皆々様こんにちは。
『イド:インヴェイデッド』(以下『ID』)担当のgatoです。
前回は名探偵に匹敵する推理力を披露した本堂町の活躍で、数田のキスの理由と墓堀の正体が発覚。
意外にも墓堀は実行犯の数田と、彼が思いを寄せる井波の二人組でした。
今回はそんなの墓堀と本堂町(ほんどうまち)&松岡が直接対決!
事件に終止符を打たんとします。
一方で本堂町にも変化が生まれてきているようで…?
色々気になるポイントを早速おさらいしていきましょう。
スポンサーリンク墓堀と井波と数田
前回のラストで本堂町が付き止めたのは墓堀が井波と数田の二人組ということでした。
数田と井波は相思相愛の間柄であり(かといって恋人同士ではなかった模様)、二人は人のタヒや傷を見ることが好きな井波のために数田が人を生き埋めにして息絶える姿を生中継で送り届ける…というなかなかエグいイチャイチャを繰り広げていたというわけです。
結局井波が正体を看破されたことで数田は本堂町と松岡に襲い掛かってきましたが、本堂町との決死の攻防の末、包丁で胸を突かれて命を落とします。
包丁を的確に投擲してくる辺り、数田はなかなかの強者でしたね。
ただ、最期まで井波に尽くそうとした姿はどこか哀愁を誘うものだったなぁ…。
そして井波はあっさりと逮捕され、簡単に全てを自供してみせました。
これも意外な顛末でしたが、数田を喪ったことで墓堀として抵抗する気概を失くした感じがしますね。
そんな2人の関係性ですが、最後まで直接語られることはありませんでした。
個人的にちりばめられた情報を元に考えてみましたが、二人は付き合っていたというわけではなく、あくまでお互いを想い合い、それとなく支え合っていた感じがします。
井波も数田も、それぞれのイドの中ではお互いが表象として出現する一方、決して直接的に関わらず、常に距離を取っていました。
この距離感が、「直接関わることはなくとも、想い合っている」という感じを醸し出していますね。
そしてその根底にはもちろん愛情がありつつも…井波の母親が列車に飛び込んでいった経験が大きく作用していたのは間違いないでしょう。
井波は人のタヒや傷を見るのが好きだと本堂町に指摘されていますが、そもそも彼女はそういったものを見るのが嫌いな性格でした。
それが母親の一件で見事に逆転したわけですが、そこには屈折した感情があったような気がします。
井波の母親は娘が乗る列車に轢かれて命を落としましたが、井波からしたらそれは自分が彼女の命を奪ったような、罪悪感めいた感覚があったのかもしれません。
だけど、同時に自分を迎えにくることよりも自サツを選んだ彼女への恨みもあった。
相反する感情の相克を克服するために、井波は自らの倫理観を歪めて「人のタヒや傷を見ることが好き」という自分を作り上げたのでしょう。
そしてそんな彼女の倒錯的な逃避に手を貸すために数田は事件を起こしたのではないでしょうかね。
無論、そこにはジョンウォーカーの影響もあったのでしょう。
彼が何かしらのアプローチをしたために、井波は自分が癒えるために、数田は井波を癒すために墓堀になった…という感じでしょうか。
ただ、結局数田の奉仕は井波にとって核心的な改善策にはならなかったようです。
実際井波はイドの中で母親の命を奪った列車に乗り、永遠と廻り続けていますし、数田が彼女に捧げた犠牲者達は列車に乗ることなく、母親が命を落とした踏切で立ち止まっていました。
結局井波が選んだ「人のタヒや傷を見ることが好き」という逃避先は彼女にとって十全に機能していなかったのかもしれません。
だからこそ、井波は数田が命を落としたと同時にあっさり自供したのでしょう。
ただ、そんな二人にちょっと救いがありそうな妄想を述べるなら…。
数田はイド内でもそうだったように、歪みながらも彼女を守り抜こうとした一方、最期まで井波と距離を取り続けました。
そこには数田にとってサツ人鬼である自分が井波と一緒にいることはあってはならないと考えていたのかもしれません。
実際、自身のイドで数田は常に外におり、井波を家の中に入れていましたし、自分の声が届かないことも良しとしていました。
これに対し、自身のイドで井波は一定の距離は保ちつつも、数田と同じ空間にいることを選んでいます。
「人のタヒや傷を見ることが好き」でありながら墓堀の犠牲者は列車内に入れないにも関わらず、井波は数田を同じ列車内に入れており、また彼とは対照的にコミュニケーションができる距離感を取っています。
つまり、井波は数田と多少距離を取るべきと思いつつ、常に傍にいてほしいと想っていたのではないでしょうか。
実際、井波は本堂町が数田とキスをしたことを気にしている節がありましたし、取調室で彼女が同じ穴を持つ者同士として数田と通じ合っているのではないかと気にしていました(嫉妬心の表れと解釈できそうですね)。
これらの点を踏まえると、井波と数田はそれなりに良いカップルであり、やり方を間違えなければ幸せになる道があったのではないか…と思える余地がでてきそうです。
…うーん、そんな救いがあるわけでもなかったな(笑)
ただ、そんなカップルを歪めてしまったのであれば、ジョンウォーカーは許せない奴ですね(笑)
スポンサーリンク本堂町、名探偵へ
前回の記事でも指摘したように、探偵の素質を開花させてきた本堂町ですが、ついに名探偵の候補となりました。
ただ、ちょっとほろ苦いスタートになってしまいましたね…。
図らずも本堂町は数田との死闘で「人の命を奪ったことがある」という名探偵の条件を満たしてしまいますが、その時の本堂町のリアクションが…。
そもそも井波の思念粒子を検知するためにわざと数田を挑発したリ、事切れる数田を前に淡々としていただけでなく、井波に対して蔑むような調子で言葉を投げるなど、どこか冷酷さが際立っていましたね。
それこそ犯人に自ら命を絶つよう仕向ける秋人や、人の頭に穴を空けてきた富久田(ふくだ)と通ずるものを感じてしまいます。
実際、松岡も本堂町を危険視していることを本人に明かすなど、彼女の危うさはもはや危険性にまで昇華していました。
そんな本堂町ですが、松岡の「ただのサツ人者ではだめらしい」という台詞を踏まえると、名探偵の適正にはある程度人のタヒに…ひいてはサツ人に対するドライさが重要な感じがします。
それも単純なドライさではありません。
実際、秋人も富久田もサツ人に対して躊躇いなくできますが、それぞれそれなりの動機…単純にいうなら信念めいたものを持っている節があります。
そして本堂町にも彼らと同じようなサツ人をドライに決行できる信念を持っているのでしょう。
個人的に彼女の動機は恐らく「真相解明(ある種の正義感)」って感じがしますね。
端的にいってしまうなら、本堂町は事件解決・犯人逮捕のためなら犠牲を看過できるし、自らその犠牲を生み出すことも厭わない…という具合でしょうか。
彼女は富久田との対峙で自らの命を平気で賭けていますし、井波の思念粒子のために簡単に数田を利用していました。
それに彼女は名探偵という役割への憧れが強く、「事件が捜査できていいなぁ」と発言していたり、イドを見られることに抵抗がなく、むしろ「嬉しい」と感じるなど、自分すらも捨象してしまえる正義感の持ち主でもありそうです。
そう考えると、彼女に作中における名探偵の適正があることは得心がつきますが…。
なんていうか、これが彼女の闇落ちにならないことを祈るばかりです。。。
スポンサーリンクミヅハノメの開発者
今回はさりげなく若鹿(わかしか)の口からミヅハノメの開発者の名前が出てきました。
その名は「しらこまにしお(聞き間違いじゃなければこんな名前のはず。しらこま=白駒っぽいですね)」。
この「しらこま」なる人物が行方不明になっているうえに、軍事転用を危険視した情報統制のためにミヅハノメの中心の情報は不明、おまけに触れることもできなくなっているというわけです。
うーん…まだ名前と現状しか出てこないのでなんともいえますが、このしらこまって人物はすごいキーパーソンなんじゃないか(笑)。
後述するジョンウォーカーの謎と絡めてみると…色々想像が広がりそうです。
ジョンウォーカーの謎
今回はジョンウォーカーに関して井戸端スタッフ達の推理が繰り広げられました。
そんな彼についての謎をちょっと整理してみましょう。
手口
これまで数田を含めて6人の人間の連続サツ人鬼に仕立て上げたジョンウォーカーですが、そもそもどうやって対象に接触し、イド内に姿を見せているのでしょうか?
劇中で出てきた仮説は「ジョンウォーカーはミヅハノメ、あるいはミヅハノメのプロトタイプを用いている」というものでした。
現状行っているジョンウォーカーの行為はミヅハノメがあれば十分に可能だということですが、作中の情報によるとミヅハノメが導入されたのは本編の1年前。
対してジョンウォーカーと接触していたと思われる富久田が事件を起こしたのは3年以上前であるためミヅハノメのプロトタイプでもない限り、彼の行為は成立しなくなります。
無理矢理筋を通すとしたら、ミヅハノメのプロトタイプ→ミヅハノメと使用していたデバイスを切り替えた…なんてことになりそうですね。
ミヅハノメ以外で相手の無意識にアクセスする方法もありそうですが、今の所それらしきものは出てきていないのでこの説は一旦置いておくべきでしょう。
前述したしらこまのことも踏まえると、無意識へのアクセス手段はミヅハノメ、あるいはそれ絡みと考えた方がよさそうですね。
一方で、ジョンウォーカーが連続サツ人鬼に仕立て上げる対象の選び方が少しずつわかってきました。
ジョンウォーカーは富久田や数田をカメラ・盗聴器で監視しており、そこで対象が接触した人物を吟味して次の連続サツ人鬼に仕立て上げようとしているということ。
なるほど、確かにこれまでジョンウォーカーが介在したと思われる連続サツ人鬼は富久田→数田→井波とつながっている感じはします。
また、ジョンウォーカーがイド…ひいては無意識に潜れるのだとしたら、そこの住人から次の連続サツ人鬼候補を選んでいる可能性は高そうですね。
正体
そして一番重要なのがジョンウォーカーの正体。
今回は3つの説を検証してみたいと思います。
①精神科医
白岳(しらたけ)の最初の推測が精神科医説。
まぁ無意識にアクセスして色々誘導する…となれば、真っ先に思いつきそうな職種です(ハンニバル・レクター然り)。
しかし、共通したイメージである赤いフロッグコートにシルクハット、ステッキという派手な格好で精神分析をするというのは考えづらいですし、6人に通院歴はなし。
したがって精神科医説は厳しそうですね。
②井戸端スタッフの誰か
わりと可能性が高いのがこれ…前回もちょっと触れていましたね。
変装する必要があるうえに、ミヅハノメを利用できるという最大のメリット。
作劇的にもまぁ「裏切り者がいる!」っている展開の方が面白いよね!というメタな推理もできますしね(笑)
ただ状況証拠が出来過ぎていてちょっと半信半疑感は否めません。
前回の記事でいっといてあれですけど、ミヅハノメでしかできないことをミヅハノメが使える人間がやるっていうのはちょっと安直さが抜けない。
もう少しエビデンスが欲しいところです。
そして③は個人的に「しらこまにしお」を推したいところです。
まぁこれもこれでちょっと安直さは拭えませんが(笑)、ミヅハノメの開発者+現在は行方不明というところがわりとピッタリくる(笑)
それにミヅハノメの開発者なら、ミヅハノメ以外にも無意識にアクセスする手段を持っていそうですし、何よりあれだけヤバいものを開発したんだからヤバいことを考えていそう(笑)
これもエビデンスが足りないので深堀りが難しいですが、候補に入れておいても面白いかも(笑)
スポンサーリンク『イド:インヴェイデッド』第6話感想
個人的にはちょっとした切なさを覚えるエピソードでしたね(笑)
井波と数田と末路もそうですが、酒井戸(さかいど)とかえるちゃんのやり取りも胸に迫るものがあったな…。
というか、冬川のイドの時もそうでしたが、かえるちゃんは結構積極的に酒井戸を導こうとしている感じがしますね。
まるで自分の命と引き換えに酒井戸の標になろうとしているみたいな…。
酒井戸が秋人としての記憶がないにも関わらず、かえるちゃんに感情移入するのは、秋人が無意識に自身の喪った妻や娘と重ねているところがあるからかもしれません。
後、数田の頭の穴ですが、綺麗に貫通していたんですね…。
あそこに銃弾を通した(外れですけど)本堂町もすごいですが、穴が塞がりつつある彼女と貫通した穴を持つ数田の差異も気になるところです。
さて、本堂町が松岡と別れながらも名探偵なった矢先に、秋人の因縁の相手であるタイマンこと、かつやまでんしん(…これでいいのか?名字は勝山っぽいですね)が出てきました。
富久田の家に隠されていたカメラがタイマンの家にあったそれと同じだったとのことですが…。
どうやら次回は酒井戸、もとい秋人がメインになりそうな予感ですね。
▼前回までの記事はこちらから
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コメント
正岡が本堂町に言った「連続殺人鬼じゃないとな」とは樽のガソリントラップを仕掛けたのが小春だと示唆してるのでしょうか?
名無しさんコメントありがとうございます!
>正岡が本堂町に言った「連続殺人鬼じゃないとな」とは樽のガソリントラップを仕掛けたのが小春だと示唆してるのでしょうか?
うーん、個人的に樽のガソリントラップを仕掛けたのは数田だと思います。
本堂町が同僚の命を奪う動機はありませんし、さすがに主犯の一人である数田の家に入り込んで罠を仕掛けるのは難しいかと…。
ただ、その推測は結構面白いですね。
実際、本堂町が同僚の命を平気で天秤にかける節はなくもないですし、この先本当にそういうキャラクターに変貌する可能性はあります。
そして、名無しさんがご指摘された台詞は、本堂町が何かにつけて犯人と対峙しようとしている点を示しているのかなと思いました。
富久田のケースは少し例外的ですが、大野の時に本堂町は松岡から離れて現場に入っていましたし、井波と数田が結託していることを承知したうえで挑発したりしていました。
つまり本堂町は「犯人との対決願望」みたいなものがある…という具合でしょうか。
そして彼女は犯人と対決したうえで命を奪うことをいとわない。
井波に銃を向けたうえで数田に挑発したり、数田に包丁で反撃したリしている点がその表れですね。
たとえ動機が刑事…正義の一環によるものだとしても、犯人の命を奪うことをいとわない姿勢はまさに連続サツ人鬼といっても差し支えありません。
正義のために動く、しかし命を奪うことはいとわない…まさに探偵的姿勢と連続サツ人鬼的姿勢を並立させているといえます。
快楽や怨恨のために人の命を奪い続ける連続サツ人鬼と、正義の名の下に犯人の命を奪い続ける探偵(刑事)に大差はないですからね。
少々長くなったのでわかりやすくまとめるなら、第6話の段階で本堂町は秋人のように名探偵と連続サツ人鬼の両方の一面を併せ持つアンビバレントな存在になってしまったということなのでしょう。
これが松岡のいう「正義とそういうのが両立する」姿勢を示しているのかもしれません。
後、本堂町は富久田と対峙するうえで自分の命を平然と賭けましたが、あの行為も自分に対するサツ人行為と解釈する余地もありそうですが…。
ここはもう少し様子を見て判断したいところですね。
6話は言葉にできないエモーショナルが詰まってたような1話に感じました
自分は、どこにも行けない、降りれない、苦しみを抱えた母親を轢き続ける電車という檻に井波ちゃんは囚われいたのかなと思いました
苦しみを見つめ続ける為に、心の回避行動としてサディスト的になった
そして踏切に立つ被害者を、苦しみを通して母親を見つめてたんだろうかな?という苦しみメインの解釈
数田と井波ちゃんの距離感はなるほど盲点でした
そう考えると、数田は片思いだと思ってたのかな、接し方からして
互いに間接的に相手を見つめ合う所
か中学生かよって思いましたけど、中学生だったな
母親を轢き続ける電車に乗るカップル見ていたいってのは狂気ですけど、いい絵でしたね
タフさんコメントありがとうございます!
>そして踏切に立つ被害者を、苦しみを通して母親を見つめてたんだろうかな?という苦しみメインの解釈
僕も近しい感想を持ちました。
井波の嗜虐的な嗜好は母親の命を奪った電車に乗っていたことで加害者になってしまったことへの呵責の念の裏返しという感じがありますね。
こう考えると、一見サディスティックな井波の嗜好は一周回ってマゾヒスティックなものなのかもしれません(サドとマゾは表裏一体といいますしね)。
タフさんが仰るような苦しみを抱いていたからこそ、井波は少しでも楽になるために苦しみを愉しみに変換していたのでしょう。
>そう考えると、数田は片思いだと思ってたのかな、接し方からして
なるほど、面白い解釈ですね。
確かに数田の振る舞いは片思いしている男子のような感じがします。
本当は両想いだけど、自分のやっていることが原因で井波が逮捕されないようにするために、数田は距離を取っていた節がありました。
井波としてはいつでも迎え入れる準備は出来ていたのでしょうけどね。
だから井波はイドの中で数田を同じ車両に入れたのでしょう。
そう考えると、あのカップルってちょっと切ないんだよなぁ…。
>互いに間接的に相手を見つめ合う所、中学生かよって思いましたけど、中学生だったな
まさにその通りだと思います。
本堂町は数田と井波の関係を「プラトニックでネチョネチョするだけの関係」と言っていましたが、井波自身は「子供っぽい」と評していました。
お互いを意識はするけど、恥ずかしがっているかのように直接的なやり取りはしない。
まさにタフさんのいう通り中学生的な距離感ですね。
そもそも井波と数田は高校時代からの付き合いですが、その頃の延長線上の関係だからこそ、あの距離感になったのかなぁ…と思います。