皆々様こんにちは。
『SSSS.DYNAZENON(以下『ダイナゼノン』)』担当のgatoです。
前回は無差別に対象を取り込み、過去を追体験させる怪獣(ガルニクス)の出現で蓬達が大ピンチに。
しかし、蓬の大活躍で過去の世界から脱出したガウマ隊は怪獣を無事に倒しました。
色々不穏な結末も垣間見えたエピソードでしたが、今回はこれまでとは一味違うエピソードが展開されます。
一体どんな内容だったのか、早速振り返ってみましょう。
目次
果たせぬ願いって、なに?
今回はいきなり総括から初めて見ましょう。
今回のエピソードは怪獣の出現が完全に止まり、ガウマ隊や怪獣優生思想に平和な日常が舞い戻ってしまうというものでした。
このエピソードで個人的に感じたのが、彼らの過ごす日常には「何かが満たされない」というものでした。
最もそれが顕著だったのが怪獣優生思想の面々でしょう。
これまで怪獣を操って戦うことを生業にしてきた彼らにとって、怪獣のいない日常は未知に等しいものです。
そのため、今回の彼らは怪獣を通じて果たそうとしていたそれぞれの願い(想い)の行き場を見つけられないでいる印象でした。
反面、日常を取り戻し、それぞれ一歩進み始めたガウマ隊の面々ですが、彼らの日常も決して平穏一色というわけではありません。
後述するようにガウマの不調や登校できないちせなど、彼らの間にもまだ解決すべき事柄が残っています。
そして何よりも、怪獣がいなくなったことでダイナゼノンという力の行き場が見えなくなっているわけです。
結局、蓬、夢芽、暦は所有していたパーツをガウマに返しましたが、戦いを終えて大団円…という雰囲気ではありませんでした。
実際、夢芽は「やっぱりどこかで怪獣と戦いたいと思っているんじゃないの?」という台詞を思い返しています。
これらを踏まえると、怪獣の不在によって様々な事柄が不完全燃焼になっていることが浮き彫りになっているとわかります。
だから今回描かれた日常は単純な平穏ではなく、色々と悶々とする「日常」と捉えられるでしょう。
さて、それぞれの「日常」については後ほど掘り下げるとして、個人的に気になったのが「怪獣が不在」という事態そのものです。
今作は怪獣の発生源をばら撒いた黒幕が示唆されていますが、10体出てきたら終わるというのは何とも半端な感じがします。
冒頭の台詞を拾うと、怪獣が出現していないのは「怪獣の種は全てタヒに絶えた」(シズム)ということ。
シズムの口ぶりからすると、ガルニクスの能力で情動を活性化させ、大量に怪獣を出現させる…みたいな狙いがあったような感じですが、そもそも発生源が全てダメになっていた模様です。
だとしたら、作中の世界…少なくともフジヨキ台には怪獣を育てる情動がすでになくなっていた…みたいな捉え方ができそうですね。
これだけいうと既に怪獣優生思想も黒幕も目論見に失敗しているようですが…ラストを見ると何ともいえないところです。
夢芽逡巡
香乃の一件が一段落したことで、夢芽にも穏やかな生活が戻ってきましたね。
約束は破らない
前半の夢芽はかつて約束を破った2年生の先輩に謝罪するなど、第1話とは打って変わって誠実な性格になっていました。
香乃の一件が片付き、蓬と交流を重ねたことが大きく影響していることが窺えます。
何より鳴衣の前でしか見せなかった笑顔を蓬やガウマの前でもよく見せるようになり、性格も明るくなっていました。
最初の気だるげな夢芽も嫌いじゃないですけど、色々乗り越えたことで本来のパーソナリティを取り戻したようですね。
ところで、鳴衣と夢芽の会話で「学祭」というワードが出てきました。
前作の学祭はアカネが自信を喪失するイベントになっていましたが…今回はどんなことになるのかが気がかりです。
家族と知恵の輪
中盤から後半にかけては、夢芽の家族とのやり取りや蓬との墓参りが描かれました。
夢芽の両親は香乃の事故がきっかけで険悪になっていましたが、墓参りに行くと言う夢芽に両親が揃って心配するような反応をしたのは面白かったですね。
とりわけ団らんそっちのけでテレビを見ていた夢芽の父がわざわざテレビを消して「車を出そうか」というシークエンスは印象的でした。
ここから、夢芽の両親が共に娘のことを想っていたことが窺えます。
香乃の夭折は南一家に暗い影を落とし、関係性もギクシャクさせましたが、それでも娘への想いを共通して持っている…。
第1話では危うげな印象が強かった2人ですが、回復できる余地が十分にあるとわかってホッとしました。
墓参りの場面は蓬のタームでも詳しく掘り下げますが、個人的に印象深かったのが夢芽が香乃の知恵の輪を元に戻したうえで持っていたことでした。
前回で知恵の輪が解けたので、てっきりそのままかと思っていましたが、つながっているのもそれはそれでよし。
これまでは解消されない香乃との蟠りを象徴していましたが、今は知恵の輪として再び結ばれることで、香乃とつながりをまだ残していることを示しているような気がします。
蓬告白
今回は別の意味で主人公ぶりを見せつけてくれた蓬。
いやーよもゆめ尊い(笑)
家族団らん
夢芽と同様、蓬も家族とのやり取りが描かれました。
蓬が夢芽との墓参りを理由に、母と上条との食事を断る場面では、これまで黙りこくっていた祖母が助け舟を出すという意外な場面が見られました。
なんやかんやで孫想いな一面が窺えます。
第1話の記事でボケているかもとか色々いってごめん…。
また、個人的に蓬が上条との食事を明るい調子で断れるようになったことに彼の前進を感じました。
これまでの蓬は母を気遣うあまり、上条への感情を抑圧して無理に食事に参加していた印象でした。
ただ、今回の蓬の断り方を見ると、上条への屈託が幾分軽くなった感じがします。
母に気兼ねなく、自分のやりたいことをし、自分の意思を示せるようになったことを示していると思いましたね。
また、あの場面で祖母が助け舟を出したのは蓬の気持ちを理解していたからといえるかもしれません。
そう考えると、蓬の理解者がちゃんと身近にいるという点で、麻中家も蓬にとって良い居場所になりそうですね。
「好きです」
今回のクライマックスといえば、やっぱり蓬の告白!
残念ながらシズムの登場で夢芽の返事は聞けず仕舞いでしたが…きっとうまくいくさ、頑張れ蓬!(笑)
さて、蓬と夢芽の関係性がここまで深まったことを改めて実感した場面でしたが、個人的に重視したいのは墓参りの時の2人のやり取りです。
2人はお互いの家族について語り合いますが、ここで蓬は初めて上条の話をしています。
蓬が上条のことを抑圧していることは第3話の記事でも色々触れました。
思えば、母親のこともあって、蓬は誰にも上条のことを相談できていなかったでしょう。
しかし、夢芽の前で蓬は初めて上条のことを語り、さらに本音も明かしています。
これまでの抑圧的な蓬と比べる、かなり大きな前進といえるでしょう。
また、あの場面は蓬が夢芽の本音や苦悩を聞いたように、夢芽もまた蓬の本音や苦悩を聞くことにより、互いが互いの事情を親身に相談し合う間柄になったことも示していました。
これは同時にお互いがお互いを「他人」と思わない…そんな関係にステップアップしたことを示唆しているのではないでしょうか。
暦就活
ある意味、今回のエピソードでかなり前進したといえるのが暦でしょう。
なんと、まさかの就活開始!
前回の過去の追体験では未練たらたらな雰囲気を漂わせていた暦ですが、なんやかんやでちゃんと前進しているようです。
そんな彼ですが、今回履歴書から過去の片鱗が窺えました
どうやら暦は平成16年1月に大学を中退、それから半年後の7月にアルバイトとして「天然酵母パンの家」にアルバイトとして入社するも、4ケ月後には退職しています。
つまり暦は大体18~19歳から15年に渡って無職の引きこもりをやっていたわけです。
大学を1年足らずで中退している段階でそれなりの事情があったことが窺えます。
うーん、馴染めなかったのか、いじめがあったのか、はたまた別の事情があったのかは不明ですが…てっきり就職してから引きこもりになったと思っていたので、ちょっと意外な展開ですね。
ただ、「学校を辞めている」という点があるからこそ、ちせが彼に懐いていると思いました。
学校を辞めたり引きこもりになったりしても、ちせが甘えるのを許してくれるくらいには心の余裕を残している暦は、ちせから見たら同じ痛みを知る、頼れる存在に映るでしょうしね。
というか、暦って実家暮らしで、母親も同居していたんだ…。
息子の引きこもりに加え、そこにちせが出入りしているのを許しているって、意外と暦の家族もおおらかな人達なのかな(笑)
後、暦の女性問題(笑)。
稲本さんに関しては全く触れず仕舞いでしたが、ムジナに関しては再会していました。
「暦が憎い」と言い放つムジナに対し、暦は彼女の行いは仕方のないことだったと割り切っている感じでした。
暦自身は怪獣との戦いを終えてもどこかスッキリしていないようでしたが、敵愾心を乗り越えるなど器は大きくなっている印象です。
後はムジナ次第というわけですが…まさかのこよムジ継続でしょうかね。
ところで、前回の記事でも触れた暦の足の傷ですが、バッチリ残っていました。
しかし、前回の時間遡行で世界が変わったような描写はなし。
いささか拍子抜けですが…シズムの台詞から察するガルニクスは時間も空間も破壊する能力を持っているようなので、本当に時間遡行した可能性の方が高そうなんですよね。
これは稲本さんとの再会に期待だな…。
ちせ葛藤
ドン引きしながらも就活する暦に触発されたのか、ちせも学校に登校しようと努力している場面が描かれました。
制服を着て校門の前にまで行ったのは良かったものの…残念ながら中に入ることは叶わず。
おまけに別れを伝えに来たナイトと2代目からゴルドバーンをいずれ連れていくと言われた際は、世間の正しさを認めながらも思わず感情的になって走り去ってしまいました。
「学校に通う」という「正しいこと」ができないことに苦しんでいるうえに(ちせは悪くないと思いますけども)、その「正しいこと」のためにゴルドバーンがいなくなるというのはなかなかキツイものです。
また彼女の口ぶりから察するに、暦やゴルドバーンといった心の拠り所がいなくなることが何より辛いのでしょう。
いかんせん賢いために、拠り所から離れる時がくること、離れなければならないことがわかっていることが、ちせをより苦しめてしまっているのでしょうね。
ある意味、「怪獣の不在」に最も苦しんでいるのはちせといえるかもしれません。
グリッドナイト同盟出立
怪獣の出現が止まったということでナイトと2代目はフジヨキ台から出て行くことになりましたが、ここには色々重要な示唆がありましたね。
まずナイトと2代目はちせに別れと、ゴルドバーンを連れていくことを告げますが、その際に「怪獣がいない世の中の方がきっと正しい」といっています。
2人の経歴を知っている側からすると、結構胸に刺さる言葉ですね…。
「きっと」という辺りにまだ迷いがあるようですが、そもそも怪獣である(あった)ナイトと2代目が「怪獣がいない世の中=正しい世の中」を実現するために動いているのなら、自ら居場所を失くし続けていると捉えることもできます。
もちろん心のある「怪獣」であるナイトや2代目をこれまで登場した怪獣と同一視すべきではありませんが、例え「怪獣」でも世界に過剰な影響を与える以上、世界に留まるべきではないという理屈なんでしょうかね。
うーん、この理屈でいくと、ナイトと2代目がツツジ台にいられなくなった的なエピソードもあり得るんだよなぁ…。
ただ、感情的になって走り去ったちせに対し、ナイトも2代目も何も言えなかったのを見ると、世界を股にかけるヒーローというより、居場所を失くして彷徨う旅人に見えてくるんですよね。
第9話の記事でヒーローの誕生みたいなことについて色々触れましたが、今回のエピソードを見ているとヒーローより「怪獣」の方が重大な感じがしますね。
確かに怪獣は倒されなければならないが、心を持った「怪獣」の居場所や、怪獣と関わってしまった人々の想いはどうすべきなのか。
そんなテーマが隠れているような気がします。
ただ、個人的にこれを打破する術はあると思うんですよね。
前作『SSSS.GRIDMAN』の最終回で、グリッドマンはグリッドフィクサービームで世界を修復し、怪獣がいらない世界を作りました。
しかしアンチや2代目(先代も)といった「怪獣」は消えていませんでした。
つまりグリッドマンが修復し、守り抜いた世界に彼ら「怪獣」はいてもよいのだと示唆されています。
これをどうロジックに持っていくかが、ナイトや2代目の抱える苦悩の解決の糸口になるかもしれませんね。
怪獣優生思想解散
怪獣が出現しなくなったことにより、怪獣優生思想は実質的に敗北するという結果に。
その状況において、ジュウガ達がどんなことをしたのか、順番に振り返ってみましょう。
ジュウガ模索
怪獣優生思想が実質的に敗北した中で、個人的に印象深かったのがジュウガの言動です。
ジュウガは怪獣優生思想が敗北した状況でも、「怪獣の世界のためにできること」を探そうとしていました。
人間を全滅させることに執着するオニジャや、元々目的がなかったムジナと比べると、ジュウガは明確に怪獣にこだわっていることがわかります。
また、ジュウガはガウマと対面し、敗北宣言をする一方、これまでの行いへの怒りを爆発させたガウマに殴りつけられても「昔から悲しくなるほど痛くない」と告げていました。
そもそもジュウガは過去の描写でもガウマとは良好な間柄だったことが窺えますが、これまでの言動から察するに、どうやら怪獣とは別にガウマとの間にある問題の解決も、彼の中で大きなウェイトを占めているようです。
「痛くない」なんて皮肉めいた言い方をする辺り、ジュウガにとって、ガウマが敵対していること自体が納得できていないようですね。
これまでエピソードを踏まえて予測すると、恐らく怪獣のために人を捨ててまで生きるべきである怪獣使いの道を選んだにも関わらず、ガウマが姫と恋仲に落ちることで人間の道を選んだことが、ジュウガにとって最大の不満ではないでしょうか。
怪獣を通じて世界を変えようとしているジュウガにとって色恋でその道をあっさり捨てたガウマは理解しがたく、そして自分達を貶めた連中(恐らく姫を含む)の味方についたことで許せなくなった…みたいな感じ。
もしかしたら、ジュウガの敗北した状況でも怪獣にこだわる姿勢は、怪獣使いとしての在り方に反したガウマへの不満の反動かもしれませんね。
ちなみに、余談ですけどガウマに殴られた際のジュウガの眼鏡の割れ方、ヒビの形は違えどアカネの眼鏡に似ていたなぁ…。
オニジャ逮捕
ある意味一番大胆かつ意外な行動をしたのはオニジャでしょう。
人間を滅ぼすことに固執する彼は怪獣がいなくなっても諦めず、なんと警官から拳銃を強奪しようとします。
結局失敗して逮捕されていますが、もし成功していたらオニジャは無差別に人を撃っていたかも…そう考えるとゾッとしますね。
そんなオニジャの憎しみの根源ですが、恐らく5000年前に人間に滅ぼされかけたことに端を発している予感がします。
利用するだけ利用して滅ぼそうとされたら、そりゃ恨みもしますわな…。
他方で、オニジャは怪獣がいなくなり、怪獣優生思想が敗北した中でも全く目的がブレておらず、むしろ怪獣抜きで目的を達成しようとしていました。
そう考えると、オニジャの怪獣への依存度は他のメンバーより低いといえそうですね。
ムジナ晩酌
元々明確な目的を持っていないにも関わらず、第6話から豹変したムジナですが、彼女の行動はジュウガやオニジャとは一味違う感じでしたね。
ムジナは暦に「憎い」と告げた後、一人で晩酌していましたが、怪獣がいなくなっても個々に目的を果たそうとしていたジュウガ・オニジャと比べると、彼女は純粋にやることを見失っている印象があります。
そもそもムジナはブルバインと接続してから豹変し、オニジャとの絆も深めていました。
つまり怪獣がいたからこそムジナは豹変できたわけで、その怪獣がいなくなれば誰よりも目的を見失うことは当然といえるでしょう。
そう考えると、ある意味ムジナは怪獣ありきで成立する怪獣使いに一番マッチしているかもしれません。
他方で、個人的にムジナの目的の喪失は5000年前の段階で始まっていたのではないかと思いました。
5000年前のムジナは姫の視察を控えてガウマに「みっともない真似しないでよ」というなど、仕事に幾分真面目な印象がありました。
クールな雰囲気でしたが、第6話以前のやる気のないムジナとはちょっと印象が違いましたね。
もしかしたら、ガウマが裏切って怪獣優生思想が全滅した段階で、ムジナは怪獣使いとしての目的を見失ったのではないでしょうか。
それがやる気のなさに現れているみたいな…。
まぁ、ムジナが目的を見失った経緯が何にせよ、暦を憎く感じてしまうのは、彼が前進していることが原因の気がします。
何もない=目的がないことに悩んでいたムジナにとって、今回のような目的の喪失は辛いものですが、同じく何もなかった暦が戦いに勝利し、さらに現状を変えるために前進しようとしている。
第6話でムジナについて色々掘り下げてみましたが、やっぱりムジナは暦にシンパシーを感じていたのでしょう。
だからこそ「何もない状況」を脱した暦に憎しみを覚えていたのかもしれません
もっとも、その憎しみは羨望と焦燥の裏返しでしょうけども。
うーん、敵対関係だったから仕方ないとはいえ、シンパシーを感じ会っていたムジナと暦は出会い方さえ変われば、もっといい関係になったかもしれませんね。
お互いがお互いに共感できるからこそ敵対できてしまえるという、そして敵対できることを許せるというのは、なかなか辛いモノです。
また、チームとしてまとまりつつあった怪獣優生思想が解散状態になったのは、ムジナと同じ原理が働いたからかもしれません。
ムジナの目的のように、怪獣優生思想の絆もまた怪獣ありきで成立していたことが窺えます。
ある意味、彼らがチームとしてつながれるかどうかは、これからにかかっているといえるかもしれませんね。
シズム変身
これまでの言動から黒幕の一人じゃないかと囁かれているシズムですが、今回はなんと怪獣に変身するという驚愕の展開に。
第7話の記事で何となしにした発言がここにきて当たるとは…。
自ら怪獣に変身するという事象は経緯こそ違えど、アカネにそっくりでしたね。
別の記事でシズムとアカネを結びつけるコメントがありましたが、まさにその通りだったわけです。
ただ、気になる点がシズムの怪獣の育て方です。
シズムは自らに宿していた怪獣に蓬や夢芽から得た情動を食わせて育てていましたが、これは裏を返すとシズム自身に怪獣を育てる情動がないということ示している気もします。
ただ、これはシズムがというより、怪獣使いであることが要因かもしれません。
つまり怪獣使いが行き着く先が怪獣(心がない)であるなら、怪獣使いには心=情動がないということが成立しますからね。
だとしたら、シズムは怪獣優生思想の中でも最も怪獣使いとして進化していた存在といえそうです。
ガウマ衰弱
順番が前後した感じもしますが、ここでは今回のガウマについてまとめてみましょう。
再会は叶わず
恐らく「果たせぬ願い」に一番該当するのはガウマでしょう。
5000年の時を経て復活したのはガウマ達怪獣使いのみである以上、怪獣使いではなかった姫は復活しない。
つまりガウマが願っていた想い人との再会はないというわけです。
おまけに姫はガウマの後を追って自ら命を絶ったことが明らかになりました。
結構ガウマにとっては辛すぎる状況ですよね…。
ただ、気になる点がちらほら。
それはやっぱり命を落とした後のことをガウマに伝えた謎の声でしょう。
声音からして年端の行かない少女のようですが、あの責め立てる言い方からするに姫の関係者でしょう。
まぁこの辺りは原作ネタが大いに絡んでいるようですが(実際ミイラも出てきましたし)、だとしたら色々勘繰ってしまいます。
そもそも故人のガウマに話しかけられるってだけで色々おかしいうえに、ガウマが記憶を飛ばしているせいで誰だかわからないという意味深な隠し方。
それにガウマが怪獣の力で復活したミイラであるなら、怪獣の力、ひいては怪獣使いは故人に何らかの干渉ができるということ。
だとしたら、故人のガウマに情報を伝えた声の主は怪獣使いの可能性が高いのではないでしょうか。
ここにきた重要な人物の登場ですね…まさか黒幕じゃなかろうか…(第1話の手は男性っぽかったけど笑)
それに姫がガウマはダイナゼノンは姫にもらったといっていましたが、ダイナゼノンは抗体であると同時に、「怪獣もどき」といわれるなど怪獣に近しい存在であることが何度も指摘されています。
だとしたら、怪獣使いじゃない姫は本当にダイナゼノンを持っていたのでしょうか?
いや、まぁダイナゼノンが怪獣と似て非なるものだといわれればそれまでですけども(笑)
拡がる傷
前回の記事でも触れたガウマの背中の傷ですが、今回はそれがガウマの全身に広がり、さらに彼を衰弱させていることが明らかになりました。
恐らくあれは、ガウマを復活させた怪獣の力が顕現したものでしょう。
そしてシズムの台詞から察するに、怪獣使いでなくなったために、ガウマは怪獣の力に耐えきれずに弱っていった…といった具合でしょうか。
だとしたらガウマはすでに余命いくばくもない状態というわけですが…一体どうなってしまうのか。
ところで、最近適当にYouTubeを漁っていた時に閃いたんですけど、「怪獣使い」の元ネタって『帰ってきたウルトラマン』の『怪獣使いと少年』かもしれないと感じました。
いや、原作の『電光超人グリッドマン』だと「竜使い」なのに、どうして「怪獣使い」にしたのかな?と思ったのが発端ですけど、微妙に共通点があるんですよね。
『怪獣使いと少年』はかなり陰鬱なエピソードですが、舞台が河川敷なうえに、登場する少年とメイツ星人(怪獣使い?)はホームレス同然の生活をしているという点はガウマと重なります。
それにメイツ星人が公害の影響でひどく衰弱しているという設定も、今回のガウマに近しいものがあります。
…といいつつも、正直共通点はこれくらいしかないんですけど(笑)
まぁ蓬とガウマを良とメルツ星人にこじつけられなくはないけど、ちょっと無理があるか(笑)
ただ、前作でもウルトラマンネタはちょこちょこ出てきていたので、今作で多少のオマージュがあっても不思議はないと思うのです。
愛と人間と怪獣使い
改めて今回のエピソードを元に、怪獣使いという存在を振り返ってみましょう。
ラストのシズムの発言を真に受けるなら、怪獣使いは理を反する存在であり、怪獣とつながっている限り人間でなくなることが窺えます。
だけどガウマは人に戻った。
その理由をシズムは「蓬と夢芽」と同じと言っていましたが、恐らくそれは「愛」でしょう。
シズムの過去の発言を踏まえるなら、恐らく怪獣使い(不自由の原因)は他人を認めず、己のために怪獣を駆使して自由を追求する存在です。
それならば他人の存在を認め、自分のことのように想う情動である愛は怪獣使いの在り方と相反することになります。
ここから、作中において「愛」はかなり重要な意味を持っていることになりますね。
後、シズムがいっていることが事実なら、蓬と夢芽はすでに「愛」を持っていることになりますね(夢芽の場合は香乃への愛の可能性もあるけど笑)
『ダイナゼノン』第11話感想
個人的に今回は色々面白かったなー。
でも後1話でどう片付けるのかな(笑)
このままだとラスボスはシズムってことになりそうですけども…。
うーん、期待と不安が半々(笑)
何はともあれ、最終話、見届けていきましょう!
▼ダイナゼノンの記事はこちらにまとめてあります
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コメント
>ところで、最近適当にYouTubeを漁っていた時に閃いたんですけど、「怪獣使い」の元ネタって『帰ってきたウルトラマン』の『怪獣使いと少年』かもしれないと感じました。
>いや、原作の『電光超人グリッドマン』だと「竜使い」なのに、どうして「怪獣使い」にしたのかな?と思ったのが発端ですけど、微妙に共通点があるんですよね。
ボイスドラマによると、5000年前、ガウマたちは他国から「竜を操る一族」と呼ばれていた「怪獣使い」だったそうです
そして電光超人グリッドマンでの伝承と10話でのガウマとジュウガとの会話から、
「怪獣使いたちは国に仕え、国を守ったが、国は怪獣使いを恐れて彼らを毒殺しようとしし、それは失敗するも、国に反旗を翻した他の怪獣使いたちと姫を守ろうとしたガウマが相打ちになって共倒れした」というのが5000年前の真実だと思われます
なお「怪獣使いと少年」のメイツ星人は怪獣ムルチを封印し地球人の佐久間少年と心を通わせるも、宇宙人を過剰に恐れ(あの世界の地球には侵略目的で来る宇宙人が多いので仕方ない面もあるとはいえ)暴走し暴徒となった一部の地球人から、佐久間少年を庇って死亡したわけですが、
これは国を守りながらも国に恐れられ排除されそうになった「怪獣使い」たち、それでもあくまで愛する姫を守るために同胞だった他の「怪獣使い」と戦って死んだガウマに似ています
>声音からして年端の行かない少女のようですが、あの責め立てる言い方からするに姫の関係者でしょう。
あれは特撮の電光超人グリッドマンのヒロインの井上 ゆかの声です(当時の音声をそのまま使ってます)
責めてたのではなく、姫を求めて暴れ、自分を姫と勘違いして迫るミイラに必死に真実を訴えてたんです
ゆかの訴えによって真実を知ったミイラは泣きながら元の屍に戻りました
つまりガウマは電光超人グリッドマンの「竜使いのミイラ」を元ネタにしたキャラではなく、「竜使いのミイラ」本人だったと判明しました
ガウマが生き返ったのは2度目だったわけです(1度目はミイラのまま彷徨い暴れる半端な復活で、記憶も曖昧のようですが)
そしてガウマらしきミイラが消えていたという話から、ダイナゼノンの舞台は現実世界の可能性が高くなりました(ミイラの画像は特撮の「竜使いのミイラ」の画像をそのまま使ってます)
>だとしたら、怪獣使いじゃない姫は本当にダイナゼノンを持っていたのでしょうか?
そもそも姫はいつダイナゼノンをガウマに託したのかという問題があります
ガウマの死は国による怪獣使いの排斥とその結果の他の怪獣使いたちとの対立、相打ちによる突発的なモノです
そして怪獣使いたちがダイナゼノンを知らなかったのだから、5000年前の戦いでダイナゼノンが登場していたとは考えにくいです
電光超人グリッドマンによると、ガウマの死を悲しんだ姫は副葬品として竜の彫像を作って棺へと納め、後を追うように自ら命を絶ったそうです。
この副葬品がダイナゼノンの可能性もありますが、少なくともグリッドマンではただの精巧な彫像です
この副葬品にインスパイアされた馬場一平がドラゴニックキャノンを開発、これによってミイラを操っていた怪獣が倒されました
なおドラコニックキャノンはダイナキャノンにそっくりで、ダイナゼノンにそっくりのダイナドラゴンの合体パーツの一つです
名無しさんコメントありがとうございます!
>これは国を守りながらも国に恐れられ排除されそうになった「怪獣使い」たち、それでもあくまで愛する姫を守るために同胞だった他の「怪獣使い」と戦って死んだガウマに似ています
『怪獣使いと少年』を見たのが大分昔だったので、補足説明感謝です。
5000年前の戦い自体は仰る通りの解釈だと思います。
それを踏まえると恐れから国に弾圧された怪獣使いと、偏見から弾圧された宇宙人(メイツ星人)は重ねられそうですね。
>あれは特撮の電光超人グリッドマンのヒロインの井上 ゆかの声です(当時の音声をそのまま使ってます)
なるほど、見事に勘違いしましたね!(笑)
ミイラの画像といい、原作のエピソードを直接的に引用したわけですね。
>そしてガウマらしきミイラが消えていたという話から、ダイナゼノンの舞台は現実世界の可能性が高くなりました(ミイラの画像は特撮の「竜使いのミイラ」の画像をそのまま使ってます)
うーん、確かに『電光超人グリッドマン』のネタを直接的に持ってきているので、今作との関連性はかなり高いかと思います。
でも、個人的にだからといって現実世界(厳密には『電光超人グリッドマン』の世界?)と捉えるのは少し難しいんですよね…。
これまで何度も言ってきた前作を踏まえた演出的な問題もそうですが、流石に何の前触れもなく、原作がそうだったからといってナイトや2代目が現実世界に出現するのは唐突感がすごいですしね。
「色んな世界を渡り歩いてきた」と窺わせる言動との整合性も合わない感じがしますし(コンピュータ・ワールドと現実世界を同列にしていることになります)。
まぁその辺を今回は全て取っ払った…なんてこともあり得るので(これは本当にやってほしくないですけど笑)、作中の世界が現実世界である可能性がゼロとはいえないのですが…。
ただ、ガウマとアカネを重ねるという説はありだと思います。
つまりガウマが現実世界の存在であり、アカネのようにコンピュータ・ワールドにやってきた…みたいな。
原作を見ている訳ではないので迂闊なことはいえないのですが、『竜使いの伝説』で使われたコンピュータ・ワールド(考古学研究所ですかね?)が今作の舞台で、そこにガウマがやってきている…みたいな解釈は十分にあり得ると思います。
というか、このような構図であれば前作の構図を綺麗に継承しますし(アカネ=現実世界の存在×ツツジ台の面々=レプリコンボイド)。
最終的に現実世界に帰還するという流れを最終回でやるなら、アカネの結末をなぞるようでなおのこと綺麗になりますしね。
まぁここまで色々述べたところで、整合性がまだ確認できないところもありますし、色々細かいとこ放っぽり出して現実世界を舞台に据えた可能性もあるので怖いんですけど(笑)
>そもそも姫はいつダイナゼノンをガウマに託したのかという問題があります
うーん、仰るように副葬品=ダイナゼノンと直接的に結びつけるなら難しそうですね。
ただ、副葬品にインスパイアされてドラゴニックキャノンが作られたという経緯は興味深いです。
だとしたら作中でガウマがダイナゼノンを持っているのは原作のエピソードを体験していることの証になりますしね。
もしさっきの「ガウマが現実世界の存在でコンピュータ・ワールドに来ている」という仮説が正解なら、原作のエピソードを知る誰かが、副葬品を模す形でダイナゼノンをガウマに持たせたうえで、コンピュータ・ワールドに送り出した…なんて話もできますが、ここまでやると色々話がややこしくなるのでこれまでにしましょう(笑)
そう言えば前から思っていてコメントしそびれていたんですが
ガウマが姫から渡されてたものって多分本当はオープニングのラストに出てくる彫像(?)ですよね、背景がガウマの持ってずた袋と似てますし
あれが抗体によって(?)ダイナゼノンに変化してしまったとすると、元の見た目に何か意味があるんですかね
別に無理に描写する必要もないのにあえて見た目が描写されてるのを考えると、意味ありげに見えてしてしまいます
まぁ見当違いでオープニングのラストに出てくるアレは全く別のものという可能性もありますが(その場合アレがなんなのか、というのも未解決になるわけですが
電撃のmoonlightさんコメントありがとうございます!
>ガウマが姫から渡されてたものって多分本当はオープニングのラストに出てくる彫像(?)ですよね、背景がガウマの持ってずた袋と似てますし
別の方のコメントも踏まえるなら、その彫像が副葬品と思われます(実際原作でも出てきているようです)。
正直僕も現時点では原作との関連性を強調するアイテムに過ぎない印象ですが、竜=怪獣を最終回でどう捉えるかによっては意味合いが変わってくるかもしれません。
>あれが抗体によって(?)ダイナゼノンに変化してしまったとすると、元の見た目に何か意味があるんですかね
電撃のmoonlightさんの「副葬品が抗体によってダイナゼノンに変化した」というコメント、個人的には結構面白いですね…。
仮にガウマが現実世界からコンピュータ・ワールドに来た場合、その影響で副葬品が変化した…みたいな解釈が出てきそうです。
というか、姫のガウマへの想いが籠ったアイテムが怪獣に打ち勝つ術になるというのは、なかなかロマンがあって好きですね(笑)