皆々様こんにちは。
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』担当のgatoです。
Fateシリーズ初の「魔術ミステリー」とシリーズの中でも異彩を放つ今作ですが、今回は早速ウェイバー・ベルベットことロード・エルメロイⅡ世が事件解決に乗り出すようです。
「魔術ミステリー」ってなかなか聞かないジャンルですけど、実際はどうなんでしょうか?
野村萬斎の「陰陽師」みたいな感じになるのだろうか…。
まぁ何はともあれ、早速第2話を振り返っていきましょう!
スポンサーリンク「永遠」を巡る事件
今回の事件はファーゴ家の当主がバラバラにされるという凄惨なもの…。
第一話にして結構エグいのぶつけてきましたね(笑)。
ただその実体は当主であるアーネストが「永遠」を実現するために、伝統的な様式から外れた儀式を自ら行ったというものでした。
アーネストは全ての魔術師の悲願である根源へと至ろうとしていましたが、いかんせん人の人生は短いもの…。
だから、アーネストは根源を見つけるために永遠に生きようとしたわけです。
なかなか突拍子な発想のような気がしないでもないですが(笑)。
事件としては一種の「狂言」に属するタイプでしたね。
第二の犠牲者であるアレックに関しては完全に巻き添え感がありましたけど(笑)。
多分アーネストの研究を持ちだそうとした際に偶然儀式に組み込まれている場所に入り込んでしまったのが原因でしょうね。
まぁそれを差し引いても自身の研究を私利私欲で汚そうとするアレックに、アーネストはそれなりの怨みを抱いていたのかもしれません。
ちなみに今回出てくるファーゴ家の大元である「アニムスフィア家」という名前ですが、『Fate/Grand Order』に出てくるオルガマリー・アニムスフィアの生家のことでしょう。
今回も他のシリーズから名前が出てきているわけですね。
こういう小ネタ探しも面白いかも…。
後、余談ですが今回の事件のキーワードでもある「七大惑星」ですが、これは実際に西洋占星術やグノーシス主義的な思想の中に出てくるワードです。
西洋占星術はそれとなくイメージできるかもしれませんが、グノーシス主義はわかりやすくいうとキリスト教において異端の部類に入る思想です。
まぁ実際のグノーシス主義は結構複雑なので説明は端折ります…専門家じゃないから詳しくないし(笑)。
個人的には地動説が定着するまでキリスト教の宇宙観だった天動説がキーワードで出てきたり、Fateシリーズにおける魔術の立ち位置と宗教との関係性の一端が垣間見えてちょっと面白かったりしました(笑)。
Fateシリーズでは魔術協会と聖堂教会が不仲と言う設定がありますが、なんとなくわかる気がするなぁ(笑)。
スポンサーリンク父を見捨てたメアリ
今回の事件はアーネストによるある種の「自決」が真相だったわけですが、その陰で娘のメアリが意図的にアーネストの儀式を見過ごしていたことが解き明かされました。
メアリはアーネストの行う儀式が不完全であり、失敗することを承知で見過ごしていたところを見ると、間接的に彼を排除したかった感じがありますね。
メアリの口ぶりを聴くと、アーネストは決してよい父親ではなかったようです。
まぁ自分の肉体すら平気で捨てて永遠を手に入れようとしていたわけですから、まともじゃないことはそれとなくわかります。
また、メアリの手の甲に「土星」を記す紋章が刻まれているところを見ると、アーネストは実の娘すら自身の研究材料の一つとして扱っていたようです。
実際復活したアーネストはメアリに「命をくれ」って言ってましたしね。
恐らくメアリの命と魔力を手に入れたうえで自身の永遠を完全にしようとしていたのでしょう。
そんなエゴイストが実の父親ってなかなか不憫…。
そもそも魔術師の世界においては「子は親の所有物」という考えもあります。
それもまたメアリにつらい束縛を与えていたのでしょう。
おまけにアーネストの甥っ子であるアレックも明らかに財産目当てのチンピラ。
財産と研究を引き継ぐメアリにこの先何かと絡んでくることは間違いないでしょう。
そう考えると、今回の事件は「メアリがアーネストの呪縛を振り払い、自由を得る物語」と捉えることもできます。
アレックが犠牲者になったのは計算外でしょうけど、結果的にメアリにとってはいいことだったのかもしれません。
スポンサーリンクメアリとクレアの関係
ラストで印象的だったのが、ロード・エルメロイⅡ世とグレイが去った後にメアリがクレアと手をつないだシーン。
これは明らかにただならない関係を連想させますね。
まぁ普通に考えれば二人は相思相愛の恋人同士…といったところでしょうか。
思えば序盤でクレアはアレックに突っかかった際にメアリにかばわれています。
その際にメアリは厳しい言葉を投げていますが、彼女がアーネストに虐待を受けていたクレアに憐憫の情を抱いていた可能性は高いですね。
アーネストの所有物として生きているメアリにとって、アーネストに虐待されていたクレアはある意味同じ苦しみを共有できる相手だったのでしょう。
おまけにクレアは魔術師ではない一般人。
クレアに厳しい言葉をいったのも、自分達のおぞましい秘密に彼女を関わらせたくないというメアリの思いやりがあったのかもしれません。
魔術師の伝統
今回の事件で個人的に印象的だったのが、あまりに因業過ぎる「魔術師の伝統」です。
「子供は親の所有物」と「子に代々魔術を引き継がせる」という二点ですね。
前者に関してはメアリを縛り付けるある種の「呪い」のようなものでした。
メアリはそれから脱却するためにアーネストの不完全な儀式を敢えて見過ごしたわけです。
そして後者に関しては今回の事件におけるアーネストの動機が大きく絡んでいます。
通常、魔術師は子供に魔術を引き継がせ、代々育てていくことで根源に至ろうとします。
しかしアーネストは永遠を獲得することで根源に至ろうとしていました。
つまり魔術師の伝統である「子供への継承」をすっぽかそうとしていたわけです。
これらの点を考えると、今回の事件は魔術師の伝統に対してアーネストとメアリがそれぞれ脱却しようとして起こったものだといえます。
まぁ今回に限ってはメアリの方がまだ理を心得ていたようですね。
ロード・エルメロイⅡ世の教え子というのもあるでしょうけど、アーネストがそれだけ狂気に奔っていたのでしょう。
何はともあれ、どうやら『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』で描かれる事件は、今回のように魔術師の伝統と絡んでくるものが多くなりそうですね。
グレイの正体は?
事件とは関係ないところで興味深かったところといえばグレイの正体です。
普段フードを被っているグレイですが、どうやら「顔を見られたくない」ご様子。
そして今回は初めて彼女がフードを外している場面が出てきたのですが…。
なんとアルトリア・ペンドラゴンそっくり!
これは確実に何かあるぞ…(笑)。
そもそもFateシリーズは「セイバー顔」という属性があるように、アルトリアと似ているキャラクターが何かと出てくるものです(ネロしかり、モルドレッドしかり)。
つまりグレイが今回のセイバー顔枠というわけなんでしょうけど…。
でもそれを敢えて隠しているというところが引っかかりますね。
髪型までそっくりなところを見ると、グレイをかなりアルトリアに寄せていることがわかりますが…。
まさか子孫とかってことかな?
でも武器が全然違うんだよなー…。
まぁこのあたりはおいおい見ていきましょう(笑)。
後、どうでもいいですけどアッドが鎌に変形するのはかっこよかったな(笑)。
てっきりうるさい賑やかし役だと思ったらやるじゃないか…。
というか、もしグレイがアルトリアと関係があるのなら、アッドも円卓の騎士とかと関係のある存在だったりするんですかね?
ここも注目したいところです。
スポンサーリンク『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』第2話感想
全体的には「陰陽師」や「魍魎の匣」みたいにオカルトや魔術が絡む事件を解き明かしていく…という印象でした。
でもちゃんと最後はバトルを持ってくるあたりがご愛敬でしたね(笑)。
基本的には一話完結型でやるようなので、全体的にスッキリまとまっている感じでしたね。
メアリとクレアの関係といい、語られない真実をそれとなく暗示してくるあたりが楽しいですね(笑)。
次もどんな奇天烈な事件が出てくるか楽しみです。
それではまた次回お会いしましょう!
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コメント
初めまして。
いきなりですが、今回の事件、自分なりに考えて見たんです。つまり……、
ハウダニットは問わない。ホワイダニットを問う。と言っているが、フーダニットについては言及してない。
つまり、「犯人が誰か?」は視聴者が自由に決めていいのだ。(たぶん?。)
そもそも、タヒ霊になった御当主、不完全だった不老不死の術を何故自分に施したのか?。
旧当主が不老不死をもって根源を目指すなら、後継者は不用。
喫煙はすれど、歳より若く見え健康的だった旧当主。実子、借金漬けの甥、メイド、等の試験体が三人もいる。実験する時間的余裕もあったはず。(メイドに関しては、虐待ではなく。不老不死の実験に使われた可能性は?。)
ここで、「犯行動機」。現当主メアリ、現代魔術科を選択することから、意外と一般人に近い常識の持ち主だったのかも?。それ故に、メイドを実験でコロされたり、メアリ自身が実験でコロされるかも知れない事が許せなかったのかも?。つまり、メアリが父親、旧当主コロしの犯人、メイドも共犯者。(まぁ、妄想ですがね。)
問題無く正当に遺産を受け継ぐため、完全犯罪を目指すメアリは、旧当主が不老不死の実験でタヒ亡(タヒ霊化)したようにサツ人、偽装。エルメロイ二世に死霊特化の従者がいるのを知りつつ事件解決を依頼。
二世がメアリの望む様な推理して、旧当主の魂が消滅し事件解決、正当な後継者として莫大な遺産を無事相続と…。
二世のほうも、メアリの犯行計画を知りつつ、彼自身の利益(とメアリ)の為、メアリの計画に乗ったのではないかな?。言葉の端々がそんな事を匂わせてる気が……。
二世は、なんだかんだ言っても警察でも探偵でもない魔術師だから、彼の倫理に反しない限り利益が最大限になるように働くと思う…。
最後のメアリとメイドの手繋ぎシーンも、旧当主からの同じ被害者として、また、旧当主をコロした同じ加害者としての共感を描いたものではないかな~と思う。
などと、つい妄想が働いて……。
けっこうな、長文になってしまって、スイマセン。つい、メアリ犯人説を思い付いたのでコメントしてしまいました。
それでは、さようなら~。
てけり・りさんコメントありがとうございます!
>フーダニットについては言及してない。つまり、「犯人が誰か?」は視聴者が自由に決めていいのだ。(たぶん?。)
なるほど、フーダニットを敢えて言及しないことで読者に自由に犯人を決定する余白を作っているわけですね。
ミステリには疎いのでその観点はなかった。。。
確かに今回は終始フーダニットには触れられていませんでしたし、むしろロード・エルメロイⅡ世自身が意図的に触れていないという解釈もできます。
そう考えると、今回の事件は趣が違うもののように見えてきますね。
>二世のほうも、メアリの犯行計画を知りつつ、彼自身の利益(とメアリ)の為、メアリの計画に乗ったのではないかな?。言葉の端々がそんな事を匂わせてる気が……。
うわー…大胆不敵な解釈ですね(笑)。
ただ、筋は通っていますし、ロード・エルメロイⅡ世もメアリもやり得ることですね。
つまりあの推理劇自体が盛大な茶番で、メアリの意図を汲んだロード・エルメロイⅡ世が仕組んだものってことですよね。
そう考えると色々面白い…。
抑圧してくる父への犯行と自由の獲得をメアリは目指し、それを見抜いたロード・エルメロイⅡ世は魔術師の道理を守ることと事件の収束のために乗っかった…。
いやぁ色々腹黒いなぁ(笑)。
でもメアリが犯人だからこそ、あの儀式が成立したって考えると腑に落ちますね。
アレックが犠牲になったのも、彼がメアリの遺産の相続の邪魔になる立場だからと考えると、それとなく納得できます。
相続権がなかったとしても、彼なら勝手に持ち出すだろうし(笑)。
それにメアリが犯人なら共犯となり得るクレアも、アレックを貶める発言をしていますからね。
>最後のメアリとメイドの手繋ぎシーンも、旧当主からの同じ被害者として、また、旧当主をコロした同じ加害者としての共感を描いたものではないかな~と思う。
てけり・りさんの解釈を前提にするなら、メアリとメイドが手をつなぐシーンも意味合いが変わってきますね。
個人的には加害者の共感というより、自由を目指して共に戦った同志の感慨と捉えたいところですが(笑)。
でも単純な愛情以上のものがあのシーンにあったと考えると…色々感慨深いですね。
>けっこうな、長文になってしまって、スイマセン。つい、メアリ犯人説を思い付いたのでコメントしてしまいました。
いえいえ!
むしろ読み応えのあるコメントで楽しかったです!
こんな風に違う解釈を呈示してくれると、個人的にも勉強になるためどんどんやっていただけると嬉しいです!
むしろ常時やっていただきたい…(笑)。
またお願いします!
こんばんは ひろです。
今回は地動説と天動説にまつわる話でした。ロードとグレイの関係は主従の関係というよりは、それぞれの得意不得意を補えるパートナー的な関係ではないかと思いました。
今後どんな事件がくるでしょうか。次回以降も楽しみです。
また来週よろしくお願いします。
ひろさんコメントありがとうございます!
>ロードとグレイの関係は主従の関係というよりは、それぞれの得意不得意を補えるパートナー的な関係ではないかと思いました。
確かにあの二人のコンビはいいコンビネーションをしていましたね。
どうやらロード・エルメロイⅡ世は直接的な戦闘は不慣れのようですし、色々荒っぽい人も多い魔術師相手だったらグレイのような存在は頼もしいものです。
そもそも二人は師弟関係のようですし、これまでのFateシリーズのマスター/サーヴァントとは違う関係性が描かれるでしょうね。
誤字がありました。
誤:ファンゴ家
正:ファーゴ家
修正よろしくお願いします。
名無しさんご指摘ありがとうございます!
早速修正いたしました。
今後も何かあればお願いします!
グレイが顔を隠してた事に関しては第0話でエルメロイ二世が「その顔を見せるな」って言ってますよ
エルメロイ二世は第四次聖杯戦争でのライダーvsセイバー戦においてセイバーにエクスカリバーで56されかけた事があります(ライダーが戦車を失った戦い)
またケイネスを56したのもセイバーなので(実際は介錯ですが二世には知り得ない)セイバーに良い感情はないでしょう
というか、エクスカリバーの件だけでもトラウマになってる可能性が大きいですね
また同じ第0話で謝る二世にグレイは「いいんです 師匠が拙の顔を嫌ってくれるのは嬉しい事ですから」と言っています
名無しさんコメントありがとうございます!
別の記事でもコメントしてくださった方と同じですかね?
>グレイが顔を隠してた事に関しては第0話でエルメロイ二世が「その顔を見せるな」って言ってますよ
そういえばそうですね!
ただ別の記事でもコメントしましたが、別日に放送されている第0話は観ていない人もいるかもしれないと思ってあまりガッツリ触れていません。
でもそれがちょっと裏目に出たみたいですね…申し訳ありません。
>セイバーに良い感情はないでしょう。というか、エクスカリバーの件だけでもトラウマになってる可能性が大きいですね
確かに第四次聖杯戦争では対立関係にあったセイバーに対してはロード・エルメロイⅡ世は複雑な感情を抱いているでしょうね。
そのセイバーと同じような面相を持つグレイを前に感情が揺らぐのは無理ないでしょう。
でも、それでもロード・エルメロイⅡ世がグレイを弟子にしているところは興味深いですね。
普通に疎んでいるなら弟子にすらしない気もしますが…。
単純に師匠の気を損なわないために顔を隠す、という方向でグレイがフードを被ることをロード・エルメロイⅡ世が許すとは想えないですし。
この辺りは気になるポイントです。