皆々様こんにちは。
『GREAT PRETENDER(以下『グレプリ』)』担当のgatoです。
NETFLIXで2ndシーズンが配信され、テレビ放送もシーズンが移り変わったため、記事を再開していこうかと思います。
2ndシーズンはまとめて一本の記事にしていきますので、どうぞ最後までお付き合いください。
さて、今回の舞台はエダマメの故郷である日本。
そこで行われるコンゲームはとんでもないものだったわけで…。
早速振り返っていきましょう!
目次
『Wizard of Far East』ざっくりあらすじ
まずは2ndシーズンのエピソードである『Wizard of Far East』のあらすじをざっくり見ていきましょう。
獲物は任侠者
次こそはコンフィデンスマンから足を洗うと決めたエダマメは貿易会社に就職するも、そこは朱雀連合会のフロント企業であり、海外の子供達の売買を生業としている犯罪組織だった。
同時に朱雀連合会はローラン達の次の標的であり、エダマメはローランに誘導されて入社したのだった。
いつもの展開にエダマメは辟易とするが、子供達を助けるためにローラン達に協力することになる。
エダマメ達はクラークの協力を得て、アビーをUAEの王女にでっち上げて上司の石神に誘拐させ、10億円を騙し取ろうとする。
エダマメはアビーと共に子供達を助け出そうとするが、生きることに希望を持てない子供達が脱出を拒否したために救出は失敗してしまう。
決別
子供達の救出に失敗したエダマメ達が次の機会を窺う中、朱雀連合会と対立する下部組織の上海龍虎幇(シャンハイロンフーバン)の陳が来日する。
通訳としてエダマメは朱雀連合会の会長であるアケミと陳の現場に同行するが、そこでエダマメは陳の通訳をしているのが父の誠司であることに気づく。
かつて逮捕され、家族が崩壊するきっかけを作った誠司にエダマメは怒りを隠せず、彼と直接接触する。
そこで誠司の心中を知ったエダマメは一旦彼を許し、アビーと子供達の救出に同行させる。
エダマメは拳銃を使って強引に子供達を救出するが、予想以上に石神達が気づいたために彼らに捕まってしまう。
エダマメ達が捕まった原因は誠司の密告だった。
現在の居場所を守るために裏切った誠司はエダマメ達を売り、さらにアビーとシンシアを撃って海に落としてしまう。
誠司の凶行に激怒したエダマメは彼を撃ってしまう。
仲間を喪い、父に裏切られたことに絶望し、悲嘆に暮れるエダマメ。
元々彼を行方不明の息子と重ねていたアケミは、そんなエダマメと真摯に向き合う。
彼女の想いを受け、エダマメはアケミの元で働くようになる。
そんな中、命を落としたはずの誠司がエダマメの元に現れ、全てがローランの計画であり、またローランと自身の過去について語る。
話を聞いたエダマメはローランの計画に協力すると答えるが、その目にかつての面影はなかった。
全て嘘っぱち
恋人でありコンフィデンスマンの師匠でもあったドロシーの命を奪った上海龍虎幇の劉暁に復讐するため、ローランは彼の元に通訳として潜り込む。
計画は順調に進み、エダマメとローランはアケミに1000億円、劉に有価証券を取引をさせることに成功する。
しかし土壇場でエダマメが豹変。
エダマメはかつて騙したエディを雇い、彼の部下を使って場を制圧すると、誠司の命を奪おうとする。
誠司はローランと共に反撃し、アケミの長ドスを使ってエダマメを斬ってしまう。
それを皮切りに銃撃戦が勃発し、アケミや劉達は逃走する。
だが、それは全て嘘だった。
アドリブはあったものの、エダマメはローラン達と協力し、まんまと1000億円と有価証券を奪い取る。
ローランは無事に復讐を終え、エダマメは父と和解。
改めてコンフィデンスマンから足を洗ったエダマメはコーヒーショップをはじめ、アビー達もそれぞれの道を歩む。
そんな中、アメリカ大統領の傍らにいたローランはおもむろに電話をかける。
「やぁ、そろそろ退屈してるころだろ?」
『グレプリ』2ndシーズンのポイント
ここでは『グレプリ』2ndシーズンの興味深いポイントをそれぞれ掘り下げていきます。
嘘から出た真
2ndシーズンでは、これまでの「嘘」や「父」に対するエダマメの苦悩が描かれていました。
詐欺師に身をやつしながらも、エダマメが嘘を嫌い、正しさを重視していたのは父である誠司の影響がありました。
今回は誠司がまさかの登場ということで、エダマメの葛藤がかなり描かれていましたね。
元々冒頭で父を手にかけたエピソードを持つ伊達政宗のカプセルトイが出てくるなど、エダマメが誠司と衝突する予兆はありましたが…。
ただ、最初の再会の段階では(演技とはいえ)裏社会にしか居場所がなく、すっかり変わり果てた誠司の様にエダマメも同情心を持っている感じがしました。
だからこそ「逃げよう」と提案できたのでしょう。
さらに母の美紀から「許す心」について説かれていることもあり、実のところエダマメなりに頑なに拒否していた誠司と向き合う覚悟はできていたのかもしれません。
そんなエダマメですが、知らなかったローランの計画で誠司が芝居とはいえ裏切ったことには大きなショックを受けていました。
一度は信じようとした誠司が例え芝居でも裏切ったことでトラウマが触発されたのでしょうね。
また、エダマメにとっても無事とはいえ誠司を手にかけたという事実自体がショックだったのでしょう。
父を許せない、でも許したい…そんな状況でエダマメはすっかり塞ぎ込んでしまい、アケミに忠誠心を尽くすようになります。
あの時、アケミがエダマメを息子と重ねたように、エダマメもまた夫を喪った彼女を美紀と重ねていたのでしょうね。
しかし、エダマメはアビーの「自分を許してやれ」をきっかけに自分の本音をぶつけるアドリブを入れつつも、誠司やローランと協力して計画を全うさせました。
誠司に対して頑なになっていた自分を許してやることが、一番彼にとって良い救済策だったのでしょうね。
また、個人的にエダマメにとって父を許すことは嘘を許すことだと思っています。
彼が吐露した本音にもあったように、エダマメにとって嘘は人を騙し、傷つけることであり、同時に嘘をつく人は致命的な矛盾を抱えています。
しかし、嘘は必ずしも悪いものではなく、時に人を喜ばせたり、前向きにさせたり、思わぬ影響を生み出すことがあります。
困っている人を救ったり、落ちぶれた人を前向きにしたり、騙された人が思わぬ形で味方になったり…作中でもそんな一面が度々描写されていました。
つまり、嘘には二面性があり、一概に否定できるものではないのです。
そしてそれを上手く使いこなし、必ず誰かを助けることができる人はただの嘘つきを超え、「グレート・プリテンダー(偉大なる詐称者)」になることができるのでしょう。
ラストのエダマメはその領域に達せたといっても過言ではありません。
それと同時に、エダマメは他人を無闇に信じたり、嘘に振り回されたり、過去にがんじがらめにならない、自分の生きたいように生きる自由をやっと手に入れたのでしょう。
そもそも彼の標榜する正しさは、拘り過ぎるあまりもっと大事なものを見失わせる呪いのような側面もありました。
まさに「嘘から出た真」…といってもいいかもしれません。
笑顔の復讐者
エダマメと並んでキーパーソンであるローランですが、今回は彼の過去が明らかになりました。
ディスレクシアのために騙され、悲惨な目にあった母親を喪い、詐欺師に怨みのあったローランはひょんなことからコンフィデンスウーマンのドロシーと出会い、彼女と一緒にコンゲームに関わることに。
しかし計画の失敗でドロシーを喪い、悲嘆に暮れながらも彼女の仇討ちのために元凶の劉をはめにいく…。
ざっくりいうとこんな感じですが、個人的に驚いた点はこれまでの全てのエピソードが劉への復讐の前準備だったという点よりも、かつての彼のパーソナリティです。
悲惨な目にあった母親を喪う、自堕落な生活を送る、詐欺師(嘘つき)を嫌う、初めはコンゲームが下手、ドロシーにコンフィデンスマンをやめるよう勧めるなどなど…。
端的にいってしまうと、かつてのローランってエダマメにかなり似ているんですよね。
おまけにローランはエダマメと同様にかなりのお人好しといえます。
ローランがこれまで仕掛けたコンゲームはアビーやシンシア、そしてエダマメの過去の諍いやトラウマに関連するものであり、しかも彼らの因縁の相手と接触するようなシチュエーションをわざわざ作っています。
ローランは彼らの苦悩やトラウマが解消されるようにわざわざ仕向けている…つまり単純に悪党をやっつけたり、大金を稼ぐよりも、仲間達が立ち直る道筋をわざわざ作ってやっているわけです。
過去の記事でローランとエダマメを対比したことがありますが、ローランは成長したエダマメと捉えられそうですね。
そう考えると、ローランがエダマメに何かと世話を焼いていたのは彼が誠司の息子ということに加え、自分自身と重ねていたからかもしれません。
呪いを受けた女
ローランの過去に出てきたドロシーですが、結構面白いキャラクターでしたね。
ドロシーはどちらかというとエダマメが出会った頃のローランに近い人物ですが、自由を愛することや徹底して前向きな点が彼に影響を与えたのでしょう。
実際、ドロシーは演技の一環でローランに刺された際、「これでスッキリしたでしょ」と問いかけ、立ち直るように勧めます。
ドロシーのこのアプローチは劉を毒針で刺したふりをしてスッキリしたローランや、斬られたフリをして許せなかった自分を脱ぎ捨てたエダマメに通ずるものがあります。
「人の命は奪わない」、「標的は悪党だけ」以外にもドロシーはローランに立ち直り方も伝授していたといえそうですね。
そんなドロシーですが、最期は悲惨な末路を迎え…たと思ったら、ラストでしっかり生存していることが描写されていましたね。
そして過去を清算したローランが海に放った彼女の指輪を奇跡的に拾ったところで物語は幕を閉じました。
記憶を失ってこそいましたが、その後のドロシーの人生やもしかしたらあるかもしれないローランとの再会はちょっと見てみたいですね。
後、余談ですが、ドロシーという名前や誠司が使っていた「オズ」の名前を見ると、最初のローラン一味のモチーフは『オズの魔法使い』かもしれませんね。
オズと呼ばれた男
これまでキーパーソンとして度々語られてきた誠司ですが、これまで明らかになった事実の中で一番ビックリしたのではないでしょうか。
子供達を売買した罪で逮捕された誠司ですが、実はコンフィデンスマンであり、「オズ」という名前でローラン達と組んでいたとのこと。
さらにエダマメの訛りまくりの英語は彼の影響であることがわかりました。
エダマメの英語のおかしさは第1話の記事でも指摘しましたが、誠司につながる部分だったわけです。
そんな誠司ですが、ある意味彼も「嘘」のために苦しい人生を送ることになります。
自身の計画が失敗したためにドロシーを喪い、劉の追撃を逃れるために逮捕、しかし家族に正体を明かさなかったためにエダマメの恨みを買い、心労をかけた美紀も喪ってしまいます。
そんな誠司ですが、美紀は最後まで彼を信じ、「魔法使い」と呼び続けました。
例え誰かを傷つける嘘を吐いたとしても、彼の生き方や振る舞いが誰かを変えることもある…。
エダマメがそうであったように、今回のエピソードは誠司がただの嘘吐きから「魔法使い」へとなるためのものだったのかもしれません。
アビーの優しさ
いつもはぶっきらぼうのアビーですが、今回は色々エダマメをフォローしている場面が見られました。
『Singapore Sky』でエダマメに救われて以降、彼への距離感を縮めたアビーですが、彼女なりに彼を慮っているようですね。
一服するようになったエダマメ(明らかに朱雀連合会に染まった影響でしょう)に注意したり、彼の変化や人間性を理解している描写があったり、何より彼を立ち直らせる言葉を送ったり…。
そしてラストではわざわざ彼当てに自撮りを送るなど、彼とプライベートでもつながっていることを窺わせました。
自撮りを見たエダマメが「髪が短い方が似合っている」と呟いたところを見ると、お互いを憎からず思っている感じですね。
うーん…これは付き合うのか?!(笑)
個人的に結構好きなカップリングなので、その後を見てみたい(笑)
彼らは猫である
『グレプリ』では何かにつけて猫が出てくる場面がありましたが、ここでは個人的に感じた猫の意味を掘り下げたいと思います。
EDの映像に始まり、実物だけでなく置物、アケミが使うカップ、彼女の息子が使っていたネクタイなど、あらゆるところに猫が出てきましたが、これを見ると何らかの象徴といえそうですね。
第14話の記事では猫=ローランと推測しましたが、美紀やアケミの周りにも出てくるのを見ると、必ずしも彼個人を示すものではないようです。
個人的に作中に出てくる猫は「離れていった愛おしいもの」の象徴だと思っています。
美紀は誠司(家族も含め)、アケミは息子、ローランはドロシー(あるいは幸せだった自分自身)と、いずれも大切なものと離れてしまった経験があります。
猫は愛おしいものですが、気まぐれであるが故に思いもよらぬタイミングで離れてしまう。
そんな性質を重ね合わせているのではないでしょうか。
出たな五十嵐!!
小ネタの部類ですが、作中で興味深い人物が出てきましたね。
コンフィデンスマンを生業とする小太りでやたらダンディな声で話す男…。
ま、まさかの五十嵐!
そう、『コンフィデンスマンJP』で小出伸也演じる五十嵐です。
今回は劉を誘導するために易者に成りすましていましたが、どうやらローランの協力者の一人のようですね。
クレジットでも「五十嵐」と表記され、演者もちゃんと小出伸也だったのでどうやら『コンフィデンスマンJP』と『グレプリ』の世界観は共有されているようです。
これは…アニメと実写のコラボが今後も期待できそうですね(笑)
それぞれのその後
ラストではコンフィデンスマンから改めて足を洗ったエダマメがコーヒーショップを開店していました。
元々コーヒー好きだったエダマメですが、コーヒー嫌いのアケミの嗜好を変えるなど、なかなかの腕前を持っていることを窺わせました。
結果的に裏切ったとはいえ、エダマメがアケミに対しては親身に向き合っていたことを踏まえると、コーヒーは彼にとって「素直に誰かに真心を伝えられる作業」といえるかもしれません。
他の面々に関しては、誠司は墓参りを済ませて保護した子供達の里親探し、シンシアも子供の一人のカウィンの保護者としてフォローしているようです。
ただ、ラストでローランがまたコンゲームをやろうとしていたところを見ると、全員コンフィデンスマンを辞めたわけではない模様。
あくまで次の仕事が来るまで、みんな自由に過ごしている感じですかね。
続編・第2期の可能性は?
NETFLIXでは1stシーズン・2ndシーズン、テレビ放送では2クール放送だった『グレプリ』ですが、個人的に続編がある可能性はあまり高くない予感がします。
続編の情報が出ていないのもありますが、物語としてはきれいに完結したので続きを作り辛そうな感じはします。
ただ、『コンフィデンスマンJP』と世界観を共有していることが明らかになったので、続編がゼロというわけではありません。
『コンフィデンスマンJP』は今も劇場版が出ていますし、それと連動して単発として復活したり、コラボする可能性もありそうです。
純粋な2期は第一期の反響次第ですが、『コンフィデンスマンJP』が続く限り思わぬ形で復活しそうな予感があります。
『グレプリ』CASE4感想
2ndシーズンは一つのエピソードをぶっ通しでやっていましたが、なかなか古沢良太らしいどんでん返しの展開が多くて楽しかったですね。
とりわけ終盤では誠司やローランに反発したエダマメがアドリブを入れまくったせいで、どこからどこまでが計画通りなのか、そうでないのかがハッキリしなかったので、かなりワクワクしました。
本当はどんな形でアケミ達が騙されたのかを描きたかったのですが…そこはぜひ放送をご覧ください(笑)
さて、『グレプリ』はひとまずここまで。
また別の作品でお会いしましょう!
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