皆さん今日は。先日京都の西洞院通を歩いて来たウロコです。
今年の祇園祭は宵々山・宵山・山鉾巡行が三連休と丸かぶりで、いつも以上の大変な混雑ぶりでした。
西洞院通には蟷螂山(とうろうやま)という山がありまして、名前の通り山の上にかまきりが乗ってるのが可愛いんです。
「賭ケグルイ」第3話には、タイムリー(?)にも西洞院という姓を名乗るキャラクターが登場。彼女のおかげで、「にしのとういんどおり」という通りの名前が読めるようになりました。
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王道学園物としての賭ケグルイ
「賭ケグルイ」も第3話ということで、徐々にストーリーの構図が見えて来ました。
「賭け事」という題材やヒロイン・蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)の狂いっぷりに目が奪われがちですが、話の構造自体はびっくりするほどの王道学園ストーリーですね。
独自のルールで生徒たちを支配する生徒会。絶対的な権力を握る生徒会長。
そして彼らに戦いを挑む転校生=主人公。
社会的な地位や立場が千差万別な大人の社会と違い、「学校」という枠の中で生徒たちは表向きは「平等」です。
(だからこそ、外の世界とは違う独自の価値観でヒエラルキーを作り、狭い世界の中で階層化したりする訳ですが)
そんな学校の中で唯一「公的」に認められた「権力」が「生徒会」であり「生徒会長」。
故に、学園物の漫画やアニメの中の彼らは、権力者としてデフォルメされ、現実にはあり得ないほどの絶対君主として学園に君臨するのです。
敵が強ければ強いほど、それに立ち向かう主人公のヒーロー性が際立つ。
「正義感」ではなく「狂気」が行動原理となっている夢子ですが、結果的には数多の「正義の学園ヒーロー」たちと同じ立ち位置で行動することになりそうですね。
そうなってくると欲しくなるのが、主人公と一緒に戦う「仲間たち」ですね。
努力・勝利・そして「友情」こそが学園物の醍醐味ですし、「生徒会」という集団に立ち向かうのに、夢子1人では多勢に無勢。
いつのまにか夢子の相方的ポジションに収まっている鈴井くんも、戦力になるには相当鍛えなくては無理そうですし(良識的に考えると、無理に戦力にならない方が良ような気もしますが)。
他には誰がいるでしょうか?
生徒会に所属していなくて、賭け事に強いキャラクターと言えば…?
夢子VS百合子
今回ストーリーの中心になったのは、生徒会役員にして伝統文化研究会会長・西洞院百合子(にしのとういん・ゆりこ)と夢子の対決。
ゲームは伝統文化研究会のオリジナルのゲーム「生かタヒか」。
ルーレットと壺振りを組み合わせたようなゲームで、壺の振り子役の生徒のキャラクターが完全に「姐さん」です。
「生かタヒか」のルール
- 剣の形をしたコマを10本ツボに入れて盤の上に振る。
- 盤には剣が刺さる穴が30ヶ所空いていて、それぞれに番号が振ってある。
- 剣がどの穴に刺さるかを予想してチップを賭ける。
-
- 剣が上向きに刺さる(束が刺さる)と判定は「生」となり、倍率が30倍となる。
- 剣が下向きに刺さる(刃が刺さる)と判定は「タヒ」となり、マイナス30倍となる。
- 壺振りの前に、あらかじめ合意で賭けるチップの枚数を決める。
- 振り子が壺を振った後、10秒以内に賭ける場所を決める(決められた数の範囲内で、チップを分散するのも可)。
- どちらかのチップが0枚になった所で終了し、勝ち金額の差額が結集金額となる。
ルール自体はシンプルですが、チップ1枚100万円&30倍とかいう無茶なレートが出てくるため、金額の計算が大変なことになっています。
西洞院百合子のイカサマと夢子の誘導
第1話が一千万。第2話が二千万。そしてこの第3話で四千万と、掛け金が倍々ゲームで増えていって、こっちの金銭感覚が麻痺しそうです。四千万円って。
ここで百合子が使ったイカサマの手段は、振り子に剣の動きをコントロールさせること。
カジノのルーレットでも、ディーラーが胴元の指示で玉の入る位置をコントロールするネタをしばしば見かけますね。
今回のケースでは、振り子は伝統文化研究会の会員、つまり百合子の部下なので、いくらでもやり様があるとは言えます。
具体的には、壺を持つ手に磁気を帯びたピアスを刺しておき、一方の剣には10本のうち1本だけ磁石を仕込んでおくというもの。
100%狙った所に刺せるというものでなくても、ゲームの性質上、自分が当たる「確率」を上げておくだけで、最終的にはほぼ確実に勝てるという訳ですね。
恐らく夢子は、百合子と早乙女芽里(さおとめ・めあり)の勝負を見ていた段階で、百合子のイカサマのアタリをつけていたのでしょう。
しかし、百合子が振り子にどこを狙わせるか、それが分からなければ勝負になりません。
そこでわざと百合子を怒らせ、百合子がある数字を狙いたくなるように誘導させます。
百合子を愚弄し、「西洞院」という苗字を数字と関連付けた上でその名をバカにする。
単に夢子に勝つだけでは飽き足らない。夢子がバカにしていた自分の苗字、「にし」と読める「二十四」で勝負を決めて見返してやりたい。
自尊心の高い百合子は夢子の狙い通り、「二十四」の目を出させようとします。
夢子は二十四に40枚のチップを賭けているので、ここで「生」判定が出れば30倍の1200枚。
百合子も二十四にチップを置いていますが、分散させているので5枚だけです。
仮に二十四の生が出て他が全部ハズレだった場合(百合子のイカサマにより高確率でそうなるはずでした)を試算すると以下のようになります。
夢子…当たり(二十四の生):40枚×30倍=1200枚 ハズレ:0枚
百合子…当たり(二十四の生):5枚×30倍=150枚 ハズレ:35枚
最初に持っていた40枚に自分の当たりと相手のハズレとを足し、自分のハズレと相手の当たりを引きます。
夢子…40+1200+35ー0ー150=1125枚
百合子…40+150+0ー35ー1200=ー1045枚
差し引き2170枚 = 21億7000万円
21億7000万円って。
生徒会長・桃喰綺羅莉登場
百合子は21億7000万円の負けを予感して逃げようとしますが、その退路を塞いだのは生徒会長・桃喰綺羅莉(ももばみ・きらり)。
きらりに圧倒されて百合子は壺を開きますが、結果は百合子が「適当に」選んだ七の生。
百合子が振り子に誘導させたはずの二十四はハズレでした。
【結果】
夢子…当たり(なし):0枚×30倍=0枚 ハズレ:40枚
百合子…当たり(七の生):5枚×30倍=150枚 ハズレ:35枚
夢子…40+0+35ー40ー150=ー115枚
百合子…40+150+40ー35ー0=195枚
差し引き 310枚 = 3億1000万円
21億円に麻痺して、「大分減ったな」などと思ってはいけません。
3億1000万円って。
古典的イカサマ手法「穴熊」
夢子はきらりが「穴熊」を使って二十四の目をハズレにさせたのだと推測しますが、きらりははぐらかすだけ。
「穴熊」とは、床下に仲間を潜ませて目を操作する手法。
時代劇なんかで良く見るお馴染みの方法ですが、建物の構造自体を造り変える必要があります。
さすが生徒会長、小道具への小細工でどうにかしていた他のキャラクターとは格が違います。
イカサマを見破られても全く動揺せず、しらばっくれるのも大物感がありますね。
夢子が得たもの
3話目にしてあっけなく負けてしまった夢子は、早速「ミケ」に転落します。
もちろん全く懲りていませんが。
3億1000万円の負債を背負い、「家畜」の立場に落とされた訳ですが、失ったものばかりではありません。
冒頭、めありと百合子の勝負の解説として、鈴井くんが語った「家畜に与えられた唯一の権利」
- 家畜は一度だけ誰にでもギャンブルを挑む権利がある
- 掛け金が常識の範囲ならそれを拒むことは許されない
- 慣例として、生徒会メンバーは金額の上限なしで勝負を受けることになっている
つまり、家畜は生徒会メンバー相手に、巨額の賭けを挑んで一発逆転を狙うことができるということですね。
生徒会メンバー(特に会長)と勝負したくってたまらない夢子にとって、これは願ってもないチャンスかも知れません。
もちろん、めありのように負けるとさらに巨額の負債を背負うことになりますが、多分夢子は気にしてません。
そしてもう一つ、勝負には負けたものの、西洞院百合子のメンタルを粉砕しました。
百合子が勝てたのは、きらりの介入によるもの。形の上では勝ったことになっているが、実質的には負けていたことを、きらり始め生徒会幹部たちに知られているのだから、これほどの屈辱はありません。
クラスのボスの地位から陥落しためあり、親の経営する会社の信用を落とした皇伊月(すめらぎ・いつき)、そして百合子と、単なるお金の勝ち負けを超えて、確実に相手にダメージを与えて行くのも夢子の恐ろしい所ですね。
夢子の経済力の謎
それにしても謎なのは、夢子の財力がいかほどのものなのか、という所です。
1話:一千万を学生カバンから取り出し、鈴井くんに数百万をポンと手渡す。
2話:二千万円の勝負を持ちかけたいつきに、「お金がない」と訴える。
3話:四千万円を「大した金額ではない」と言い放つ。
2話目のお金がないアピールはいつきを乗せるための演技だったと思われますが、その一方で四千万円を軽く見る発言もどこまで本当かわかりません。
信条的に、身代が傾くレベルのお金を賭けないと楽しくないんじゃないかという気がしますし、本当に謎ですね。
スポンサーリンク第3話「糸目の女」感想
キレると乱暴な口調になる女性はアニメにも現実にもよくいます(例:某国会議員)が、相手に心理的なダメージを与えるのに、言葉を荒げることは本来全く必要ないことが、夢子を見ているとよく分かりますね。
終始丁寧かつ落ち着いた口調で、確実に百合子の神経を逆なでする夢子が今回一番の見どころでした。
「糸目の女」百合子のようなキャラクターは、顔に感情が出にくいキャラクターとして描かれることが多いですね。
そんな百合子が、それでも抑え切れずに怒りや焦りを顔に出してしまう場面が印象的。
恐怖の表情で百合子の感情を代わりに伝えてくれる振り子の姐さんも良い仕事でした。
そして今回、生徒会長・きらりと夢子が初めて対面しました。
青いリップカラーが如何にも「悪役」といった雰囲気のきらり。
しかし夢子が「正義」のヒロインでない以上、実際には悪役と言うより、
宿敵と書いて「とも」と読む
みたいな関係になっても面白いかなと思いました。
ある意味、夢子の狂気の一番の理解者はこのきらりかも知れません。
そして、夢子と共にきらりの率いる生徒会に挑むポジション、めありが来るのかも知れませんね。
めありは夢子を恨んでいましたが(逆恨みですが)、今回のでそれもぶっちぎってしまったような気もします。
何より、「敵の敵は味方」的な状況で「なんであたしがあんたなんかと!」とかなんとか文句言いながら協力してくれるのが、めありにはすごく似合いそうです。
今回のラスト、夢子とめありの「人生計画書」なるものが出て来ましたね。
生徒会が2人をセットで扱うということは、2人が組んで行動する確率が高いということかなと思いました。
そして「人生計画書」とは一体。面白い展開になって来ましたね。
仮面のキャラの正体は?
きらりが従えていた生徒会メンバーの中に、公式サイトの紹介にいない人物がいました。
不気味な仮面の下に一体どんな素顔が隠れているのか。
なぜ、素顔を隠さなければならないのか。
気になるのは、この仮面キャラの髪の色がきらりと同じという点です。良く見ると前髪の長さも(サイドの触覚も込みで)同じです。
下ろしている髪を三つ編みにすれば、きらりの影武者が務まりそうにも見えるのですが、果たして。
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コメント
再びコメント失礼致します。
賭け手も壺振りも胴元なんて、それだけでイカサマじゃん!。(と言うか、イカサマしてますよ。と宣言してる様なもの。)
でも、この物語好きだなー。何てたって勝負が早い!。展開が速いのは正義。
…さて、今回の勝負、解らない事が一つあります。壺振りが出目をコントロールするのは一種のグラサイと考えれば良いのですが、壺振りの意思を糸目ちゃんにどうやって伝えたのか、(糸目ちゃん→壺振りもあり)説明が無かった。夢子が挑発して二十四の目を出させようとしても、胴元二人の意思が合うとは限らない。まあ、「マウクナアタハリコ」の様な、通しサインがあったのかもしれないけど。それとも本当は、鈴井くんが真の悪役で1話の時の様にカベ役をしていたのだろうか?って、それは無い!。Σヽ(゚∀゚;)
それと、真打ち登場、会長さん。
糸目ちゃんの様子から彼女は穴熊の仕掛けを知らなかった。夢子の言う通り、会長が改築して仕掛けを作ったのだろう。少なくとも、春夏冬休みの間でなければ糸目ちゃんに知られずに改築はできないと思う。
また、この穴熊、転校してまだ間も無い夢子のために作られた訳では無いと思う。
つまり、会長は糸目ちゃんを時期が来たらパックリと喰っちまうつもりだったんじゃないかなー。でも、より美味しそうな夢子が現れたので、こちらを先に味見した。のかな?。(私は好きなものは最後に食べる質なので解らないや。)
レートが十万、百万、千万、億、と鰻登りです!。現実でも、ダイオウなんとかカントカと言う会社の元社長がマカオで百数億円スッタので、レートが何処まで上がるか楽しみではあります!。
では、サヨウナラ。(⌒0⌒)/~~
白昼夢さんこんにちは。
今回もコメントありがとうございます。
敵地のど真ん中での勝負だけにイカサマはあるのが前提という感じでしたね。
イカサマの指示ですが、めありの場合は21人の素人を動かすため、かなりわかりやすく指示を出していましたね。今回は2人の間(それも良く見知った間柄)なので、よりバレにくい方法が使われていたと思われます。
だからこそ、夢子も「サインを見破る」のではなく、「誘導する」という方法を取ったのではないでしょうか。
会長が穴熊用の小部屋を作った意図は謎ですが、おっしゃる通り西洞院さんにも知られずにこっそり工事していた訳で、なかなか一筋縄ではいかないキャラクターですね。
それにしても、現実にもそんな大金をスる人がいるんですね…どんな賭け方をすればそんな事になるのか、庶民な私には見当も付きませんが(@_@)
3話にして億の位まで行ってしまったこの作品も、最終的にどんなことになるのか予断を許さないですね。