「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の記事を毎話更新していきます。(前日譚「PROLOGUE」の記事を読みたい方は下にスクロール)
皆々様こんにちは…というか、お久しぶりです。
この度『機動戦士ガンダム 水星の魔女(以下『水星の魔女』)』担当となったgatoです。
今回から『水星の魔女』の感想・考察・解説をまとめていきます。
ここでは放送に先駆けて前日譚として放送された『PROLOGUE』の内容に触れつつ、本作のポイントとなる要素をまとめていきます。
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ちなみに今作はアニメオリジナルのため原作はありませんが、『ガンダム』シリーズは一部の劇場版・OVAを除き、大体視聴しています。
目次
『水星の魔女』とは
『水星の魔女』は5年ぶりにして令和初のテレビシリーズの『ガンダム』最新作です。
『ひそねとまそたん』・『スプリガン』などを手掛けた小林寛が監督を、『コードギアス反逆のルルーシュ』・『プラネテス』などを手掛けた大河内一楼が脚本を務めるうえに、シリーズ初の女性パイロットが主人公と話題に事欠きません。
さらに、これまでの『ガンダム』シリーズでフィーチャーされたことがない「水星」を冠し、シリーズ初の学園が舞台になるなど、初めて尽くしです。
一体どんなことになるのか…楽しみが尽きませんね。
『水星の魔女』の気になるポイント
本編開始に先駆けて『PROLOGUE』が放送されましたが、その内容を軽く振り返りつつ、『水星の魔女』の気になるポイントを押さえていきましょう。
GUND-ARM、そしてガンダム
『PROLOGUE』では『水星の魔女』におけるガンダムの開発経緯が描かれていますが、なかなか興味深いものでしたね。
今作におけるガンダムは身体拡張のための医療技術であるGUNDフォーマットをMS機構に組み込む形で生み出されたMSという位置づけです。
このGUNDフォーマットですが、本来は宇宙進出の際に生じる肉体の障害を乗り越えるための身体の機械化…わかりやすくいうと『攻殻機動隊』シリーズでおなじみの義体化に近いもののようですね。
カルドやエルノラを見ている限り、GUNDフォーマットはわりとがっつり体を機械化している感じでした。
『ガンダム』シリーズにおいて、MSと連携するための身体の機械化は『鉄血のオルフェンズ』や『Thunderbolt』などでおなじみですが、今作は人類の宇宙進出に絡めつつ、より「身体の機械化」をフィーチャーしている印象があります。
ただ、今作におけるガンダムは決して歓迎されるべき存在ではなく、MSと接続することでデータストーム(単純に膨大なデータ?)がパイロットの身体にダメージを与え、生命の危機に晒す反作用があるようです。
そのため、作中の世界ではガンダムの開発はかなり非難されており、多くの犠牲を生み出しているため、「生贄を要する技術」・「呪い」と貶された挙句、『PROLOGUE』の結末では存在自体を否定すると宣言されています。
ガンダムを忌むべき存在として扱うシリーズはいくつかありますが、今作もその路線を行くようですね。
他方で、GUNDフォーマット理論の提唱者であるカルドはGUNDフォーマットやガンダムなどの技術が人類の宇宙進出を助けるものだと信じてやまないようです。
カルドの、ひいてはヴァナディース機関の背後には色々キナ臭い政治事情があることを窺わせますが、そこまで悪いことをしている印象はありませんね。
実際、エルノラはGUNDフォーマットのおかげで命を救われたと語っており、EDに流れた写真ではGUNDフォーマットを身に着けた人々の幸せそうな様が描かれています。
ただ、実際的にガンダムはパイロットを潰すリスクが高く、作中では開発に反対するデモが起こっており、挙句の果てにはカテドラル設立と同時にデリングによってヴァナディース機関と関係者もろとも物理的に破壊されようとするなど、ガンダムに対する反感はかなり強いことがわかります。
これらの描写を統合すると、今作におけるガンダムは宇宙進出を助け、人々の未来を切り開く夢を持つと同時に…人々の犠牲を求める負の側面を持つ、アンビバレントな技術の結晶体として扱われるのでしょう。
他方でガンダムの技術自体はまだ完成には至っておらず、作中ではエリクトがやっとその本質の一部を引き出していたことがわかります。
また、ヴァナディース機関を潰しに来たケナンジがしっかりガンダム対策(おそらくGUNDフォーマットとMSのリンクを電子的なジャミングで切断する)をしていたところを見ると、攻略法もちゃんとあるようです。
このガンダムがどのように完成されるか、ここに本作のテーマが宿っているようですね。
アーシアンとスペーシアン
PROLOGUEで登場するや否や、ほぼほぼ一方的な攻撃で潰されてしまったヴァナディース機関ですが、この機関はガンダムを開発していたこと以上に、いろいろ複雑な事情が絡んでいたようです。
その最たるものが作中でちょこちょこ登場していた「アーシアン」と「スペーシアン」という言葉でしょう。
語感的にアーシアンは「地球人」・スペーシアンは「宇宙人」を連想させるものですが、恐らくこれは『ガンダム』において宇宙世紀シリーズでよく使われていた「アースノイド」・「スペースノイド」に相当する言葉である可能性が高そうですね。
作中においては、どうやらヴァナディース機関、ひいては機関を買収したオックス・アース社はアーシアンの企業あり、作中のモビルスーツ評議会の出ていたグラスレー社やジュターク社などはスペーシアンの企業だと思われます。
そして両者のやり取りを踏まえると、アーシアンとスペーシアンはわりと対立している印象があります。
ジュターク社CEOが「アーシアン風情が出しゃばるから」と悪態を吐いていたり、ナディムが「スペーシアンの狭量が」と呟いているところを見ると、それなりに反目しあっていることが感じられますね。
おまけにオックス・アース社のヴァナディース機関買収が地球の軍拡と捉えられているところを見ると、かなり大きな火種が燻っていることがわかります。
そしてカテドラルのトップとなったデリングが「数多の戦場を経験」したと語っているところを見ると、既に何度か戦争が起こった可能性も高そうです。
また、ウェンディの「スペーシアンは独占しすぎ」というセリフや、モビルスーツ評議会のメンバーの多くがスペーシアンだったところを見ると、どうやら宇宙における権益の大半はスペーシアンが握っているようですね。
おまけに本編のPVでも「あーしらを底辺に押しこんでいるのはスペーシアンの方じゃん」というセリフもあることも踏まえると、民間レベルでもアーシアンとスペーシアンの対立は根付いており、スペーシアンが優位に立っている印象があります。
『PROLOGUE』では地球の描写が全くないので、そこがどうなっているかは不明ですが、宇宙の権益の多くのスペーシアンが独占しているという歪な社会構造が、そしてアーシアンとスペーシアンの根深い対立がヴァナディース機関の壊滅の背後に絡んでいるように思えます。
地球VS宇宙は『ガンダム』シリーズにおいて、最早おなじみの対立構造なわけですが、今作ではそれをどう料理するか楽しみですね。
他方で、『PROLOGUE』では国家間ではなく、アーシアンとスペーシアンの対立を背景に置いた企業間の対立が描かれていました。
本作は「数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代」としてAS(アド・ステラ)が描かれていますが、武力を有した監査組織(カテドラル)の設立を一企業のCEOが宣言するところを見ると、企業の力がかなり大きいものになっていると思われます。
下手すると宇宙世紀シリーズでおなじみのアナハイム以上の感じもしますが…この辺りもどうストーリーに反映するかも注目したいところです。
少女はガンダムに出会う
さて、『PROLOGUE』に登場し、悲劇的な別離を体験したエリクトに触れていきましょう。
まぁエリクトは明らかに本編の主人公であるスレッタのようですが、今回はあくまでエリクトとして扱います。
エリクトは些細なことでルブリスとリンクしてしまうわけですが、彼女はテストパイロットであるエルノラですらいけなかったレイヤー33のコールバックに成功する(この辺りは正直まだよくわからない笑)など、早速特異性を発揮していました。
おまけに恐らく人の命を奪っているであろう自覚もなく敵機3機を撃墜(ガンダムの主人公で最年少記録更新らしいです)…わりと衝撃的な展開でしたね。
前述したように、今作におけるガンダムは清濁併せ吞むアンビバレントな存在ですが、奇しくも彼女はそれを一手に引き受けてしまったわけです。
人の命を奪う罪を犯し、世界から忌み嫌われた呪いを背負う…まさに魔女ですね。
ただ、気になるのはルブリスがコールバックしたきっかけです。
直前にエリクトはカルドに誘われてルブリスとリンクし、他愛のない話をしているわけですが、もしこの彼女の行為が影響し、ルブリスがレスポンスをしたのだとしたら、今作におけるガンダムはコミュニケーションが可能な存在である可能性が感じられます。
さすがに意思を持っているような描写はなかったですが、ガンダムとパイロットの関係性やパイロットの働きかけが大きく影響する可能性は高そうですね。
そして世界から疎まれ、人生の歯車を大きく狂わせる存在であるガンダムとエリクトがこの後どのような関係になっていくか…。
この辺りも要チェックです。
そして魔女は…
さて、ここでは本編の気になるポイント簡単に洗ってみましょう。
ヴァナディース機関壊滅後に何があったかは不明ですが、生き残ったエリクトはなんやかんやでスレッタ・マーキュリーとしてアスティカシア高等専門学園に編入します。
この時点で彼女の目的は不明ですが、名前を変えているところやガンダムを引き連れているところを見ると、何か目的があるようですね。
おまけにこの学園にはヴァナディース機関壊滅に関わったデリングの娘と思しきミオリネを始めとするモビルスーツ評議会の関係者がウジャウジャいるところです。
そう考えると、スレッタの学園生活ってわりと綱渡りなんですよね…なぜか普通にガンダムもちこんでるし(笑)。
構図的には完全にザビ家に復讐しにきたシャアを連想させますが…PVの彼女を見る限り、スレッタはそこまで復讐にこだわっている感じはしないんですよねぇ。
むしろこれから始める学校生活に目を輝かせているかわいい普通の女の子なんだよなぁ…(笑)
ただ、お母さんについて口にすることが多いところを見ると、共にヴァナディース機関の壊滅から生き残ったエルノラとの関係が彼女に大きな影響を与えていることが窺えます。
地味に母娘の関係がフィーチャーされる『ガンダム』シリーズも珍しい印象がありますが…。
いずれにせよ、『ガンダム』の世界観でまともな学園生活が送れるわけがないわけですから(笑)、この先スレッタがどうなっていくか注目ですね。
『水星の魔女』放送前感想
『PROLOGUE』が放送されているので、厳密にいうと「放送後」ですが、ひとまず感想です。
想像以上に骨太の内容を持ってきているので、ちょっと驚きましたね。
正直SFロボットアニメが結構こすってきた要素が多いですが、ガンダムシリーズではそこまで扱っていないので、これがガンダムとどう共鳴するかが楽しみですね。
ただ、『PROLOGUE』では水星について全く語られていないんだよなぁ(笑)
少なくとも水星に人が住んでいるなら、人類が既に外宇宙まで進出しているってことなんですが…。
まだ世界観の全貌が見えているわけではないので、本編でどう描かれるか…。
いずれにせよ、久しぶりの完全新作の『ガンダム』ですからね。
来週からしっかり堪能したいと思います。
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コメント
見せ場なんだろうけど、決闘とか現実感がない
梅さんコメントありがとうございます!
確かに決闘はこれまでの『ガンダム』シリーズとは毛色が違いますよね(笑)
『ガンダムW』では何かと一騎打ちがありましたが、それともまた感じが違いますしね。
ヴィムが言った「実証試験」という名目をはめれば、少々違和感は取れますが…。
まぁわざわざ「決闘」という様式を使った以上、色々仕掛けがあると思いたいところです。
ガンドフォーマットは、OVA「デトネーター オーガン」の生身の体が神経に退化し機械の体が肉体に進化した外宇宙の調査隊の末路を人工的に起そうと言う思想だね。
・・・さんコメントありがとうございます!
>OVA「デトネーター オーガン」の生身の体が神経に退化し機械の体が肉体に進化した外宇宙の調査隊の末路を人工的に起そうと言う思想だね。
見たことない作品なので、突っ込んだ回答ができませんが、「肉体改造」という点でも近しいと思います。
機械化ではないですが、「宇宙に適応する肉体」を作るという点では『翠星のガルガンティア』も似たような印象がありますね。
この手のSFは他にもあるでしょうけど、『水星の魔女』ではどんな道筋で描いてくれるのか楽しみです。
PROLOGUEのエリクトはガンドフォーマットを使っている時の痣のようなものはありましたが、影響を受けていないような描写だったのが個人的には気になりましたね
そして、エアリアルに搭乗しているスレットに至っては痣すらないですし…
それに加えて、ルブリスとエアリアルのOSを画面を止めて拡大して見比べると、エアリアルのVerに不穏さが感じます
通りすがりの名無しさんコメントありがとうございます!
>PROLOGUEのエリクトはガンドフォーマットを使っている時の痣のようなものはありましたが、影響を受けていないような描写だったのが個人的には気になりましたね
ここは私も気になっていたんですよねー。
ほかの記事でも触れていますが、スレッタにデータストームの痣(私は紋様と呼んでいました)が表れないのはエアリアルがデータストームを何らかの方法を処理し、パイロットへ影響を及ぼないようにしちえると解釈できますが、エリクトの時点でそれはない理由はいまだに判然としません。
この辺りはガンダムの設計思想や各設定が明かされないと何とも言えないんですよね…。
>それに加えて、ルブリスとエアリアルのOSを画面を止めて拡大して見比べると、エアリアルのVerに不穏さが感じます
ああ、エアリアルのOSが「Ver.ES」になっているみたいな話でしたよね?
YouTubeかなんかで見かけました(僕は全然気づかなかった笑)。
これを論拠に「エリクトがエアリアルに組み込まれている」説が唱える方もいましたが、個人的には論拠としては弱いので無視していたんですよね…。
『PROLOGUE』の終盤でルブリスのレイヤー33からのコールバックでエリクトのバイタルが認証された描写がありましたが、OSを論拠にすると「エリクトのバイタルをベースにOSをパーソナライズした」という話も通じてしまうんですよね。
それに「Ver.ESを使っているならやっぱりスレッタはエリクト・サマヤなんだ」ということも言えてしまうわけで。
だから個人的にエリクトが故人となっている話や、彼女がエアリアルに組み込まれている話をするときにOSについては触れていません。
紅白歌合戦が出場者決定したがYOASOBIさんは残念ながら落選した。これは水星の魔女の呪いのせいなのか
彗星さんコメントありがとうございます!
YOASOBIの紅白落選は…どうなんですかね(笑)
YOASOBIが魔女扱いされて表に出されないという重ね方は、ちょっと面白いですけど(笑)
作品自体はそれなりに楽しめているので、否定的なコメはしたくはないのですが、世界観が余りにも小出しで大枠が見えて来ない作品過ぎる。
責めて、種ないしは初代テイストでも良いので世界観の説明が欲しい。
ぬいさんコメントありがとうございます!
>世界観が余りにも小出しで大枠が見えて来ない作品過ぎる。
まっっっっっったくの同感です(笑)
キャラクターのセリフの端々で推測はできますが、正直世界情勢が依然不透明なので、世界観の全容が掴めないんですよね…。
個人的に世界情勢の描き方も『ガンダム』シリーズの魅力だと思っているので、本音ではもっと描いてほしいと思っています。
2期で用語全て忘れてパルスのファルシのルシがパージでコクーンよ
名無しさんコメントありがとうございます!
なぜにFF13(笑)
まぁ用語多いから仕方ないですよね~。
僕も正直いろんなこと忘れた状態でスタートしてるんで過去の記事とにらめっこです(笑)