彼にとって、メンバーの子どもや戦争孤児と関わるフォルドの夜明けは…かつてアーシアンを苦しめ、挙句息子を喪った自分にけじめをつけるうえでも、うってつけの場所だったかもしれませんね。

家族がいた

『水星の魔女』、グエルと墓

© 創通・サンライズ・MBS

グエルを取り巻くエピソードには興味深い共通項がありました。

それはグエル、シーシア、オルコットを筆頭に、いずれも家族がいて、そして家族を喪ったという点です。

思えばグエルは自業自得とはいえ、いち早く自分の立場を喪い、生身で戦場を体感し、肉親を喪っていました。

少なくとも、スペーシアンの中では最も先に「戦争を体感した」キャラクターといえます。

しかし、今回のグエルはヴィムのことを振り切れておらず、事切れたベッシを見て吐くなど、未熟さを見せてはいるものの、致命傷を負ったシーシアを助けるためにMSに乗って奔走していました。

元々考えるより先に行動するタイプではありましたが、グエルはシーシアの「父さん」という言葉をきっかけに彼女を助けていましたね。

残念ながらシーシアは助かりませんでしたが、グエルにとってシーシアを助けることは、彼女に自己投影すると同時に、ヴィムにしてほしかったことを実現する代償行為でもあったといえるでしょう。

また、オルコットがグエルの言葉で息子を連想したことは、彼がグエルと同じ心中だからでしょう。

オルコットはグエルがシーシアを助けた経緯を聞いて、「助ける」との言葉を受けて笑顔を向ける息子を思い出しています。

グエルがシーシアをきっかけに「父とのつながりをなくしたくない」と思ったように、オルコットにとってグエルやシーシアは喪った息子を投影する相手だったのでしょう。

同時に、グエルや仲間達を助けることは、間違いなく彼にとって息子を助けることへの代償行為となり得ます。

父を喪った子と子を喪った父…立場は違えど、今後グエルが成長し、オルコットが過去を払拭するには、互いの存在が必要になるでしょうね。

そして、個人的にこのような形でグエルとオルコットがつながったことは、ある意味希望を示しているようにも感じました。

前回の記事で、シャディク達を指して「みなしご」という表現を使って色々書きました。

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皆々様こんにちは。 『機動戦士ガンダム 水星の魔女(以下『水星の魔女』)』担当のgatoです。 ソフィとノレアが...

これを踏まえると、今回のエピソードはグエルが自分の人生を変える「誰か」…つまりオルコットに出会えたことを描くものといえるかもしれません。

そして喪ったからといって、ただ世界の構造を覆す方向に行くのでなく、喪った者同士だからこそ手を取り合い、わかり合う…。

そんな本当の平和につながる糸口を、グエルとオルコットは体現しているのかもしれませんね。

父と子と

『水星の魔女』、ミオリネ

© 創通・サンライズ・MBS

さて、今回のエピソードを総括しましょう。

今回のエピソードはタイトルにあるように、父を喪ったグエルとシーシア、そして子を喪ったオルコットを主軸にしていますが、実は全てのシークエンスで「父と子」の関係性がさりげなく投下されています。

わかりやすいものがシャディクとサリウス、そしてミオリネとデリングです。

まぁシャディクとサリウスは対立関係が露わになるくらいしか進展がなかったですが…重要なのがミオリネとデリングです。

今回はラジャンから、デリングがミオリネを賭けて決闘をさせていた理由が語られました。

力のある人間に嫁がせればミオリネは安全になる…これは12話の記事で予想した通りでしたが(笑)

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皆々様明けましておめでとうございます。 『機動戦士ガンダム水星の魔女(以下『水星の魔女』)』担当のgatoです。 ...

そしてデリングが陰ながら平和に尽力していたことがラジャンの口から語られていました。

デリングは兵器に決定権を委ねずに人間性の回帰を果たすために、そして平和を実現するためにガンダム狩りや戦争シェアリングを行っていたとのことでした。

この「兵器に決定権を委ねずに人間性の回帰を果たす」はちょっとわかりにくいですが、個人的に核抑止力を考えるとわかりやすい印象があります。

戦争を起こすか起こさないか、人の命を奪うか奪わないかは人間が自分の意志で決めなければならないのに、いつの間にか核開発それ自体がそれらを左右する状況になっている。

その結果、核を作るかどうかばかりがピックアップされ、肝心の「戦争」や「人の命を奪うこと」への議論がいつの間にか引っ込んでしまう。

おまけにスイッチ一つで戦争に決着がつくようになってしまうことで、罪の所在が曖昧になる。

本当に戦争をやめたいのなら、核を持つ持たないばかりに終始するではなく、戦争や人の命を奪うことそのものについて議論しなければならないのに。

デリングが『PROLOGUE』で行っていた演説の真意はそこにあるのではないでしょうか。

そしてデリングは信念を成し遂げるために、強硬策に出ました。

正直、このやり方は褒められたものではありません。

実際ラジャンも「敵や反逆が多かった」と語っていましたし、戦争シェアリングは地球を荒廃させ、多大な犠牲を出し、ソフィやノレアをはじめとする多くのアーシアンの怒りを買いました。

しかし、『PROLOGUE』でアーシアンのガンダム開発に地球の軍拡が絡んでいることは作中でも指摘されていましたし、実際ガンダムが有用な兵器だったことを踏まえると、デリングは強硬的に対応せざるを得ない一面もあったでしょう。

そして、デリングはそんな状況でも、たとえ喪おうと妻のクワイエット・ゼロを引き継ぎ、たとえ恨まれようとミオリネが生存する選択をし続けるなど、家族を守る父親としての一面を、決して捨てていませんでした。

デリングがミオリネに対して辛辣に接していたのも、すでに自分が多くの恨みを買っていたからこそ、ミオリネを突き放していたのかもしれませんね。

ところで、今回のエピソードで登場した父子関係はシャディクとサリウスの「誤解と対立」・グエルとオルコットの「喪失と償い」・そしてミオリネとデリングの「和解と継承」の3つがあるように思います。

というか、今作のエピソードに出てくる父と子の関係って基本的に誤解と対立→喪失と償い→和解と継承のサイクルを通っているような気がするな…。

まぁシャディクとサリウスはちょっと違うサイクルですけど(笑)

いずれにせよ、今作は「親子」がテーマとなっているので、今回の父子関係の描き方はかなり重要そうです。

となると、作中で唯一母子関係を保っているスレッタとプロスペラは特別な位置にありそうですね。

まぁ今作における父子関係は対立やすれ違いが必ず根底にありますが、スレッタとプロスペラに関しては「依存と包容」が主軸になっていそうな印象…。

って、これ以上話すと脱線するので、また機会があったら話します(笑)

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『水星の魔女』第15話感想

『水星の魔女』、オルコットの息子

© 創通・サンライズ・MBS

個人的にとても楽しめたエピソードでした。

珍しく男くさいエピソードでしたが、何よりもサブタイトルとエピソードの絡ませ方が美しい。

それにグエルとオルコットという意外な取り合わせも印象的でした。

何より、個人的にガンダムはいかに「戦争」を描くかが重要だと思っていますが、やっとスポットライトを当ててきたことが嬉しいですね。

今回は戦争と資本主義経済をベースにしたものになりそうですが…兵器・親子・地球と宇宙など色々エッセンスが多いので、どうまとめるかが楽しみです。

この調子で2人には立ち直ってほしいものですが…。

ところで、ラストでクワイエット・ゼロのベースにノートレットが研究していた植物の生存戦略があるとのことですが…。

一体どんな感じで絡んでいるんだろ…全然検討がつかない(笑)

何はともあれ、次回も見ごたえがありそうですね。

…また重いエピソードになりそうだけど(笑)

▼水星の魔女の全記事はこちらにまとめてあります!

【機動戦士ガンダム水星の魔女】感想・考察・解説まとめ!前日譚「PROLOGUE」も
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