皆々様こんにちは。
『SSSS.DYNAZENON(以下『ダイナゼノン』)』担当のgatoです。
前回は蓬が夢芽への好意を自覚する過程が描かれるという、甘酸っぱいエピソードでした。
他方でシズムが転校してきたり、ちせもダイナソルジャーを操縦できることが発覚したりと、確信的な事柄もしっかり進行していましたね。
さて、今回は水着回もありつつも、蓬や暦達の人間関係も色々動き出すようです。
早速振り返ってみましょう。
恋人みたいって、なに?
今回は色恋に関する人間模様が動いていたエピソードでした。
蓬編
今回のサブタイトルにある「恋人みたい」に該当するのはやっぱり蓬と夢芽でしょう。
前回から好意を自覚した蓬がどんなアプローチをしたのか、早速ニヤニヤしながら振り返ってみましょう(笑)
ふりなんてできない
夢芽への好意を自覚しつつも、なかなかデートに誘えない蓬。
しかし、プールでシズムを油断させるためにガウマからまさかの恋人同士のフリをするよう命令されます。
いやー蓬のドキマギっぷりには思わずにやけさせられました(笑)
何より一番印象的なのがチュロスを食べている夢芽とのやり取り。
会話の弾まない感じがとてもいい(笑)
その後シズムに声をかけられた時に普通に喋れるようになるところもいい(笑)
ただ、肝心の夢芽は蓬ほど意識はしていない模様。
まぁ夢芽は蓬に自分を重ねていると思しき描写はあれど、恋愛対象として意識しているほどではなさそうですからね。
道は遠いな、蓬…。
ただ、夢芽がダイナレックスに蓬がちせの乗ったことに反応しているところがわざわざ描写されていましたが…。
特に何もいわず、「フーン」といった感じでしたけど、あの描写が挿入されているということは、夢芽はちせと蓬が同じコクピットにいるって状況に反応する程度は意識しているということでしょうかね。
だとしたら、望みはあるのかな(笑)
夢芽のトラウマ
プールでは蓬が夢芽相手にドキマギする…だけでは終わらず、プールに落ちた客を見て夢芽が香乃の末路を連想する描写がありました。
あの後に夢芽が欝っぽくなったのを見ると、香乃の事故が彼女の中でトラウマのようになっていることが窺えます。
後、あの回想を見ると夢芽は現場を直接見ていることがわかりますね。
特に深い仲ではなかったけれど、当たり前に一緒にいた家族が思わせぶりな誘いをした後にあんな悲惨な末路を辿ったのを目の当たりにすれば…夢芽の心境が大きく変化するのも当たり前かもしれませんね。
一方で、ラストに蓬達が川に飛び込んだ場面での夢芽はちょっと違った感じでした。
まだトラウマが残っているのか川に飛び込みこそしませんでしたが、蓬達を見て夢芽がうっすら微笑んでいます。
少なくともプールで客が落ちたところを見た時のリアクションとは違いますね。
トラウマを抱えてはいるものの、自分を執拗に狙う怪獣を退けてくれた蓬達を見て多少なりとも頼もしさを覚えたのかな?
閉じていた夢芽の心がほんの少し開いたことを窺わせる描写でした。
暦編
個人的に暦と稲本さんは「恋人みたい」に該当するもう一つのカップルだと感じました。
ここでは二人の関係の動きを見てみましょう。
なんで結婚したんだろう?
約束通り、暦と稲本さんは二人でお食事に。
相手が人妻であることを気にする暦ですが、稲本さんは終始それを気にしないあっけらかんな態度を見せていました。
しかし言葉の端々から現在の結婚生活に対して屈託があることが窺えます。
この辺りは以前書いた記事でも触れましたね。
結局稲本さんの夫はどんな人物なのか、どんな結婚生活になっているのかは不明でしたが、あの様子だと近い将来、結婚への不満から稲本さんが色々トラブルを起こしそうな予感がします。
また、個人的に興味深かったのが稲本という名字が旧姓だったということ。
つまり作品の方向性としては結婚している「稲本さん」ではなく、結婚とは関係ない一個人としての稲本さんにスポットライトを当てたいという意図が窺えます。
いいもの見せましょうか?
今回は稲本さんと暦の中学時代の回想も出てきましたが、そこでの稲本さんはガラスを割ったことに加え、何か秘密を抱えていると示唆する台詞がありました。
外見こそ清楚ですが、当時の稲本さんは精神的に不安定で、お世辞にも良いとはいえない事情を抱えていたことが暗示されていますね(それが暴力という形に表されていたのでしょう)。
稲本さんがいう「いいもの」が何かはまだ不明ですが、恐らくそれを暦は見たんでしょうね。
そしてその「いいもの」が暦と稲本さん双方の人生に影響を与えている可能性もありそうです。
この辺りは今後もしっかり追っていきたいと思いますが、個人的に今回の描写で暦と稲本さんの関係性は蓬と夢芽の関係性に近いものがあるように感じましたね。
蓬は夢芽の「どうかしている」という要素が惹かれたきっかけの一つといえますが、暦もまた校舎のガラスを割るという稲本さんの「どうかしている」要素が接近のきっかけになっているといえます。
もう少し抽象化していうなら、夢芽も稲本さんも誰にも共有できていない「どうかしている」要素があり、蓬や暦はその「どうかしている」要素に惹かれ、アプローチしていく…みたいな構図になっているわけです。
王道の展開だと蓬や暦が夢芽や稲本さんの抱える事情に触れ、解決に乗り出すことでヒーロー性を獲得していく…みたいな感じなりますが今作はどうでしょうね。
『SSSS.GRIDMAN』では「どうかしている」部分があったアカネに対して六花が積極的にアプローチしていくという構図が取られましたが、今作は蓬や暦がアプローチを担当することになりそうです。
だとしたら、「同性関係」が大きな肝だった前作に対し、今作は「異性関係」が肝になりそうな予感がしますね。
昔の女は忘れましょうよ
暦と稲本さんが再会した際に嫉妬と思しき感情を滲ませていたちせですが、今回もそんな一面を見せていましたね。
暦と稲本さんの食事の直後に現れたのを見ると、明らかに隠れて様子を見ていたのでしょうけど、この段階でそこそこ常軌を逸している(笑)
前回の稲本さんと暦が再会したタイミングでも出てきたのを見ると、もしかしたら暦が外出する度に後をつけているのかな…。
だとしたら結構な執着心ですけども(笑)
それに「暦への執着心がある」と仮定してちせの言動を見ると、色々ニュアンスが変わってくる感じがします。
例えば稲本さんの食事のために暦がダイナゼノンの特訓を休みたいといっていた際の「無職なのに休み」というリアクション。
一件すると暦をいじっているような感じですが、ちせが「暦のようになりたい」といっていたことを踏まえると、「自分が憧れている生き方にイレギュラーな事態が発生していることに反応している」と捉えら得るでしょう。
少し穿った見方をするなら、ちせは暦に無職のままでいて欲しいと思っているけど、稲本さんとの再会で暦に変化が生まれた。
その変化にちせが複雑な心境を抱いている…って感じでしょうか。
また、今回の特訓でちせが暦のダイナストライカーとダイナレックスが合体できないかと提案したのも、「暦の機体と合体したい」という意思が裏にあったりするのでは…。
うーん、段々僕の中のちせ像がおかしな方向に(笑)
ところで、プールの描写でちせがかたくなに腕を隠していると思しき描写がありましたね。
確かにアームカバー(?)をプールでもつけているのは少し不思議です。
どうやら左腕に見られたくないものがありそうですね。
順当にいけば傷跡、それも自分でつけたもの…ってなりそうですけども。
だとしたら、ちせには色々深い闇がありそうです。
そうだ、プールに行こう
今回の山場はやっぱりプールでしょう。
もちろん眼福な水着サービスもありますが、プールでは色々興味深い描写ややり取りもありました。
シズム捕獲作戦!
今回プールにガウマ達が行ったのはちせの誘いがきっかけですが、まさかのシズムが参加してきたことにより、ガウマがシズム捕獲作戦(仮称)が発動しました。
まぁ結果は失敗だったわけですが…というかガウマ以外がそこまで乗り気じゃなかった(笑)
ガウマが意外とドジっ子だったのも失敗の要因ですが、そのガウマの描写で印象深いものがありました。
まずはあの外見でガウマが意外と体力がないという点です。
まぁ普段から昼夜問わずバイトをしたり、怪獣と戦っているので体力が落ちていたといえばそれまでですが、怪獣使いとしての能力が弱まっているという事情が大きく影響している印象がありますね。
あるいはダイナゼノンを使い続けることでガウマ自身が弱っているということもあるのかな…。
正直コメディタッチな場面なのでどこまで真に受けるべきか難しいですが、ちょっと気になったので書いておきました。
後、もう一つ重要そうだと感じたのがプールの観察員に注意されたガウマがルールを律儀に守っている描写です。
蓬の家に押しかけたり、約束を破った夢芽に注意するなど、破天荒な一面があるガウマがプールのルールという些末極まりないものを律儀に守っているのはちょっと意外ですよね。
個人的に、この描写にはガウマの怪獣使いとしてのスタンスが大きく表れていると感じました。
これについては次の項で詳しく掘り下げます。
自由と理
まさかのプールイベントへの参加に加え、普通に蓬や夢芽と遊んでいたシズムですが、彼と蓬のやり取りは興味深いものがありましたね。
シズムと蓬の会話を要約すると、「人は理を作り、自分で自分を縛りながらも自由を求め、他人に流されながら他人を流す。その不自由さに気づいていない」といった具合です。
確かに人は自由を求めながらも自らにルールを課し、時に他人を鬱陶しく思いながらも他人を受け容れるものです。
これには人間が本質的に抱える矛盾を示しているといってもいいでしょう。
そしてこの矛盾を念頭に置くと、以前別の記事で書いた怪獣優生思想とガウマ隊の差異の根幹がそれとなくわかってきます。
怪獣優生思想は4人組でありながら、どこかドライな人間関係であり、チームとしての連帯感は薄い印象があります。
これは彼らが「自分で自分を縛らず、他人に流されない関係性」を保っていると捉えることができそうです。
そしてこのスタンスを攻撃的なベクトルに持っていったのが「怪獣に憑りつかれている」という具合でしょうか。
つまりは自らを縛り得るものを、自由を脅かし得るものを怪獣に導かれていくままに積極的に排斥していく…というわけです。
これに対し、さきほども触れたようにガウマは些細なことでも律儀にルールを守り、蓬や夢芽に対して積極的に関わろうとしています。
いうなれば、ガウマの行動は怪獣優生思想と逆になっているわけです。
少し凝った言い方をするなら、ガウマはルールや他人に縛られ、不自由になる道を進んでいる感じですね。
ここには怪獣に憑りつかれていないガウマなりの倫理観が反映されている印象があります。
ガウマが人と関わりルールを守ることは、彼が怪獣優生思想のような怪獣使いにならないための生命線といえるかもしれません。
何より彼が怪獣優生思想と一線を画すスタンスになったのは「会いたい人」が大きな原因のようですしね。
「会いたい人」との関わりで得た不自由こそが、彼の正しさを担保しているのかもしれません。
そんなガウマに比べると、蓬達は怪獣優生思想のようにまとまりを欠いている感じがします。
ただ、怪獣優生思想ほどドライではなく、むしろメンバーのそれぞれが他人の存在に縛られていることがわかります。
蓬は夢芽、夢芽は香乃、暦は稲本さん、ちせは暦…といった具合ですね。
またそれぞれが身を置いている環境も不自由をもたらす要素で一杯です。
そう考えると、蓬達もまた不自由を立ち向かいながら生きていく…どちらかというとガウマに近い方向性を持っているといえそうです。
一方、この理屈で考えるとシズムが気になるところです。
シズムは蓬達が不自由になっていると指摘しながらも、蓬達に接近している状況を作っています。
もちろんシズムは蓬達からは一定の距離を置いていますが、状況だけ見ると自ら不自由になり得る環境に身を置いているため、もしその中に馴染んでいくようであれば、怪獣優生思想のスタンスから外れていくことになります。
だとしたら、シズムはガウマ隊と怪獣優生思想の対立関係を変動させ得るキーパーソンに位置付けられそうです。
怪獣と情動
あまり掘り下げられなかったですが、シズムが「情動が怪獣の好物かもしれない」という台詞を発していましたね。
まぁ人間の意思や精神的な要素が怪獣に影響するという話は既出ですが、その中でも「情動」が怪獣の好物足り得るうえに、蓬と夢芽にそれがあるとシズムは言っていました。
恐らくここでいう情動は蓬や夢芽が抱く葛藤を指していると思われます(蓬は上条、夢芽は香乃のこと)。
それが怪獣の好物となる…というのは、筋が通っていますね。
また、シズムは「怪獣の声」を聴けるとのことですが、その声には情動が絡んでいるんですかね?
前回の記事でシズムは聞ける「怪獣の声」は人の心に潜在する怪獣の声という風に解釈しました。
ただ、情動が絡むとなるとちょっとテイストが変わってくるな…。
下手したら人の心の声を聴くレベルの能力になってきそうですね。
後、情動という要素は怪獣使いにも影響するのかな?
個人的に今回登場した怪獣が執拗に夢芽を狙ったのが気になりましたが、そこにシズムの感情が反映されていたとしたら…。
暦/稲本さん/ちせのような三角関係が生まれるのかな(笑)
香乃について
まず初めにお詫びを…。
これまでの記事で香乃の名前を「カナ」と誤って記載していました。
大変失礼いたしました(これまでの記事は修正済みです)
では気を取り直して、今回は生前の香乃が初公開されました。
姉だけあって夢芽と似ていましたね。
そんな彼女ですが、夢芽からしたらよく笑う姿はあまり見ないものだった模様。
やっぱり香乃は学校での振る舞いと夢芽の前での振る舞いが違っていたようですね。
そして、OBの瓜田から紹介された風馬から衝撃的な言葉が。
香乃が命を落としたのは事故ではなく自害。
いやー、それとなく察してはいたけど、まさかこの路線とは。
第一話で出ていた自害した生徒の話がここでつながりましたね。
もし香乃が自害したのであれば、それはまさに「約束を破る」ということであり、夢芽がどうかしてしまうきっかけになったとつなげることができます。
まだ噂なので真相は不明ですが、色々筋が通ってしまう…。
おまけに第一話では自害した生徒の幽霊が出るような話をしていましたが、それが香乃って可能性もありますね…。
うーん、色々込み入ってきたな(笑)
『ダイナゼノン』第5話感想
サービス満載でしたが、しっかり色々な事柄を進展させていて見ごたえのある第5話でした。
蓬のいじましさにニヤニヤしながらも、夢芽のさりげない変化を楽しめましたね。
個人的に稲本さんの様子が気になるところですが…。
後、最近知ったのですが限定公開されているボイスドラマで蓬の父親が普通に離婚して別居していることが明かされたそうですね。
蓬が小3の時の出来事だそうで、彼自身は受け容れていたとのこと(現在の性は母方の姓のようです)
いや~蓬の父について色々深読みしたけど意外とさっぱりした感じですね。
なんだか舞い上がっていたようでお恥ずかしい(笑)
肝心のボイスドラマの方は公開期間が過ぎてしまったので観られず…。
この辺りをもちっと詳しくお話してくれる方がいればぜひコメントしてください(笑)
何はともあれ、次回は香乃の話が一気に深堀されそうですね。
姉に隠された真実を知った夢芽がどうなるのか…注目です。
▼ダイナゼノンの記事はこちらにまとめてあります
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コメント
前作でアレクシス・ケリヴはアカネの情動が生み出した怪獣を実体化させてました
ソレを考えると、怪獣が人間の情動を好むというのは説得力がありますね
相変わらず、なぜ怪獣が生み出されるのかという根本の問題は謎ですが
個人的には、今回の怪獣が夢芽を狙い撃ちしたのはシズムの意識の反映というよりは、人間の情動が怪獣の好物という話の肯定かと思います
姉の死を思い出したばかりで一番動揺してた彼女の情動が狙われたのだと解釈しました
シズムの意識が反映されたのなら、むしろ夢芽にだけ手を抜きそうな気がします
名無しさんコメントありがとうございます!
>相変わらず、なぜ怪獣が生み出されるのかという根本の問題は謎ですが
そこは前作でも明かされなかったことですからね…。
そもそも怪獣も情動から生まれるものと、アノシラスのように元々いるものの二種類がありますし。
今作は怪獣をピックアップしているようなので、その内明かされるかもしれませんね。
>姉の死を思い出したばかりで一番動揺してた彼女の情動が狙われたのだと解釈しました
あーなるほど、そっちの解釈の方がしっくりきますね。
確かにあの面々の中で、最も精神的に揺らぎが出ていたのは夢芽ですし。
というか、シズムの意識が反映されているからといって夢芽を集中攻撃するのは、我ながら微妙な解釈だった…。
シズムが蓬を好きでもない限りあり得ない(笑)
2話で気づいたのですが、
怪獣との戦闘シーンで、蓬のコックピットが映し出されるシーンでだけはBGMの音がこもっていて、まるでコックピットの外でBGMが鳴っているような演出になっているようです。
私にはこれが何を意味しているかは分かりませんが、一種のメタ表現のようにも捉えられますね。
私たちが見ているこのアニメを”中”にいるキャラクター側がリアルに捉えるとこんな感じなのかなー?
と。何か蓬くんがこのアニメのキャラクターをやらされている感が演習されているような印象も受けました。
まぽんさんコメントありがとうございます!
>2話で気づいたのですが、怪獣との戦闘シーンで、蓬のコックピットが映し出されるシーンでだけはBGMの音がこもっていて、まるでコックピットの外でBGMが鳴っているような演出になっているようです。
なかなか細かいところですね(笑)
僕は気づきませんでしたが、仰る通りの演出だったら、「このアニメのキャラクターをやらされている感」というご指摘は面白いですね。
第2話時点での蓬はまだダイナゼノンで戦う理由が定まり切っていない状態ですし、特訓に参加していなかったせいで操作方法も曖昧でした。
そんな蓬の現場との距離感を演出している…と解釈できそうですね。