少女漫画界屈指の超名作・BANANA FISH
原作者の吉田秋生さん活動40周年記念として悲願のアニメ化が決定した本作品。
連載終了から二十数年経った現在でも、根強い支持者がいる大人気作品です。
ごきげんよう、模造紙です。
実は私も原作の大ファンで、タヒんだら棺桶にBANANA FISHの原作漫画本を入れて欲しいくらい思い入れの強い作品です…!!! (ちなみに、炎の蜃気楼とガラスの仮面も入れて欲しい)
当考察ブログの特性上、原作既読者の記事執筆はイレギュラー。
この記事では、BANANA FISHアニメ化に伴い旧来ファンが気になり過ぎるポイント「時代設定を80年代から現代に変更」というテーマに絞って書いていきます。
注意
この記事は、BANANA FISH原作既読者が執筆しています。
原作漫画未読およびアニメ初見の方にネタバレする恐れもありますのでご注意ください。
原作未読視点での、汐川さんによる考察記事はこちら▼
目次
BANANA FISHと私の出会い
初めて原作漫画を読んだのはリアルタイムではなく、連載終了して1年程経ったころ。
当時リアル厨二だった筆者に7歳上の姉持ちの友達がいて( 姉妹でかなりの質の高いオタクだった 笑)そのツテでBANANA FISHに出会いました。
アッシュとの運命の出会いです…!!そして、ソッコーお年玉で全巻揃えました←
多感な思春期にダイレクトに影響を受けた私は、衝撃のラストから魂が抜けること3カ月…。
今回のアニメ化に伴い、一度は手放した原作本を文庫版で揃え直して再読しました。
そして現在、再び心がえぐられ魂が抜け落ちている最中でもあります(´・ω・`)
ただ、大人になってから読むと違った視点で見えてくる部分もあり、改めて本作品の深さと素晴らしさに気付かされるのも確かです。
学生時代に出会えた伝説の作品が、幸運にもこのタイミングでアニメ化されるなんて期待するしかないですよね…!!
アニプレックスの瓜生Pありがとうございます…!!!
スポンサーリンクそこは一番変えたからアカンとこやんけ…
さて、少女漫画界屈指の名作と名高いBANANA FISHですから、勿論私のような小うるさいBBA旧来ファンも多く、アニメ化に伴い衝撃の発表がありSNSが賑わいましたね!
これです▼
発表終わったので言いますが、最初に「変更点はほぼ無いです」って仰っていて、現地取材もしてかなりの作品になりそうだなーと期待に胸膨らませてました。でもその数分後に「時代は現代です」って発表が有ったのには「いやそこ凄い重要な変更点だよ?!」って思わず声に出す程驚きました
#BANANAFISH— 和三盆ねこぞう (@nekozou1027) 2018年2月22日
時 代 設 定 が 現 代 に 変 更
ベトナム戦争で廃れたアメリカ社会の、絶望や貧困から生まれるストーリーだっただけに、時代を現代に移しちゃうと、そもそも物語の根幹がブレ兼ねない設定改変。
あの時代だからこそ成立し深みを生み出す物語なのに、改変するにしても何で時代なのさ?ってなりますよね。
東西冷戦が続き、共産主義国家体制に潜在的な恐怖を持っていて、人の命の重さにしても今と全く異なる認識が強かったハズ…それがなぜ?
現代に寄せちゃったら、それって公式の現パロじゃないの??
原作のいちファンとして時代設定変更が気になったので、それにより生まれる謎および疑問点を列挙していきます。
アニメBANANA FISHの時代設定変更による疑問点
疑問① アッシュの兄ちゃんとマックス・ロボはどこに徴兵されてたの?
物語の肝であるベトナム戦争。
時代が現代のアメリカってなると、アッシュの兄ちゃんや友達のマックス・ロボはどこに戦争に行ってたのって話ですよね。
▼これに関しては、先行上映に行った方の情報がありました。
【BANANAFISH先行上映感想①】
1番不安だった時代を現代に変更は、1話だけなら違和感なく溶け込んでいたと思う。
アッシュがスマホ使ってるのは軽く感動したけど笑 ベトナム戦争からイラク戦争に変更されてたくらいで物語の進行にはそこまで影響ないかな?— こーや (@ko_ya_) 2018年7月3日
ベトナム戦争がイラク戦争に変更になってるんですね。
戦争のいきさつや時代背景はそこまで物語の主軸には影響はなさそう。
疑問② 青少年が銃ぶっ放す描写は現代的にはいかがなものか
後さフロリダ高校銃撃事件で高校生たちが全米で銃規制求めて動いてる今、 80年代ストリートキッズが銃撃ガンガンする話を、現代にしましたって発表するセンスになんともイヤなものを感じる。時期被ったのは偶然でも、子供が銃撃ってのの重さが原作の80年代と現代では全然変わってるんだよ。#BANANAFISH
— Min Onouchi おのうちみん (@kaerumin) 2018年2月22日
この件も、結局ベトナム戦争後だったからってのがあって、80年代が性差別や児童ギャク待が問題視され始めてたって部分が大きいですよね。
社会的弱者であり大人に愛情を注がれず守ってもらえない子供たちは、同じような子たちが集まってストリートギャングとして生きていくしかなかった。
アッシュの生い立ちなんか、まんまそれを象徴したケースで。銃ひとつで己の身を守ってたんですよね。
それが現代に置き換わると途端にリアリティがなくなってしまうような気も。
▲のツイートでも書かれていますが、全米の銃規制に対する関心が強い今現在、アッシュ達が銃をぶっ放す姿は違和感を感じずにはいられない。
疑問③ ハイテクの意味合いがそもそも変わってくる件
80年代と言えば、一般の人々にとってパソコンが未知の領域で、それこそ職務上で必要な人のみ特化した技術を持っていた時代ですよね。。
それが、現代では小学生ですらスマホスッスで使いこなしてるわけですから、これは違和感半端ないのでは。
原作ではパソコンを使うアッシュの姿を新人類とマックス・ロボや伊部が称するわけですが、このあたりは凄腕ハッカーばりのテクニックを持っているとかに改変するのでしょうか?
スマホや携帯がない時代だからこそのアッシュの機転を利かした頭脳戦も数多く、今の時間軸だと大体のアレコレは携帯かければ何とかなっちゃうんじゃ…となりそうで不安です。
アッシュの情報収集もスマホで調べちゃうの?という疑問も。図書館行かなくても良くね?
あの時代にハイテクを使いこなすアッシュがカッコいいのであって、普通にググってても (“´_ゝ`)フーンで終わっちゃいますよね…。
それとハイテク云々でもう一点。
今は生体認証やDNA鑑定の精度が上がっているわけですが、そうするとアッシュは万事休すであっさり検挙されちゃうんじゃ?
このあたりの辻褄合わせも気になります。
疑問④ 聖地巡礼は…うーん…
現代に時代改変をした意図として、新規のファンの取っつきやすさや、時代を現代にすることで共感を得やすい、服装や小物でオシャンティな若者さを楽しんで欲しい…などがあるそうですが、聖地巡礼は違うキガス(´・ω・`)
原作の時代は、それこそ昼間でも成人男性が1人でうろうろしてたら危ない時代だったわけです。
原作厨で聖地巡礼キャーってなる人いるのかな?そこはことなく作られた感が強くて違和感…
制作陣はクレーム覚悟で英断した可能性が高いのでは?
いろいろ書きましたが、おそらく制作陣はわかってやってるんだろうと思います。
これだけ原作ファンの多い作品ですから、時代改変なんてやらかした末には、苦情が殺到するのは目に見えて想像できます。
そこを敢えて挑戦したのではって見方もできるんですよね。
原作アリのアニメ化で嫌われる要素って、
・アニオリキャラ
・オリジナルエピソード
・時代改変
・設定変更
あたりだと個人的には考えています。
故に、制作陣もファンの批判集中はわかっていて、そこを打開できる(黙らせる? 笑)だけのファクターを仕掛けられるから、あえて踏み切ったんじゃないかと。
現代の若い世代を新規ファンとして獲得するなら、商業戦略的に時代に沿ったキャラデザやオサレなスタイリッシュさは不可欠なのでしょう。
80年代の不便さやもどかしさは、今の情報過多の便利な時代を享受している若者には共感を得られないってのはありますよね。
あとは、単純にイケメンさをグレードアップさせるためでしょうか…。
売れに売れたユーリ!!とか、free!とか。お布施を期待できる若い層に受けるか否かってのは、アニメを作るうえでは無視できない。
ともあれ、原作ファンに嫌われる&非難されることがわかっての取り組みですから、どう転ぶのかは気になるところです。
時代をアップデートしたという言葉を信じて、違和感なく動くアッシュと英ちゃんを拝めることを切に祈っています…!!!
アニメを視聴しての考察&感想
時代設定改変に関して、アニメ視聴後に随時追記します。
1話考察&感想
※7月7日追記
みんなスマホ持ってるWWWW
そしてペットボトル飲んどるwww
原作ファンとしてはアッシュと英ちゃんが動いている姿を見れただけで御の字。
キャラも吉田先生の柔らかく丸いタッチを生かした魅力的な印象で、アニメーターさんの細部までのこだわりが伝わって来ます。
映像美、アングル、劇伴…とにかくカッコいい詰め合わせ感が半端ない。
そして予想通り唯一気になるのが、現代と30年前のごった煮が見え隠れしている部分でしょうか。
若者なら当然スマホを持っている現代に、物語の肝である「バナナフィッシュ」を一度もググらなかった?のとか。
台詞まわしや話運びはかなり原作に忠実なだけに、時代設定変更が本当に必要不可欠だったのか納得しかねる。
ブランカやフォックスの設定も変更せざるを得ないんだろうな。
アッシュはスタイリッシュとかオシャレなファッションにはこだわらない男なんだよ。白Tとダメージジーンズで充分カッコいいんだ……
2クール24話とのことで、1話はちょうど原作文庫1巻の半分程度まで進みましたね。
すべてをアニメ化とのことなので、致し方ないんだろうけど台詞や場面の切り替えのテンポが速く余韻が感じられないのは残念。
様々な要因をすり合わせ、原作組・アニメ初見組が満足する落としどころを形にした結果なんだろうなというのは痛いほどわかり過ぎる初回でした。
やっぱ内海監督すげーわ…アッシュのサラサラ金髪を再現できる時代にアニメ化してくださってありがとうございます。
まだまだ期待半分不安半分の心情ですが、とりあえず英ちゃんが銃を触りたいって言ったときのアッシュの「いいよ」が完璧すぎてアニメ化やっぱ最高ってなりました←
2~4話考察&感想
※8月3日追記
時代変更なんのその。違和感を感じさせないよう尽力しているのが痛切に伝わってくる出来だと思います。
ただ、このテンポで初見がついていけるのかなという素朴な疑問も。
物語の一連の流れが頭に入っている原作既読組は問題ないとして、やっぱり進行スピードや場面の切り替えが早くてダイジェスト的な印象は否めない。
4話終了時点で文庫2巻の半分程度まで進行しましたが、このペースでいくと今後結構カットされるシーンも出て来そう。
個人的には英ちゃんの高跳びシーン「大和魂~」の台詞がバッサリカットが一番ダメージくらいました。
そら現代の若者は絶対言わない台詞だけども、異国の地だからこそ気持ちが高ぶってとかあるだろうよ…。結局は内海さんの琴線に触れなかったってことなんだろうな。
連載中、もしくは連載終了から期間を開けずにアニメ化していたとしたら、時代改変や台詞のカットもなかっただろうし、原作厨としては仕方ないとは思いつつも未練がまだまだ残ってます。
これからどんどんアッシュの天才&神の器設定を見せつけるシーンが出て来るので、それを現代風にどう料理してくれるのかは楽しみです!
そして平田さんのマックスがはまり役すぎて…イメージ通り過ぎて最高です(語彙力)
5~7話考察&感想
※9月13日追記
SNSを見ていると、スマホのGPS機能がまったく生かされていないってツッコみばかりで禿同すぎる 笑
なんというご都合主義
現代だけど違う世界軸とかなのかな…ここまで見ても、やはり現代にした利点がキャラのファッショナブルさがくらいしか見当たらない。
ストリートギャング、端役に至るまでみんなメンズ誌に載ってそうなファンションだもんなーww
個人的には好きだった、アッシュとショーターがニワトリドロボーする場面がごっそりなくなって残念。
コミカルなシーンや、緊迫ムードの息抜き的な描写は総じて減ってますね。
8~10話考察&感想
※9月13日追記
序盤のクライマックス!
ショーター退場回はBGMも絶妙な間も余韻も、アニメならではのスピードや臨場感が凄かった!
ショーターの目に光が宿り自我を取り戻す前に、壁画の天使を映すカットは良かったな。
あれはおそらくアニオリで挿入したと思うんですが、原作既読組はグッとくる演出ではないでしょうか…!!
上手いなーと思った。
あと、ユーシスのピアスが小型マイクになってるやつ。
連載当時は「これなんのスパイ映画の小道具www」って感じで、こんなんあり得んやろって思いながら読んでましたが、今なら普通にアリで「ほーん」って感じですもんね。
現代だと逆にリアリティがあって良い感じ。
まだまだこれからエグイ展開が連発されるわけですが、だんだん時代設定とかどうでもよくなってくるくらい、のめり込んでいる自分がいます 笑
11~13話考察&感想
※10月19日追記
このへんは原作でもだれてくるので、淡々としているのは仕方がないかと言ったところ。
ただ、やはり時代改変の余波はあるのか、アッシュが英二のハイジャンの写真を一度いいから見たかったというシーンも、指先ひとつで欲しい情報を入手できる今だと重みが感じられないどころか、まずはスマホ活用しようぜwとなっちゃって妙な具合に。
たしか英二の写真って伊部さんが有名になるきっかけとなった大きな賞を受賞した写真なので、検索したらネットですぐ見られると思うんですよねー今の時代なら。
その辺の違和感というか整合性が抜け落ちちゃってるのが残念でならない。
物語そのものは基本的には原作の流れにのっとっていて好ましい。
しかしここに来てアッシュ役のCV内田雄馬の特徴のない声が惜しく感じられてきました。
序盤はいいけど(英二がらみで)感情が揺さぶられて激情の演技を求められる今後はちょっと不安かもしれない。
対してユーシスが色気があってすごくいい。
ここまでが文庫5巻に相当し、進行はややゆっくりペースのため番外編まで映像化は厳しそうな感じですね。
14~16話考察&感想
※11月7日追記
このあたりはアッシュ拉致からの研究所脱出のくだりがコミカルかつテンポよく描かれていて、BANANA FISHらしさがあって好きな箇所です。
特に原作勢が危惧していた『キャンディーバー』ですが、私も正直なところ全編カットか別シーン置き換えかなと思っていたらまさかの力の入り具合で驚いてしまいました…!!
尺の長さもそうですが、スポットライトやカーテンなど原作にないアッシュの魅力を際立たせる演出が追加されていて感無量と言うよりほかありません(笑)
前回感想でも触れていた気になるCVですが、同時期にアッシュの中の人が「江良貝くぅぅぅん」を担当されていたのが妙にツボにハマりまくって好きでした。
中の人はちゃんと持ち味を生かして歪んだコミカルな役どころを巧みに演じているので、アッシュだと違和感を感じるのは単に私のイメージとマッチしないからなんでしょうね。まぁ、ここまで見続けて来てさすがに慣れたのもあるのですが、キャンディーバーは非常に魅惑的でアッシュの底力と苦々しい過去が同時に表現されていてとても良かったですね。
からの、「俺の庭」にブチかましにいく流れはシビれますね…!!
尺の都合上でしょうが、アッシュとマックスが親子設定で動きまわる背景や密談の描写、警察に職質を受けるシーンが好きだったのでカットは残念なところです。
スポンサーリンクBANANA FISH 放送終了後のまとめ
全24話視聴後に、総評&まとめを追記します。
お知らせ
当サイトでは今季もグレードアップした執筆陣で、多様な考察記事をお届けします!
▼私も今季は天狼を担当するので、是非読んでいっていただければと!
https://animedeeply.com/mozoushi/sirius-the-jaeger/16370/
そしてそして、当サイト運営・小鳥遊さんがYouTubeアニメチャンネルを開設されました!
コアなアニメは実生活で語るのは難しいですよね!
今回のBANANA FISHの時代改変なんて、リアルに語れる相手がいなくて本当に淋しいのです…(震え)
そんな虚しさを埋めてくれる同志がここなら見つかるかも?
ぜひぜひ、チャンネル登録をお願いします。
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コメント
自分も別に詳しいわけでは無いけれど、時代変更は結構致命的かも?アメリカにとってベトナム戦争は他の戦争とは全然違うらしい。本作で言うならイラク戦争ではアメリカ軍の兵隊さんはド○ッグ中毒になった人は居ないと言ってもいいぐらいだったそうな。理由がベトナム戦争があったから。ベトナム戦争は唯一アメリカが「勝てなかった」戦争とも言われてるそうで、長期化したせいで、現場の兵士はド○ッグ中毒、しかも彼らが帰ってきたせいで一緒にアメリカにはド○ッグとマ○ィアが大量に入ってきた。それでアメリカ人はイラク戦争時は「遠い異国の地で同胞が死ぬなんて許せない!当人同士で勝手にやればいい!何が世界の警察だ!」と反戦ムードが強かったらしい。
兵士の方も黒人の方々は軍役を果たすことでアメリカ人であることを認めて貰おうと頑張っていたのに実際は戦場から帰っても先述のド○ッグの一件もあり以前爪弾きにあって相当辛い目に合っていたそうです(当時は公民権運動時=差別撤廃の過渡期でした)。これらの話はかの有名な映画ランボーにもありましたね。
そんなもんだから、この漫画の割と重要なエッセンスとして、「ベトナム戦争」はあるのかもとニワカなりに思いました。
カラカラ さん
過去記事なのにコメントいただきありがとうございます!
私も全く詳しくないので丁寧な解説助かります。
恥ずかしながらベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争あたりは教科書に毛が生えた程度の知識しか持っていないので。
なるほど長期に渡る戦争ですから薬物中毒やマ〇ィアも関係してくるわけですか。
アニメでは端折ったり誤魔化して時代改変もさほど気にならない程度に上手く料理してくれている印象ですが、
至るまでの背景や当時の情勢も加味するとやはり違和感は否めませんね。
ビジネス的な観点で現代をチョイスしたのは理解できますが、物語にのめり込むならやはり原作漫画が一番でしょうね。