皆々様こんにちは。
『グレートプリテンダー(以下『グレプリ』)』担当のgatoです。
前回は落ちぶれたトーマスが再起する過程が描かれ、シンシアにも変化が見られました。
さらにコールマンがやっていた悪事も明らかになり、コンゲームもクライマックスに向かいつつあります。
そして今回は「Snow of London」の、そして1stシーズンの最終回。
シンシアとトーマスの関係の終着点は、コールマンはどのようにはめられたのか。
早速振り返っていきましょう。
当記事に先の展開のネタバレは含まれていないのでご安心下さい。
シンシアの逆襲
『グレプリ』では毎回必ず誰かのアドリブがコンゲームに入ってきますが、今回はなんとシンシアがアドリブをかましてきました。
予定では法外な価格に釣られたコールマンがファラに7000万ポンドを出させるところを終わりにするはずでしたが、シンシアがコールマンを挑発して価格を釣り上げさせ、その結果1億ポンドもの大金を出させることに成功しました。
そもそもファラが7000万ポンドまでしか払えないため、シンシアの行いはかなりのギャンブルですが…結果オーライでしたね。
このシンシアの行動はコールマンへの仕返しもあるでしょうけど、合間にトーマスとの日々が回想されたことを踏まえると、また別のニュアンスがあるかもしれません。
シンシアが価格を釣り上げた最大の理由は『ロンドンの雪』の贋作がトーマスの作品だからでしょう。
トーマスは才能がありながらも最後まで評価を得られずに画家をやめてしまったため、彼の作品は何の価値もつけられずに埋もれてしまいました。
だからこそ、シンシアは擬似的にオークションに参加し、価格を釣り上げたのでしょう。
トーマスの絵は彼自身の作品であると同時に、シンシアとトーマスが過ごした想い出の結晶でもあります。
つまりシンシアは自分達の思い出に価値をつけるために、価値あるものだったと証明するためにアドリブを仕掛けたわけです。
もちろん、自分達の日々を壊したことへの慰謝料というニュアンスも込めてコールマンに支払わせたのでしょうけどね。
いずれにせよ、シンシアにとってあのオークション…もといコンゲームは単純にコールマンへの仕返しだけでなく、トーマスとの過去に決着をつけるうえで重要なイベントだったのかもしれません。
贋作は名作に
今回はシンシアだけでなく、エダマメもアドリブを仕掛けていました。
しかし、その結果本物の『ロンドンの雪』はそのままコールマンの元に渡り、贋作の『ロンドンの雪』だけは手元に残ってしまいました。
結局3000万ポンド分は損してしまいましたが、身を削って贋作を作成したトーマスを見ていれば、コールマンの手元に渡るのは確かに嫌ですね。
ただ、このエダマメの行動にも意義深いものがあります。
確かにトーマスは贋作を作ったし、贋作でしか評価されなかった画家でしたが、身を削って仕上げた彼の姿勢は間違いなく画家のそれであり、作り上げた作品はれっきとした血と涙の結晶です。
たとえ結果は贋作でも、その作品を作った人の情熱と思いが本物なら、生み出されたものは本物も同然というわけですね。
おまけに『ロンドンの雪』の作者であるモントーヤは模写を繰り返して自分の画風を見つけたという経緯があり、トーマスの過去と重なります。
それならば、『ロンドンの雪』の贋作を作成したトーマスは、ある意味モントーヤそのものになっているといってもいいかもしれません。
加えて、個人的に印象的だったのが、ラストでコールマンにコケにされた中国人店長がインドカレー屋を初めていたことでした。
あのシークエンスを入れることで、中国人店長もまた贋作にまつわるテーマに絡んでいることが示唆されています。
確かにあの中国人は寿司の知識も違えば(恐らくインドカレーの知識も)、相手の出身国も見抜けない、いってしまえば「偽物生産機」みたいな存在です。
ただ、どれだけ否定されようとも懲りずに立ち上がってくる様は、間違いなく本物の情熱が宿っているといえるでしょう。
たとえコールマンのような本物を知る人間に否定されようとも、その姿勢は決して偽らざるものなのです。
トーマスや店長のエピソードを踏まえると、「London of Snow」は「偽物であることを超えた本物」を描く物語かもしれませんね。
ティムはいつでもそばに
今回のコンゲームはトーマスの贋作に加え、ファラの裏切りも重要なファクターでした。
そしてファラの裏切りを発生させたのが、執事のティムでした。
元々ティムがコールマンを快く思っていないことは初登場時から示唆されていましたが、第11話の記事で予想した通りになりましたね。
アビーが渡したレコーダーを追ってファラに忠誠を誓うシーンは良かったなぁ…。
それにしてもコールマンの陰口はひどいなぁ(笑)
彼が夜の営みができなかったのは、単純にファラにそそられなかったからなんでしょうね(笑)
ところで、前回の記事で何かありそうと思っていた金髪の秘書…結局何もなかったな(笑)
後、余談ですけどコールマンのコレクションがファラによって公開されていましたが、あの行為はオークションでローランがいった「作品の幸せは独占されて鑑賞されること」という言葉と真逆でしたね。
思えばコールマンはローランに嫌悪感を示しつつも、やっていることはまさに「作品を独占して干渉すること」。
つまりファラは作品に対する向き合い方も含めて、完全にコールマンを否定したといえます。
恋人よさようなら
お互いに過去を乗り越えたシンシアとトーマスでしたが、結局よりを戻すのかと思いきや、お互いに握手をして別れていました。
ラストで2人がカフェでどんな会話をしたのかは不明でしたが、あの様子を見る限りエダマメがいったように「ケリをつけること」がシンシアの目的だったのでしょう。
思えばシンシアとトーマスは仲違いの結果、ちゃんと向き合わずに別れてしまった経緯がありました。
しかし、中途半端な別れは傷のように残るものです。
実際、落ちぶれたトーマスは言わずもがな、シンシアも酒の力で本心を隠したり、あえてトーマスの前では強気に振る舞うなど、お互いに引きずっていることが描写されてしましたね。
だからこそ、今回はちゃんと向き合って別れることを二人は選んだのでしょう。
そして12話でシンシアとトーマスに関して色々書きましたが、まだ別れ切っていなかったとはいえ、無理に繋ぎ止めようとしたファラよりシンシアの方がトーマスを愛しているのかもしれません。
恋人としての関係が終わったとしても、お互いの幸福と未来を想い合えるシンシアの方がずっとトーマスを愛しているといえますからね。
…なんか気恥ずかしいこと書いちゃってるな(笑)
金髪クソ野郎
今回のエピソードのラストでは、ローランの腹黒さが再度浮き彫りになりました。
シンシアはローランが『ロンドンの雪』があるとわかったうえでエダマメとコールマンを引き合わせ、今回のコンゲームを仕掛けたと予測していました。
そうすることで、因縁のあるシンシアとトーマスが再開するように仕向けたわけですね。
シンシアは「トラウマをほじくり返して楽しんでいる」と指摘しましたが、ローランはもちろん否定。
ただ、思えば「Singapore Sky」でもローランはトラウマがあることを知ってか知らずかアビーを飛行機に乗せただけでなく、ルイスとも会わせています(両者の過去を知っている可能性も高いですね)。
もしかしたらエダマメをカッサーノをはめるコンゲームに巻き込んだのも、誠司と重なるサラザールがいたから…って考えるとキリがなさそうですが…。
いずれにせよ、ローランが「嫌われる」要因がここにあるとシンシアが示唆していた以上、本当にやっている可能性は高そうですね。
また、彼が持っているペンダントや口にしていた「ドロシー」という名前…これも気になるところです。
思えば主要人物で過去が明らかになっていないのはローランのみ。
次はローランの過去に関するエピソードが出てくるのかもしれませんね。
ちなみに、ローランのことを色々考えていると、EDに出てくる猫はローランじゃないかと思えてきますね(同様の推察をしている方も多いようです)。
実際EDにはローランが持つペンダントも出てきますし、ローランと女性と思しき影も描かれています。
さらにEDの、このアニメのタイトルの『グレートプリテンダー(Great Pretender)』は普通に訳すなら「偉大な嘘つき」といった意味合いになります。
ただ、これを歌詞のテイストに合わせて「ひどく強がっている人」という意訳をする人もいるようですね(greatはネガティブな意味でも使えるそうです)。
この意訳を採用した場合、ローランはドロシーに対して「ひどく強がっている人」…と解釈すると普段の天才的な詐欺師っぷりは実は虚勢で、ドロシーのことを引きずり、彼女の前では意地を張ってしまうのがローランの素顔ではないか…なんてことがいえそうです。
まぁローランの過去を匂わす証拠はEDくらいなのでこれ以上の推測は難しいですが…今後注目すべきでしょうね。
CASE4(15話以降)の配信について
第2期…つまりCASE4(15話以降)の配信ですが、すでに『グレプリ』は全話の制作が完了しているようなので、近いうちに配信されそうです。
https://twitter.com/GrePre_anime/status/1280806840926736384
上のツイートを見る限り、既にPVができていることから続編の配信はかなり早くなりそうですね。
テレビでは連続2クールの放送になる可能性も高そうです。
なので配信はもしかしたら、1stシーズンの時と同様にテレビ放送の1ヶ月前からスタートする可能性もありますね。(8月中旬~9月上旬頃)
少し間は出来ますが、思いのほか早く続編にお目にかかれるかもしれません。
『グレプリ』第14話感想
「Snow of London」はちゃんと落ちるところに落ちた…という印象ですね。
これまでのエピソードと比べると、わりとシンプルな展開ですが、その分シンシアとトーマスの描写が手厚くなっていました。
台詞のない回想シーンでしっかり魅せてくれるので、無駄な情報が少ない分心情描写が鮮明でしたね。
いやーでもここで終わっちゃうのは色々名残惜しい…。
早く2期来ないかなぁ(笑)
何はともあれ、『グレプリ』の1stシーズンはこれまで。
次は2ndシーズンでお会いしましょう。
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