こんにちは! 闇芝居12期の考察を担当することになった模造紙です。
そろそろ当考察サイトの“闇芝居の人”として記憶されてそうな気がしますが恐らく気のせいです。
前期11期は昨年放送で、大きな声じゃ言えませんが総じて微妙な内容でインパクトに欠けた点から今回は期待と不安が半々といったところでしょうか。
今期は「ルール」をテーマに掲げるということで、社会規範や一般常識に則った身近な恐怖や不気味な日常が描かれそうで楽しみです。
※視聴次第、順次追記していきます。
目次
第1話「開けなければ大丈夫」感想・考察・解説
引っ越し先を探していた男の話
満足度:★★★☆☆
ホラー:★★★☆☆
ギャグ:★★☆☆☆
怖さはあるけどシリーズ導入編としてはややパンチに欠ける印象。期待しすぎってのあるかもしれない。
今期テーマが「ルール」なので、初回は分かりやすく決まりを破った末路までを描いたシンプルな構成なんでしょうね。
無関心、無感情で冷静に対処しているつもりでも湧き上がる好奇心に抗うのは難しい。生きる上での大切な教訓のひとつを皮肉った内容でもあるかな。
考察1:男は結局どうなったのか?
事故物件を契約した男は不動産業者の言う、たったひとつの厳守すべきルールをおかして激しく動揺し、押入れの物入れの中に自ら収まり錯乱する――というのが結末だが、最終的に男がどうなったかというと、この事故物件の過去の住人たちと同じく“不可解にいなくなった”として対処されるのでしょう。
開けてはならない扉を開けずとも元々部屋には怪異や幽霊と思しき人ではない何かが蔓延っており、怪奇現象や霊のイタズラで心を病んだ末に失踪したり夜逃げした住民もいるでしょうね。
主人公は元来の性質なのか、たまたま事故物件に住みつく霊や怪異に激しく驚いたり恐怖することはなかったけど、押して駄目なら引いてみなの手法を巧みに用いたのか怪奇現象や霊の接触がピタリと止まり、かえって例の押し入れの中の扉に好奇心を寄せるよう誘導する流れが自然過ぎて面白かった。
事故物件そのものが霊の巣窟みたいになっていて、いくら主人公が興味のない振りをしてルールを厳守する誓いを立てたとしても契約した時点で人生終わってたってわけですね。
ルールを守って意思を強く持ったとしても、あの部屋の環境では徐々に精神が蝕まれていくだけでしょうし……。
考察2:扉の向こう側について
厳重に閉じられていた扉の中は空っぽでしたが、体を縮みこませて窮屈そうに中に収まる普通の精神状態とは言い難い男を見るに単なる物入れではないのは明白でしょう。
開けてはいけない扉があるのに潰さずそのままの状態で貸すということは、潰そうとしても潰せなかったわけで、不動産屋としては「開けなければ大丈夫」というルールを設定し住人を募るのが現状は最適な方法だと判断した。
不動産屋は濁していたけど、恐らく部屋で命を絶った住人や、サツ人の事故現場であった可能性もあるので、主人公が日常的に見ていた霊は過去の住人やそれに関係する人だと推測できます。
扉の中身は見た感じはすっきりしているものの、多分おどろおどろしい霊気とか妖気が充満してるとかじゃないでしょうか……見る人が見たら身の毛がよだつ的な。
扉の先には鬼門や霊道が繋がってる…とかだとしっくり来るかな。
第2話「ままごと」感想・考察・解説
学校帰りに友人宅を訪問した小学生の話
満足度:★★★★☆
ホラー:★★★★☆
ギャグ:★★★☆☆
“妹の希望には最後まで付き合う”という固いルールを遵守した一家の末路。幽霊やホラーな怖さじゃなく人怖系でしたね。
前話も好奇心に負けてパンドラの箱を開けたが最後、完全に狂って人間を捨てた男の話だったし、今期は人間の狂気や「一番怖いのは幽霊や人外じゃなく人間」的な裏テーマがあるのかも。
考察1:もはやお願いじゃなく呪いレベル
妹の最期のお願い事を叶え続けた家族の狂気がシンプルに身震いする怖さ。
お母さん役に扮した妹を演じる友達(ややこしい)の歪んだ笑みの気持ち悪いことといったら……!!
けど一家における彼女のかけがえのなさ、頑なに現実を受け入れようとしない人間の弱さも同時に垣間見える良作だったなー。
急に発病して瞬く間に病状が悪化したか、もしくは先天性の病で徐々に蝕まれていよいよなのか、どちらでも判断できそう描かれ方だったけど、それにしてもいくら可愛い娘と妹がなくなったからといってあの狂気の変貌っぷりはギャグなので、最期に切望した「ままごと」は願い事というよりも呪いと見るのがしっくり来ますね……。
考察2:自治体の家族サポートや学校のケアが機能していない件
家族を失うことは肉体的にも精神的にも疲弊が酷く、気力喪失や外界接触の拒絶、食欲不振など、最悪のケースだと後追いなんて事態にもなりかねないので、病院経由でのカウンセリングや居住地自治体の保健事業支援などなんらかのサポートがあるはず。
…なのでマジレスすると、クラスメイトの妹がなくなって2週間もの間、なーんもその手のアプローチがなく残された家族が放置は考え難いです。
友達も小学生なので勿論、担任教諭や保健室経由で心理ケアをはかるだろうし、配慮が必要な不安定な状況にも関わらず、何故ただのクラスメイトが気軽に放課後に寄っちゃったノリでプリント持って来てるのかと違和感しかなかったです(笑)
たぶん、そういうの気にしちゃ負けなのが闇芝居なんですけどね。
第3話「黒豆」感想・考察・解説
なくなった飼い猫の鳴き声が聞こえる男の話
満足度:★★★★☆
ホラー:★★☆☆☆
ギャグ:☆☆☆☆☆
あれ? あれれ……? 今回実は普通に良い話では…むしろハートフル回なのでは?
闇芝居の理不尽イミフオチに慣れちゃってるけどたまにはこの手の結末も新鮮でいいですね。動物との絆や親愛ネタはずるい。
考察1:飼い主の危機を回避しようとした猫
黒猫に「黒豆」って名前のセンスが秀逸すぎ! 黒豆かわいいじゃないかー!!
あまりにインパクトありすぎて黒豆ってワードに何らかの含みがあるのではと追及したくなるけど、正月のお節料理でよく言われる由来の「豆は健康や丈夫な体づくりを助ける」ことから、黒豆を食べるのは“まめまめしく働く”や、“丈夫で長生き”を願ってというのはあまりにも有名。
なので単純に、愛猫が健康で長生きすることを願い名付けたと考えるのが自然でしょう。
冒頭の主人公の落ち込む様子から家族として大変に黒豆を可愛がり慈しんでいたのがうかがえるし、気落ちする男を心配して猫が霊体として戻ってくるほどお互いがお互いを想っているのがひしひしと伝わってきます。
実は最後の最後まで悶々理不尽オチで落とされるのでは…と警戒していたのですが、今回のお話は素直に
「この世を去った愛猫が落胆する飼い主を心配して霊となり戻って来る → 飼い主に迫る危機を察知し警告したが回避できず → 飼い主はタヒんだけど再会が叶った」
という感動イイ話な解釈がスマートかつ健全ですね。
考察2:猫が飼い主を道連れにした説
いつもの(?)ありがちな気色悪い闇芝居のオチとして深読みするならば、主人公の前に現れたのは黒豆に似た何か、もしくは黒豆だとしても闇落ちしていて(笑)、あの世に道連れにしようとしていたとも解釈可能です。
ただ、黒豆ではない別の何かを感じさせる描写もなく、10年来の付き合いである飼い主が愛猫の鳴き声や雰囲気を間違えるとは考え辛いため、男の元に戻って来たのはやっぱり黒豆の霊体だと信じたい。
じゃあ黒豆が飼い主を道連れにするかっていう否で、どちらかというと飼い主のタヒ期を悟ったか知ったために救いに来たと見るのがしっくり来るかなぁ。
出張に出かける飼い主を行かせまいと荒ぶる様子からも、黒豆は主人公を救済するために霊体となって運命を変えようしたとしたのでは。
抵抗虚しく結果としては定められた不幸を回避できなかったけど、最期に姿を見たくて触れたかった相手と再会できたってのはハッピーエンドとしか言えないわけで。
うん。とてもいい話でした。演出もニクイ。たまにはこういう温かい闇芝居いいですね。
第4話「鏡」感想・考察・解説
引きこもり生活を送る女の話
満足度:★★★☆☆
ホラー:★★★☆☆
ギャグ:★★★☆☆
えー…これはギャグなのかな。
ついツッコミたくなる登場人物の行動と思考回路、恐さを際立たせる映像描写や効果音が良い仕事をしていて楽しめました。
精神科医が単なるストーカーなのか、それとも鏡の住人なのかで解釈が変わるお話ですね。
考察1:有名なおとぎ話モチーフとするなら
知らない人はいないでしょってくらい超有名なおとぎ話の魔法の鏡がどうしても頭を過ぎるだけに、男は人間ではなくて鏡の中の住民だとするとロマンチックな結末…と解釈できなくもない?
もしくは鏡を通じて主人公のいる世界にコンタクトを取る異世界人とか、まあそんな感じのぶっ飛び展開なら鏡越しに手を伸ばして想い人にひたむきにアプローチし続け、ようやく恋い焦がれた相手に愛の告白をした的な好意的かつ無理やりな解釈も可能かな(笑)
「あなたは美しい」の台詞は美しさに固執する主人公に白雪姫の義母を重ねて表現しているし、ようやく鏡の向こうの男と視線を絡ませてあちら側に引きずり込まれたとして主人公的にはそこまでバッドエンドではないのかも。
現実世界で引きこもるのも鏡の中に入っちゃうのもさほど変わらないし。
こっぴどく振られた元カレ?好きだった人?と比較すると遥かに大切にしてくれそうだし執着凄くて重そうだけど一途だしある意味お似合いの2人。
考察2:ストーカーのストーカー
鏡の中の住人云々は流石にメルヘンなので背筋が凍る人怖的な解釈をするなら精神科医は女への想いを拗らせた執着病みストーカー男なんでしょうね。
しかも鏡を介してアプローチすると何それ近頃の精神科医って呪術も使っちゃうの?みたいなギャグがツボる。
恋愛で深いトラウマを負い自分が醜いと思い込む主人公。
姿を映し出す何物も拒絶し引きこもり生活を送っていたけど実際は整った容姿で世間一般に美人と判断される綺麗な顔でしたよね。
つまり見た目が悪いために恋に敗れたのではなく、単純に前の相手に対してしつこいアプローチや束縛しようとしたとか、いわゆる行動が面倒くさい重い女だから振られちゃったと。
ただ、元カレだか以前の想い人の言い方が悪意まみれで自分の容貌が醜悪だから否定し拒絶されたってなったんですよね……わー、あの男最低だな。
けれどそんな彼女を精神科医の男は密かに好いていて、ずっとずっと直接アプローチする機会を狙っていたと。
主人公がどれ程の期間引きこもっていたかは謎ですが、もし病んだ彼女に接触するために医師免許を取ったとかなら執念クソ重すぎるし怖い(笑)
主人公は服装や化粧を男性好みに寄せるタイプの女性だったようだし、好かれるために固執するクセの強い性格で度を超えてストーカーとも取れる行為もあったと想像できるため、前項でも書いたけど似た者同士でお似合いではあります。
鏡をとおして見つめ続け、現実世界でも対面してようやく2人の視線が交わる。文面だとロマンチックだけど実際はきつめのホラー展開。
けどまあ、今期テーマの「ルール」を絡めて考えると、主人公が他者から「あなたは美しい」と告げられるおとぎ話や恋愛物語のお約束展開を経たことで、めでたしめでたしのハッピーエンドで終幕ってことなのでしょう。お幸せに。
第5話「沈み地蔵」感想・考察・解説
友達と傷心旅行にやってきた女の話
満足度:★★★☆☆
ホラー:★★★☆☆
ギャグ:★☆☆☆☆
誰も幸せにならない闇芝居らしい結末。そして突然の水着回で困惑…今2月やで。
前期だっけか傷心旅行の話あった気がするし、旅先で遭遇する怪異とか地域特有の不吉な掟ってホラーの題材として扱い易いんでしょうね。
考察1:人を呪わば穴ふたつ
女友達は単純にいい人で元カレとの復縁の手伝いをしただけなのに、主人公が疑心暗鬼になって暴走して沈み地蔵に拝んだ結果、友達だけじゃなく主人公自身も憎しみの重さで沈み(物理)みんな不幸になる救いようのないオチ。
シンプルかつ定番な旅先の怖い話って感じ。けど彼氏が最後逃げ出したのは何なん。後悔してたんじゃなかったの? 闇芝居ってクズ男率高いの気のせい?
女友達と彼氏が結託して自分を騙していたのではないと悟るも時すでに遅し。
今回のケースだとたまたまその後の流れで潜りに行くことになったわけだけど、友達に対して酷い仕打ちをしておいて発端であるダイビングをするとか主人公も相当変わった思考の持ち主。
ちょっとした事ですぐ友達と彼氏の関係を疑うし、なかなか思い込み激しいというか。友達よりも人生の主軸が恋愛って人種なんでしょうね。
たとえ潜りに行ったり海に近寄らず女友達が沈んでいる姿に遭遇しなかったとしても、沈み地蔵に拝んだ時の憎しみの重さで主人公自身もいずれ沈んでいたに違いないでしょう。
他人に対して悪い行いをするなら相当の報いを受ける覚悟が必要、「人を呪わば穴ふたつ」の見事な実例みたいなお話でした。
考察2:女の子の正体
主人公に海底のお地蔵さまについて教えてくれる女の子、初見時点では宿の座敷童とか旅行者を惑わす悪霊の類なのかなと思ったんですけど、よくよく考えると“子供にも周知される地域に古くから根付いた暗黙のルール”を示していたのかも。
なので普通に旅館の子ですね。
閉鎖的な土地であればあるほど自分たちのテリトリーの秘密やルールを簡単には余所者に明かさないし、観光産業を収入源としてる地域なら尚更。
ただ、大人は地域の特有ルールを秘匿出来たとしても幼い子どもは内緒事を打ち明けることの抵抗は薄いし、外の地域から来た人間相手に教えてと言われたら得意気に話すでしょう。
あと、子ども達を危険な場所に近づけないための、大人目線での多少大袈裟な脅しもあったのかもしれませんね。
第6話「表札」感想・考察・解説
戸建てに引っ越した夫婦の話
満足度:★★☆☆☆
ホラー:★★★★☆
ギャグ:★★★☆☆
初っ端の闇芝居おじさんのテンションが異様に高くて笑っちゃった。顔を奪われる結末だからハイになってたのかな?
今期テーマを分かりやすくローカルルールに当てはめるも、案の定な闇芝居らしい意味不明オチで一体何を見せられてるのってなる笑
考察1:家の顔を粗雑にした報い
「表札は家の顔」って今じゃあまり聞く機会めっきり減ったけど、一昔前、昭和~平成初期くらいまでは広く言われたフレーズですね。
それこそお高い木材を加工した縦長で重厚感漂う表札が門柱にドーンみたいなの、結構子供の頃見た気がする。
今でこそ、主人公夫婦が言っていたように表札を掲げない家もチラホラあるにしろ、やっぱ表札を出さないことによるデメリットの方が大きいから余程の理由が無い限り戸建てで出してない家って稀じゃないでしょうか。
逆に集合住宅とかは共同玄関に設置されているポストに表札出さないとかは一定数ある印象です。
個人情報云々の理由で出さなくてもいいとか、古風なビジュアルがダサいとかの理由で表札出さないのに、昔からの地域住民に対しコミュニケーションを望むのはどうなのって思うし、そもそも表札って引っ越し前に準備が済んでるものでは。
家の顔を蔑ろにしたから自らの顔もなくなりのっぺらぼうになったという、怪奇ホラーとしてオーソドックスかつ単純なオチで気軽に楽しむ分は十分面白い話でした。
考察2:個人を特定し攻撃する風潮に対する揶揄か
今の時代は素性を隠して容易にSNSやインターネットで自分の意見を主張できるし、それを逆手にとって特定の人や事象を攻撃して優位に立ったり承認欲求を満たす様子も多く見られます。
この家に住んでいるのは誰なのか特定はされたくない、色んな人に周知されるのは嫌だしプライバシーは守りたい。けれど、地域では個として馴染みたいし交流を図りたいは行動が矛盾してますよね。
さらに昔ながらの地元住民が何代にも渡り住んでいるとか明らかに新興住宅地じゃない場所なら郷に入っては郷に従えをしないのは完全に主人公夫婦の考えが足りないしリサーチ不足としか言えない。
自分はどこの誰かを開示しないのに発言は自由で都合の良い情報だけを享受したいなら、もういっそ誰であるかを示す象徴は必要ないよねっていう風刺が込められたお話なのかもしれません。
第7話「いいね」感想・考察・解説
ある男性と交際すべきか悩む女の話
満足度:★★★☆☆
ホラー:★★★★☆
ギャグ:★★☆☆☆
学生時代の親友との決まり事が物語の肝。
「いいね」というイマドキの共感や支持を表現するツールを上手く組み込みながら、途中心温まるいい話感を漂わせじわじわ恐怖を煽り、最後のインパクトのある結末は闇芝居らしくて爽快でした。
考察:女の嫉妬と執念こわぁ
「いいね」が「ししししね」って見ようによっちゃ見えるよね!という与太話にそれらしい怖いエピソードを肉付けただけと言えなくもないですが、それでは考察にならないので。
昨今だと特に「いいね」が単なる好意に基づく同意や共感だけではなく、逆である悪意や嫌悪感を孕んだマイナスな思惑の行動へと結び付くケースも珍しくないため、結局のところなくなった友人はいいねしながらずっと心のなかでは主人公に対し反対の感情を抱いていたっていうのが真相なのでしょう。
そもそも主人公に交際を申し出た男がクズなんだけど、婚約者の彼女がなくなってまだ1年しか経ってないのにその親友に心移りするってどうなの。臆面もなく積極的に交際を迫っているように見えるし、本当は生前付き合ってた時点から主人公に対し好意を持っていたのでは。
主人公と親友の学生時代の回想で“あなたも彼が好きだったよね”みたいなくだりもあったし、主人公と彼の仲が接近する前に先手打って黙って横取りしちゃったんじゃないと穿った見方もできてしまう。
だって友達が好意を寄せてると知ってる相手と付き合ってから事後報告って順番おかしくない……?親友なんだよね……?
ずっと主人公に対して劣等感やら嫉妬心を抱いていて、主人公が好きだった相手を奪って婚約まで漕ぎつけたものの彼の本心が主人公に向いているのを感じて失意で自ら命を絶ったのかもしれません
タヒんで呪ってやる的な。だとしたら凄い執念ですね。
もう一回見返したら、「し」って書いてる部分、滅茶苦茶力こもっててこわい……!女の嫉妬と怨みこわすぎる。
第8話「子削儀」感想・考察・解説
父親の田舎を訪れた少年の話
満足度:★★★★☆
ホラー:★★★★☆
ギャグ:★★☆☆☆
子どもを削ぐ儀式で「子削儀」か。田舎の因習的な儀式=ルールという分かりやすいストーリーだった。
鬼太郎や伊藤潤二みのある絵柄とおどろおどろしい雰囲気好きだな。
考察1:生贄や人柱の意味合いもある?
日本のどこかの地方で今でも続いてそう…と思わせる如何にもありそうな儀式がリアル。
貧しさから口減らしで子どもを間引くとか年老いた親を山に置き去りにとか、昔は実際にあったと聞くし、その風習が何らかの形で現在も残ってるのは有りそうな話。
昔話とかでも豊作祈願や雨乞いのために人柱を奉げるくらいだし、この地域も単に口減らしでっていうより生贄的な意味合いもあって子どもを犠牲にしていたのかも。
引っかかるのが祖父が「母親に犠牲になってもらい」と言っており、何故子どもじゃないのかという点。
考えられるのは一個人の“子ども”として扱うには幼過ぎる乳飲み子、もしくは胎児の段階で生贄にしてたから母親軸なのかなと。個人的な感覚だけど言葉は適さないけど分かりやすい表現をするなら1歳くらいまでの子どもって母親の付属物や同伴者というか一心同体的な存在に捉えられるし、自我が強くなり身体的な発達も伴ってようやく自立した「個」だと社会から扱われる気がするんですよね。
そのため、子を失った母親の気持ちを慮っての表現も勿論あるだろうけど、子どもといってもかなり幼い子どもまで犠牲にして集落の安泰を祈願してきたと推測できます。
考察2:実は不気味な子ども達が救世主
無事に田舎から帰還できる!と思わせておいてのサヨナラ連れ去られオチ。
両隣の両親が果たして正気なのかそれとも操られているのかは定かではありませんが、主役の少年にとっては、屋根裏で潜伏していた時に誘おうとしてくれた不気味な子ども達が、実は救いの手を差し伸べてくれてたってことになりますね。
子どもの姿を象った案山子らが過去に間引いた子ども達を真似て作ったとしたら彼ら彼女らの魂が乗り移っていても不思議じゃないし、子削儀で自分たちと同じような犠牲者が出ないため助けに来たという好意的な解釈も可能かな。
まあ、道連れにしようとしたとも捉えられますけど。
結果として、昔から続くルールに抗えず囚われ続ける田舎の物語で、逸脱する――風習を無視して口減らしや生贄をせずにいると悪い出来事、災いがあるかもしれないから、定期的に誰かを犠牲にし安寧を得ていたのだと思われます。
たまたま主人公が訪れたから標的にされたのか、それとも祖父や両親も結託しての一連の出来事なのか。
まあ、往路の車内の会話から両親は儀式の事も知らず祖父に歓迎されると考えていたようだし、村長が訪ねた際に何かしら洗脳なり乗っ取りがあったのかもしれません。
第9話「面会謝絶」感想・考察・解説
旅先で交通事故を起こし入院した母親と息子の話
満足度:★☆☆☆☆
ホラー:★★★★☆
ギャグ:★★☆☆☆
とにかく蠅が気持ち悪い虫グロ回。
普段は二周ほど視聴するけど今回は一度でギブアップ。
クリーチャーやら妖怪もどきの気色悪さは我慢できるけど虫は生理的に駄目だ。個人的に今期イチ受け付けない回でした。
考察:石碑に封印された蠅の呪い
序盤は病院に見せかけた宗教施設で旅行者を洗脳してるのではと考えたけど、至極シンプルなシナリオでしたね。
蠅の呪い?実体化するコバエの怨念?を閉じ込めた石碑に母親の運転した車が衝突して破壊。封じられた呪いが解放され、すぐ傍の病院全体をのみ込んだってところかな。
息子だけ乗っ取られず正気を保っていたのは母親が息子の分まで呪いを引き受けて面会謝絶状態まで陥っていたからと推測。
もしかすると石碑に対し危害を加える度合いで呪いの進行に差が出るのかもですね。
もし院長の課すルール、面会謝絶の母親に会わない規則を遵守してたなら息子は生き永らえたかもしれないけど、遅効性の毒のようにあの場所にいるだけで徐々に蝕まれていくだろうから、母親が事故った時点で破滅ENDは定められた結末だったのかもね。
しかし、虫グロ回はほんとアカン。鼻に蠅が浸入するダイレクトな表現も気持ち悪いし、これからこういうのははナシでお願いします……
第10話「硯」感想・考察・解説
実家の蔵の片づけをする夫婦の話
満足度:★★★☆☆
ホラー:★★★☆☆
ギャグ:★★☆☆☆
ホラーの定番、呪いアイテム回。
良くも悪くもオーソドックスで突出したスリリング展開ではないけど安定した面白さ。
前回が虫グロだったからか、安心安全の闇芝居って感じで普通に恐怖と見応えがあって楽しめた。
考察1:硯に宿った怨念と因果
夫の先祖が硯を奪った側で、元の持ち主(夫の先祖が硯で殴打しコ口した)の強い怨みと憎しみが硯に宿って夫一族を祟っていたというストーリー。
怨みや憎しみが深いにしろ、個人的には何の罪もない子孫まで呪う行為は理不尽で解せない。
先祖が手にかけたのは1人ではなく硯の元持ち主側である一家の複数人と見られるが、イマイチ動機や経緯が語られず感情移入し難く残念。
少しでも夫や一族のクズエピソードの挿入があれば呪われても無理ないわってなるけど、完全に先祖の罪のとばっちりでかわいそうになっちゃう。
蔵に厳重に保管されていたためそれなりに値が張ったり価値のある骨董品とも考えられるけど、夫が触れた途端にビジョンが視えたことから硯そのものが相当力を持った呪物のため手放しても戻って来るから仕方なく蔵の奥深くに秘匿してたってのが本当のところなんだろうな。
考察2:もしかして夫の両親も……
気になったのが夫の両親が登場しなかった点。
夫婦もそれほど高齢ってわけじゃないしぱっと見た感じ30~40代ってところ。なら夫の両親も年齢的に普通は健在だろうに未登場ってことはもしかすると夫の親は既に鬼籍に入っており、誰も住んでいない実家の整理と掃除に子供夫婦が訪れていたって流れ?
とすると、夫の両親に対しても硯の末代まで祟る呪いが発動していたのかも。
ラスト、夫が倒れて硯は砕けてしまうため呪いの効力は失われたかもしくは弱まったと考えられるため妻はなくならずセーフなのかな。血縁ではないしね。
物語中には登場しなかったけど2人に子供がいないことを願うばかりです。
第11話「読み聞かせ」感想・考察・解説
真夜中の図書館を訪れたカップルの話
満足度:★★★☆☆
ホラー:★★★★☆
ギャグ:★★★☆☆
ホラー版サレた側リベンジ。
こういうの最近滅茶苦茶多いね。クズ男にスカッと報いを受けさせてざまぁみたいな。
キチクなゲス野郎を社会的に再起不能にさせて築いた地位も崩壊みたいなオチが爽快で読後感スッキリするから人気ですよねー私も好き! 闇芝居も流行りに便乗したのでしょうか。
考察:サレた側女性による復讐劇
女癖が悪く複数と同時進行で付き合っていた男に対し、被害者女性たちが結託して復讐を果たしたというシンプルなオチ。
ここ最近SNSのサレ妻投稿とか体験談に基づいた小説やら漫画も多いし、サレた側復讐劇は世間的に需要の多い一大ジャンルになってる感が。
5分でクズ男をしっかり成敗してくれるから、途中の展開にありがちな中弛み(証拠集めに難航、協力者が余計な事ばかりしでかす、色々詰めが甘い)がなくてイライラせず結末まで突っ走れるの最高かよ。
真夜中の図書館、大人向けの絵本の読み聞かせ、途中退出不可のルールというワクワクさせる要素も相まって雰囲気もよく楽しめた。
読み聞かせをしていた女性や参加者たちは、クズ男に貢がされたり浮気されて捨てられた女性の生霊や怨念の類なのでしょう。
男の行動を仄めかした絵本の内容がトリガーとなり、クズ男は被害者女性たちの術中に嵌り幻覚を見たとかそんな感じかな。
その後は呪いコ口されるか精神崩壊人間終了ENDでしょうね。闇芝居だし改心して救済オチはなさそう。
にしても闇芝居の登場人物ってクズ率高いですよね。だからこそ狂気ホラー展開に巻き込まれるわけですけど。
第12話「形代」感想・考察・解説
原因不明の不運が続く女子高生の話
満足度:★★★★☆
ホラー:★★★☆☆
ギャグ:★★★★★
闇芝居っていうより一昔前のオカルト小説とか児童向けの本当にあった怖い話とかで描かれてそうなストーリーだった。
面白くなくはないけど単純に物語としてはパンチが弱く物足りないかな。
ただ霊能力先輩のキャラが強力過ぎて勢いは今期随一。それっぽいポーズって何だ笑
考察1:霊能力先輩は何者なのか?
ぶっちゃけ今回ストーリーはそっちのけで霊能力先輩が気になってしょうがない件……!!
今回の立ち位置としては主人公の友人のバイト先の先輩。霊感持ちでありながら霊能力も扱えるという学園怪奇ホラーの主人公っぽい設定。
主人公の友人との砕けたやり取りを見るに、怪奇案件解決に乗り出すヒーローと助手みたいな間柄なのかなと妄想が広がります。
背景にチャッラァァァァ…とかギラーとか浮かび上がってそうなビジュアルも厨二っぽ……個性的。
普通にしてても視えるのにそれっぽいポーズをするというお茶目な面も良い。
というわけで、霊能力先輩は普段は学園内から知人が持ち込んだ悩みまで幅広く不可思議怪奇案件解決に臨む人物なのではないでしょうか!
今回限りでフェードアウトするには惜しいので、スピンオフとして霊能力先輩サイドの闇芝居を希望します。
考察2:主人公と彼の今後
2人の頭上に向けて看板の落下を仄めかすラストでしたが、今回は命を落とすまではいかず主人公が怪我を負った程度だと推測します。
主人公に憑いていたモノは彼氏に憑くモノが強力過ぎて逃げ出し、霊能力先輩が渡した形代は彼曰く彼氏の憑き物に対しては“こんな物では身代わりにもならない”のだそう。
ようは低級霊の寄せ集めに対しては有効だけど、彼氏に憑いてた何か凄いレベルの化け物には気休め程度に被害を減らす役割しか果たさなかったのではないかなと。
なお化け物が憑いているにも関わらず彼氏そのものは病んでる様子もなく快活で健康そうに見えるため、憑いてる何かは彼氏の生気を吸い取るだとか厄災をもたらそうとしていのではなく、あくまでも彼氏に固執して付きまとっている執着ストーカーのようなものなのではと考えます。
主人公を颯爽と助けた点と言い、快く霊能力先輩への形代のお礼と現況報告の場に同席することと言い、博愛的で親切な好青年という印象です。
つまり化け物は過去、彼氏が自覚なく親切にして勘違いさせちゃった相手が変貌した姿なのではないでしょうか。
化け物的には彼氏を守っているだけで傷つける意図はないため、今後は主人公に対して自分との仲を裂く攻撃対象として行動がヒートアップしそうです。
霊能力先輩は主人公に憑いたモノは消えたと確認し元々の依頼はこなしたわけだから、彼氏に憑いた化け物の行動が推測出来てもそれを親切に教えてやる義理はないってことですね。
第13話「やすらぎ公園」感想・考察・解説
引っ越し先のルールの緩い公園に通う母子の話
満足度:★★★★★
ホラー:★★★★☆
ギャグ:★★☆☆☆
闇芝居らしい最終話だった。闇芝居の刻む歴史やこれまでのシリーズ冒頭の“闇芝居の時間だヨ”の舞台である公園の裏話、舞台裏と言えるファン歓喜の最終回で大満足!
こうやって闇芝居おじさんに群がる子ども達と観客が量産されているわけか。
考察:闇芝居の観客ができるまで
前述で言いたい事ほぼ言い切った感はあるのですが、闇芝居おじさんがネタを披露している公園は何処にでもあるけど何処にあるかわからない公園で、大人に定められたルールによって伸び伸び遊べない子ども達が友達に誘われて行き着く理想郷って解釈でいいと思います。
昔ながらのアクロバティックな危険遊具やボール遊び、砂場での遊びを制限されない、門限もない、大人の作った規則に縛られない。まさに多感で遊び盛りの子ども達にとっては夢のような公園がおじさんのホームグラウンドってことです。
と言っても、今で制限されている公園のアレコレは昔はまかり通っていたわけで、あの闇芝居が構築する不思議な世界だけが昔にタイムスリップしているのかもしれません。
そのままの世界線で、やすらぎ公園の時間軸のみ昔(ルールに制限されない)に繋がる異空間みたいな。
紙芝居のおじさんが水アメや型抜き持って公園に来るなんて私の子ども時代は当然だったけど、地域差もあるだろうけど今じゃほぼそんな光景は見かけないですし、大人の作る規律に拘束、抑圧された子どもたちに自由はあるのか…みたいな社会風刺もあるのかもしれません。
ラスト、母親もあの異空間に引きずり込まれ闇芝居の観客としてやすらぎ公園の住人になるのでしょう。
闇芝居12期まとめ
本来の闇芝居おじさんの舞台である公園の伏線回収が見事に為された12期。
今期テーマである“ルール”も分かりやすくお題としてシナリオに反映されていたし、全体的にまとまりが良く無難に仕上がっていたという印象です。
闇芝居全シリーズにおける屈指のハートフル名作「黒豆」の誕生、キャラが強すぎる霊能力先輩、流行に乗った感しかないサレタ側復讐劇の「読み書きせ」などインパクトのデカいエピソードも多く非常に楽しめました。
そして虫グロ回は今後は御免被る……!!
やっぱり最終話の締まりがいいと全体的にグッと引き締まるので高評価です。
今後シリーズを重ねることで闇芝居おじさんの謎が徐々に明かされそう笑
こうなったら素顔が公開されるまで続けて欲しいです。
それではまたどこかでお会いできますように!
▼過去の闇芝居記事はこちらで読めます!
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コメント
黒豆の道連れ説は自分も思いました
でもたまにこう言う良い話もあるのが闇芝居、道連れとは思いたくないですね…
深く考えず素直にハートフルエピソードとするのが心にダメージも負わず良さそうですよね。
愛猫とこれからも変わらず幸せに過ごすでいいと思います!
霊能力先輩は夢幻魔実也か何か?忍者コレクションに出てくるべきでは…
考察系のブログで黒豆はハートフルなんて言っていいんですかね?
・不自然に破れた家族写真
・黒豆を怒らせると骨折(物理的な行動制限)、離婚(実生活の孤立)、交通事故(あの世行き)など危険を知らせていた訳でなく寧ろ主人公を独占しておきたかったような災い
あたりは少なくとも考察の余地ありませんか?
どうしてもホラーと思えないならハートフルとまでは言わずメリバが関の山でしょう。