アニメ『東京24区』の感想・考察・解説記事を毎話更新していきます。(1話の記事を読みたい方は下にスクロール)
こんにちは。もしくははじめまして。「CloverWorks」の新作オリジナルアニメ「東京24区」の記事を担当する事になりました、くらむBONです。
初回一時間の枠で放送された内容を振り返りながら考察しますので、ネタバレを踏みたくない方はご注意下さい。
前半パートでは世界観をじっくりと描きながら、RGBと呼ばれる三人の青年の紹介がされています。
後半パートでは謎の存在アスミから連絡を受けた立場の違うRGBが、150人以上の命を救うために、24区で起きた問題を解決しました。
この記事では作中でわかっている事象を元に考察していきますが、個人的な意見ですので「ほんまでっか」という視点で楽しんでいただければ幸いです。
今回のキーワードは「RGBとハザードキャスト」。
では、『東京24区』について考察していきましょう。
目次
RGBとターニングポイント
蒼生シュウタ(画像中央・声優:榎木淳弥)、朱城ラン(画像右・声優:内田雄馬)、翠堂コウキ(画像左・声優:石川界人)の3人の青年「RGB」は幼なじみです。
1年ほど前に起こった「宝小学校火災事件」の後に、高校卒業を機に疎遠になっていましたが、犠牲者の追悼ミサで再会しました。
「宝小学校火災事件」は放火であることが科学的に判明していると言われ、目撃者がいないため、現在も事件の調査が続いています。
冒頭のモノローグでこの事件がターニングポイントとなり、物語を取り巻く状況が変化していくことが語られています。
翠堂豪理の理想の24区
「宝小学校火災事件」では、コウキの妹でRGBの幼なじみのアスミも、数名の小学生と共に事件の犠牲となっています。
コウキとアスミの父親は24区の区長で、翠堂財閥の当主にして外地警備隊を束ねる翠堂豪理です。
豪理が掲げる政策は「管理されることで安定した生活が提供される」という理念だと、ランによって語られていました。
東京24区とハザードキャスト
極東法令外特別地区、通称「24区」は戦後に連合軍によって東京湾上に設置された歓楽街で、10年の準備期間を経て近日中に東京に編入される見込です。
中国と、イギリスから返還された香港の関係が、似たシチュエーションになると考えられます。
コウキの世話を焼くことを条件に開発主任となっている黒葛川早紀子は、アプリ「ハザードキャスト」で犯罪が起ることを未然に予期するシステムを構築しているようでした。
街角の監視カメラのデータを収集したものをAIが判定して、犯罪発生確率をパーセンテージで表示するシステムになっていると推察されます。
アスミを失った豪理は理想の24区を実現するために、さらに精力的に政策の推進をしていくのではないでしょうか。
外地警備隊のトレードマークと意味
翠堂豪理の配下には外地警備隊(通称、外警)という警察に似た組織があり、「ハザードキャスト」で犯罪を予知して犯罪を未然に防ぐ、もしくは早期解決するための組織だと考えられます。
「ちくわ」こと筑紫渉は朱城ランのアーティスティックな非合法団体「DoRed(ドレッド)」を捜査していて、シュウタに話を聞いていました。
極東法令外特別地区は連合軍によって作られた経緯があるので、翠堂財閥のバックには国連がいる可能性もあり得ます。
外地警備隊「SARG」のロゴマークは目と盾をモチーフにしており、個人的に同じく目をトレードマークに持つ秘密結社フリーメイソンとか絡んできたら面白い。
脚本担当の下倉バイオさんはニトロプラスの名作『シュタインズゲート』に参加しており、「SERN」が登場していたこともあって、あながち間違いじゃなかったりして。
このロゴマークからは、監視によって世界を警護するという意志と意図が読み取れます。
監視社会とカメラ映像
「宝小学校火災事件」と「ハザードキャスト」開発と、どちらが先なのかは不明ですが、アスミを事件で失った豪理はこう考えている可能性があります。
「すべての犯罪を予想できるシステムがあれば、アスミを失ったような事件を未然に防げるのではないか」
24区の宝商店街をはじめとした無数にある監視カメラは、24区の人々の人権を脅かす存在にもなりそうで、「キズナ」到着を待つ駅ではDoRedだけでなく、反対勢力のデモも起きていました。
完全なものに管理された安心、理想の社会とは「ディストピア」になりうる世界でもありえます。
翠堂香苗はどこにいる?
1話冒頭や終盤で登場した巨大コンピューターは24区内の監視カメラ映像を収集しており、これらをオペレートしているとおぼしき人物はコウキの母、翠堂香苗。
しかし、香苗は現在運用中であるはずの「ハザードキャスト」システムをオペレートしている描写が無く、冒頭シーンは「宝小学校火災事件」の以前であると思われます。
「キズナ」の暴走を止めて脱線事故を引き起こすか、知人の櫻木まりを見56しにするか判断を迫られたコウキは、それ以外の解答を模索した後、何故か母親をダシに豪理を説得していました。
キーパーソン?翠堂香苗
現在の「ハザードキャスト」システム開発は黒葛川が行っているのですが、娘であるアスミの追悼ミサに出席しなかった香苗はどこで何をしているのでしょうか?
ひょっとすると、RGBにアスミを騙って「トロッコ問題」の電話をしたのは技術者である香苗なのかも知れず、香苗は冒頭ではホログラムでの登場でしたが、終盤に稼働しているシステムの前に登場していません。
この場合はアスミを失って豪理の掲げた理想的な管理社会という理念から袂を分かち、現在は姿をくらましているという可能性も考えられます。
トロッコ問題とRGBの未来の選択
RGBの青年たちに「キズナ」の事故を防ぐための未来の選択をするように連絡してきたのは「宝小学校火災事件」の犠牲となったアスミ名義の電話でした。
結果として、RGBの3人は提示された「トロッコ問題」に関して、選択の外側にある第3の回答「どっちも助ける」を選択しました。
問題を解決した後にシュウタはアスミの生存に希望を見出しますが、ランは懐疑的な見方をして、コウキは妹を冒涜された気持ちを持ち、黒葛川に電話の発信者の調査を命じます。
この作品で特徴的なのは、RGBの3人がそれぞれの立場や能力を生かして、人々を守ろうとするヒーローとしての意志を持っていることです。
今回の事件では、それぞれの立ち位置や特徴が描かれていますので、まとめてみましょう。
【B】シュウタの抱えるミスター24の呪縛
シュウタは高校卒業後は大人になり切れないモラトリアムな時間を過ごし、実家のパン屋を手伝いながら半ニート生活を続けていました。
作中の様子から厨二病っぽい性格をしていて、人々を助けるヒーローに憧れており、高校時代は自ら「ミスター24」と名乗っています。
「宝小学校火災事件」でアスミを助けられなかったことで、シュウタはヒーローになれなかった自分を責める気持を抱え込んだのではないでしょうか。
そして、当時かぶっていたヘルメットは、部屋の片隅で黒歴史の一部となっていました。
今回の事件でアスミが生きているのかもしれないと感じたシュウタは、電話を通じて脳をハッキングされたことで、本物のスーパーヒーローを目指して立ち直るキッカケを得たのではないかと思います。
シュウタの特技は運動神経の良さと、スパイダーマンのような身の軽さを生かした「パルクール」です。
1話を見た限りでは脳筋傾向が強く、天然厨二キャラな性格をしていて、考える前に行動しちゃうタイプだと思います。
【R】DoRedの目的と「海辺のピカソ」
ランはアーティスティックなテロリストとして活動するアングラ組織DoRedを主催。
作中の描写からアートを通じて社会貢献するために、現実でいうグラフィティアーティスト「バンクシー」のような活動を行っていると推定されます。
ランは外地警備隊と対立しながら、歓楽地としての歴史を持つ24区の上級市民だけでなく、流血を避けながら声をあげられない貧困層のマイノリティに元気を与える活動をしているのでしょう。
人々がアートを気楽に楽しめる世界を作ろうとしていると考えられ、犯罪や悪事を憎む気持ちを持っているようです。
特技は「スプレーアート・スケボー・ハッキング・ドローン操縦」など多彩な才能を持っていて、RGBの頭脳労働担当となりそう。
エナドリフリークで過剰摂取の為か、ハッキングで頭脳を限界まで酷使しているせいか、鼻血を吹き出す事もあります。
ちなみに作中で、お好み焼きを焼きながら語られた「海辺のピカソ」とは、小説家のレイ・ブラッドベリの「穏やかな一日」を元にした思考実験です。
このエピソードは『100の思考実験』「バジーニ,ジュリアン【著】/向井 和美【訳】」(発刊:紀伊国屋書店)で紹介されているので、知りたい方は調べてみましょう。
【G】冷静で優等生な現実主義者
コウキは父の豪理の区長としての仕事を手伝う傍ら修行中らしく、外地警備隊にインターンとして勤務しています。
財閥の御曹司であり現実主義者として政治の世界を動かすことによって、法の下に人々を守る存在になろうとしているのでしょう。
性格は冷静なリアリストっぽいので妹のアスミの4を受け入れて乗り越えています。
しかし、アスミを騙って電話してきた人物に怒りを感じていることから、クールな中にも熱い部分を持つ青年のようです。
父の理想に飲み込まれるのか、法の下の正義に順ずるヒーローとなるのか振れ幅が大きくなりそうで、今後の展開が楽しみなキャラをしています。
コウキの持っている「ハザードキャスト」の端末から「キズナ」事件の予測が無かったことから、アスミの名前を騙った人物は「ハザードキャスト」と似たシステムで未来に起こる事件を予測したのかな。
特技は「能力と立場を利用した政治的な交渉」らしく、自治区のような24区が国家に組み込まれる事が分かっているこの設定においては、重要な立ち位置になりそうです。
また、暴走しがちなシュウタや、アングラ活動家のランのお目付け役といったポジションだと予想します。
ヒロイン枠は曲者ぞろい?
「東京24区」に登場する女性(?)陣は、どの人物も一癖も二癖もありそうで、曲者ぞろいで妄想がはかどります。
今後、RGBのヒロインとなりそうな女性陣の気になるポイントを突っ込んでいきたいと思います。
幼なじみ枠ヒロイン候補:櫻木まり
シュウタの隣に住むまりはRGBの幼なじみで、友達以上恋人未満な関係と思われ、正直誰とくっついてもおかしくないポジションです。
実家のお好み焼き屋「いただき」では独自メニュー「マリスぺ」の開発を行っており、「ブルーハワイ・イカ焼き」は食欲が減退する色味をした素晴らしい作品でした。
尚、この作品はシュウタの母、蒼生桐子さんが美味しくいただきました。
なんだかんだ言ってもRGBの3人も、ある程度意識しているのが薄っすらわかる関係です。
事件の背景に直接関係はしないと思いますが、線路にデイジーを追って侵入してしまうなど、トラブルメーカーな気がします。
線路への侵入は懲役と科料のあるれっきとした犯罪なので、真似するのは止めましょう。
ニトロプラスのお約束:きなこ
「だが男だ。」とは『シュタインズゲート』の「漆原るか」を表現する有名なセリフです。
「東京24区」にもニトロプラス作品お約束の「男の娘」が登場しており、DoRedのきなこがこの枠となります。
「きなこ」はハンドルネームであることが予想され、本名は現在のところ不明です。
ある程度パソコン関係に詳しいことから、ランのサポートとしてDoRedの活動を支えているようでした。
きなこがめっちゃかわいいのにあのセリフが頭をよぎってしまうのは、アニメファンとしての性(サガ)なのかもしれません。
私も長男だったので耐えられ、自制の出来る大人な自分でなかったらやばかったと思います。
秘書系プログラマー:黒葛川早紀子
美人で謎が多そうな豪理の秘書兼プログラマーの黒葛川は「ハザードキャスト」の開発に携わっています。
しかし、何故かコウキに発信機や盗聴器を仕掛ける癖があり、油断のならない人物。
個人的にセクシーなヴィジュアルから、峰不二子のようなイメージを持ちました。
先入観からかもしれませんが、「ハザードキャスト」の秘密を盗むために潜入している捜査官か産業スパイとかありえそうで注目しています。
メガネの似合うクール系美人というキャラ造形がツボなので、ガンアクションなどがあっても映えると思います。
いったい何〇ネッタなんだ。
行動が怪しい後輩:白樺梢
「宝小学校火災事件」でシュウタに救助された梢は、行動が怪しくちょっと理解できない後輩系ヒロイン。
梢の行動には疑問が多く、主に次のようにまとめられます。
・何故、卒業しているはずの梢が祭りの晩に火災現場のランのグラフィティアートが描かれた小学校に入っていったのか?
・アスミや少なくとも小学生3人が犠牲となっているのに火災現場で何をしていたのか?
・梢はシュウタたちの担任の高校教師「白樺広樹」の娘で、火災現場は放火であると判明しており犯人を見た目撃者はいない。
・事件当日よりPTSDらしき症状があり引きこもっていて、犠牲者のことはさておき、事件の犯人を目撃している可能性がある。
ひょっとすると放火の犯人は身近な人物で、梢は誰かをかばっているのではないかとも考えられ、自己矛盾に耐え切れずに体調を崩していることもあり得る。
梢は被害者なのか加害者なのか、今後の展開が気になります。
迷惑系ヒロイン:デイジー
今回の「トロッコ問題」の原因となったかわいい系わんこデイジーは、迷惑系ヒロインとして今後も活躍が期待されます。
ケージから脱走して駅に駆け込んでいく後姿がとってもラブリー。
コウキは何故か犬派らしく、セリフの端々でわんこの事をつぶやくことがあります。
つぶらな瞳がキュートなデイジーはユウキの本命ヒロインとなりうる逸材です。
東京24区1話感想まとめ
第1話を視聴して前半パートの導入とキャラクター説明が長すぎる印象を持ちました。
脚本担当がノベルゲームを主体とする「ニトロプラス」のライター、下倉バイオさんなのでアニメ化に当たってテキストをそのまま作品にしてしまった印象があります。
ノベルゲームとして面白そうなテキストを映像化するにあたって、制作側がテキストを取捨選択するのに失敗してしまっているように見えました。
前半のミサからお好み焼き屋までのくだりが冗長だったので、後半の「トロッコ問題」が始まるまでの展開に少し飽きを感じます。
しかし、考察向けの作品であることは間違いないと思われ、丁寧な説明の中に謎や伏線とおぼしき描写がかなりありました。
初回一時間という事もあり、今回の記事ではそのあたりを少しでも拾えたらと思い、期待を込めていつもの記事より増量しています。(当社比230%)
展開次第で名作となりそうな予感もしています。
個人的に謎のキモとなるのはアスミの意思が宿っているのがハザードキャストキャストなのか、それとも別のシステムなのかです。
ではまた次回で。
ばいばい。
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