皆々様こんにちは。
『SSSS.DYNAZENON(以下『ダイナゼノン』)』担当のgatoです。
前回はゴルドバーンという「心」を持つ怪獣が登場しただけでなく、ちせの過去や双葉の登場など、様々なことが盛り沢山でしたね。
おまけに蓬と夢芽の仲も急接近!
ラストはリア充過ぎる花火大会で幕を閉じていました。
そんな中、今回は序盤から急展開!
いきなり蓬達が過去に閉じ込められてしまうとか。
一体どんな過去が垣間見えたのか、改めて振り返ってみましょう。
目次
思い残した記憶って、なに?
今回のエピソードは蓬達が怪獣に取り込まれ、過去を追体験させられるというものでした。
流れとしては前作『SSSS.GRIDMAN』の第9話を連想させるものでしたが、実際はどうだったでしょうか。
「もしも」の先へ
蓬達が怪獣の能力で「思い残し」がある過去を追体験するという構図は、前作の第9話でバジャックが裕太達にアカネとの「もしも」(夢)の世界を見せていたエピソードを酷似しています。
ただ、前作とは過去をそのまま追体験している者と「もしも」を叶えるために積極的に改変する者がいたという点で異なっていました。
今回でいうと、前者はガウマとナイト、後者は夢芽と暦となります(夢芽は蓬の介入で我に返った影響があるので、少々例外的ですが)。
それぞれの過去については後ほど掘り下げますが、この対比は興味深いですね。
この対比の線引きとなるのは個人的に「あの時どうすればよかったかを知っていた」ではないかと思っています。
夢芽はあの時香乃ともっと仲良くなっておけば、暦はあの時稲本さんと駆け落ちしておけば、過去を変えられたかもしれないと、当人達は自覚していました。
だとしたら、ガウマとナイトはまだ「思い残し」を解消するうえで有効な手立てを見つけられていないのではないでしょうか。
だからそのまま過去に飲まれて、追体験することになったのかもしれません。
命の恩人
今回は過去に囚われた仲間達を助けるために蓬が大活躍しました…まさに主人公!(笑)
例え傷を負っても一生懸命夢芽達を助けようとする様には、普段の彼らしくないたくましさを感じましたね。
それにダイナソルジャーの助けがあったとはいえ、蓬が真っ先に我に返って夢芽達を助けにいったのは印象的でした。
もちろん蓬も彼自身の「思い残し」、つまり上条と出会う寸前の過去を追体験していたわけですが、ダイナソルジャーに触れたことで我に返り、すぐに夢芽を助けにいっています。
ここから、彼の中で大きなウェイトを占めていた上条にまつわる悩みがかなり解消されていることがわかります。
もちろん上条と母親の再婚の話がなくなったようなことはないですが、第3話の記事で触れたように蓬の暗さは上条に起因している部分が少なからずある印象が受けました。
ただ、今回の蓬は上条のことなどどこ吹く風、真っ先に夢芽を助けにいっています。
つまり彼の中で一番大きなウェイトを占めているのが夢芽、そしてガウマ隊の仲間達になっているわけです。
上条にまつわる悩みもそれなりに彼を苦しめているものですが、そんなものを吹き飛ばせるくらい、蓬は夢芽や仲間達のことを想っている…。
それがわかる場面でしたね。
また、蓬をはじめ他のガウマ隊の面々の覚醒のきっかけや、他の人物の過去に飛び込む際にダイナゼノンが力を発揮している場面も意義深いものを感じます。
元々ダイナゼノンはバラバラのパーツが一体化することで力を発揮するもの。
つまりバラバラになった存在をつなぎ合わせる力を持っているということです。
まさにダイナゼノンはバラバラな他人同士がつながり合い、力を発揮する象徴といっても過言ではないでしょう。
過去に囚われた夢芽達が持つそれぞれのパーツがバラバラになっていく描写や、パーツが通信機として機能するところも「つながり」を示唆しているようで興味深かったですね。
夢芽の記憶、解けた知恵の輪
今回のイベントで夢芽と香乃の間にあった蟠りがようやく解消されたようです。
早速掘り下げてみましょう。
約束は忘れていない
かねてから懸案だった香乃の事故の真相ですが、どうやら本当に事故だったで落着できそうです。
具体的な自己の描写はなかったものの、香乃の口から自害する動機がないことが語られましたので、一応確定にしてもいいでしょう。
というか前回の記事まで黒幕疑惑を吹っかけていた双葉、ごめん!(笑)
香乃が気にかけていた辺り、アンタ普通にいい男だったのね…。
というか、この作品の構成が悪いんですよ!(笑)
今更気づいたんですけど、今作の香乃に関する描写って、夢芽や蓬の主観以上のものがないんですよね。
香乃の描写を意図的に断片にしたうえで、ドッキリ動画や嫌な噂を客観的な材料を省いたうえでそのまま提供するとあら不思議。
視聴者である僕らはいつのまにか自害やいじめを断定していた夢芽と同じ視点になってしまうわけです。
これはズルい、ずる過ぎる…。
僕らも夢芽も、生前の香乃の学校生活を知らないうえに、香乃の最期があまりにグレーだったため、知らず知らずのうちに夢芽に追従してしまうわけですね…。
まぁ、言い訳はこれくらいにして(笑)、個人的に香乃の事故は、前回夢芽が知恵の輪を落として思わず飛び降りてしまったのと同じシチュエーションではないかと思っています。
香乃が最後に強く知恵の輪を握っていたのはそれが原因ではないですかね。
これだけきくとあまりにあっけない真相かもしれませんが、僕としては事故であった方が不条理を感じましたね。
本当に些細な偶然で、取り返しのつかない結末になってしまう。
おまけに誰のせいにもできず、何かができたわけでもない。
それに自害であろうが事故だろうが、大切な人が逝ったことには変わりません。
夢芽にとっては、それ自体が辛いことだったのですから。
憧れていたからこそ
さて、事故の真相がわかったところ、香乃は何を考えていたのか掘り下げてみましょう。
第6話の記事で香乃について色々書いてみましたが、実際は近からず遠からずといったところでしょうか…。
端的に言うと、香乃は表に見せる顔と本心のギャップに苦しんでいたのでしょう。
香乃は元々家族の前で歌うのが恥ずかしい、やや引っ込み思案な女の子だったようですが、彼女なりに自分を変えようと高校デビューを頑張ったのでしょう。
ただ、「相手に合わせること」が不得手だったために、それは決して順風満帆にはいかなかったのでしょう。
空回りすることもあれば、傍目にはいじめに捉えられるいじりを受けてしまったり、もしかしたら双葉と付き合ったことでそれなりに陰口をいわれることもあったかもしれません。
しかし、そんな状況でも香乃は自助努力で乗り切ろうとしたのでしょう、それこそ家族に秘密にしていた彼氏に頼らないほどに。
そんな香乃にとって夢芽は羨ましい存在でした。
香乃からしたら「相手に合わせることができる」夢芽は憧れであり、同時に上手くやれない自分を垣間見せる嫌な存在だったのでしょう。
もちろん夢芽を遠ざけてしまったのは香乃の彼女への誤解が要因ですが、自分にできないことができる夢芽に微かな嫉妬心や焦りのような気持ちも抱えていたのかもしれません。
加えて自分より器用な(だと思っていた)夢芽が自分を嫌うようになったと考えていたかもしれませんね。
ただ、大好きな妹と距離を置き続けることが辛くもあった。
だから、香乃は定期演奏会に夢芽を誘ったのでしょう。
今の自分のありのままを見せるために…改めて夢芽と向き合うために。
ところで、夢芽が現実世界に帰還した後、香乃が何か言おうとした場面がありましたね。
夢芽が帰還する直前に香乃が静止したので、夢芽が体験していた過去は幻覚の類だった…と思いきや、彼女が去った後も香乃が動いていたとなるとちょっと事情が違ってきます。
まるで本当に夢芽が過去に遡っていたかのような…。
というか、香乃は何を言おうとしていたんですかね。
口の形から思いっきり「少年の日はいま」を歌おうとしていたようにも見えたけど…気になるなぁ(笑)
だとしたら、本来の時間に戻る夢芽へのはなむけみたいで、切ないですね。
さあ、翔ぶがいい
ここでは、香乃と触れ合うことでやっと蟠りが解けた夢芽について掘り下げてみましょう。
そもそも夢芽と香乃が疎遠になった原因は互いに互いが嫌いだと思い込んでいたすれ違いによるものでした。
この原因って、実は夢芽の「相手に合わせる」という資質なんじゃないかって思いました。
夢芽自身は否定していましたが、正直僕は「相手に合わせる」資質が十分にあると想っています。
だからこそ約束を破った後に蓬に謝罪できましたし、第8話で落ち込む彼を素直に慰められたのでしょう。
これと同じように自分を嫌っていると感じた香乃に合わせてしまったことが、疎遠の原因になったのではないでしょうか。
「相手に合わせる」という資質がなければ、普通に喧嘩してもおかしくないのに、それをしなかったのがその証左ですね。
という風に書くと、これまで約束を好き勝手に破り、蓬やちせを遠ざけたりもした夢芽の行動と矛盾するようになりますけど…。
これは夢芽が香乃を喪い、苦悩で自分を抑圧するようになった結果、知らず知らずに香乃のようになってしまったと解釈しています。
つまり香乃が逝った理由も不明でおまけに家族がギクシャクしている状況で誰にも相談できずにいた結果、夢芽は香乃のように自分だけで悩み抱え込むようになってしまったのでしょう。
だから香乃が双葉にできなかったように、蓬や鳴衣にも相談ができなくなってしまったのかもしれません。
しかし相手に合わせられるということは、相手を思いやれる心を持っているのと同義です。
だから夢芽は蓬やちせのふれあいの中で、自分が本来持つ「相手に合わせる」資質を取り戻し、そして香乃との対話で完全に蟠りを解消できたのでしょう。
逆に香乃は苦悩のあまり他人を遠ざけ続けてしまったのでしょうね…それこそ第9話の夢芽のように。
そう考えると、夢芽も香乃もつくづく似た者同士ですね(笑)
だったら、もうちょっとだけお互いのどちらかが歩み寄れたら…。
そう考えると切ないばかりです。
まぁでも、何はともあれ夢芽と香乃の蟠りは無事解消!
苦悩の象徴だった知恵の輪も無事に解けました。
ところで、香乃が定期演奏会に夢芽を誘ったのは、ありのままの自分を開示することもあったのでしょうけど、劇中で何度も歌われている「少年の日はいま」を聞かせるためだったかもしれません。
「さあ 翔ぶがいい 希望という名の風に乗って」
このフレーズには、お互いがお互いを想い、疎遠にしたがために縛られてしまった夢芽に自由に、ありのままに生きてほしいと願った香乃の想いがあるような気がします。
暦の記憶、偽札と駆け落ち
暦が囚われていたのはやはり稲本さんに大量の札束を見せられた過去でした。
そこで暦は逃げるのではなく、彼女と一緒に「どっか行く」道を選びました。
夢芽やガウマは追体験の趣が強かったですが、暦はばっちり過去を変えようとしていましたね(笑)
蓬が連れ帰りにきても未練丸出しなのには笑った(笑)
第7話の記事でも書きましたが、それなりに振り切っていたと思ったのに(笑)
他方で、稲本さんは終始落ち着いていた印象でしたね。
むしろ万札を「本物じゃない」と言っていたり、万札のほとんどが吹き飛ばされていても平然としていたりと、まるで諦観すら抱いている印象があります。
もしかしたら、稲本さんは暦と2人で「どっか行きたい」と思っていても「どこまでも行ける」とは思っていなかったのかもしれません。
つまり暦との駆け落ちがよしんば実現したとしても、思い通りにいかないとどこかで感じていたのでしょう。
正直、稲本さんが何を想っていたのかがよくわからないので、駆け落ちへの本気度は想像の域を出ませんが、大量の万札と握りしめた駆け落ちも、石で校舎の窓を割る行為も、存外衝動的な、ある意味気まぐれのようなものかもしれません。
それこそ、「ここではないどこかへ」のような思春期にありがちな衝動に駆られていたのではないでしょうか。
そう考えると、稲本さんは「不自由への抵抗」を一番平凡な形で体現している人物かもしれません。
ところで、話が変わりますが気になったことが一つ。
暦は過去の世界で右足に傷を作っていましたが(原付で転んだ時?それとも万札拾っている時?)、それが大人の暦の右足にも残っているんですよね。
あんまり暦の足元には注目していなかったのですけども(笑)、この傷、元々なかったはず…。
というか、暦と稲本さんの駆け落ちは「もしも」のはずなので、それこそ前作のように夢のようなもののはずなんですよね(実際、我に返った時に現在と過去の自分が分離する描写がある)。
それなのに傷が残っているってことは、本当に過去へ遡ったということ?
だとしたら別の世界線から本来の世界線に戻ったみたいな感じ?
香乃の最後の描写といい、意味深なんだよなぁ。
あえて「本当に過去に戻った」という説にいくなら、今回の怪獣は対象を時間遡行させるという結構なチートを持っていることになるんですけども(笑)
ただ、香乃や稲本さんといった、ある意味「切り離された者達」が再びつながろうとしていると捉えると、今作のテーマにはまっている気もしなくもないんですよね。
いずれにせよ、本当に過去に戻ったかどうかは次回の描写で判断するとしましょう。
ナイトの過去、「神」は去った
描写こそほとんどありませんでしたが、怪獣に取り込まれたナイトが過去を追体験する場面もしっかりありました。
案の定、ナイトが追体験した過去はアンチだった頃。
それも、前作の第3話、アカネと一緒にビュッフェで食事をしていた場面です。
今回の蓬達が追体験した過去がそれぞれの「思い残し」がある場面でしたが、それを念頭に置くとナイトの「思い残し」はまさにアカネだといえそうですね。
前作でのナイト(アンチ)はどれだけ虐げられてもアカネに尽くし、最終回でのアカネ救出でも大いに貢献しましたが、よくよく考えるとナイトはアレクシス・ケリヴに刺されて気を失っていたので、ちゃんとお別れを言えてないんですよね。
もちろんアカネは最終的にちゃんと救済され、ある種の罰としてコンピュータ・ワールド(ツツジ台)から立ち去ったのですが、それをちゃんと見届けられなかったことがナイトの思い残しかもしれませんね。
後、個人的に気になったのがナイトが現実に帰還する際のシークエンス。
雨が降っている、眼帯をしているところからナイトが覚醒する直前の場面は恐らく前作の第10話、アカネに傘を渡す場面でしょう。
この場面をナイトがそのまま追体験しているなら、彼は夢芽や暦のように過去を改変するような行動をしていなかったことになります。
これはなかなか興味深いものがありますね、彼からしたら例え仮初でもアカネが最悪な展開になる前に阻止する機会だったのに。
まぁナイトはアカネの現実世界でのことを恐らく知らないので、何をするのが正解か、何ができるのかわからなかったかもしれません。
そう考えると、ナイトは六花や裕太のようにアカネを救済できなかったこと(正確にはその役割を得られなかったこと)も心残りになっている可能性がありますね。
ガウマの過去、裏切りの傷
これまで謎のベールで包まれていたガウマの過去ですが、今回はその片鱗が明らかになりました。
姫と同志
ガウマが度々口にしていた「会いたい人」ですが、今回は初お目見えしましたね。
顔をこそ見えませんでしたが、「お姫様」と呼ばれていただけにやんごとなき身分の装いをしていました。
以前ガウマが口にしたように「届かない世界の人」の雰囲気が漂っていましたね。
しかしお姫様がいた国が怪獣使いを消そうとしたことにより、怪獣優生思想と国が対立。
恐らくお姫様側についたであろうガウマがジュウガ達と衝突し、双方相打ちに…。
わかっていたとはいえ、仲が良かった者同士が命を奪い合う悲惨な結末でしたね…。
このシークエンス、描写自体は短かったですが、個人的に気になった2点が1つありました。
1つ目はガウマ達の服装とお姫様達の服装の違い。
ガウマ達が怪獣優生思想の制服らしいコスチュームだったのに対し、お姫様達の格好は古代中学を連想させる装いでした。
第8話の記事でも触れた「竜使い」のエピソードが下地になっていることがわかりますが、ガウマ達の格好とのミスマッチがなんともいえない…。
2つ目はお姫様が怪獣使いではなかったという点。
「視察に来た」という台詞から、お姫様は怪獣使いではないうえに、怪獣優生思想の一員でもなかったことがわかります。
その後のお姫様と怪獣優生思想との関わり方が不明なのでなんともいえませんが、仮に怪獣使いではなかった場合、怪獣に近い力を持つダイナゼノンをどうやってガウマに託したのかが気になりますね。
まぁナイト曰くダイナゼノンは怪獣が出現する世界に登場する「抗体」に類するものらしいので、怪獣とはまた違うメカニズムで動かせるものと捉えることはできそうですが…。
後、これら2点を踏まえると、自分の中で「ガウマ達怪獣優生思想は別の世界から来た」という仮説が生まれましたね。
いうなれば前作のグリッドマン+新世紀中学生やグリッドナイト同盟、そしてアレクシス・ケリヴと同じというような立ち位置ということですね。
これなら格好の違いやダイナゼノンについて知らなかったことが説明できるかな…。
傷跡
かつての仲間達と戦い、壮絶な最期を迎えたガウマですが、彼についても気になる点がありました。
それは傷跡です。
ガウマの頬の傷がジュウガ達との戦いでついたことはわかりましたが、背中にある大きな傷跡が無かったんですよね
これだとあの傷は彼が戦いを終えて以降についたことになります。
いやぁ謎がまた増えたな(笑)
今の段階で思いつくのは、あの傷はダイナゼノンに関係しているという感じですかね。
ダイナゼノンを託された証として体に傷がついたみたいな…うーん、あやふやなことしかいえない(笑)
というか、今更ですけどガウマってなんであんなクマがはっきりついた顔をしているんですかね。
過去のガウマにはクマがなかったですし、5000年後に蘇ったジュウガ達にもありません。
これもダイナゼノンの影響とみることができるのかな…。
怪獣優生思想の過去、シズムの不在
今回は出番が控えめだった怪獣優生思想ですが、むしろ控えめであったが故に色々意味深な暗示を出していました。
制御不能
そもそも今回のエピソードは怪獣優生思想が怪獣を見つけて「掴もう」とした時から始まったわけですが、この時点で異質だったといえます。
怪獣はムジナが掴むことになりますが、彼女が「インスタンス・ドミネーション」を唱えたと同時に彼女は怪獣の能力によって取り込まれ、その後メンバーが次々と取り込まれることになりました。
つまり今回怪獣優生思想は怪獣の支配に失敗しており、挙句の果てにその能力に巻き込まれているわけです。
ゴルドバーンのような例外を除き、怪獣優生思想が怪獣の支配に失敗したのは今回が初めてじゃないですかね。
おまけにジュウガが初見で「少し変わった怪獣」と称しているところを見ると、今回の怪獣は怪獣優生思想(シズムを除く)の思惑から外れたイレギュラーな存在であることが窺えます。
というか、よくよく考えると2人で操作する必要があるブルバイン、なぜかシズムが発見しながらも放置していたザイオーン、ちせと友達となったゴルドバーンと、第6話から登場している怪獣ってイレギュラーばかりなんですよね。
うーん、出現を重ねることで怪獣自体が変化(進化?)しているのか、それともグリッドナイト同盟という「部外者」の登場が影響しているのか…原因は悩ましいところですが。
ただ、個人的に今回の怪獣はザイオーンに近いところがありました。
怪獣使いの操作がなくとも、ある程度自律して積極的に暴れる(能力を行使する)というところが共通している感じがします。
ザイオーンの描写やゴルドバーンの登場を踏まえると…心を持つ「怪獣」が生まれ始めていると捉えられそうな気がしますね。
シズムはいなかった
あっさり巻き込まれたジュウガ達とは違い、どこか怪しかったのがシズムです。
まずガウマの過去においてシズムは不気味なほど「空気」でした。
ガウマと仲が良かったジュウガ達とは違い、シズムはガウマにはほとんど絡んでおらず、立ち位置もいつも彼らから離れた場所にいるか、背中を向けています。
この段階でシズムの異質さが強調されていますが、さらに怪しいのがジュウガ達との戦いでシズムだけ最期が描写されていませんでした。
流れ的にシズムはガウマと戦っていそうですけど、ジュウガ達と違って明確に事切れている場面がないのは気になりますね…。
というか、今回の冒頭でも思いがけない怪獣の能力に戸惑うジュウガ達とは対照的に、シズムは「こんな怪獣を待っていた」「これでみんな自由になれる」と発言していました。
後者の台詞に至ってはジュウガ達が消えた後に言っていましたね。
これだけ聞くと、シズムは思想のベクトル自体はジュウガ達と同一かもしれませんが、過激さはジュウガ達以上である可能性が窺えます。
「怪獣の声を聴ける」というシズムですが、ある意味彼が一番怪獣に憑りつかれているのかもしれませんね。
『ダイナゼノン』第10話感想
なんかまた長くなったなー…。
まぁクライマックスも近いし仕方ないよね(笑)
冒頭から作画が荒れていましたが、それがかえって不穏さを掻き立てていて色々印象深い第10話でした。
それにしても後2話でどうやって終わらせるのだろうか…。
ラストで倒れ伏したガウマがアップにされたということは、5000年前から続く因縁が関係してくるのでしょうかね。
後、発生源ばら撒いた黒幕って誰なんだ(笑)
双葉じゃないなら、もうわからない(笑)
男の手っぽかったら男性だと思うんですけど…。
ここまで来ると過去をひた隠しにしているうえに謎が多いガウマというとんでも説も出してみたくなりますね(笑)
とりあえず次回に期待です。
▼ダイナゼノンの記事はこちらにまとめてあります
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コメント
ナイトはアカネの事で心残りはあったけど、そこに捕われてはいなかった気がします
蓬が来なくても、その内、自力で現実に戻ったのではないかと思います
シズムは前作で言うところのアカネに近い立ち位置なんじゃないかと疑ってます
今までの発言からして怪獣優生思想の中で彼だけが何か特別な事情を知ってるとしか思えないです
ただアカネと違ってシズムは怪獣の発生源では無く、怪獣を発生させてるのは何者かがばらまいた怪獣の因子(?)と人々の思い
もしかしたら怪獣優生思想が現代に甦ったのはシズムと黒幕の力かもしれないですね
名無しさんコメントありがとうございます!
>ナイトはアカネの事で心残りはあったけど、そこに捕われてはいなかった気がします
うーん、そこに関しては解釈違いになっちゃいますね。
確かに「余計なことを」という台詞があったことから、ナイトは自力で脱出でき得る状態だったと考えられます。
ただ、ダイナソルジャーに触れたとはいえ、蓬が真っ先に覚醒したのに対してナイトの脱出が遅すぎる点は気になるところです。
これまでのナイトの行動はわりと「考えるより先に手が動く」という傾向が強く、なおかつ彼は迷いなく戦えるタイプです。
そんなナイトが前作の第3話~第10話と結構長めの時間が経過していても脱出していない点は個人的に違和感を覚えました。
アカネに対面した瞬間、現状の違和感に気づいていそうな様子だったにも関わらず食事を始めたところや、アレクシス・ケリヴに右目を斬られるところまで再体験していたところを見ると、それなりに過去に囚われていたと捉えた方がよいのではないかと感じます。
まぁどちらかというと暦のようにどっぷり浸かっていたというより、「脱出できたけどしようとしなかった」という感じが適切ですかね。
いずれにせよ、自分の過去を真っ先に振り切って仲間を助けに行った蓬と比べると、囚われている度合いはナイトの方が高いと思います。
余談ですが、確証はありませんが、個人的にナイトが「脱出しようとしなかった」のはもしかしたらアカネが去る場面までを体験したかったのではないかと思ったりしました。
アカネが去る未来は変えられない(変えるべきではない)とわかりつつ、アカネとちゃんと別れたかったから、あえてアレクシス・ケリヴに右目を斬られるルートを進んでいたのかもしれません。
まぁロマンが過ぎる解釈ですけど(笑)
>今までの発言からして怪獣優生思想の中で彼だけが何か特別な事情を知ってるとしか思えないです
全く同感です。
元々シズムは他のメンバーと少し違う雰囲気を漂わせていましたが、第10話にしてそれが確定的に顕著になりましたね。
>もしかしたら怪獣優生思想が現代に甦ったのはシズムと黒幕の力かもしれないですね
確かにその可能性は考えました。
実際、シズムだけ明確に最期が描かれていませんし、彼が復活に関わっていても不思議ではありません。
まぁ5000年もの歳月をどうやって過ごしていたかが気になりますが…そこはどうにかなるでしょう(笑)
また、名無しさんのコメントにあった「アカネに近い立ち位置」という指摘は興味深いですね。
確かに発生源をばら撒いた黒幕とシズムがセットだった場合、その関係性はアレクシス・ケリヴとアカネの関係に近しいものがあります。
加えて個人的に面白いのが、アカネの怪獣を使う動機を「自由にやれる都合の良い世界を維持するため」と捉えた場合、シズムは全く真逆のスタンスを取っている気がします。
今回登場した無差別に怪獣使いでさえも取り込んでしまう怪獣をシズムが理想と見ていたのなら、彼のスタンスは「自由になるために世界を壊す」という感じのような気がします。
…っていうか、これを書いててなんとなく思ったのですが、シズムとアカネが近い立ち位置なら、いっそのことシズムが彼女同様「現実世界から来た人間」ということはあり得るのかな…。
何の確証もないうえに、双葉=黒幕を外しているので当てずっぽうという指摘は否定できないのですが(笑)
個人的には香乃の件はいくつかの部分で納得しきれない部分も感じなくはないんですが、知恵の輪が解かれてる以上、あの話はあそこで終わりっぽいので、そう言うことなんですかねぇ
そして残り二話程度……、グリッドマンのアカネとアレクシスが嘘のように黒幕が全く見えてこないですよねぇ
捻りなしでかつ登場済みのメンツから考えると怪しいのはシズムではあるんですが
(今回の描写から他のメンツと違って死んでない可能性、「怪獣も無限じゃない」「本当の怪獣使いは眠らない」などの意味深な発言など事情を知っている可能性など
しかしどうにもしっくりこない。ここまで引っ張ったからには意外性のある選択を出してくるだろうとも思いますしね
暦に関しては一つ思ったことがあって、
彼の夢の中でお札が散らばったことが少し気になります。「そうするべきだった」と後悔してるとしたら、実際はそうしなかった事になるわけで
「一生遊んで暮らせるお金」という直前の言葉と合わせると、もしかして本来の暦はあのお金を稲森さんにバレないようにこっそり着服していて、だからあの引きこもり生活が成立しているのかな、と
稲森さんに仕事してる風なことを言ったのも、引きこもりがバレたくない以上に、引きこもり生活が成立している事情を探られたくなかったんじゃ? とかね
ただそれにしては稲森さんに近づきすぎなんですよね、もっと後ろめたく思っても不思議じゃないので。
いずれにしても暦に関しては南さんと違って今回でブレイクスルーって風ではないので、この先二話で動きがある可能性もあるのかな、と
そしてちせちゃんもまだ全然ブレイクスルーできてませんからね、ゴルドバーン裏切り展開があるのか。ただ、それにしては完全合体にガッツリ組み込まれてるのがなぁ。
後二話しかないのに、暦とにせとガウマの問題が残ってるって、ヤバすぎるな……
それとも勘違いで暦はあれでブレイクスルー描写のつもりなのか……、しっくり来ないのは私だけなんですかね
電撃のmoonlightさんコメントありがとうございます!
>個人的には香乃の件はいくつかの部分で納得しきれない部分も感じなくはないんですが、知恵の輪が解かれてる以上、あの話はあそこで終わりっぽいので、そう言うことなんですかねぇ
確かに香乃はなんやかんやで過去の全貌が明らかにされているわけではないので、不完全燃焼感は否めませんね。
スピンオフやボイスドラマ、設定資料集等で補完する可能性は高いですけど、少なくとも本編で描くのはあの範囲までのようです。
正直僕もモヤモヤがないわけではないですけど(笑)、夢芽が「事故でも自害でも関係ない」「命を落としてほしくなかった」みたいな発言にシークエンスの意図が集約されている感じがします。
恐らく夢芽にとって重要なのは分かり合えないまま香乃と別れてしまったことでしょう(香乃の事故が事故だったからこそ成立している感は否めませんが)。
個人的にはそれを対話を通じて解消できたからこそ、知恵の輪が解かれたと思っています。
他方で、そもそも今作の「個人の事情の全貌を開示しない」というスタンスは前作から通底されている印象があります。
現実世界でのアカネがラストの一幕を除いて、一切描写されないことがいい例ですね(ボイスドラマ等で補完されているかもしれませんが)
今作のキャラクターの描写においても、訓練に参加しない蓬をガウマが問い詰めなかったり、逆に混乱する夢芽をシズムが必要以上にツッコまなかったり(逆に蓬はツッコんでしまったり)と、個人の事情の全貌を無理に開示させるような距離感に否定的な印象があります。
しかし、だからといって前作も今作も過剰に距離感を取り合うことを推奨しているわけではありません。
僕は今作において(前作においても)重要なのは、個人の事情の全貌を把握して介入し合うことではなく、「個人が自分の抱えている事情のために発露した感情を、自分のことのように受け止められる誰か(他人)とのつながり」だと思っています。
どんなに大切な人でも無理に事情を共有することが叶わないことがある。
だけど、「自分が知らないこと」を抱えているとわかっていても相手を自分のことのように大切にできる。
今作が蓬と夢芽で、香乃と夢芽で提示したのはそういったメッセージではないでしょうか。
…と長々と高説しましたが、残り2話で香乃の新たな情報が出てこないとも限らないので、あくまで現時点の解釈だと、予防線は張っておきます(笑)
>そして残り二話程度……、グリッドマンのアカネとアレクシスが嘘のように黒幕が全く見えてこないですよねぇ
仰る通り、僕も黒幕が全く見えていないことが不安なんですよね。
最初から黒幕が出てきていた前作と対照的にやろうとしている印象ですけど、ここまで引っ張られると一周回って不安が駆り立てられてしまう(笑)
別の方のコメントで返信したように、現在は順当にいけばシズムがアカネ的なポジションの黒幕になりそうな気はしますが、発生源をばら撒いた黒幕に関しては正直全くといっていいほど予想できていない(笑)
第1話冒頭の描写から男性とは思っているんですが…。
意外性に期するなら、妙に謎が引っ張られているガウマとかしか思いつきません(笑)
>「一生遊んで暮らせるお金」という直前の言葉と合わせると、もしかして本来の暦はあのお金を稲森さんにバレないようにこっそり着服していて、だからあの引きこもり生活が成立しているのかな、と
面白い指摘ですね。
確かに暦が引きこもりになった経緯はまだ不明ですし、年齢が30を超えている以上、資金源がなければ無職なんて続けられるものではありません。
それに稲本さんとの駆け落ちを断り、私欲でお金だけを取っていくという構図は暦の後ろめたさにつながっているという解釈も興味深いですね。
ただ、仰る通りそれにしては稲本さんに近づき過ぎなのは何とも言えないところ。
「再会を機に謝罪しようと考えている」といえなくもないですが、だとしたら第7話のラストはガチャ切りじゃなくて謝罪になると思います。
そう考えると暦には違う事情がありそうな感じですが…予想されているように暦は足の傷の件もあるので、完全に彼自身のエピソードが終わっていない予感はあります。
残り2話で動きがある可能性は十分にあるでしょう。
>そしてちせちゃんもまだ全然ブレイクスルーできてませんからね、ゴルドバーン裏切り展開があるのか。ただ、それにしては完全合体にガッツリ組み込まれてるのがなぁ。
ちせに関しては第9話の記事でも述べたように、夕トゥーの件をどうするかがブレイクスルーにつながるかと思っています。
「ガウマ隊で何もできていない」と気持ち自体はゴルドバーンの登場でブレイクスルーはできているでしょうけど、彼女自身の問題をどうするかはこの先に期待ですね。
それにしても、仰る通り残り2話でどこまでやれるのか(笑)
劇場版に持ち越しとかはやめてほしいなぁ…。