皆々様こんにちは。
『イド:インヴェイデッド』(以下『ID』)担当のgatoです。
前回は菊池がさらわれ、生き埋めにされた事件の犯人を酒井戸(さかいど)達が確保するものの、すでに彼女は息絶えていたというバットエンドでした…。
しかし富久田(ふくだ)が新たな名探偵“穴井戸”となったり、百貴(ももき)の秋人への感情が垣間見えるなど色々注目すべきポイントがありましたね。
そしてラストでは富久田の被害者である数田が突如出現し、本堂町(ほんどうまち)の唇を奪うという急展開…!
一体どんな結末を迎えるのか、早速振り返っていきましょう。
スポンサーリンク“墓堀”数田と井波
今回のサツ人鬼は前回大野に模倣された「墓堀」。
ただ、その正体は意外なものでした。
まず実行役が数田。
富久田の被害者である数田は穴を空けられたことをきっかけに(予測の範疇ですが)、サツ人衝動と愛情表現が入れ替わるという奇妙な状態に変貌。
つまり彼にとってのサツ意はすべからく愛情となるため思念粒子が検知できず、また目撃者である本堂町を始末すべきタイミングでキスをしてしまったわけですね。
おまけに彼にとって、その状態はかえって自身の感情を如実に表現することになりました。
彼が何人もの人間をさらい、穴に生き埋めにして息絶える様を中継したのは井波のためでした。
なぜなら彼女は人のケガやタヒを好むサディストであり、数田は愛する井波のために事件を起こしていたというわけです。
まさにサツ人衝動と愛情表現が矛盾なく直結しているわけですね。
井波が本性を表すのは次回に持ち越しになりましたが、なかなかえげつない人間のようですね(笑)
一方で、サツ意を巡る本堂町と松岡のやり取りで興味深いことがありました。
数田はサツ意ではなく愛情をベースにサツ人を犯すというなかなか特殊な人物でしたが、彼の場合サツ意と合わせて井波への愛情という明確な動機が存在しています。
本堂町は「衝動だけでここまでできるのか」を推理の糸口にしていましたが、数田は衝動のみならず愛情という「動機」があったからこそここまで事件を起こせたわけですね。
そもそも本作は「怒りや憎しみはサツ意として検知されない」という設定があり、一時的な、それこそ衝動的な感情だけではワクムスビがサツ意として扱わない傾向があります。
そう考えると、数田のサツ意は衝動のみならず、明確な動機(共感できるかは別にして)がセットになっていたからこそ、ワクムスビが捉えられたのだと推測できます。
だとしたら、今作におけるサツ意の定義は「衝動+動機」のセットということになりそうですね。
ただ、前回の記事で触れた秋人の言動を見る限り、彼は動機が不明瞭で衝動だけで動いている感じがするんですよねぇ…。
だとしたら彼は数田とは違う属性のサツ意、あるいはそれに類する感情で動いているのか、それともまだ本人でも自覚できていない、それこそ無意識的な動機あるのか…。
この辺は気になるところです。
スポンサーリンク穴が空いてからの本堂町
今回意外だったのが、本堂町が実質的な探偵役として立ち回っていた点でした。
もちろん酒井戸も数田のイドの謎を解き明かしていましたが、井波の正体がもう一人の墓堀ということを会話だけで見抜くなど、本堂町はなかなかのポテンシャルを発揮していましたね。
というか、本堂町ってこんなアグレッシブな奴だっけ(笑)
確かに富久田との対峙でアグレッシブさは垣間見せていましたが、まさか探偵的な立ち回りを難なくこなしてしまうとは…。
これも穴が空いた影響なのだろうか?
ただ、彼女曰く「傷(穴)が塞がりかけている」とのことなので、富久田や数田の状態とはちょっと違う感じもしますね。
スポンサーリンク「穴」についてのエトセトラ
今回は穴井戸として登場することはなかった富久田ですが、穴に関して気になる発言をしていましたね。
彼の穴に対する発言で注目すべきは以下の2つです。
・頭の穴に二つ同じものはない。
・穴をくぐる風は涼しくないとまずい。
「二つ同じものはない」という発言からは、穴の何かが人によってそれぞれ違うことを示唆ししている感じがします。
その違いが機能なのか、それとも意義なのかは判別はできませんが…。
個人的に穴をきっかけに墓堀となった数田の行動を見ている限り、穴はある種の解放をもたらす装置のような役割を持っている感じがしますね。
普段無意識に抑圧している欲望なり感情を解放するために穴が存在している…といった具合でしょうか。
そして、その穴が適切に機能しているかどうかを判断するうえで、穴を通る風が涼しいかどうかが基準となるのでしょう。
恐らく富久田にとって、穴は無意識への抑圧をやわらげつつ、ある程度理性を保つために存在しているのかもしれません。
つまり抑圧されたモノに一定の自由を与えつつも、あくまで過剰な抑圧を軽減し、理性を安定化させるためにあるような感じ。
過去に富久田は「穴に風が入って抜けると世界が少し綺麗にみえる」といっていましたが、ここからは彼にとって穴は「風を通すためのもの」のようなニュアンスが窺えます。
「風が入る」というレトリックには、「風が涼しい」というレトリックにそれとなく関連性ありそうですね。
逮捕されてからの富久田が、どこかが理性的に振る舞っているのも穴が適切に機能しているからと推測できます。
これに対して風が涼しくない場合…、もしかしたら数田のケースですが、これは抑圧された分、反動で抑圧されたモノが噴き出ているような状態を指すのではないでしょうか。
つまり抑圧されたモノが解放され過ぎてしまい、理性を圧迫してしまっている…端的にいうなら暴走している…ような感じです。
だとしたら、富久田をきっかけに井波と共に墓堀となった数田の変貌ぶりにそれとなく説明が尽きます(まぁ結局富久田が悪いんだけど笑)
ちょっとわかりづらくなったので端的にまとめると、富久田にとっての穴は「抑圧を解放しつつ、風を入れるためのもの」であり、数田にとっての穴は「抑圧を解放し、抑圧されたモノを噴出させる」といった具合でしょうか。
…ここまで色々推察して外したら怖いな(笑)
ただ、穴について色々考えると、やっぱり気になるのが本堂町です。
今回は探偵的に役割を見事に演じた彼女ですが、それが穴の影響によるものなのかが気になるところ。
本堂町曰く「傷は塞がりつつある」といっていましたが、時々穴を気にするような仕草を見せていた点がちょっと…。
っていうか本堂町の頭部の前面右半分を押さえる癖、酒井戸もやっていたような気がするな…。
探偵がやる共通の癖みたいなものですかね?
ちょっと脳科学には疎いので、その辺の小ネタが絡んでいるのなら誰か解説してほしい(笑)
何はともあれ、本堂町に穴が空いたことでどんな変化が生まれるのか注目したいところです。
潜在するジョンウォーカー
今回は久しぶりにジョンウォーカーが登場しましたが、短い登場時間ながら、なかなか強烈なことをやってくれました…。
イド内部で数田と思しき人物をバラバラに斬り刻んでいましたね。
いやー画像では絶対お見せ出来ない光景だった(笑)
ただ、今回登場したジョンウォーカーは以前登場した際とは違うように見えました。
以前は酒井戸にあっさり倒されていましたが、今回は酒井戸の攻撃を容易くいなし、まんまと逃亡。
数田を斬り刻む時の手口といい、手際の良さや戦闘慣れしている感じがでていましたね。
あの様子を見ると、もしかしたら今回登場したのがジョンウォーカーのオリジナルかもしれません。
しかし目的は不明のまま…。
彼がイド内部の数田を斬り刻んだことでオリジナルの数田にどのような影響が出るかは次回以降に持ち越しといったところでしょうか。
何はともあれ、ジョンウォーカーがあんなことをするから、第1話のイド内部の富久田は隠れていたんですね。
ただ、あのイド内部での様子を見ると、ジョンウォーカーはイドに慣れている感じがします。
おまけに彼がミヅハノメが用意した記号ではなく、実体のある人間だとしたら、彼は蔵以外でイドに介入できる存在ということになります。
さらに彼が出現したタイミングも数田の思念粒子を本堂町がやっと検知し、イドが出来上がったばかりのタイミング。
まるで蔵の動きを読んだうえで先回りしているような感じがしますね。
ミヅハノメの助けなしでやっているのか、それともミヅハノメを利用した第三者(つまり蔵の誰か?)がやっているか…。
ジョンウォーカーの正体に俄然興味が向いてきます。
スポンサーリンク『イド:インヴェイデッド』第5話感想
前回の衝撃のキスシーンから一転、本堂町が大活躍するエピソードでした。
松岡に興奮していることを指摘された時の本堂町がめちゃくちゃ可愛かった(笑)
後松岡がキスを「キッス」というところもちょっとつぼったな(笑)
本堂町ファンにはたまらないエピソードではなかったでしょうか(笑)
個人的に今回のアグレッシブな本堂町は好印象でしたね。
余談ですが、数田のイドが延々と落ち続ける世界だったのは「恋に落ちる」にかけていたのだろうか…。
うーん、何はともあれ次回は墓堀編の解決編!
数田と井波VS本堂町と松岡の戦いをしっかり見届けていきたいと思います。
▼前回までの記事はこちらから
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コメント
本堂街は意外と感情表現が豊かな子なんだなと知れる回でした。
逆井戸の席を奪ってしまいそうな推理力を披露してましたが
穴を開けると知能が発達するんですかね。
それだけでなく井波との会話から犯人だと断定した辺り
ミヅハノメの殺意を検知する機械のように相手の殺意を嗅ぐ力も備わっているのかな…。
次週も解説楽しみに待ってます
名無しさんコメントありがとうございます!
>逆井戸の席を奪ってしまいそうな推理力を披露してましたが穴を開けると知能が発達するんですかね。
だったら僕も穴空けようかな…(笑)
知能もそうですけど、探偵としてのポテンシャルが一気に開花した感じですよね。
または、以前本堂町は探偵という役割に興味を持っている素振りを見せていたので、彼女の欲望が解放されているような状態なのかもしれません。
>それだけでなく井波との会話から犯人だと断定した辺り、ミヅハノメの殺意を検知する機械のように相手の殺意を嗅ぐ力も備わっているのかな…。
だとしたらかなりチート性能ですけどね(笑)
ただミヅハノメのような検知能力まではいかなくても、高い直観力は持っているのではないでしょうか。
>次週も解説楽しみに待ってます
ありがとうございます!
またいつでも遊びに来てください!
本堂町が言っていた「殺意と恋愛感情の入れ替わりが矛盾しなかった」とはどういうことでしょうか?
そこだけ何回考えても分からなかったので解説お願いします…
おりーぶおいるさんコメントありがとうございます!
>本堂町が言っていた「殺意と恋愛感情の入れ替わりが矛盾しなかった」とはどういうことでしょうか?
私の個人的な解釈で良ければ…。
恐らく数田の「サツ意と恋愛感情の入れ替わりが矛盾しない」は「双方の感情が同一化している」に近いニュアンスだと思います。
サツ意と恋愛感情が同一しているからこそ、数田はサツ意に基づく行為=殺人と恋愛感情に基づく行為=キスを取り違えていたのではないでしょうか。
そして数田は人の傷やタヒに興味を持つ井波に対して恋愛感情を抱いており(恐らく相思相愛?)、サツ人行為がそのまま彼女への恋愛感情の表れになっていたのでしょう。
だから彼女へのキスや愛の言葉の囁き、告白などといった行為の代替として、数田の中でサツ人が選択されたのだと思います。
もし井波への恋愛感情がないままサツ意と恋愛感情が入れ替わっていた場合、数田は本堂町にキスをした時みたいにあべこべな行動をとってしまうでしょうね。
つまり恋愛感情を寄せる対象がいないのに、サツ意を覚えた際に恋愛感情に基づいた行為をやってしまう「矛盾」が発生してしまうわけです。
裏を返せば、彼が墓堀というサツ人鬼として一貫していたのはサツ意と互換できる井波への恋愛感情があったからこそだといえます。
…こんな具合でしょうか。
ただ、次回のエピソードで数田と井波の関係性がどう語られるかによって、解釈が変わってしまう余地はありますが…。
ご参考になれば幸いです。