皆々様こんにちは。
『メタリックルージュ』担当のgatoです。
前回は〈インモータルナイン〉こそ出てこなかったものの、訳ありっぽい乗客たちのやり取りや、〈簒奪者〉・〈来訪者〉の存在が気になるエピソードでした。
さて、今回はリアン居留地に到着したルジュとナオミが、次なる〈インモータルナイン〉を捜索…かと思いきや、とんでもない事態に巻き込まれるようです。
どんな展開が待っているか楽しみですね。
ではでは、じっくり振り返っていきましょう。
目次
大人の階段
今回、ルジュは意外な立ち回りを見せていましたね。
まずはルジュ周りから振り返ってみましょう。
兄は何も言わない
公式サイトでは公開されていたルジュの兄であり、審理部の次長であるジーン。
今回やっと初登場です。
既に故人のロイ・ユングハルトの息子であり、人間にも関わらずルジュとは兄妹のように育ったとか。
彼から連絡が来た際、ルジュは途端にソワソワしだしたり、彼が自分を褒めている(実際はナオミを褒めていた)という話を聞いて顔を赤らめたりと、ジーンを慕っている様子を見せていましたね。
ただし、肝心のジーンの方は…ナオミに「世話を頼む」と言伝るだけで、特にルジュに対する感情を見せていませんでした。
うーん、まぁ信頼しているからこその塩対応なんでしょうけど…それにしてもリアクションがねぇ…。
ルジュとナオミの一件も踏まえると、ちょっと本音が見えにくいですよね。
それにジーンは立場上、ロイ・ユングハルトのサツ害現場にルジュの姿が目撃されていることを知っているはず。
真相は不明ですが、父のタヒに関わっていると思しき妹を、危険な〈インモータルナイン〉との戦いの前線に立たせている…。
これだけでも、なかなか不穏な空気は感じてしまいます(笑)
大人の作法
ミゲルとエミリーにナオミが勝手にチョコレートを渡したことをきっかけに、ルジュとナオミが大喧嘩。
売り言葉に買い言葉でナオミが「審理部の道具」と言ったために、ルジュは激高して飛び出してしまいます。
まぁ、ジルとの絡みでルジュが自分の在り方について考え込んでいるときに、「道具」っていっちゃうのはね…ナオミも反省していましたが、完全にアウトでしょう。
他方で、2人のやり取りはある種のすれ違いが起こっているように感じています。
ルジュからしたら、〈ネアン〉の自由について色々考えている時に、「道具」だの「備品」だのいわれたから怒った…という感じでした。
一方、ナオミはエージェントの在り方について注意している感じでした。
確かに、好物がないからといって作戦会議を放り出してチョコレートを買いに行こうとしたり、自分だけが戦っているという認識でナオミの仕事を否定したりするのはよくないことです。
いかにも子どもっぽい主張をするルジュに対し、淡々と大人として振舞っているナオミが対照的に描かれている場面でしたね。
ただ、個人的にナオミに落ち度がまったくないわけでもなさそうです。
実際、〈ネアン〉であるルジュに対し、「自由はない」と断言したり、道具や備品呼ばわりしたりするのは普通によろしくない(笑)
まぁ人間=エージェントを道具扱いする価値観はわからなくはないですし…人間が本質的に自由かといわれると、そこも首を傾げざるを得ないですからね。
でも、第1話でスカーレットが処分される光景を見て「これも現実よね」とあっさりと片付けるナオミは、差別意識はないにせよ、〈ネアン〉が道具として使い倒され、雑に片づけられる現状を良くも悪くも当たり前に受け止めている印象があります。
リアリストといえばそこまでですが、ナオミが〈ネアン〉に対していささかドライな印象はどうしても持っちゃいますね。
まぁ、ジーン同様、ナオミも内面の描写がほとんどされていないので、まだ結論は出せません。
それに、自身を「道具」と認識しているプロのエージェントだからこそ、ルジュに対しても同じ在り方を求めてしまっている可能性もありますしね。
実際、ルジュが出て行ったあと、ナオミはしっかり反省していましたし、好物のチョコレートも買ってあげたりしていました。
ナオミは22歳ということですが、まだ年相応の未熟さが残っているのでしょう。
反抗期へ
ナオミと喧嘩した結果、ルジュは一人で飛び出すことに。
道中、警察官に絡まれているリオンを見て、感情のままに喧嘩を始めようとするなど、かなり激昂しているようでした。
まぁルジュの感情を差し引いても、適当な因縁つけて〈ネアン〉を処理場送りにしようとするなど、あの警察官達の行為は普通に大問題ですが…。
何はともあれ、今回のルジュの立ち回りは、ジルの影響が大きいことが垣間見えます。
前回の記事でも触れた「自由は自分で選べる」。
自身もまた〈ネアン〉であり、道具扱いされ、人間の都合で処分される〈ネアン〉の現状に想うところがあったルジュにとって、この言葉は大きな励みになったでしょう。
ただし、見た目は大人(17歳)、中身は子ども(10歳)のルジュは、まだこの言葉の意味を本質的に理解しきれていないのかもしれません。
実際、仕事を放っぽり出してチョコレートを買いに行くのを正当化するために使っていた感じはありましたからね(笑)
そこはまだ年相応に未熟だということでしょう。
ただ、アフダルに助けてもらった際、幻影のヴェルデを見つけるためにネアン居留地に潜り込もうとするなど、仕事はちゃんとこなす姿勢を見せていました。
この辺りは、ちゃんと自分の役目を理解しているところがありましたね。
まぁ、真面目に仕事をこなしているのか、それとも道具であるために仕事から逃れられない〈ネアン〉の性なのかは…まだ判断できないところですが。
何はともあれ、今回のルジュは、いよいよ反抗期に入ったという感じでしょうか。
思えば、10歳はちょうど第二次反抗期に入るタイミングですし。
子どもっぽくはありますが、ルジュが自分の在り方について真剣に向き合うタイミングが来たと捉えるべきでしょう。
審理部と守護局
今回は審理部と守護局の関係性についても触れられていました。
前回の冒頭に登場したアッシュやノイド262もウェルズタウンに到着していましたが、ナオミはアッシュの顔を把握しており、ジーンもまた2人の動向を捕捉しているようでした。
アッシュとノイド262は審理部のやり方に対し批判的な一面を見せていましたが、ナオミやジーン達審理部もまた、守護局を警戒しているようでしたね。
恐らく両者は対立関係にあるのでしょう。
リアルでいうと警察機関のような守護局にとって、秘密裏に超法規的措置を連発する審理部はあまり好ましい存在でないことは想像に難くありません。
他方で、守護局は守護局で警察署に相手にされないなど、微妙な立ち位置を見せていました。
まぁロートルの跳ねっ返りと評されていましたし、人望がなさそうなのでアッシュ個人の問題のような気もしますが(笑)
ただ、〈ネアン〉の嫌っているような素振りを見せながらも、なんやかんやでノイズ262とユーモラスなやり取りをしているところを見ると、人はいいんでしょうね。
ところで、第1話の記事でも触れた、ルジュがサラから抜き取ったコアのようなものですが、あれは「イド」であることが明かされました。
そしてジーンの手元には、これまた第1話で触れられていたニウスとアキルスのイドがありましたね。
やっぱりニウスとアキルスは〈インモータルナイン〉の一員であり、既にルジュの手にかかっていたことがわかります。
ただ、イドが何なのかよくわからない…。
イドが「自我」や「自己を対象とする認識作用」を意味すると踏まえると、あれはやっぱりメモリー…あるいは〈ネアン〉の自我を形成する機関のようですね。
端的にいうと魂でしょうか。
あれを取得してわざわざ保管しているところを見ると、ジーンの目的は単純な〈インモータルナイン〉の処分ではない雰囲気があります。
一体彼は何を目論んでいるのか…。
なんていっていると、ジーンが黒幕みたいに見えますね(笑)
つーか、バスの乗客だったセールスマンのスミスって審理部側の人間だったのか…。
全然わかんなかった(笑)
消耗品の征く果て
中盤からはアフダルに助けられたルジュが、ネアン居留地に潜り込みますが、そこではかなり不穏な空気が渦巻いていました。
はぐれ者の医者
前回から登場したアフダルですが、今回は彼の仕事っぷりが描かれていました。
ウェルズタウンに向かうバスでもヒューイを助けていましたが、ネアン居留地では仕事とはいえダリアを懸命に救おうとするなど、作中の人物では珍しく〈ネアン〉をまともに扱っている人物でした。
また、ルジュを助けたり、どこかとぼけた彼女の言動に微笑んだりするなど、やさぐれている感じは出しているものの、人柄もよいようです。
他方で、警察官を懐柔するために〈ネクタル〉を配るなど、グレーな一面も見られました。
まぁ〈ネアン〉を助けるうえで必要なやり取りなんでしょうけど…。
加えて、アフダルは〈ネアン〉を取り巻く状況に対し、色々複雑な想いを抱いているようです。
補助金のために雇用主が限界が来ているダリアを生かそうとすることを嘆くだけでなく、アフダルは金星のテラフォーミングのために〈ネアン〉が消耗品として使い潰されていることを語る場面では、怒りのような眼差しを見せていました。
アフダルが〈ネアン〉の現状を憂いていることが窺えますね。
一方で、〈ネアン〉のための組織であるCFNを「物騒」と評し、距離を置いていました。
ダリアとのやり取りで、アフダルは「人も〈ネアン〉も欲深い」と語っていましたが、どうやら人間に反発する〈ネアン〉の振る舞いに対しても、批判的なようです。
まぁ、〈ネアン〉が人間に対して反発することを悪としているというより、大義を掲げた行動がいずれ暴走することを危惧している印象でした。
同じ〈ネアン〉をまともに扱う人物でも、ジルは〈ネアン〉に肩入れしているのに対し、アフダルは「人と〈ネアン〉を区別しない」スタンスを徹底している感じでしたね。
それがアフダルにとって、立ち回りを間違えないための処世術かもしれません。
自由は希望
CFNの一員だったヒューイの報告をきっかけに、ルジュはCFNのリーダーであるユバル087と対話することになります。
アフダルは警戒していましたが、設立した経緯を考えると、必ずしもCFNは悪い組織ではない印象でした。
人間によって一方的に奪われた自治権を取り返すために、いうなれば「自由を得るために」ユバル達は立ち上がったとのこと。
人間の横暴に対抗するうえで、ユバル087達の対応は決して間違っていません。
しかし、人間に逆らえないように仕込まれたアジモフコードによって、CFNの活動は行き詰まりを見せているとのこと。
その影響か、ユバル087を邪険にした人間がいると口にした〈ネアン〉もいれば、デュマ171のように同胞に対しても排他的な感情を見せる〈ネアン〉もいましたね。
挙句の果てに暴力で〈ネアン〉の問題を解決しようとする〈アルター〉と内通する者が出てくる(これまたデュマ171でしたが)など、CFNは次第に分裂の様相を呈していることがわかります。
アジモフコードのために想うような成果が挙がらないなど、彼らの取り巻く状況を考えると気持ちはわかりますが…アフダルの危惧が当たっていたことが窺えます。
そんな中、ユバル087はルジュを招待した理由として、アジモフコードを超え、人間と対等に渡り合う彼女の「自由な意志」を求めたからと語っていました。
力で現状を解決するのではなく、自由な意志を以て現状を解決しようとするユバル087のスタンスが窺えます。
つまり、本質的な自由は力で誰かを倒したうえで獲得するものではなく、意志の在り方にかかっている…。
ユバル087がそんなことを考えているように感じられましたね。
見た目は子ども
個人的に面白かったのが、後半のルジュとユバルの対比です。
先述したように、今回はルジュが「見た目は大人、中身は子ども」であることが強調されていましたが、ユバル087は真逆の描かれ方をされています。
いうなれば、ユバル087は「見た目は子ども、中身は大人」の最たるものではないでしょうか。
実際、子どもがいない家庭のために作られ、23人の親の元に派遣されたユバル087は1人当たり2年在籍していたと考えると、単純計算で40年以上生きていることになります。
また、ルジュとユバル087は〈ネアン〉の在り方を憂う者同士でありながら、立ち回りも対照的でした。
ナオミと喧嘩した後、ルジュはリオンを助けるために持ち前のパワーで警察官をやっつけようとしていました。
対してユバル087は人間の多面性を知っているからこそ、人間を安易に否定せず、力による現状の解決よりもルジュを通して自分達の意志の在り方を見つめ直そうとするなど、理知的な一面が際立っています。
つまり、今回のルジュの振る舞いは〈アルター〉に通ずる危険なものであるのに対し、ユバル087は自由を求める理想的な姿勢(実現するかは別にして)を示唆していたといえるでしょう。
前回のジルとのやり取りで「自由は自分で選べる」と学んだルジュですが、今回のユバル087との接触で「意志の尊さ」を学んだのかもしれません。
しかし、そんなユバル087は悲劇的な最期を迎えることになります…。
陰謀
ルジュに大切な気づきを与えたユバル087ですが、終盤で何者かによって命を奪われてしまいます。
おまけに現場に居合わせたルジュが、犯人扱いされたCFNに拘束されるなど、かなり厄介な状況になりました。
恐らく犯人は十中八九〈アルター〉でしょう。
実際、ジャロンがデュマ171と接触していますし、彼が色々暗躍した可能性が高いでしょう。
目的はCFNの支えであるユバル087のタヒをきっかけに、〈ネアン〉の蜂起をうながし、ついでにルジュをはめる…そんな具合でしょうか。
ルジュを〈アルター〉側に引き込もうとする流れにもなりそうですが、いずれにせよよろしくない状況です。
他方で、気になるのがアフダルの立ち回りです。
〈アルター〉への内通者であるデュマ171と接触していたうえに、ルジュをユバル087の元へ導いたのはリオンでした。
さらに、アフダルが通報して治安出動を招いたかのような描写もありましたね。
どうやら彼らも〈アルター〉に加担する道を選んだ可能性が高そうです。
CFNの距離を取っていたアフダルが〈アルター〉に加担するなんて矛盾しているようですが…これも彼なりの処世術なのでしょう。
機能停止に陥ったダリアが回収される光景を見ながら、アフダルとリオンは〈ネアン〉の状況について語り合っていました。
その際、アフダルは仲間を助けるために頑張るリオンに対し、「それでは足りなくなる」といい、肩を抱いていました。
恐らく、アフダルもまた「足りなくなった」のでしょう。
〈ネアン〉を真の意味で助けるには現状を力で打開するしかなくなったのか、それとも自分の状況を守るためか…。
いずれにせよ、アフダルが「それでは足りなくなる」と口にするのは、既に歯止めが利かなくなっている自身への戒めなのかもしれません。
『メタリックルージュ』第3話感想
色々不穏な要素がありつつも、ルジュが新たな学びを得る場面もしっかり描かれた第3話でした。
個人的にユバル087が面白かったですね~。
ルジュとの対照的な描かれ方に加え、真摯かつ理知的に〈ネアン〉の在り方を見つめ直す姿が好印象でした。
しかし穏健派であるために内通者に気づいていながらも、すぐに手を出さなかったところが早すぎる退場を招いたともいえますが…。
まぁ行き詰っている状況での内ゲバなんて最悪ですからね…。
他方で、冒頭から存在が示唆されていた移動式サーカスですが、ユバル087のタヒが発覚した終盤で突如姿を現しました。
ジーンが存在を知っていたところを見ると、ただのサーカス団ではないことは自明。
公式サイトでも不気味すぎるキャラクターが描かれていましたが、果たしてどうなるのか…。
次回も注目ですね。
▼メタリックルージュの全記事はこちらにまとめてあります!
▼当サイトでは他にも多数のアニメを考察しています!
最新情報をお届けします
Twitter で2017春夏秋冬アニメ考察・解説ブログをフォローしよう!
Follow @anideep11