皆々様こんにちは。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女(以下『水星の魔女』)』担当のgatoです。
前回はスレッタをプロスペラから解放するために、ミオリネはグエルと結託して決闘を敢行。
その決闘でスレッタは敗北を喫し、ホルダーの視覚を、エアリアルを、そしてスレッタを失ってしまいます。
そして今回はそんなスレッタのその後と、総裁選を控えたミオリネの新しい戦いが描かれます。
何があったのか、ゆっくり振り返りましょう。
目次
空っぽな者たち
まずはサブタイトルにあった「空っぽ」という言葉を踏まえて2人のキャラクターを掘り下げてみましょう。
空っぽなスレッタ
「空っぽ」という言葉が一番ハマっていたのは、やはりスレッタでしょう。
ホルダーもエアリアルもミオリネも失った彼女ですが、意外とそこまで落胆しておらず、健気に学園の授業を受けていました。
周囲からも意外がられていましたが、個人的にはちょっと安堵した感じです。
ある意味スレッタが学園生活に打ち込むのは一種の現実逃避と思われる節もありますが、個人的に重視したいのは彼女が何もかもを失った現状においても「やりたいことリスト」を埋めている点です。
スレッタにとってやりたいことリストを埋める行為は、彼女が憧れてやまなかった学園生活=青春を精一杯謳歌することと同義です。
この「やりたいことをやる」という行為を個人的には重視したいところ。
スレッタは第16話でプロスペラの命令なら自分の夢すら諦めるなど、それこそ自分の「やりたいこと」すら後回しにしてしまっていました。
少しいじわるな言い方をするなら、このスレッタの言動はそれだけ自主性=自我が希薄であることを示唆しています。
しかし、何もかもを失った現状で、スレッタはまずやりたいことリストを埋めることを選んだ。
つまりスレッタはミオリネやプロスペラの指示なしで、彼女らの意向を気にするわけでもなく、何よりもまず自分の「やりたいこと」を優先できているわけです。
個人的に今回のスレッタはミオリネやプロスペラに捨てられて、すっかり落胆して自室にこもっている…みたいな展開を想像していましたが、今回の彼女はいい意味で予想を裏切ってくれました。
授業中にかっこよく質問することも、実技演習をクリアすることも、地球寮の友達とランチを一緒にすることも、あまりに健気でありふれたことです。
しかし、生きる指針となっていた人物や自分の力となっていたMSを失ったうえで、スレッタはやりたいことを選べていた。
これはスレッタが誰かに依存しないだけの自立性/自主性が芽生えたと同時に、彼女が誰かの操り人形ではない一個人の「スレッタ・マーキュリー」として歩み出したことを意味しているのでないでしょうか。
他方で、もちろんスレッタはミオリネに捨てられたことを引きずっていたわけで…。
スレッタからしたらミオリネは「悪くない」、「釣り合わない自分が悪い」とのことですが…。
まぁスレッタはミオリネの真意を知らないので、こう思ってしまうのも無理からぬことですよね…。
そんなスレッタですが、後半でミオリネに会いに行く決心をしましたが、そのきっかけを作ったのはチュチュをはじめとする地球寮の面々でした。
スレッタがミオリネに会いに行くのは、あえてプロスペラの教えに沿うなら「進む」ことと同義です。
しかし、今回そのきっかけを作ったのはプロスペラではなく、チュチュ達でした。
いろんなものを与えてくれたプロスペラではなく、与えられたエアリアルを使うわけではなく、スレッタが学園に行って自分で交流したことで手に入れた仲間が背中を押してくれたわけです。
そしてプロスペラの思惑通りとはいえ、スレッタが自分で手に入れたミオリネに会いに行く。
前半部の時点で、スレッタ・マーキュリーが自立する布石はしっかり組み上げられているといえるのではないでしょうか。
空っぽなノレア
スレッタと同じように「空っぽ」だと指摘されていたのは、奇しくも同じ魔女であるノレアでした。
ガンダムに乗る理由を持ちあわせていないために、エランから「アーシアンのためという理由を作っている」と指摘されていましたが、これはなかなか興味深いものですね。
ソフィと比べて過剰なまでにスペーシアンへの憎しみを露わにしているノレアですが、確かに彼女はガンダムへの搭乗で命を落とすことを恐れている節がありました。
5号の指摘通りなら、ノレアはスペーシアンを憎む一方で、そのために使うガンダムには乗りたくないという、相反する感情に板挟みになっていることと捉えられます。
もしかしたらノレアは生きるためにガンダムに乗っているに過ぎず、本当は逃げたがっているのかもしれません。
憎しみを露わにするのは、そうでもしないとガンダムへの恐れを払拭できないから。
もちろん、その憎しみは元々ノレアが持っていたものでしょうけど、ソフィの最期を目の当たりにして以降は、恐れの方が勝っているのかもしれませんね。
この状況は、確かにエアリアルやミオリネを失ったスレッタに近しいものがあります。
つまり生きるための目的と手段を、ノレアもまた同時に失いつつあるということです。
錯綜する思惑
総裁選を控え、ベネリットグループでもさまざまな思惑が巡らされていました。
ここではベネリットグループの動向を見ていきましょう。
新たなるガンダム
既に公式から発表されていたガンダムシュヴァルゼッテですが、なんと生前のヴィムがプロスペラから技術提供を受けて製造したMSということが明かされました。
これでベネリットグループの内、フォルドの夜明けを介してガンダムを所有しているグラスレー社を含めれば、御三家全てがガンダムを所有していることになります。
あれだけ禁止していたにも関わらず、ベネリットグループ全体が総裁選を有利に進めるうえでガンダムを利用していることが窺えますね。
まぁ実質的にプロスペラが意図的にGUND技術をばら撒いているわけですが…ここは後回しにするとして。
第10話の記事でも触れましたが、やはりプロスペラはシャディクが利用していたフォルドの夜明けが所有するガンダムについては詳しく知らないようですね。
尤も、シャディクとフォルドの夜明けが結託していることは見抜いているようですが、わざわざ探りを入れているところを見ると、やはりウルとソーンはファラクトと同じように独自に開発されたものと見るべきでしょう。
他方で、明らかにガンダムを所有しているシャディクが改めてプロスペラに技術提供を求めていたところを見ると、やはり既存のGUND技術とは一線を画すエアリアルの技術を欲しがっていることが窺えます。
地球に抑止力を持たせようとしているシャディクからすれば、確かに他のMSに干渉できるエアリアルは魅力的ですからね…。
また、ベルメリアとゴドイの会話で、プロスペラが新たにガンドノードなる兵器を開発していることが明らかになりました。
ガンヴォルヴァと同じ無人で動くガンビットとのことですが、その効果は「エアリアルのデータストームネットワークを拡張する」とのこと。
どうやらクワイエット・ゼロを実行するうえで重要なもののようですね。
うーん、もしクワイエット・ゼロの効果範囲を広げるために使われるものだとしたら…自立して動くGNドライブみたいなものなのかな…。
踊るプロスペラ
クワイエット・ゼロ成功のために総裁選でミオリネと結託したプロスペラですが…案の定、陰でいろいろ動いています。
ミオリネの知らないところでGUND技術を提供したり、シャディクに接触したりと好き勝手やっているプロスペラですが…彼女の目的や行動をちょっと整理してみましょう。
まず、第8話の記事で触れたように、GUND技術の理念はカルドが謳ったように医療技術の延長線上でにあり、ミオリネが掲げたように「人の命を救う」ためのものです。
しかし、GUND技術をばら撒くだけでなく、ガンダムの開発すら看過するプロスペラの振る舞いは、その理念からは程遠いものといえるでしょう。
エルノラ・サマヤとしてカルドの教えを受けた彼女が、初心を忘れるほど復讐に取りつかれていることが窺えますね。
それでも彼女がGUND技術を兵器に転用できるように供与しているのは、クワイエット・ゼロの実行においてミオリネの総裁着任が欠かせないからでしょう。
だからこそGUND技術を利用した実績作りが必要なわけです。
他方で、プロスペラの行為が復讐の相手であるベネリットグループに利する一面もあります。
GUND技術を提供すればするほど、御三家を中心としたベネリットグループはガンダムの開発に勤しみますし、それだけ戦力が増強される可能性があります。
しかし、それでもプロスペラが平気でGUND技術をばら撒けるのは、クワイエット・ゼロによるものが大きいでしょう。
プロスペラはクワイエット・ゼロによってエリクトを実体化させようとしていますが、ここには別の意味合いがあるようにも感じます。
そもそも作中でエアリアルは何度もオーバーライドを起こし、あらゆる兵器を無力化してきました。
そしてエアリアルはクワイエット・ゼロの中核を担っている。
つまりどれだけベネリットグループがガンダムを生み出そうとしても、クワイエット・ゼロを発動させればいくらでも無力化できる…それどころか支配下における。
「平和な世界に書き換える」クワイエット・ゼロの効果は普及し続けるGUND技術の支配にも応用できるわけです。
プロスペラの最終目的がエリクトの蘇生と幸せに生きる世界の構築だとしたら、クワイエット・ゼロの成功はまさにエリクトの復活と、彼女が幸せに生き得る平和な世界の実現に直結しています。
…ただ、ここからもう一捻りある気がするんだよな~。
全ての兵器を取り上げれば確かにベネリットグループは致命的なダメージを受けますが、恩師や仲間の命の贖いとしては、少し優し過ぎる気がするんですよねぇ…。
それに、プロスペラ自身はあくまでGUND技術を医療技術にすることにこだわるミオリネの意向を否定していませんし、何より終盤の描写も気になるところ。
この辺りは最後のタームで掘り下げたいと思います。
出番はまだ先
あまり目立った動きはありませんでしたが、今回はペイル社の独特な評価システムが明らかになりました。
5号がいうには、ペイル社はAIを使った独自の評価システムを採用しており、エラン・ケレスはその流れで御曹司として選出されたとのこと。
ここでペイル社とジェターク社・グラスレー社との違いが明確になっていますね。
ジェターク社も、グラスレー社も(ある意味ではデリングも)血縁・婚姻関係・親子関係を重視して後継ぎを決めていますが、ペイル社は純粋な実力主義であり、ある意味家族的な関係性を重視していないという点です。
第2話の記事からペイル社の特異性は指摘してきましたが、ここで答えが出てきましたね。
個人的にはデザイナーチルドレンをばんばん作っているイメージでしたが(笑)
ただ、御三家で唯一家族的な枠組みを持っていないペイル社が、「家族」や「親子」を人間関係にしっかり織り込んでくる今作でどのように絡んでくるか見ものですね。
ところで、5号の奴…いくらなんでもペラペラしゃべりすぎでは(笑)
ついに強化人士についても触れてきたか…どこでスレッタの耳に入るのかに注目ですね…。
というか、5号も5号で「生き残る」以外の目的を有していない、ある意味空っぽな存在ではあるんですよね。
彼は彼でノレアと自分を重ねている節がありましたが…。
なんだかんだで生き残りそうなんだよな(笑)
それこそオリジナルと成り代わろうとする展開とかありそう(笑)
懺悔の陰で
ベネリットグループ内の出来事ではありませんが、今回はマルタンがピックアップされる場面がありました。
これまでも示唆されていましたが、ニカの経歴をリークしたのはマルタンだったわけです。
とはいえ、マルタンの行いは非難しにくいでしょう。
ただでさえアーシアンは立場が悪いのに、フォルドの夜明けと関係がある人間が在籍しているとなれば、もっとひどい目にあう可能性がありました。
地球寮の寮長として、仲間を守るうえでの苦渋の決断でしょう。
しかし罪悪感には勝てず、懺悔室のようなところで懺悔していると…。
ここでまさかのセセリア登場です。
悪そうな笑顔でマルタンの懺悔を聞いていたセセリアですが…ここに来て一体何をしようというのか…。
ミオリネとグエルの婚約が成立した以上、もう決闘委員会の出番はないはずですが、ここに来てセセリアとロウジが物語の中核に入りこんでくる可能性が出てきましたね。
ただ、2人ともスペーシアンであり、アーシアンに味方するメリットは薄いように感じますが…。
うーん、正直読めない(笑)
まぁセセリアは御三家相手でも態度でかかったですし、御三家を蹴落として成り上がるためにミオリネと結託しそうな人物ではあるんですけどね(笑)。
引き金を引くのは
ここで一度、現状の総裁選の状況を見てみましょう。
作中でも度々表示されていましたが、現在は支持率を81%獲得した(この解釈でいいのかな?)シャディクが1歩どころか10歩くらいリード。
ペイル社を取り込んだ後、デューデリジェンス(財務監査)を進めて着々と地球への事業譲渡を進めています。
なるほど、シャディクがサリウスを誘拐し、監禁しているのは彼の後釜に入るだけでなく、サリウスが人質にされている状況を使って身代金代わりに事業を譲渡させることが狙いだったわけですね。
この計略が功を奏して、現状シャディクが総裁に最も近い男になったわけですが…。
ただ、今回はさまざまな場面で人間関係の変化が見られました。
最たる者はチュチュに命を救われたラウダ達でしょう。
きっちりスレッタに嫌味をいって憂さ晴らしした後に(笑)、ラウダやフェルシーはチュチュに素直にお礼を述べています。
この場面は、スペーシアンとアーシアンが歩み寄りつつあることを端的に示唆しているんですよね。
ここに後述するミオリネ達の地球への渡航が絡むと…アーシアンの態度が多少なりとも軟化するかもしれません。
ただ、グエルを評価するジェターク寮の学生達の会話を聞いて、ラウダが複雑な表情をしていた点は怪しいですね。
生粋のブラコンであるラウダですが、ミオリネと組んでどうにかやっているグエルと違い、失敗続きの感じは否めませんでした。
ここに来てラウダが敵に回るフラグにならないことを祈るばかりですが…。
また、気になるのは議会連合の動きです。
シャディクは地球への事業譲渡を進めていることをエナオを通じて議会連合に報告させていましたが、当の議会連合は独自にベルメリアに接触していました。
ミオリネから得た株式会社ガンダムに出入りするパスを早速活用した形ですが…これは宇宙議会連合が敵対する可能性を示唆しているのかな…。
おれにプロスペラに罪悪感を突かれる形で協力者になったベルメリアなら、フェン達に協力しかねないんだよな…。
命を救え
グエル優勢の中、ミオリネが取った戦略は地球のクイーンハーバーで起こっている暴動を止めるというものでした。
これにより、ベネリットグループの不当な治安維持に対する非難を治めて実績を作ると同時に、改めて「命を救う」という株式会社ガンダムの理念を広げるきっかけを作ろうとしている感じですかね。
グエルが指摘した通り、事はそう簡単ではありませんが…これはなかなか面白い展開です。
現状、シャディクが設計したように世界情勢はスペーシアンVSアーシアンの構図になっており、両者の対立は臨界寸前まで激化しています。
シャディクはこの状況で地球に抑止力を持たせることで、両者の緊張状態を維持しようという構図(いうなれば冷戦)を目指しているわけです。
対して、ミオリネによる暴動の収束は成功すれば逆に両者の緊張状態の緩和につながります。
つまりシャディクとミオリネの計略は見事に対極の位置にあるわけです。
そしてプロスペラがミオリネと結託していることを踏まえると、第13話の記事で書いたようにシャディクVSプロスペラの構図が出来上がりつつあるんですよね。
もちろん、プロスペラが裏切ってシャディクにつく可能性もありますが、ミオリネ抜きでクワイエット・ゼロができない以上、何らかのあくどい方法でシャディクを蹴落とす方が早い気がするんだよな…。
それにプロスペラがシャディクを利用する可能性もゼロじゃない…。
いずれにせよ、この先の展開を左右するキーパーソンはプロスペラでしょうね。
ところで、個人的に興味深いのは地球へ向かうことにしたミオリネの護衛にケナンジがついたことです。
陽気で屈託がない振る舞いをしているケナンジですが、ヴァナディース事変においては先鋒を担い、何人もの命を奪った人物。
それこそ当時エルノラだったプロスペラとは深すぎる因縁で結ばれています。
そんな奴がここでつながるとは…。
これ以上ない不穏の種が撒かれちゃいましたね。
君の未来を決めるのは
さて、最後に全てを知ってしまったスレッタを掘り下げましょう。
カヴンの神託
地球寮の面々に背中を押されたスレッタはミオリネに会いに行きますが、そこでエアリアルに招かれ、ついにエリクトと接触します。
そこでスレッタはエリクトから全ての真実を告げられました。
第4話の記事以降、エリクトの正体やエアリアルの秘密についていろいろ推察してきましたが…ここで結論に達したわけです。
幼いがゆえに水星の過酷な環境に耐えられなかったエリクトは精神をデータストームに移植されることで生存、エアリアルと一体化しました。
そして彼女を実体化させるパーメットスコアに達するために、鍵として作られたのがスレッタ・マーキュリー。
彼女はエリクトの代わりとして生み出されたリプリ・チャイルド(リプリはrepresent(代行者・代用品の意味)でしょうか)でした。
そしてパーメットスコア8を達成したことでエリクトは自らの意志で動き出し、ついにはスレッタを突き放すのでした…。
と、スレッタからしたら絶望しかない展開なわけですが、ここは一旦設定を振り返ってみましょう。
僕がかねがね気にしていた『ゆりかごの星』での一人称問題ですが、まさかのエリクトがボクっ娘だったという展開でした。
これは…ずるい!(笑)
ミスリードとしてもちょっとなぁ…(笑)
まぁ冗談はさておき、エリクトが口にしていた設定に関するキーワードを掘り下げてみましょう。
まず「カヴンの子」というワードですが、カヴンはどうやら「魔女集会」を意味する言葉だそうです。
なるほど、スレッタもエリクトもプロスペラという魔女から生み出された者ですから、ぴったりなワードですね。
ただ、個人的に気になるのはカヴンの子とニアイコールの意味合いを持つリプリ・チャイルドですが…。
てっきり、スレッタだけを指す言葉かと思ったら、エリクトはしっかり「君達」っていってたんですよね。
どうやらリプリ・チャイルドはスレッタのように物理的な肉体を有する者以外にも、エリクトの拡張意識として存在している者も指しているようですね。
まぁスレッタしか描写されていないだけで、他にも何人かいたのかもしれませんが…。
いずれにせよ、第5話の記事でピックアップした「きょうだい」もここで解決したわけです。
なんていうか、現在のエリクトは原作版の『攻殻機動隊』における少佐(草薙素子)のような存在になっていますね。
どのカヴンの子も字幕では「少女」とされており、またエリクトにとっての他者のように振舞っていましたし。
いうなれば、今のエリクトは個体であると同時に複合体になっているわけです。
…ただ一人、スレッタ・マーキュリーを除いては。
どうか自由に
全てを知ったスレッタはエアリアルから排出された後、プロスペラから学園に戻るように告げられました。
前回の記事でスレッタはもう用済みになったのではないかと指摘しましたが、案の定そうだったわけです。
しかし、その際のプロスペラの振る舞いは想像とは異なってしましたね。
ドストレートに「もういらない」と言ってきたカヴンの子と違い、プロスペラはスレッタに学園へ戻るように告げます。
「そこがあなたの胸を埋めてくれる」からと。
さらにプロスペラはエアリアルに搭乗した後、エリクトに尋ねていました。
「あの子も一緒に行くことだって…」
そして、こうつぶやきました。
「そうね。スレッタは自由に生きていいのよね」
エアリアルのパーメットスコアを引き上げるうえで必要だった存在に過ぎなかったスレッタに対して、プロスペラはまるで彼女を連れていくことを選択肢に入れると同時に、彼女の生き方を慮る様子を見せています。
そして最後のセリフを口にしたのは、これまで純粋無垢なスレッタを半ば洗脳するように誘導し、利用してきたプロスペラではなく、仮面を外したエルノラ・サマヤその人でした。
第13話の記事で、半分冗談で実はプロスペラが復讐をやめているんじゃないかといったことがありましたが…。
意外とかすっていたりするのかな?
まぁ復讐を完全に捨てているわけではなさそうですけども…。
少なくともプロスペラにとってスレッタは復讐の道具ではなく、ちゃんとした一個人であり、母親としての情も相応に持っていたことが窺えます。
だとしたらこれまでの露悪的な振る舞いはなんなのか…となりますが、よくよく考えるとデリングでわかるように、作中の親って大抵まともな振る舞いをしていないんですよね(笑)
それに、魔女という呪いを引き受けてきたプロスペラが自分で全てを終わらせると考えているなら…あえて悪役のポジションに立とうとする気持ちはわからなくありません。
また、さきほどから僕がプロスペラの計画に「復讐感」が足りないように感じるのも、そもそも復讐を念頭に置いていないと考えると得心はつきます。
そもそも、今作のベースにある『テンペスト』において、プロスペラに相当するプロスペローは最後に復讐をやめていますからね。
うーん、正直結論は出しにくいですが、個人的にプロスペラは悪役じゃない可能性はちょっと追ってみたいですね。
『水星の魔女』第18話感想
スレッタにとって、そして視聴者にとってかなりインパクトのあるエピソードでした。
今度こそスレッタは全ての寄る辺を失い…本当の「空っぽ」になったわけです。
ここから彼女がどう立ち直るかが重要ですが…。
ミオリネや仲間達の影響以外で、重要なのは個人的に「進めば二つと思えなくなった」というセリフだと思っています。
プロスペラの受け売りではなく、彼女が自分で「進んで二つ取る」という経験を得ることが、彼女にとって重要な気がしますね。
そして一方のミオリネは混迷の中心にある地球へ来訪することを決意しました。
地球と宇宙の対立に関わるプロスペラ、ケナンジ、オルコットがミオリネやグエルとどう絡むかに注目です。
何はともあれ、次回からは大波乱が起きそうですね。
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